石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年7月29日

(平成28年7月29日(金) 10:42~11:04  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 紙をお配りいたしておろうかと思います。「うちらに任せろ、地元の未来」というお話でありまして、RESASを活用いたしました「地方創生☆政策アイデアコンテスト」を、昨年度に引き続き今年度も実施をいたすものであります。
 昨年度は12月にやりました。今年度は来年1月21日、全国大会を行うものでありますが、昨年度以上に多くの応募が予想されておりますので、新たに八つの地域におきまして地方予選を実施いたすものであります。
 昨年度、高校生以下の部で地方創生担当大臣賞を受賞いたしました福島市立岳陽中学校イノベーション部の政策アイデアは、実際に地元自治体の政策として実現をいたしておりまして、今年度も更に皆様に多く御応募を頂き、この地方創生の機運が盛り上がることを期待いたしておるものであります。
 昨年も幾つもの公共交通機関に御協力を頂き、あるいは多くの団体に御協力を頂いてPRに努めたところでありまして、こういうポスターを貼っていただきました。特に私が思っておりますのは、地方公共団体の御参加というものをお願いしたいと思っております。もちろん民間の方々にも御参加はいただきたいのですが、地方公共団体というのは、このRESASシステムが稼働する前からその手の情報というものは有しておったのであります。それぞれの地域において人・物・金、それがどのような流れになっていて、どのようなことが地域の発展につながるかということであります。それは既に、繰り返しになりますが、地方公共団体は持っていたはずなのであって、それをいかに活用するのか、そして人・物・金がどのように流れておって、それをどのように分析し、どのように政策を立てるかというのは、本来、地方公共団体が行うべき仕事だと私は思っております。
 このRESASシステムを稼働させたときに、お任せ民主主義からの脱却というお話をいたしました。それは、そういう情報が一般の方々には手に入らないので、その情報は行政が持っておったものなので、行政の打ち出す施策というものを、いろいろと批判的あるいは建設的な立場から市民が、主権者が判断をするということはできませんでした。それを一般の方々に広く提供することによって、正しくお任せ民主主義からの脱却というものを企図したものでございますが、これは、「うちらに任せろ」で民間の方々を対象に呼び掛けているんですけれども、そうであるならば、地方公共団体としても、自分たちはこうなんだということを率先垂範するということは極めて大事であり、そしてまた、それを使って議会でいろんな議論がなされるということは民主主義の伸展において大変重要なことだというふうに理解をしておるところであります。地方公共団体にも、知事会でありますとか全国市長会でありますとか全国町村会でありますとか、そういうものを通じて呼び掛けたいというふうに私自身考えておるところでございます。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)経済対策案に盛り込まれた地方創生推進交付金のことでお伺いします。施設整備等に充てられるという文言になっているんですけれども、これは地方からも非常に要望の強かった点だと思いますが、一方で、この2年間の地方創生の取組を見ていますと、ハードじゃなくてソフト中心であるというのは一貫したコンセプトかなというふうに私、勝手ながら受け取っているんですけれども、また、当初予算で地方創生推進交付金が入って、これもソフト中心である。まだ1回目の交付もなっていない段階で使い道がハードに広がるという点、これを、これまでの取組と整合性も含めてどのように整理をされていらっしゃるんでしょうか。
(答)ハードというと、それはもう、すぐ道路だ、ダムだ、そういうような土木事業、あるいは単なるハコモノとかそういうものをイメージするのが通例であります。今回の場合には、ソフトと密接不可分のもの、つまりソフトの熟度が上がって、そのハードというものを組み合わせることによって、機材でありますとか施設でありますとか、それを組み合わせることによってソフトの実現を、より実効あらしむるという点を重視をいたしております。ですから、熟度が上がってきて、やはりここまで来たらば、この機器でありますとか施設と組み合わせることによって、そのソフトの実現がより実効あらしむるということに留意をいたしておるものであって、全くその整合がとれないということはございません。それはかけ離れたものであれば、それは採択にならないということでありますので、それはソフトのないハードというものは全く念頭に置いておらないものでございます。
(問)省庁移転に関してちょっとお伺いします。消費者庁のお試し移転が本日終了いたしますが、大臣も実際、テレビ会議等を見られていると思いますが、これまでの議論を見られて、大臣の感想をちょっとお聞かせいただければと思います。
(答)これは、文部科学省の文化庁あるいは内閣府の消費者庁、あるいは総務省の統計局、これが大体シンボリックに取り上げられているものであって、それぞれ幾つもの試行を経て今日に至っているものであります。
