河野内閣府特命担当大臣閣議後記者会見要旨 平成28年7月15日

(平成28年7月15日(金) 10:27~10:52  於:中央合同庁舎第8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨


 おはようございます。
 熊本地震発災から3か月を迎えました。改めて、お亡くなりになった方の御冥福をお祈りするとともに、被災されている皆様にお見舞いを申し上げたいと思います。
 最大で避難者は約18万人おりましたが、現在約4,700人と、まだ4,000人を超える方が避難所での生活を余儀なくされている状況でございます。公営住宅や借り上げ型の仮設住宅、あるいは建設型仮設住宅に入居を始めていただいておりますが、引き続き住まいの確保に全力を尽くしてまいりたいと思っております。
 罹災(りさい)証明につきましては、1次調査についてはおおむね完了しております。2次調査に移行した分については、丁寧に説明をさせていただきながら実施をしておりますので、多少時間はかかるかと思いますが、計画的に調査を進めていきたいと思っております。
 自治体からの応援職員の派遣についても、引き続きしっかり行ってまいりたいと思っております。
 予備費に計上いたしました7,000億円のうち現在までに約1,823億円の使途を閣議決定したところでございます。産業の支援ですとか施設の復旧、熊本城の復旧を含む文化財の補修その他、しっかり用意ができたところからやってまいりたいと思っております。
 また、初期の対応がどうだったかという検討チームが官房長官の下で動いております。近日中に取りまとめが公表されると伺っておりますが、それを頂いて、今度は防災の方でしっかり検討をした上で、防災基本計画の変更を必要ならば行ってまいりたいと思います。
 「できることはすべてやる」という総理の方針の下、熊本県や市町村としっかり意見交換をしながら復旧・復興に全力を挙げていきたいと思っております。
 もう一つは、消費者でございますが、今年の4月に電力の小売自由化がスタートいたしました。ところが、東京電力パワーグリッド株式会社が小売電気事業者へ電気の使用量の通知ができない、遅れたり、誤った使用量データを送ったり、様々なトラブルが発生しております。小売電気事業者が消費者に電気料金を請求できなくなるなど多大なる影響が出ております。このような事態はあってはならないことでありますが、この東京電力パワーグリッド株式会社の対応については、誠実に最大限対応しているとはとても思われず、消費者への影響が出始めております。
 今回の電力の小売自由化の基本は、電気の使用量に基づいた適切な料金請求が行われるというのが大前提でスタートしておりまして、今の状況では、例えば、省エネに取り組んでいる家庭の省エネへの意欲を著しく損ないかねないということになっておりますし、料金請求もとても小売電気事業者、あるいはその先の消費者が納得できるような対応とはとても言えないわけでございまして、電力・ガス取引監視等委員会が6月17日に業務改善勧告を行っておりますが、依然としてその業務が改善されているというふうには見えません。監督官庁である経済産業省に消費者庁から厳正な指導及び処置をするように申入れをしなければならないと思っているところでございます。せっかくの電力小売自由化に水を差す、極めてゆゆしき事態が起きていると認識をしております。
 その次が、国家公務員の「ゆう活」の実施状況につきまして、7月6日に第1回目のフォローアップをやらせていただきました。
 本府省等内部部局の職員4万5,000人のうち、5割強の2万4,000人が終業時刻を17時15分以前に設定をし、17時15分までに帰ると設定したうちの8割弱がその時間までに退庁しております。4万5,000人のうち9割弱が20時の消灯時間までに退庁をしております。
 昨年の1回目のフォローアップと比べますと、昨年は国会開会中でしたから正確な比較にはなりませんが、「ゆう活をやります」と言って、その時間までに帰った人の割合が12%アップ、20時までの退庁の割合は昨年同様ということでございます。
 私自身も、警察、消費者、防災、国家公務員制度、規制改革その他、私の担当する部局を2回ほど見回りさせていただきました。1回目は、20時の消灯時間に帰っているかどうか、2回目は、17時15分の前にどれだけ「ゆう活」をしているかというのを見させていただきました。また、ほかの役所の状況も見なくてはいけないということで、財務省から視察をスタートさせましたが、かなり頑張ってくれているというふうには思っております。ただ、水曜日は元々定時退庁日でしたので、ほかの曜日もやっていただきたいと思いますし、フレックスタイムを使い始めて、その分いろいろなところへ積んで早く帰ろうというようなこともやっている職員もおりますので、しっかりフォローアップをしていきたいと思っております。
