石原内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年2月2日

(平成28年2月2日(火) 10:01~10:15  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 本日の閣議で、皆様方御承知のとおり、TPP協定について、ニュージーランドで署名式が行われますが、これに署名することを閣議決定させていただきました。
 正式に協定署名者として、高鳥副大臣を政府代表として、今夕、ニュージーランドに派遣させていただこうと考えております。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)足元の経済情勢について、1点質問をお願いします。
 先週末の日銀のマイナス金利導入を受けて、長期金利が過去最低水準まで下がっていますけれども、改めて、その日銀の今回の決定をどう評価されるか。
 それから、足元のこれまで、これだけ金利が下がった状況をどう御覧になっていて、プラスマイナスいろいろな影響があるかと思いますけれども、どのようにその影響を御覧になっていて、今後どのようなことを期待されるか、伺えますでしょうか。
(答)金融政策というのは日銀が責任を持って判断されることですので、大臣として特段、どうである、こうであると言うことは避けたいのですが、日銀の物価目標に対する重大な決意と私は受け止めています。
 今、御質問の中にありましたように、長期金利は非常に下がっています。ただ、マイナス金利導入は先週決定されたばかりですので、その影響はもう少し見守っていく必要があるのでないかと思っています。
 長期金利が下がると、市中の金利、もちろん預託する金利も下がってしまいますが、金利が低くなれば、設備投資を行いたい、新たに住宅を購入したい、こういう方にはプラスになります。日銀には2%の物価目標の実現に向けて、引き続いてしっかりと取り組んでいただきたいと思います。
 あわせて、その政策の意図について、黒田総裁がお話しになっていますが、引き続いて多くの方々に、いろいろな場で説明を行っていただくことが肝要なのではないでしょうか。
(問)先ほど、TPPの署名式に高鳥副大臣がニュージーランドに行かれるという御発言がありましたけれども、今回、石原大臣体制になって初めてのTPP閣僚会合ということでもあるわけですけれども、今回、高鳥副大臣に対して、何か特別な指示や声かけのようなものはされましたでしょうか。
(答)突然の甘利前大臣の辞任ということを受けまして、本来であるならば、これまでTPP交渉というのは、2年数カ月にもわたりまして、甘利前大臣が積み重ねてきたわけで、登山でいうならば8合目、9合目まで来ているわけですから、署名式という頂上に上るところは甘利前大臣に行っていただきたかったということが本当の気持ちですけれども、そんなせんないことを言ってもしようがありませんので、担当副大臣である高鳥副大臣に行っていただきまして、しっかりと日本国を代表して署名してきていただきたいと思います。
 この件については高鳥副大臣と30分間ぐらい大臣室でお話をさせていただきました。なかなか政府代表で署名する機会はありません。本人もすごく気合いが入っておりましたので、しっかりとやってきていただきたい、こんな話をさせていただきました。
(問)金利が安くなることによって、住宅を購入したい方、若しくは設備投資を増やすような動きにつながることを期待していると思うのですけれども、一方で、例えば地方銀行は非常に運用が厳しくなったりとか、それから、生命保険会社なども金利が安くなることによって、かなり運用は厳しくなる。ある意味、金融機関の経営をかなり圧迫する部分があります。
 もちろん、金融機関にもっと仕事をしろということでもあると思うのですが、その辺の副作用について、どういうふうに見ていらっしゃるのかということを、教えて下さい。
(答)これは、先ほどの質問でお答えさせていただいたのですが、金曜日に重大な政策決定を行われたばかりで、もう少し長い目で見る必要があると思います。
 私の知り合いの2人の地銀の頭取にお話を聞いたとき、ご指摘のようなことが予想されると話しておられました。
 しかし、今回の措置はこれまで預けている全部の部分に遡及して、マイナス金利を適用するわけではありません。これからの部分ですので、そこのところは、様子を見るというのがお二人の頭取の方のお話でした。先ほどと同じになるのですが、もう少し見守っていくということが肝要なのではないでしょうか。
