石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年6月28日

(平成28年6月28日(火) 10:55~11:20  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 お手元に資料をお配りいたしておりますので、どうぞ後でご覧をいただきたいと思いますが、改正地域再生法に基づきます地域再生計画の申請状況についてであります。
 4月20日に施行されました改正地域再生法におきまして、新たな支援措置として設けておりますところの「地方創生推進交付金」、「地方創生応援税制」、「生涯活躍のまち」について、お手元にお配りしたとおりの申請状況であります。
 地方創生推進交付金につきましては、44都道府県604市区町村の合計648団体、全地方公共団体数の36%ということになりますが、790件、事業費で455億円、国費で228億円ということになっております。
 地方創生応援税制につきましては105件、いわゆる企業版ふるさと納税です。
 生涯活躍のまちにつきましては14件ということであります。
 今後精査を進めまして、確認・審査の後、8月中に地方創生推進交付金、地方創生応援税制、生涯活躍のまちに係ります地域再生計画の認定を行うと、こういう予定でございます。
 地方創生推進交付金の第2回目につきましては、地方公共団体の準備期間が確保できるようにするという観点から、7月下旬から8月中旬にかけてブロック別の個別相談会を開催し、9月末に申請を締め切り、11月中旬を目途に交付対象事業を決定すると、そういうことになります。
 また、27年度補正予算に盛り込まれました地方創生加速化交付金の2次募集につきましては、314市区町村より370事業、97億円の申請をいただきました。7月中旬を目途に交付対象事業を決定したいと、かように考えておる次第であります。
 それから、新しい事業として始めておりました地方創生コンシェルジュ制度-親切な相談相手-。これはユーザーの御意見を聞かないと独りよがりになりますので、ユーザーの皆様宛てにアンケートをとったところでございます。
 資料をご覧いただきたいと存じます。そもそも半分程度の地方公共団体において、庁内では周知されていない。そんな制度があること知りませんということであります。まず周知が課題である。
 相談をしたことがある地方公共団体のうち、9割以上は役に立ったというふうに回答いただいておるわけでありまして、一定の御評価をいただいておると承知をいたしますが、具体的な要望として、他にどんな相談があったのか、という相談事例を公表してほしい、あるいは意見交換会を開催してほしいというようなことがございましたので、これらを踏まえまして、7月に「活用の手引き」、それから「相談事例」を提供したいと思っております。
 まず、知らなければ使いようがないので、知っても、一体どう使っていいのかというようなこともありますので、きちんと意思疎通を図りたいと思っております。このため、地方公共団体とコンシェルジュの意見交換会を夏から年末にかけて順次開催したいというふうに思っておりまして、やはりこれは、常に申し上げておりますとおり、この地方創生の事業というのは共同作業でございますので、国は国で地方が悪いと言い、地方は地方で国が悪いと言っておっても何もならないので、そういうような共同作業であるという、そういうような認識を深めるということも必要なことではないかなというふうに思って、今朝、そのようなことを事務方にお願いをしたところであります。
 以上。

2.質疑応答

(問)冒頭にありました、企業版ふるさと納税の申請状況についてお尋ねします。自治体が計画を作って、そこに賛同してくださる企業から寄附をいただくという形の立て付けになっていると思います。
 計画を作ればお金が来るチャンスがあるにもかかわらず、ゼロというようなところも散見されるんですけれども、ここはどういうふうに見ていらっしゃるんでしょうか。
(答)これは意外と難しくて、答弁でも何度も申し上げたことですが、経済的な見返りというものを与えてはいけない、求めてはいけないということになっているわけで、企業ですから、株主等、あるいは経営者である取締役会等ございまして、このお金をそこへ出すことによって、我が社にとって、営利企業ですから、どのようなメリットがあるのだ等の議論は当然あることでございます。