 あと2件でございますが、もう一つは、お手元にお配りをしましたが、国立公文書館で、明日から8月27日の土曜日まで、企画展「ようこそ地獄 たのしい地獄」というのを開催いたします。
 何となく「たのしい地獄」というと、イメージが合わないような気がいたしますが、昔から地獄に対して日本人が抱いていたイメージというのを、平安とか室町時代の書物を通じて紹介をしていこうというものでございます。中には、「源氏物語」を書いた紫式部は人を惑わせたということで地獄に行ったのだそうでございまして、そういうことも出ているようでございます。
 夏休みなので、お子様にも来ていただきたいと思いまして、お子様は古文書を見ているだけではつまらないと思いますので、地獄を題材にした大きなトリックアートを用意したり、子供用の説明を加えたり、親子で楽しめるように頑張ってやっていただいております。
 私も、今日の報道機関向けの内覧会に行きたいと思っておりますので、是非皆様も足を一緒にお運びをいただけたらと思います。
 また、期間中、8月8日から8月15日にかけて、「終戦の詔書」の原本の展示を行います。日本国憲法の展示は非常に多くの方に足を運んでいただきましたので、今度の「終戦の詔書」も、是非原本を見ていただきたいと思っております。
 最後ですが、7月19日から27日まで、シンガポール、マレーシア、サウジアラビア、ヨルダンに出張をいたします。
 シンガポールでは、「RSAカンファレンスアジア太平洋&日本」に出席をし、シンガポール内務省等主催のサイバー犯罪に関するフォーラムにおきまして、サイバーセキュリティに係る日本警察の取組について発表し、サイバー犯罪関係者と意見交換をしてまいりたいと思っております。
 マレーシア、サウジアラビア、ヨルダンにつきましては、治安関係の閣僚その他と会談をしてテロ対策、それから国際組織犯罪対策について組織間の連携の強化に努めてまいりたいと思っております。
 私からは以上でございます。

2.質疑応答

(問)共同通信の奥田です。
 改めまして、熊本地震3か月を迎えましたが、インフラの復旧ですとか住居の確保、それから文化財復旧等、様々な課題がありますけれども、現時点でまず最重要課題といいましょうか、最も重点を置くべき課題はどれだとお考えでしょうか。あと、具体的には自治体への取組の支援になるかとは思うのですけれども、具体的にどのように自治体を支援されていくお考えなのか、併せて聞かせてください。
(答)まだ4,000人を超える方が避難所にいらっしゃいますので、この住まいの確保というのが一義的には一番大事になってくると思っております。
 建設仮設につきましても着々と進んではおります。公営住宅は既に1,800戸が入居決定をし、民間賃貸住宅については5,000戸が確保されております。建設仮設も3,600戸の建設に着手し、既に1,400戸は完成をしておりますので、残り2,200戸も8月末までには完成の見込みとなっております。そこが一つのめどになるかなというふうには思っております。住まいの確保をしっかりやってまいりたいと思います。
 それから、2次調査につきましても、応援の要請が来ておりますので、そこはしっかり対応をしてまいりたいと思っております。益城町に60名、熊本市に99名、全部で293名の自治体職員に応援にまだ入っていただいております。
 益城町も、7月末までに2次調査を終える予定というふうに伺っておりますので、要望の人数を、総務省その他を通じて、しっかり応援に入っていただけるようにお願いをしてまいりたいと思っております。
 道路その他のインフラにつきましては、国交省に非常に頑張っていただいておりまして、阿蘇大橋のところも、法面の補強その他をしっかり今頑張っていただいております。阿蘇大橋を、あの場所にはなかなか架け替えはできないということですので、違った場所で橋を架けるということになるかと思いますが、今、国交省に対してはおおよそのめどを出してほしいというお願いをしています。これは、もちろん様々状況が変化をすれば前後するかと思いますが、大体いつまでに何を復旧するぞというめどを立てたい。それに応じて観光産業ですとかいろいろなところが準備をしてくれると思いますので、国交省については何とか、大雑把で結構ですから、めどを出してくださいということで、今頑張ってもらっているところでございます。