(問)銀行の中では預金の金利を引き下げるというような動きも早くも出てきておりまして、一般の方にとって、その住宅の借入れがプラスというのは分かるのですが、少々不安といいますか、景気がよくなると聞いていたけれども、自分の生活どうなるのだろうと思っているような声もあるようなのですが、そのあたりの銀行の、その預金を引き下げるというような動きも含めて、一般の方にとって、このマイナス金利というのをどう捉えたらいいかとお考えでしょうか
(答)今の質問は、フローで入ってくるものが限定されている方、例えば年金受給者の方など、そういう方を念頭の御質問だと思います。もし悪影響が出たら、そういう方々が、不安を抱かないような、社会保障面での対策などが必要かもしれませんが、先ほども言いましたように金曜日の話ですから、やはり基本は政策効果を見守るということが、今の段階で肝要なのではないでしょうか。
(問)本日、本会議で所信の表明になりますけれども、詳しくは内容を聞かせていただきますが、現時点でその大臣のカラーといいますか、こういうところを強調していきたいというような、気合いみたいなものがありましたらお聞かせいただきたいと思います。
(答)就任後の会見でお話をさせていただいたのですが、私がこの1年数カ月、中小企業・小規模事業者政策調査会長として町を歩いた雰囲気は、一昨年の年末の選挙のときに、全国を歩いた雰囲気とは明らかに変わってきたと思います。
 正直申しまして、一昨年の選挙のときは、農村部や過疎地域に行くと、「アベノミクスの話はしないでくれと」、そう言われる時がありました。しかし去年から、地方でも、あるいは中小都市でも、また、中小企業でも、「いい風が吹いてきたね」こういう声を生に、多業種にわたって聞くことができるようになった。
 アベノミクスを完遂していく。デフレの脱却に向けてですね。
 経済が、パイが大きくならない限り、分配することはできません。子供さんが少ない、高齢者の方が多い。子供さんを生み育ててくださる方々にもしっかりとした手当てを、また、介護にしてもしっかりとしたサポートをしていくためには、アベノミクスを完遂して、経済を再生する。本日は、このトーンで発言をさせていただきたいと思っています。
 それと、所信ではなくて、これはあくまで、発言をさせていただく今、お話をさせていただいたようなことをもう少し整理してお話をさせていただく、そういう場になると聞いています。
(問)株式市場について、御所見を伺いたいのですけれども、先週以降、若干落ち着いてはおりますが、マイナス金利の影響で郵政株などが暴落しておりまして、これはアベノミクス的にも象徴的な銘柄だと思うのですが、もし御所見が、可能であればお願いします。
 あと、企業決算で、下方修正が相次いでおりまして、若干この3年間のアベノミクスも企業業績的には少し曲がり角との懸念もあると思うのですが、御所見をお願いいたします。
(答)2点の御質問をいただいたと思うのですが、1点目のマーケットがどうであるということは、大臣として、コメントすべきことではないと思います。一般論ですが、今御指摘のとおり、1月4日以来、相場が乱高下してきた。企業経営者の方々に、この春闘で、大企業も中小企業も含めて、しっかりと賃金を上げていただくには、株式というものは安定して推移していくということが望ましいというのは、どなたも思っていると思います。しっかりとこの点については注視しています。見守っております。
 2番目の御質問は、去年の最終クォーターである10月~12月の決算について、ぼつぼつこれがどうであるという話が出ていますので、そのことを念頭にお話しになっていると思います。3月になりましたら、全て出そろったところで、私なりに分析してお話しさせていただく機会もあるかと思います。季節要因と原油安という外的な要因、さらには他国の経済ということで言うならば、中国の減速が顕在化しているという話。原油価格が低下するということは、我が国にとっては国富が外に出ていかないということですので、私はプラスだと思います。他方、産油国サイドにとっては、資金が過少になりますから、オイルマネーが新興国等に出ていかないという負の面もあると。
 こういう中で、景気というのは息をして、波を打っています。各種の指標が出そろったところで、また10月~12月期のQEも出ますので、そのときしっかりと分析をさせて、お話をさせていただければと思っています。

(以上)