石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年7月15日

(平成28年7月15日(金) 10:33~10:46  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 お待たせいたしました。
 4点あります。まず地方分権改革の提案募集についてであります。
 本日の閣僚懇談会におきまして、各大臣に対しまして、地方からの提案をいかに実現するかという基本方針に立ち、提案の最大限の実現に向け、地方側からの提案を自ら御確認いただき、検討に当たって、強力な指導力を発揮するようお願いしたものであります。
 地方から303件の御提案を頂いているものでございまして、昨年の提案募集の課題であった市町村からの提案も、団体数、提案数とともに増加しておるということであります。
 国民の方々が「働きやすくなったね、住みやすくなったね、子育てしやすくなったね」というふうな実感を持っていただけるような住民の利便性の向上に資する改革を進めてまいりたいと思っております。
 これは、現行制度で対応可能とか、そういうような答えもあるわけですが、一体どうやって対応可能なのかということが分からないと、地方の側も困ってしまうわけで、これはユーザーフレンドリーでなければいけない。駄目なものは駄目というのもいけないので、何で駄目なのかと。それが地方の方々、国民の方々の利便性の向上に資するものであるのに、駄目なものは駄目、みたいな話は全然駄目なので、そこはよく御留意いただきたいということであります。
 次に、本日から7月17日にかけて、鹿児島県、宮崎県にまいります。1日目は鹿児島県出水市で観光関係やジビエ施設の視察等、2日目は薩摩川内市内の甑島、これ、なかなか漢字は書けないのですが、「こしきしま」と読むわけです。甑島の視察、意見交換、霧島市での取組の視察、3日目は宮崎県えびの市のジオパークでの取組の視察等、拝見いたしたいと考えております。
 特に地方におきます観光振興の状況、新エネルギーへの取組等を拝見したいと思っておりますし、また甑島におきましては、若手の事業者の方々、地域おこし協力隊の方々とともに意見交換を行いたいと思っております。
 やはり離島とか、そういうところにおいて、この地方創生の取組というのは非常に進んでいると、この2年間を見て思っておりまして、この甑島を含めましたこの地域の視察というものは有益であると思っております。
 次は、昨年度実施しました「地域経済分析システム・RESASを活用した政策立案ワークショップ」でありますが、今年も開催いたします。昨年度は、全国6地域でやりました。これをきっかけとして、自治体連携が強まるなどの成果につながっております。
 今年度は、昨年度より多くやりたいと思っておりまして、第1回は7月21日岩手県花巻市で観光をテーマに開催するものであります。観光分野の有識者でありますJTB(日本交通公社)の山田雄一主席研究員にも御出席いただくということであります。
 第2回は8月4日沖縄県南城市、第3回目は8月25日大阪府大阪市ということになっております。
 それぞれテーマをきちんと設定して、多くの方々に見てもらうということが大事だと思っております。このRESASを使っているところもあるが、全然使っていないというところも、私はないとは言わないのであって、選挙期間中も何度も申し上げたことですが、例えば東北6県全体で北海道1道の7分の1しかお客さんが来ていないということがあるわけです。
 それは空港の数とか、宿泊の部屋数とか、あるいは桜の名所とか、文化財とか、東北6県の方が数から言えば同等若しくは凌駕している状況にあって、北海道1道と東北6県合わせて、北海道の方は7倍というのは一体これはどういうことですかね、ということもあります。それはやはり数字をきちんと見て、どこから人が入って来るのかなど分析した上でないと、「大変だ、大変だ」とばかり言っておってもどうにもならないお話でございます。
 沖縄につきましては、一人当たりの生産性というものは第47位ということになっておるわけで、沖縄にいるとすぐ分かりますが、大勢のお客さんが来てにぎわっているのです。どこも過去最高の人出であるということであるにも関わらず、何でそういうことになるのかということは、数字をきちんと分析してみないと県民の所得の向上にはつながらないものであります。
 それは、経験と勘と思い込みではなくて、数字に基づいた政策を立案する上において、このRESASの活用というのは極めて有益だと考えておりますので、事前に何について議論するのか。そしてそれをどれだけの人に見てもらい、どのように御理解をいただくのかということをきちんと事前に用意した上で、このワークショップに臨んでもらいたいということは、事務方にくれぐれもお願いしておるところであります。
 最後に、お手元に配付しておりますが、7月19日、品川女子学院におきまして、中高生の方々向けに、「今、日本の抱える問題とは?私たちに何ができるのか。」をテーマに、午後1時から60分の講演、30分の質疑応答ということに相成っております。
