河野内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年12月15日

(平成27年12月15日(火) 11:03~11:24  於:中央合同庁舎第8号館5階共用会議室B)

1.発言要旨


 おはようございます。私のほうから、2件でございます。
 1つは、本日、行政機関職員定員令の一部を改正する政令を閣議決定いたしました。これは27年度、今年度の定員を緊急増員する内容でございます。
 我が国を訪れる外国人旅行者が急増しておりまして、11月9日に開催された「明日の日本を支える観光ビジョン構想会議」において、官房長官から、訪日外国人旅行者の急増に対し、空港や港の対応が後手に回ることがないように対応していきたいという御発言もありました。また、官房長官から、関係機関に対して体制の整備という御指示がありました。また、パリでの連続テロ事件などもあり、水際の取締りの必要性というのもましてきたところでございます。
 こうしたことを踏まえて、厳格な水際対策を講じつつ、一方、空港や港における迅速円滑な入国審査、通関を確保するため、緊急に所要の体制整備を行うこととし、本日、法務省の地方入国管理局に57人、財務省、税関に51人を緊急増員することを内容とする、行政機関職員定員令の一部改正を閣議決定をいたしました。必要な職員の確保を、同時に、空港での待ち時間の短縮などが図られるというふうに期待をしております。
 もう一つは、防災でございまして、防災4.0未来構想プロジェクトというものを開催をいたします。これは来週木曜日、24日に第1回目の防災4.0未来構想プロジェクトを開催をいたします。
 これは、COP21でパリで気候変動について新たな枠組が採択をされましたが、気候変動に伴い、極端な雨の降り方が増えるとか、自然災害の激甚化がかなり顕著になってきております。もちろん、気候変動を食い止めるというのが最優先であることはもちろんのことでございますが、気候変動がもたらす災害の激甚化に備えるために、どんなことに取り組まなければいけないのか。国や都道府県、市町村だけでなく、企業を含め、国民の皆さんにも、あらゆる目線で必要な対策について議論をしてもらう必要があると思っております。
 御手元に名簿はお配りをしておりますが、幅広い分野の第一人者にお集まりをいただいて、防災・減災に関して国民の皆さん一人一人に、どう災害のリスクに向き合っていただくかということを考えていただきたいというふうに思っております。
 気候変動に関する科学的知見を踏まえつつ、ハードウェア、ソフトウェアだけでなく、社会的な仕組みの変更にも踏み込んでいきたいというふうに思っております。
 イメージ的には、昔ありましたローマクラブ・レポートみたいなですね、問題を提起することによってさまざまな対応が行われるというようなことになればいいかなというふうに思っております。
 月1回程度、有識者にお集まりをいただいて議論をし、提言のようなものを公表できたらいいなというふうに思っております。
 以上、私からは2点でございます。