 自治体の側にしてみますと、これ、とてもやりたいんだけど、そこの会社にとって何のメリットがあるんだろうということを考えた場合に、なかなかこれだというのが出てこない。もちろんやりたいことはたくさんあります。お金も欲しいです。だけれども、例えば、オオタ産業株式会社なるところに、お金を持っていそうだから寄付をお願いしますと言ったときに、では、一体何のメリットがあるんですかと。直接何ら経済的なメリットがあるわけではない。そこにおいて50万円とか100万円とか、それも大金なんですけれども、それこそ億とか千万とかの単位になったときに、企業は慈善事業をやっているわけではないので、そこにおいてこれが本当にそこの会社にお願いをして、それがいただける状況になるかどうか、そこはそれぞれの自治体においてかなり苦労しているというふうに聞いております。
 ですから、これから幾つかの事例が出てきて、なるほどこういうことなんだ、と。まだ具体にそういうようなお金が出たわけではありませんが、例えば夕張市においてコンパクトシティをやりたい、あるいは新しいエネルギーの開発をしたいということであって、では、それで、北海道に基盤を持ちます企業が、それでは出そうというようなことになる見込みというか、そういうふうに報道されておりますが、そういう企業との信頼関係とか、あるいは株主に対する説明責任とか、そういうものでなかなか、お金がもらえるんだからたくさん手を挙げるかというと、そういうわけではないということだと思います。
 正しく、それぞれの自治体において、どれだけいろいろな考察がなされて申請が上がってくるかということだと思います。
(問)同じく冒頭のお話で、交付金の申請なんですけれども、申請の自治体数を見ますと648ということで、半分も達していないような状況なんですけれども、この申請件数については、大臣、どのように受けとめていらっしゃいますでしょうか。
(答)これは、次から次から泉のようにアイデアが湧いてくるならば結構なことであるということですが、それぞれの自治体において、例えば27年度補正でも加速化交付金という形で出しました。そのときにいろいろな事業をお考えになった。また、それぞれの自治体においては、9月議会で補正が組まれるというようなところもございます。そうすると、そこにおいて確実にそういうような手当てがなされるものを考えようと思われるところもあるでしょう。またもう一つ、とにかく数打ちゃ当たるというものではないので、良いものを出さなければいけない。あるいは議会においてそういうような手当てもなされなければいけないということを考えると、現時点ではこんなものだろうなというふうに思っております。
 自治体の状況というのを聞いてみると、とにかく今一生懸命考えておられる。今回これで終わりというわけではないので、28年度中にいろいろなものが出てくるというふうに思っています。
(問)話題が変わりますけれども、大臣御自身がホームページ上で書かれているブログの中で、今、参議院選を戦っている中での感想だと思うんですけれども、憲法を改正して一院制へ移行する論議には、慎重な立場をこれまでとってこられたというふうに書いてありますけれども、このままの状態が続くのであれば、考えを改めなくてはならない。
 選挙後、合区解消と併せて二院制の在り方を徹底的に論じて方向性を見出す機会を作りたいというふうにお書きになっていますけれども、これは、現在の二院制についてどのようにお考えを持たれて、今後はどのように変えていきたいとお思いなのでしょうか。
(答)これは所管外なので、一議員としての意見だと思って聞いていただきたいのですが、一つは、参議院選挙は当たり前の話、3年に1回あるわけですよね。衆参同時選挙というのは、私たちが初当選した昭和61年以来行われていなくて、これは憲法上、衆参同時選挙はどういう意味を持つのかという論争はあるんですけれども、とにかく別個に行われるのが通例である。だとすると、一昨年の暮れに総選挙があって、去年は統一地方選挙があって、今年、参議院選挙で、それは来年解散総選挙だみたいなことを書いている新聞もありますが、そのことは分かりませんけど、毎年のように国政選挙をやるということが、政治の安定にとってどうなんだろうという議論はございます。しかし、衆議院と参議院が別個の権能を持ち、そして別個の議員の選び方をしているとするならば、それはそれで非常に意味のあることだと思っています。
