石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年2月25日

(平成28年2月25日(木) 17:58~18:12  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要について、御説明させていただきます。景気の現状についての総括判断は、「このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」として、先月から据え置いています。
 個人消費や設備投資には力強さが欠けるものの、他方で、企業収益や雇用・所得環境には引き続き改善がみられており、景気の基調について、緩やかな回復基調が続いているとの認識に変わりはありません。
 先行きについては、雇用・所得環境の改善が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待されています。ただし、海外経済で弱さがみられており、中国を始めとするアジア新興国や資源国等の景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがあるということです。こうしたなかで、海外経済の不確実性の高まりや金融資本市場の変動の影響に留意する必要があります。
 政策の基本的態度につきましては、先月からの変更点として、「平成28年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」、「産業競争力の強化に関する実行計画」が閣議決定されたこと、さらに、日本銀行が「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を決定したこと、を踏まえた記述に変更をしています。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今回、基調判断据置きということですけれども、先行きについて、従来の「金融資本市場の変動の影響」という留意点に加えて、「海外経済の不確実性の高まり」というのを加えられていますが、これはやはり先行きについて不透明感が強まっている、従来よりも先行きを慎重に見ていく必要があると、そういう判断に至ったと、そういう理解でよろしいでしょうか。
(答)日本経済のファンダメンタルズは、良好だと思いますし、今回の月例経済報告の判断でも良好であるということを言っています。景気の先行きについては、雇用や所得の環境は改善していますし、そういう中で政策も打っているわけです。そういうこともありますので、先行きについても緩やかな回復に向かうことが期待されていることには、変わりはありません。
 ただし、アメリカには、一部に弱さが見られる。そういう中で、中国あるいは資源国の景気の下ぶれが、グローバル経済の中で、我が国の景気を下押しする、マイナスに作用する、そういうリスクが考えられるということを、今回の月例経済報告では記述させていただいています。海外経済に対する不確実性の高まりが意識されて、世界的にリスク回避の動きが、金融市場で見られる。すなわち、株式マーケットから為替、特にファンダメンタルズがいい日本の円に資金が流れる。あるいは、国債に流れる。こういうことが続く場合、当然それは実体経済にも影響を及ぼしかねないので、留意していかなければならないと思います。
 今日の上海市場などを見ても、変動が大きい。6%ぐらい動いている。市場の動きを、緊張感を持って見ていくということは、今年の年初来、変わっていないと思います。
(問)今回の月例経済報告では、全項目で判断を据え置いているわけですが、これを素直に解釈すれば、現時点では景気対策を考えるという状況にはないと考えられると思うのですけれども、今回の月例経済報告の判断を踏まえて、経済対策の必要性について、どうお考えなのかお聞かせください。
(答)先ほども答えたように、日本のファンダメンタルズは、個々の指標を拾っても、悪くないと思います。そうしますと、我々はまず何をしなければならないのか。それは、27年度補正予算の迅速かつ的確な実施です。それによって地方にお金が流れていくわけです。そして、今御審議をいただいている、28年度予算と関連法案の一日も早い成立をお願いしたい。週末にG20がありますし、5月には安倍総理の議長の下、サミットが行われるわけですから、G7諸国等々と国際連携を深めながら、政府のやるべきことは日銀と一体となって、デフレ状態ではありませんけれども、デフレ脱却まではまだ来ていないわけですから、デフレ脱却を目指して、経済再生にむけての様々な取組を更に前進させていくことだと思います。
(問)今回の月例経済報告で、世界経済について判断を半年ぶりに引き下げました。こういったことを踏まえて、G20が開かれますけれども、どういった成果を期待されるのか。
 また、シャープの支援について、鴻海が決まったのですが、これの受け止めをお願いします。
(答)G20には財務大臣と黒田総裁が行かれるわけですが、株式マーケット、金融市場でリスクオフの動きが広がっているということについて、世界各国、G20の関係者にはしっかり議論をしていただくことになるのではないかと思います。どういう対応ができるのか、できないのか、そういう検討をすることになるのではないでしょうか。
 例えば、今回のG20では中国が議長国です。だから自国の問題については何も言わないのではないかという話もありますが、世界の受け止めはやはり過剰設備と過剰融資、逆を返せば過剰債務の問題。それと昨年の米国の利上げ、先ほど月例経済報告の海外要因でアメリカに触れさせていただきましたように、機械等々の生産、南米等々への輸出が減っているということは事実だと思います。そういうアメリカ経済とアメリカの利上げの問題。もう一つ挙げるならば原油安。これはプラスとマイナス両方あって、我が国にとっては国富の流出を抑制するという面で非常にプラスなことで、物流の業界の方々などは、非常に有り難いというお話をされています。こういうことが議論されるのではないでしょうか。これが1番目の質問でした。
 2番目の質問は、所管外ではありますが、シャープの取締役会が、鴻海からの出資の受入れを決議されたと承知しています。産業革新機構もシャープの要請に応える形でいろいろな支援案の提案をしていたわけですが、シャープが、様々な角度から御検討され、鴻海側の提案の受入れを今日決められたということだと思います。
 経済財政政策担当として、何が重要かというと、やはり雇用です。工場などの立地も地域経済に非常に影響を及ぼします。引き続いて、シャープという企業によって雇用と地域経済が維持される部分というのはあると思いますので、それをしっかり見守っていきたいですし、シャープの決断によって、シャープという企業が更に成長することを期待しているというのが率直な印象です。
(問)今回の月例経済報告は、全項目据置きですけれども、GDPなどいろいろな統計を見ると、割と弱さも目立っていたかと思うのですけれども、据え置かれた理由をお願いします。
(答)2015年度の企業収益は、最終的なものはまだ出ていませんけれども、引き続いて高い水準にあるという輪郭が明らかになってきたと思います。それと、雇用と所得の環境が、有効求人倍率を見ても、四半世紀ぶりの高水準で、働きたいという人は仕事を選んで働くことができる。10-12月期の実質雇用者報酬は、これも小さいですけれども、前期比でプラス0.2%、前年同月比で1.8%のプラスと、明らかに企業収益と雇用・所得環境の改善というのは続いていると見ていいのではないでしょうか。
 そうしますと、基本的な景気の判断は、緩やかだけれども回復基調にあると据え置かれた。アナリストとエコノミストが分析して据え置いたということだと思います。
 一方、今御質問にあったように、消費など、弱い部分があるのではないかと。それはあると思います。個人消費は10-12月期のQEでも出ていましたけれども、マイナスになっています。これは間違いなく弱い動きで、理由はいろいろあると思います。暖冬の影響はあったと思います。そんな中で、消費者マインドのDIを見ると、良いから悪いを引いたマインドは、暮らし向きの改善を背景にして、さほど悪くない。QEでもお示しさせていただきましたけれども、設備投資の改善テンポは思っていたよりはゆっくりですけれども、小幅ながら2期連続プラスになっています。経団連の会長も2018年度には10兆円伸ばすというような話もされている。そうしますと、日本の企業から見た経済のファンダメンタルズは大きく変わっていない。緩やかな回復基調にあるというのは、実感としてもあるのではないかと思いますし、それを数値からエコノミストが分析して、本日の月例経済報告になっていると御理解いただければと思います。

(以上)