2.質疑応答

(問)時事通信の森と申します。
 先ほど大臣が発表された防災4.0未来構想プロジェクトのことでお伺いしたいんですけれども、まず、この防災4.0という検討会の名称に込められた意味を教えてください。
(答)防災4.0というのは、これまで、我が国が直面した大きな自然災害、伊勢湾台風が最初にあります。それから、阪神・淡路の大震災、東日本の大震災というのが、これまでの大きな転換点になってきた。伊勢湾台風が1.0とするならば、阪神・淡路が2.0、東日本が3.0ということで、それを超えて4.0というふうな名前をつけてみました。
(問)もう一点お伺いしたいんですけれども、先ほど国や市町村、あと企業、そして社会のメカニズムにも踏み込んだような提言をということでしたけれども、もう少し具体的に、期待する議論ですとか、例えば大臣としてどういった分野の対策を特に議論したいですとか、そういった希望があれば教えてください。
(答)これからの災害、かなり台風も大きくなっていたり、水害、あるいは雪害というようなものも顕著になってきておりますので、これは一義的に対応する自治体とか、バックアップをする都道府県、国だけでなく、やはり国民の皆さん一人一人が災害のリスクというものを考えていただく必要が出てきたなと。
 よく被災者生活再建支援みたいな議論が出てきますが、その前に一人一人が災害のリスクとどう向き合うかということを、やはり考えていただき、備えていただく必要があるなというふうに思っております。
 上から目線ということではなくて、国民の皆様と同じ目線でいろいろ考えていただいて、どういうことを考えていったらいいのか、どういう分野に目配りをそれぞれしていただいたらいいのかということを、有識者の皆さんにも考えていただいて、それを見て国民の皆さん一人一人が災害リスクと向き合う、そんな材料にしていただけたらいいなというふうに思っております。
(問)共同通信の出井といいますけれども、先ほどの防災4.0なんですけれども、提言なのですが、いつごろまでにまとめられるのかというのと、どういうふうな形で政策に反映していくのかというのを教えていただきたいんですけれども。
(答)まず、しっかり議論をしていただきたいと思っておりますので、余りお尻をかちっと決めてはおりません。まあ、新年度になってしまうのではないかなというふうには思っております。
 むしろ、政策にももちろん反映できるものはしっかり取り組んでいきたいと思っておりますが、政府が、自治体がというよりは、国民の皆さん一人一人に、やはり考えていただけるようなものにしていきたいというふうに思っておりますので、まず国民の皆様に考えていただく材料を提供するようなものを、最後に取りまとめていきたいと思っております。
(問)朝日新聞の八木です。おはようございます。
 大臣、消費者庁の移転について、ちょっとお聞きしたいんですけれども、職員が200人以上、プロパーというか、いらっしゃると思うんですが、その方々の都内に家を構えたり、子供さんが都内の学校に進んだり、あるいはその休みの日に親御さんの介護とかやっていたりとかですね、いろんなその生活設計をもう随分立てて進んでいる方もたくさんいると思うんですね。そういった職員をごそっとこう、まあ動かすことになっていくと思うんですが、もし実現した場合ですね。
 そういったことへの、そのワーク・ライフ・バランスとの兼ね合いをどう図っていくかとか、あるいはその方々に、その職員の方に、そのアンケートとかやるとかですね。そういう配慮というか、その辺は何か進んでいるんでしょうか。そこをちょっとお聞かせください。
(答)当然にそうしたこともですね、移転するときにクリアしなければいけない課題だと思っております。
 東京から徳島へ、もし移転をするということになればですね、物理的に物が移転をするわけではなくて、恐らく働き方が変わるんだろうというふうに思います。ICTの技術をどこまで盛り込んで、当然にテレワークというものができるようにならなければいけないんだろうと思っていますので、東京から徳島に消費者庁が移転をするということは、逆に言うと東京から日本のあらゆるところに分散をする人がいるということも十分にあり得ると思いますので、そうした職員のワーク・ライフ・バランスについても、当然にこれからいろいろ考えていかなければいけないことだと思っています。
(問)NHKの長内と申します。
 この有識者の人選、どういう狙いで選ばれたんですか。
(答)なるべく幅広い分野で、国民目線で考えていただける、そういう方ということで選ばせていただきました。
(問)河野さんと結構つき合いがありそうな方も見受けられるんですけれども。
(答)おつき合いしている方もいらっしゃいますし、いろんな分野から御推薦をいただいて、お声をかけさせていただいた方もいらっしゃいますので、そこは存じ上げている方もいれば、お初にお目にかかりますといって名刺交換する方もいらっしゃるということになると思います。
(問)大臣は、どのぐらいの頻度で出られるんですか。
(答)一応、私が座長的なことはやらせていただこうと思っておりますので、毎回私が出席をして座長を務めさせていただくようなイメージでおります。
(問)日本消費経済新聞、相川と申します。
 昨日はお疲れさまでした。徳島を視察されて、多くの懸念が出されたり、多くのデメリットが指摘されていますが、それを上回る消費者行政自体に対してのメリットがあるとお考えになりましたでしょうか。
(答)あると思っております。
(問)どのようなところが。
(答)消費者というのは、北海道から沖縄まで消費者がいるわけですから、全国に対して、全国の消費者に対して同じようなサービスを提供するというのがやはり消費者庁に求められている役割の一つだと思いますので、東京にいなければ何事もできないという観念を振り捨てて、全国の消費者に対してあまねくきちんとしたサービスが提供できる、そういう体制をつくる一つの方法だろうと思っています。
(問)消費者庁は各省の消費者政策ににらみをきかす、司令塔として発足しました。そのにらみをきかす消費者庁だけが遠く地方にいて、その役割が果たせるとお考えでしょうか。
(答)全く問題ないと思っています。にらみをきかすのはですね、どこにいてもにらみはきくわけですから。何か遠くに行くとにらみがきかないというような眼力のない消費者庁では逆に困るんだろうと思います。