 私は、随分と前から二院制って何なんだろうと思っていて、これは日本国憲法を作るときもいろいろなお話がありました。そのときに、これは私の考えですが、議院内閣制を採る国において、与党から大臣は出るわけで、そうすると、議会と内閣というものが、議員でありながら閣僚になるということ、総理は別としてですよ。そうすると、その権力の分立の仕方として、やや不完全な面があるだろうというふうに思っております。権力に隷属しないインディペンデントな意味というものがもう一つあるというのも二院制の意義として、学説的には指摘をされているところなのです。
 翻って今の状況を考えるに、衆議院が小選挙区・比例代表並立制になっておりますので、選挙区は基本的に小選挙区である。比例は、もちろんその差はありますが、比例区を伴っているということからすると、極めて類似した選挙制度の下で選挙が行われる。そうすると、二院制の妙味というか、そういうものが十分発揮をされているのだろうか。そして、参議院議員からも閣僚が出ているわけであって、権力から完全にインディペンデントだという意味、それが正しいか正しくないかは別として。参議院も議員から閣僚を出すということになっているわけでございます。
 今の日本国憲法上、衆議院と参議院の権能が分かれて書いてあるわけではありません。両議院とも選挙された議員でもって構成すると書いてあるだけなので、そこにおいて、例えば参議院は地域並びに職能の代表者において構成するというふうに書くのか、あるいは選挙制度を、参議院だけではないので、衆議院を抜本的に変えるというようなやり方もあるんでしょう。そのときに、このお話は合わせてするということが、結論のいかんはともかくとして、議論をする価値は十分にあることだというふうに私は思っております。
 やはり二院制の妙味というものをいかにして最大限発揮をするか。参議院がある、あるいは衆議院がある、そのメリットというものを最大限に生かす工夫はまだあるのかもしれないと思っています。ですから、今の選挙制度の下で、とにかくこの選挙は我々与党で改選議席の過半数ということで最大限の努力をしていきますが、公約として憲法改正あるいは選挙制度の抜本的な改正、いずれかは分かりませんが、参議院の選挙の在り方を変えるんだというふうに我が党が公約で申し上げているのですから、その際にそういう議論も合わせて行われるべきではないかと私は思っております。
 これはぜひ、皆様方、いろいろな研究機関をお持ちだと思いますが、こういうほとんど似たような選挙、似たような権能の議会を二つ持っているというところがどこかあるのか。私も時間があれば、そういう研究をしたいと思いますが、要は、二院制の妙味というものを最大限に発揮をし、そしてそれが国民生活、国民経済あるいは安全保障、それにおいて役割をもっと発揮出来るやり方が模索出来るとするならば、私はそれは価値のあることだと思っております。
(問)関連して、今、大臣も今の参院の在り方について議論が行われるべきと考えているとおっしゃられましたけれども、同じブログの中で、今後、この際徹底的に論じ、方向性を生み出す機会をぜひとも作りたいと思いますと書かれておりまして、これは参院選後にいろいろ党内なのか、参院なのか議論になってくると思うんですけれども、またこれ、例えば大臣が主導して、議員連盟であったりだとか、派閥の中であったりだとか、こういった勉強会を開いていくというような、そういうおつもりなどはありますでしょうか。
(答)それは、我が選挙区において、我が党の候補者が、これは必ずやるというふうに演説の冒頭で言っているわけです。それは党の公約でもあります。ですから、そこに私も応援弁士として立っているわけであって、党の公約ですから、選挙が終わったらそれでおしまいということになったら、一体あれは何だったんだということになるわけですね。私は珍しく自分の選挙区で何日か候補者と一緒に、あるいは単独で演説もしていますが、この制度はおかしいというのはものすごく有権者の間でもあるし、私は党の会議で申し上げましたが、候補者にとってもものすごい負担だと。これだけ広い選挙区で、候補者本人が有権者に訴えることが出来ないというのは、やはり私は選挙のやり方として余り正しいものだと思いません。鳥取の東から島根の西の津和野まで、東京-名古屋に匹敵する、ましてや離島を含んでいるわけですから、有権者の方々に候補者の生の声を聞いていただくというのは私は必要なことだと思っていますが、それが出来ない。