 文化庁の場合には、全面的移転というのを最初から打ち出しておりまして、長官以下が京都に常駐するということを念頭にここまでやってまいりました。それは、新しい文化行政あるいは文化財行政というものを京都に移すことによって、今までの行政を更に高度化をして、文化財行政、文化行政の新たな展開を図るということで、極めて意義深いものが今日まで着実に進展をしているというふうに承知をいたしております。
 消費者庁につきましては、これも累次国会で答弁をいたしておるところでございますが、これがいわゆる毒ギョーザ事件というものを端緒としてこのような組織が企画をされたものであります。したがいまして、当然、危機管理的な要素というものを持っております。ですから、役所の危機管理というものに万全を期すということは当然のことであって、その他に新しいジャンルの消費者行政、つまり、消費者の問題というのは日々刻々進化をするものであって、新しい消費者行政というものを展開するに当たって、それは霞が関よりも徳島、そちらのほうが新しい消費者行政というものを企画をして実行するということに大きな意義があるのではないかというようなことが消費者庁において議論が積み重ねられ、おそらく河野大臣が今日、閣議後会見で御発言をなさっておられることかと思います。要は、行政というのは、移すところに意義があるというよりも、移すことによってどれだけ消費者の利便に資するかということでありますから、徳島へ一部が移るということによって、更により高いレベルの消費者行政が展開される。そして、河野大臣とお話ししているのですが、3年を目途に更なるいろいろな試行というものを繰り返して最終的な形が決定するのではないかと、今のところ私は承知をいたしておるところであります。ここにおいては、河野大臣あるいは板東長官等には真摯な御努力をいただいたと思っております。
 また、統計局の和歌山につきましても、大変熱心な議論が行われ、現地においてシンポジウムも開催をされたというふうに承知をいたしております。単に統計局の機能を和歌山に移すということではなくて、いかにして統計を活用した、より高度な行政が行われるかという新たな視点でもって、この統計局の和歌山への移転というものは今議論が進んでいるものというふうに承知をいたしておるところでございます。
 いずれにいたしましても、京都府京都市あるいは徳島県徳島市あるいは和歌山県和歌山市等、地元の行政の皆様あるいは民間の皆様方の大変に熱意あふれる御協力というものには心から敬意を表したいと思っております。
(問)今日の閣議、閣僚懇で、総理から内閣改造について言及はありましたでしょうか。
(答)それは閣議並びに閣僚懇についての発言は一括して官房長官が行うことになっておりますので、この場で私が申し上げることはいたしません。
(問)内閣改造についてちょっと関連でお伺いをしたいのですが、地方創生という担務の有り方について、これまで務められてきてのお考えをお伺いしたいんですけれども、この内閣の重要課題である地方創生の担当大臣を、ある意味独立してというか、それをメーンとして大臣を置くという今の形というのは、今回の内閣改造後も引き続きあるべきかどうかという、この担務の置き方について御所見があれば。
(答)どうなんでしょう、それは私がああのこうの言うことではなくて、総理大臣が御判断をされるということだと思います。
 私が2年間やってみて、本当に自分自身、長く国会議員の仕事、あるいは党の仕事、あるいは政府の仕事をやってきましたが、新たな気付きというのが非常に多かったです。つまり、今までのように、経済は成長するものであります。そして、人口は増えるものであります。人口ピラミッドは正三角形に近い形で推移するものでありますというのが全部変わっているわけですね。人口は急減します。そして経済成長も、もちろん600兆円というものを目指してはいますが、かつてのような高度経済成長は望めないという状況の中で、地方が中央に対して一方通行であれをしてくれ、これをしてくれと言う時代ではない。そして、いわゆるグローバル経済論、ローカル経済論でいけば、既に先進各国と伍して競争しているグローバル経済においては、なかなかその伸びしろというのが、オリンピック等において0.0何秒競っているようなお話ですから、もちろん最大限の努力をこれからもしますが、伸びしろというのはなかなか状況からいって難しいものがある。だとすれば、ローカル経済というものについては、市の選手権から県の選手権、あるいは県の選手権から国体みたいなものに上がっていくということは、それは伸びしろが相当にあるわけで、そういう部分が大変多いのではないか。あるいは、今回これも初めて気が付いたことですが、出生率といろんな指標との関係はどうなのだということでございます。
 出生率と大きな関係を持つのは、例えば週60時間以上働く方々の全就労者に占める割合でありますとか、平均帰宅時間でありますとか通勤時間でありますとか、あるいはお子さんがあるなしによる女性の方の有業率差でありますとか、それは非常に相関性が高いものだということを初めて私自身認識をいたしました。
 そういうセクションを維持するかどうかは私が判断することではありませんが、今までの縦割りの行政の中では見えてこなかったものがたくさんある。そして、地方と中央との関係を根底から変える、すなわち、地元の未来というのは、正しく地域が、この地域の経済をどうするのかということを考え、それに国が対応するという、従来とは違う、交付金の考え方というのはそれをベースにしておりますので、そういうふうに考え方を変えていくという上において、この地方創生という作業は、今後も継続をされる必要があるというふうに私自身は考えております。