(問)では、今、消費者被害の救済の根幹となる2つの法律の見直しが行われています。消費者契約法と消費者特定商取引法です。消費者契約法では広告規制が見送られました。多くの検討課題が結局見送られてしまいました。そして、特商法でも通信販売に限定した虚偽広告の取消し権すら獲得することができませんでした。今、インターネットのうその広告を見て契約をしてしまっても、消費者は契約を取り消すことはできません。そしてまた訪問勧誘規制では、お断り、訪販お断りステッカーに法律的な裏付けを持たせてほしいという議論があったことすら、報告書に盛り込まれないかもしれません。
 消費者庁は、消費者の期待に応えていると思いますか。
(答)まだ議論は継続されていると思います。
(問)こういう一番期待されている機能が、徳島に行って、十分に果たすことができますでしょうか。
(答)まだ継続されているというふうに承知をしておりますので、今、思い込みで言われても困ります。
(問)分かりました。よろしく、御検討をお願いします。
(問)共同通信の平田といいます。
 消費者庁関連の別件なんですけれども、消費生活用製品安全法の重大製品事故の報告義務違反、企業による報告遅れというのが過去8年半で640件ぐらいあって、近年も1年間で三、四十件ぐらいで推移していて、中には報告義務の規定そのものを知らなかったとか、あと、事故の発生を知った日から10日以内という報告期限を知らなかったという企業が、いまだに見られます。
 この企業への周知が足りているのかどうかという、あと報告遅れが後を絶たない状況についての受止めと、あと、例えば消費者庁として地方自治体に改めて通知を出したりとか、経済産業省に、経済団体に対する通知を出すよう求めたりとか、そういった今後の対応について具体的にお尋ねしたいです。
(答)相当多くの数に上っているのは現実だと思います。一つ一つ確認をしたわけではございませんが、どちらかというと中小企業とか、あるいは海外からの輸入事業者による遅延が多いのではないかなというふうに思っております。
 基本的に、ルールに気付かないで、結果として報告が遅れているというケースが多いのではないかというのが私の感想でございます。
 やはり、こういう10日以内に報告をしてください、死亡事故やら火災事故やら重傷事故については報告をしてくださいという、まず、このルールを知っていただくのが大事だろうと思っております。そこは消費者庁として、周知がなかなか徹底されていないという現実があるんだろうと思いますので、これは各地の商工会、商工会議所を通じて、あるいは自治体を通じて、もちろん経済団体もそうだと思いますが、いろんなところを通じて、この制度を少し周知徹底をやっていかなければいかんなと、もう少しどういうところから報告の遅延が起きているのかというのを分析をして、やはり的確なルールの周知というのはやっていかなければいかんと思っております。
(問)今、分析されるということですけれども、いつごろをめどに。
(答)なるべく早くやりたいと思います。
(問)朝日新聞の毛利です。
 話題が戻るのですが、徳島の移転に関連して、大臣のイメージの中で、その移転のスパンというか、5年先、10年先の長いスパンを見ていらっしゃるのか、それとも来年、再来年、できることならすぐにでも移転されたいと考えていらっしゃるのか。そこら辺のお考えをお聞かせください。
(答)課題をクリアしていくということですので、今、いろんな課題の抽出をしているところでもあります。実際に恐らく3月になるのではないかと思いますが、まず消費者庁の長官に行っていただいて、それと同時に手を挙げてくれるような希望者の職員に行ってもらって、まず、そのテレビ会議でどうなのか。あるいはそのやりとりをするときに、今、相当量の紙で仕事をしている部分があると思いますが、そういうものが電子ファイルに果たして置きかわるのかどうか。紙でやるならどういうやり方があるのか。
 いろんなことを検討して、やはりその課題を抽出して、それをクリアしていかなければならないと思いますので、期間については課題のクリアができたらと。
 それは、この部署は来年行けるというのがあれば、それはどんどん行っていただいても、それは構わないと思いますし、焦って失敗するよりも、丁寧に課題のクリアをしていくというのが大事だと思います。
 それからもう一つ、徳島に移転をするということは、ただ単に消費者庁が移転をしますというだけではなくて、霞が関の働き方の変革につながるようなものであってほしいと思っております。そういう一つの変革を促すツールとしてこれをやっているんだというのが、国家公務員制度担当の大臣としての、私の思いでもありますので、そこは少し丁寧にやらせていただきたいというふうに思っております。
(問)ちょっと消費者行政も関連するところでお伺いしたいんですけれども、軽減税率の自公合意がなされましたが、ちょっとそのことについて大臣の御所見をお願いいたします。
(答)じゃあ、あと2人、まとめて聞いちゃいましょうか。
(問)すみません、日本テレビの越部です。年末恒例の話なんですけれども、大臣にとって、今年1年間を漢字一文字でたとえると、どのような漢字になるか。
(答)出たな。
(問)お聞かせください。
(問)日経新聞の上林です。今日の閣議で、来年1月4日に通常国会が召集されることが正式に決まったんですけれども、規制改革とか行革、国家公安委員長など、大臣は11の分野を担当していますが、閣僚として初めて迎える国会論戦について、意気込みとか不安があれば、ちょっと教えていただければと思います。
(答)まず、軽減税率に関していうと、これはもう自公でしっかり御協議をいただいていると思いますので、そこはお任せをしたいと思いますが、行政改革担当としてはしっかりプライマリーバランスを見据え、余りプライマリーバランスに影響が出ない形で出航ができるようにお願いをしたいというふうに思っております。
 漢字一字については、ちょっと次回まで考えさせてください。今ここでと言われてもなかなか、正直、思い浮かびません。
 1月4日、始まりますと、まず人事院勧告の給与法案が、これ予算関連で出てまいりますので、それをしっかり国会にお願いをしてまいりたいというふうに思っております。来年は参議院選挙もありますし、どれだけの時間的なものになるのかというのも、よくはっきりしませんが、所掌する法案についてはしっかり国会で成立できるようにやってまいりたいというふうに思っております。
(答)じゃあ、漢字は次回ということで、すみません。お許しください。ありがとうございました。

(以上)