石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年3月11日

(平成28年3月11日(金) 9:06~9:22  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 今日の閣議で我が方に関係する案件は特にありませんでした。

2.質疑応答

(問)私から2点お願いします。
 1点目ですが、ECBが大規模な追加の金融緩和策を決定しました。マイナスの金利幅だけではなくて量的緩和も拡大し、市場の予想の内容を超える内容となっていますが、大臣はこれをどのように受け止めていらっしゃいますか。
 もう1点は、震災から5年となります。名目GDPが震災前の水準を超える一方で、黒字だった貿易収支が赤字となっています。震災から5年の経済状況の変化というのをどう評価されていらっしゃいますか。
(答)まず1点目ですが、ECBの金融政策の変更は、市場の予想を上回るものであったと認識しています。
 ECBは、ユーロ圏全体を見ていて、日本と同じですが、緩やかに回復が続いていると。しかし、世界経済の影響を受けて、不確実性が高まっているということで、経済成長と、ユーロもデフレですので、インフレ率に対する押し下げリスクが存在するということで、今回、巷間言われている水準を上回る追加的な金融緩和政策をとったと認識しています。
 これによってユーロ圏の景気回復が、緩やかであっても、しっかりと続いていくことを期待しています。
 2点目については、震災が発災したとき、私は自民党の幹事長をしていまして、谷垣総裁とテレビの映像などを見ていました。リアルタイムで津波が押し寄せて、多くの方々が流されていく映像を見たとき、本当に心の痛む思いでした。
 今日、政府主催の東日本大震災五周年追悼式が行われますが、改めて犠牲になられた方々の御冥福をお祈りさせていただくとともに、30万人台から半減したとはいえ、17万人の方がまだ避難生活を続けられている。特に復興住宅は大分建っていますが、まだ仮設のプレハブにお住まいの方が大勢いらっしゃいます。大変な御苦労をおかけしているという思いを、改めて強く感じたところです。そういう方々に心からお見舞いを申し上げたいと思っています。
 復興に関して、5年間の集中復興期間が終わります。被災した地域の復旧・復興に政府を挙げて取り組んできたわけですが、この4月からは、今度は一歩先の復興・創生期間が始まる。そういう中で、東北の復興なくして日本の再生はないと改めて心に誓って、経済のパイを拡大していく政策を打ち出していかなければならないと思っています。
 今日の閣議で復興の基本計画が閣議決定いたしましたが、総理がいつもおっしゃっていますけれども、各大臣は全員が復興大臣だという思いを持って取り組めと。そういう中で経済再生を、いろいろな施策をこれから年央の骨太方針の中に盛り込んで、頑張っていかなければならないと改めて感じています。
(問)昨日、経団連の榊原会長との会談の中で、会長の方から、消費のブラックフライデーの話も出ました。観光なども含めて幾つかの分野で10兆円ずつ投資に取り組みをしていくというお話がありましたが、会長や経団連の方から、もう少し細かく具体的に、こういうことに取り組みたいという話が、政府と進んでいるのか。あるいは、政府として、経団連や経済界と、その点について協力して、既に取組の検討が始まっているのか。あるいは、これからやっていくのか。その辺りについて、改めてよろしくお願いいたします。
(答)昨日の経団連との会合で、榊原会長より冒頭、政府が掲げる600兆円経済の実現に向けて、10兆円規模で幾つかのプロジェクトを立ち上げて推進したらどうかという提案がありました。
 政府はこれまで、昨年11月の対策として、生産性の向上や投資の促進。さらに昨日の会合でも、私の方からは3巡目の賃上げの話をしました。また、最低賃金についても、15円、16円、18円とこれまでよりもかなり踏み込んだ形で、最低賃金を上げています。更に、加重平均で3%ずつ上げて1,000円を目指すということが今の安倍内閣の取組です。それによって弱含みの消費を喚起していく。さらには、新・三本の矢の2番目、3番目に関係するのですが、女性や高齢者や障害を持った方々が活躍の場をしっかり持っていける体制を作っていく。ローカルアベノミクスとして、観光や地域の付加価値を高める。こういうことが決めてあるわけです。施策の議論は、これから一億総活躍、あるいは様々なところで出てくると思います。