 これも今年度に入ってから申し上げていることですが、計画段階から実行段階に入ったということで、大体多くのメニューというものは出揃い、そして地方における取組も、点がまだ面にはなっていないけれど、点が密になってきたなという実感は持っておりまして、この作業というものは今後もどういう形であれ続けられることが望ましいのではないかというふうに思っております。組織をどうするか、担務をどうするかは総理大臣が決定することであって、私が言及することではございません。
(問)合区のことについてお尋ねします。昨日から始まりました全国知事会議で、本日、合区解消を求める決議が採択されました。大臣は、元から地方六団体にもそういった決議というお話をされておりましたので、率直な、この決議に関する御感想と、もう一点、昨日の議論においては、どちらかというと、地方からは合区の解消を求める声が相次いだんですけれども、都市部ではちょっと慎重になるべきだという意見もありまして、地方と都市の温度差が出たように感じるんですけれども、そのことについてお考えをお聞かせいただければと思います。
(答)今11時ですけど、先ほど決議されたと、そういうことですね。
(問)はい。
(答)では、その前提で物事を申し上げますが、これは私のほうから全国知事会あるいは町村会、議長会等々に対して、そういう方々とお目にかかる機会も多いものですから、やはりそういう6団体において、そういうことを決議をしていただきたいというお願いはいたしてまいりました。それは実際に地方で選挙をやってみた者が実感をすることです。実際にやってみて、我々、鳥取・島根にしても、高知・徳島にしても、この膨大なというか、広大なと言ったほうが良いですか、選挙区において、国会議員としての責務を果たしていくというのは、候補者にとって、議員にとってもものすごい負担です。それはやってみれば分かります。実際に議員になって、その地域のいろんなお考え、国政に対するお考え等を把握するのも、それは並大抵のことではございません。
 そして有権者、主権者の権利としても、それは議員にアクセスするというのは、それは候補者の段階であっても、あるいは議員となってからも、いかにアクセスをするかということは、それは一種の民主主義における主権者の権利だというふうに私は思っております。これを実際にやったことがない都市部の方には分からない部分があるのだろうと思います。
 私は、昨日は東京都議会議員選挙補欠選挙のお手伝いで大田区に行っておりました。大森の駅前にしても、あるいは蒲田の駅前にしても、周りに何百人、何千人という人がいる。だけども、我々の鳥取にしても、島根にしても、高知にしても、徳島にしても、もう本当に車をしばらく走らせて、数人の人に会えるか会えないかです。そこにおいての一人一人の主権者の権利というものをどう考えるかということが、私は今まで余り論ぜられなかった論点だと思いますが、今回やってみてしみじみわかりました。余りに主権者のそういう権利がないがしろにされることは決して正しいことだとは思っておりません。それは選挙公報があるではないか、政見放送があるではないかと。それだけではないはずですから、選挙のときだけ主権者は主権者なのではありません。常に主権者は主権者としての権利が保持されるべきものだと考えております。
(問)今後、憲法改正という意見が今日も決議の中であったんですけれども、スピード感を持つなら、公選法を改正して定数を増やしてほしいというような意見もあります。今後の道筋ですね、合区を解消していく道筋はどうあるべきかというのは、大臣は現時点でどのようにお考えでしょうか。
(答)それに対しては、鳥取・島根選挙区において青木候補、現参議院議員が、それは憲法改正というやり方、あるいは公選法の抜本的な改正、二つの考え方がある、いずれにしても、合区の解消だということを言っておられたと思います。私もそれには完全に同意をするものです。だから、次の3年後までに合区は解消するということをまずぴしっと定めた上で、まず我が党において、これはどういう組織になるかは、一つとしては、党則による総裁直属の特別の機関として、合区解消に向けた特別委員会というものを作るというのもあるでしょう。あるいは憲法調査会、選挙制度調査会と並行してやるというやり方もあるでしょう。ですけれど、これは本当にスピード感を要するものだと思っておりまして、党内においてそういう議論は高まらなければならないと思っています。
(問)先ほどの内閣改造の件でちょっと質問なんですけれども、石破大臣としては、地方創生大臣として続投の御意思があるのか、あるいはポスト安倍を狙うために閣外に出たいとお考えなのか、そのあたりをお聞かせいただければと思います。
(答)そのことについて発言はいたしません。閣僚というものは、その任にある限り全知全能、全身全霊をもってその職務に邁進することが国家国民のためであるということでございます。在任中にそれ以外のことを考えるということはあるべきだとは私は思いません。国民から与えられた責務というのはそういうものです。任にある間、その仕事に全身全霊、全知全能を尽くすという以外のことは考えるべきだと私は思っておりません。
 以上です。

(以上)