 これは聞いてみて、「ははあ」と思うのですが、中1の方から高2の方までという実に幅広い年代でありまして、こういう方々にどういう御理解をいただくのか。そしてそれぞれの方々がこれから先どういう役割を果たしていただきたいかということをよく念頭に置きながら、この講演に臨みたいと、私は思っておるところであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)所管外の質問で大変恐縮なのですけれども、天皇陛下が生前退位の御意向を示されて、国民の大きな関心事になっております。まだ陛下御自身が公式には御発言されていない状況ではありますけれども、高齢に伴う公務の御負担というのは以前から指摘されております。
 一般論として陛下の公務の御負担と、生前退位を含めた皇室の改革についてどう考えていらっしゃるか、お考えを聞かせていただければと思います。
(答)生前に御退位という陛下の御意向は、報道では承知いたしておりますが、畏れ多くも天皇陛下から直接そのような御意思が表明されてはおりません。陛下から直接そのような御意思の表明がない段階において、閣僚が軽々に発言するということは、厳に慎むべきことだと、私自身は思っております。
 ただ、政府の仕事をさせていただいて、畏れ多くも陛下のおそばで仕事をさせていただく機会に何度か恵まれております。単にお忙しいということのみならず、国民一人一人に対して本当に真摯に、誠実に向き合っておられるお姿というものは、常に深い感銘を受けておるところであります。
 農林水産大臣のときに福井県で植樹祭がございまして、前の夜に植樹に功労のあった方々、これは100名を超える大勢の方々であったと思います。その方々が、陛下に御挨拶されるという場面に陪席させていただきました。それは、夕方でもありましたし、お疲れでもありましたし、「陛下、椅子をお使いください」というふうに極めて僣越ながら申し上げたのですが、陛下はにこにこ笑って、ずっとお立ちのまま一人一人にお声を掛けておられたというのは、ものすごく私自身感動したところであって、単にお忙しいのみならず、常に国民一人一人と分け隔てなく接しておられる、そういう陛下のお姿は、強く感動を受けるものであります。
 そういう陛下であらせられるので、私どもは、本当に国民としてありがたく思うと同時に、そうであらばこそ陛下御自身の言葉がない以上は、発言することは厳に慎むべきだと私自身は思っております。
(問)それに関連しているのですけれども、今、陛下の方から正式にそういう御意向の表明がないという話でしたけれども、仮に陛下が退位の意向を正式に表明される機会があった場合、皇室典範の改正が必要になってくるとは思うのです。
 この場合、陛下が意向を示されて、それで皇室典範が改正となると、憲法が禁じる天皇の政治的行為に当たるのではないかという指摘もあると思うのですけれども、この点、憲法に対して大変お詳しい大臣として御所感があれば伺いたいと思います。
(答)それはいろいろな考え方があります。ですから陛下がおっしゃっておられない段階で「仮に」という御質問にはお答えは出来ません。
 皇室の政治的利用ということは、それは、憲法学上はいろいろなお考えがあろうかと思います。習近平氏がまだ国家主席に就任する前に来日される際に陛下の御日程をめぐっていろいろな議論がありました。私、あのとき野党の政調会長でしたが、このことについて議論することの畏れ多さというのか、僭越さというのか。そういうことを思いながらも、議論をした覚えがございます。
 このことは常に畏れを持って真摯に論ぜられるベきものであって、政治の思惑などというものが一切介入する余地はないと思っております。陛下のお言葉ない以上は、あるいはお気持ちの御表明がない以上は閣僚として発言はいたしません。
(問)関連ですけれども、直接、今回、仮に小泉政権ですとか野田政権で、女性宮家の創設の検討など、そういう議論があったと思うのですけれども、大臣自身、女性天皇であるとか、女系天皇について、これについてどのようにお考えでしょうか。
(答)この点については、私自身、もう少し真摯に深く物事を考えたいと思っております。良いとか悪いとか、こういうのも、どちらの論もあって、私もつぶさにそれは読んでおるつもりなのですが、自分として十分得心がいって、発言できるだけの自信がございません。
 これはまた機会を見て、よく自分なりに研究をし、畏れ多くも皇室に関することでありますので、それは自分としてきちんと納得した上で発言したいと思っております。
(問)話題が変わりまして、昨日、告示された東京都知事選に地方創生の有識者会議をたくさん務めていらっしゃいます増田寛也さんが立候補されましたけれども、そのことで地方創生の政策立案に関して、今後、影響を与えることがもしおありであれば、お聞かせください。
 あと、増田さんの後任なんかも、もしお考えがあれば伺いたいです。
(答)現時点において、差し当たって大きな支障があるというものとは考えておりません。多くの有識者委員をお務めいただいておりますが、増田さんから特段のお話は承っておらないところでございます。
 したがいまして、後任をどうするか等、そういうことを申し上げる段階にはございません。

(以上)