 財政のところにつきましては7,000億円ございますので、これは各自治体にしっかり話をして、心配をせずに必要なところはどんどんやってくださいということでお話を申し上げておりますので、そのフォローはきっちりやらせていただきたいと思います。
(問)朝日新聞の毛利です。
 3点お伺いしたいのですが、最初は、冒頭にあった東京電力の関係なのですが、かなり強い口調でおっしゃっていたのですが、消費者庁としてどこまで踏み込んで対応できるのかというところをお伺いしたいのと、最たるは多分勧告までするのかどうかということを一つと、あともう一点が、徳島の試験移転について。
 先日、視察も行きましたけれども、まだ2週間近くですが、今のところの手応えをお伺いしたいのと、あと、今回、行政処分の業務についてはやらないという予定である、また国会対応の業務もやらないということなのですが、これらの業務は消費者団体などが反対している中で、それらの業務が一番支障が出るのではないかと言われている業務なのですけれども、それを試行しないとすると、余り反対派が納得するような結果が出ないような気がするのですけれども、そこら辺の考えをお聞かせいただきたいのと、全く話題が変わるのですが、不動産のおとり広告についてお伺いしたいのですが、3月の国会でも議論になったと思うのですが、ネットを中心に後を絶たないということで、消費者庁の方が業界に取締りを要請したと思うのですが、改めて大臣に、おとり広告についての現状の認識と今後の対応策と、もし消費者がだまされているような現状が後を絶たないとするならば、注意喚起した方がいいような気がするのですが、そこら辺のお考えをお聞かせください。
(答)おとり広告については、もう大分前ですけれども、協議会に調査をしていただいて、それなりの件数があるということでしたので、そこはしっかり対応してもらいたいと思っております。大きな被害がある、あるいはそうした問題が後を絶たなければ、更に踏み込んでアクションを取らなければいけないかなとは思っておりますが、まずは協議会の方にしっかり対応してもらいたいと思っております。
 消費者庁の移転につきましては、今テストを進めているところなので、これはまだ何とも言えませんが、国会対応は国会をやっていない時期ですからテストのしようがないということで、順次、様々な課題をピックアップしようということで、いろいろな課題が今出てきていますので、これをどういうふうにつぶしていくか。
 昨日、徳島の県知事がお見えになりましたので、防災の話がメインだったのですが、ちょっとお時間を頂いて、今現在把握できている課題について少しお話をさせていただきました。徳島県側で対応できるもの、少し中長期的な対応が必要になるもの、いろいろあると思いますので、まず徳島県側に見ていただいているところでございます。テストはしっかりやっていこうと思っております。
 東電。これは、電力の小売自由化が4月からスタートするというのは分かっていた話でございまして、そのスマートメーターの設置がきちんと計画どおりにできていれば、恐らくこんな事態にはならなかったのだろうと思っております。本来、スマートメーターでデータを取るべきところを、間に合わないので、アナログの手入力か何かでコンピュータの容量がオーバーフローしたことに端を発するというふうに伺っておりますので、これはもう弁解の余地がないだろうと思っております。
 きちんと人と金をかけて対応すべきというふうに私は思いますが、どうもその対応すべきところが非常に手ぬるくて、問題解決が早期に行われているかというと、本来もっと人、金をかけてやるべきものがなされていないと思っておりますので、消費者庁としては、まず経産省に、こんなことでは消費者に影響が出ますということは申し上げております。経産省が対応しないならば、更に強く勧告その他をやっていかなければいけないのかなと思っているところでございます。今、消費者委員会の方で託送料金の議論もされております。小売りの自由化がスタートしましたので、一つは、このとんでもない問題、それから託送料金の設定が適正かどうかという話、それから電源の開示ということを、これは本来やらなければいけないところがなされていないというふうに我々は認識をしておりますので、きちんと消費者に情報提供がなされるように強く申入れはしていきたいと思っております。
(問)NHKの西井と申します。