 経団連からは、昨日は数字の御披露しかなかったので、新たな提案があれば、それも受け止めて、経済のパイを拡大していくことに取り組んでいきたいと思います。
 ブラックフライデーについてですが、アメリカではサンクスギビングの前に大バーゲンをやります。
 私は、去年、ニューヨークで見てきました。ISがニューヨークをターゲットにテロを起こすのではと言われていたときで、行くのはやめた方がいいのではないかと言われたのですが、行こうと思って見てきました。昨年のCOP21が開かれたときのパリはしーんとしていたという話を聞きましたが、ニューヨークは全然違いました。タイムズスクエアなど、人が集まるところへ行くと、NYPD(ニューヨーク市警)のパトカーがワンブロックに三、四台とまっているようなものものしい警戒ぶりでしたが、観光客の方々が買物している。
 印象に残ったのは、ティファニーの中をのぞいたら、地方から来ている親子が、そんな高いものではないものもティファニーにはあるようで、女の子がそんなものをおじいちゃんやおばあちゃんに買ってもらったり、あげたりしていました。あるいは、氷のディスプレーを作っているところがありました。話を聞いたら、この人は日本人で有名な方だと言うことで、雪まつりなどで見られる様な氷像のミニチュア版を、ショーウインドーの中で作っていました。
 こんな体験から見ても、かなり消費は旺盛だと感じました。
 経済財政諮問会議で民間議員から、日本でも観光客が増える時期、特に商業活動が悪くなる2月や、あるいは、8月の後のシルバウイークに全国規模で、消費拡大を図るイベントをやってはどうかという提言がありました。
 昨日はもっと具体的に榊原会長から、アメリカのブラックフライデーのような一斉セールを、プロジェクトの一つとして実施してはどうかと、かなり踏み込んだ御発言があったわけです。
 なるほどなと思いました。先日はバレンタインデーでしたが、日本の場合はバレンタインデーのときに売れるチョコレートが、全体の何割かを占めているという話も聞きました。そんな例からも分かるように、そういうイベントは有力な取組ではないかと私も思っていますし、政府としても、消費を喚起する上でサポートしていきたいと考えています。
 そのほか、これからいろいろな提言が、年央の骨太の決定の前に出てくると思いますので、しっかりと受け止めていきたいと思っています。
(問)先ほど、財務省と内閣府が発表した法人企業景気予測調査が出まして、大企業全産業の景況判断指数がマイナス3.2ということで、3四半期ぶりにマイナスになったそうです。この後、経済指標はたくさん出る予定で、4月1日には日銀短観も公表されますが、足元、やはり景況感が、少し先行きに対して企業の見通しが悲観的になってきている模様ですけれども、これについて、大臣はどうお考えでしょうか。
(答)統計はたくさんあり、いろいろな調査の信憑性みたいなものがあると思います。皆さんからも調査によって違うではないかと、よく御質問を受けます。今、そういうものの整理を事務方に指示しています。
 法人企業景気予測調査は、3四半期ぶりにマイナス3.2になりました。ある意味ではDIに似ていて、企業の良い・悪いという判断から出ている数字だと思います。4~6月期は今よりも若干よくなってマイナス2.2、7~9月期についてはプラスというふうになっています。
 景況感が、企業サイドも悪くなっている原因を考えると、2月の株価の変動は、かなり乱高下があったと思います。ほかにも、為替もありましたそういう世界的規模での混乱が企業サイドのマインドに影響しているのではないかと思います。
 その一方で、27年度の設備投資については7.5%から8.8%への上方修正が続いている。ですから、企業収益が高いからこそ、また金利が低いからこそ、企業のマインドとしては、機会があれば投資をしようということだと思います。こういういい材料もあります。
 日本のGDPは、個人消費と設備投資で7割いく。賃金を上げていただき、あるいは設備投資をしていただく。好循環を更によく回していく上で大切なことは賃上げと設備投資だと、改めて感じているところです。

(以上)