 「ゆう活」についてお伺いしますけれども、今回、「ゆう活」の実施者は去年よりも増えたという一方で、20時までの退庁割合が横ばいで、まだ計算すると5,000人以上の方が20時を超えて働いていたということになりますけれども、8月末までまだ時間がありますが、具体的に今後の呼び掛けとか取組強化みたいなものがあれば、フレックスの話も先ほどありましたが、お伺いしたいのですが。
(答)業務によっては、国際関係の部門とか、なかなか20時までに帰ってよと言っても帰れない部門というのがあるので、駄目なところはしようがないというところはあると思います。ただ、そうでないところで残っているところについては、閣議後の閣僚懇の中でも、それぞれの大臣に見回りをしてくださいというお願いをしてございます。それから、私自身も、麻生大臣の了解を頂いて財務省をぐるっと回らせていただきましたので、夜、窓を見ていて電気がこうこうとついているなというところは見に行こうと思っておりますので、早く帰れというプレッシャーをかけるのも大事ですが、やはりせっかくのこういうチャンスで、また国会が始まると、今度は国会と霞が関の関係も、働き方改革で少しいろいろ申し上げるところは申し上げていかなければならないというふうには思ってはおりますが、とにかくこの7月、8月は、8月の臨時国会を除けば国会がないわけで、国会対応を理由にはできないと思いますので、業務の改善、改革をやっていただいて、20時にはぴたっと帰る。中には、エアコンが止まってしまって、暑くてやってられないというようなところもありますので、体調管理上も、やはりさっとやって、さっと帰るというのが大事だと思いますので、残っているのが偉いのではなくて、残っているのは能力がなくて仕事が終わらないから残らされているというふうに意識を変えていかないといけないというふうに思いますので、そこはしっかりやっていきたいと思います。
(問)関連なのですけれど、今回の定時退庁が77%で、前年に比べて10ポイント以上上がっているのですが、改めて、この上がっている要因の分析があれば教えてくださいというのと、1か月以上期間が残っているのですが、今後、見回りも含めて、大臣自身としてはどういう取組をやっていきたいのかというのがあれば教えてください。
(答)昨年は国会をやっていましたので、なかなか17時15分に帰りますといっても、国会待機かかったりということはいろいろあったんだろうというふうに思っておりますので、余り前の年と比較してもどうなのかなと、正直、私自身も思っております。20時の退庁は、去年と数字が余り1回目のフォローアップは変わっていませんでしたので、そこはもうちょっと頑張ってほしいなと思っております。
 役所によっては、水曜日は(早く)帰ろうみたいなことを言っているところもあって、それはそれでいいのですが、それにこだわらず、早く帰れるなら、月曜日から金曜日まで早く帰ってもらいたいと思いますし、ただ早く帰るだけではなくて、やはり業務のやり方を見直す。中には、資料を作ってから課長へ見せて、これでは駄目だというのを、先に課長と打ち合わせをするようにしましたみたいな、それはそうだろうと。だから、働き方を改善してくれというのが大事なのかなと。
 それから、行革の方で承っている、例えば旅費の問題なんかも、近々まとめて公表させていただこうと思っておりますが、やはり業務改善をまずしないと、というところはありますので、それは業務改善ができるように、ルールがおかしいものはルールを直すということを我々もしっかりやらせていただきたいと思っていますので、言われたから20時に帰るとか、「ゆう活」だから20時に帰るではなくて、無駄な業務はどんどんやめていこう、あるいは効率的ではないもの、不合理なものは合理的、効率的なものに変えていこうということをしっかりやらせていただきたいと思っておりますので、「ゆう活」でなくても早く帰れるような霞が関を目指していきたいと思っています。
(問)最後に別件なのですけれど、天皇陛下が生前退位の御意向を示されたという報道が各紙で出ているのですけれども、この受け止めを大臣があれば教えてください。
(答)政府としては、官房長官のところで宮内庁を所管されていますので、私から特に申し上げるということはございません。宮内庁とは施設の開放でいろいろ今議論をさせていただいておりますので、私の担当しているところはしっかりやってまいりたいと思っておりますが、これは陛下に関するところでございますので、私が何か申し上げるのはおこがましいと思いますので、そこは差し控えたいと思います。

(以上)