 だから、昨日も私、候補者の御家族と一日中ずっと回ってきましたが、候補者にとってもすごい負担だと。そして、候補者は自分の話ですけど、有権者がそういう候補者本人の声が聞けないということは、それは選ぶ側の主権者に対してどうなんだということはあるんだろうと思います。だから、これは公約として言っていることですから、それは私が主導してとか、派閥がどうのという話ではなくて、我が党は、選挙が終わったら、そんなこと言ったっけみたいな、そういうようなことは絶対あってはいけない。私はそういうことだと思うんですね。
 私が2回目の平成2年の総選挙において、あのときに、消費税を含んだ予算を審議するという最中に、海部内閣において解散総選挙が行われた。そのときに、自民党ですけれど消費税に反対しますと言って当選して、当選した後は何も言わないという人がたくさんいました。選挙において言ったことは必ずやるんだということで、もう終わったから、これは次の3年後の参議院選挙を控えてよく議論をしましょうというようなお話ではない。やはり今回の選挙制度で非常に候補者も厳しかった。有権者も辛かった。そういうような思いが醒めないうちにというかな、そういう議論はしなければいけない。それに合わせて憲法改正という道なのか、選挙制度を変えるという道なのかはともかく、それは衆議院、参議院のそれぞれの権能の発揮の仕方で二院制の妙味の発揮の仕方だというのを、これは議論しなければいけないのではないか。毎年、国政選挙をやって、そのたびに、あのときああ言った、こう言ったというようなことになりますと、特に経済政策等は、その効果が発現するのに、1年で魔法みたいに発現するとは私は思いません。それは本当に地道に着実にやっていかねばならないところ、そこにおいて何をテーマとして選ぶということが、院の在り方と合わせて議論されるということは、国家にとって価値のないことだと私は思いません。
(問)先週のことなんですけれども、自民党の地方創生実行統合本部の鳩山邦夫本部長が亡くなられました。大臣としてこの受け止めと、今後、その地方創生施策に与える影響というものをどのようにお考えか聞かせてください。
(答)これは、鳩山邦夫先生は、私が議員になる前から存じ上げていて、昭和58年からですから、もう今から33年も前のことになります。当時非常に若くて、ものすごく存在感の在る方であったと。ある意味、まぶしい存在でございましたし、田中角栄先生の下でいろいろな下働きをして、ですから、直に田中先生に、議員という立場ではなくて、秘書とか事務所の職員とか、そういう立場で働いたのは、鳩山先生と私だけだったと思います。そういう意味で、非常に感慨複雑というか、田中先生に直接そういう意味で接して議員をやっているというのは、もう私だけになったなという思いがあります。
 もうほとんどの方は覚えておられないと思いますけど、羽田内閣というのが出来たときに労働大臣をやられまして、あのときに、改革の会という小さなグループを作って、そこには新井将敬さんとか笹川堯さんとか私とか鳩山邦夫先生とかおられました。そんなこともあって非常に思い出深い方であります。
 党の地方創生の責任者として、衆議院において委員長もやっておられましたから、党で鳩山イニシアチブと言っておられましたが、地方創生について、例えば省庁の移転についても、これが遺言みたいになってしまいましたけれども、そういうペーパーもまとめられ、総理に提言もなされということで、地方創生を徹底的に押し進めるのだ、省庁の移転も全省庁白紙的に検討すべきであるというような、非常に斬新かつ強い信念、情熱を持って地方創生を進めてこられたというふうに思い、私として非常に頼りにしておった方であります。
 ですから、鳩山邦夫先生のそういう意志を受けて、それは会合に出ていれば分かりますけれど、そういう我田引水(がでんいんすい)的な地方創生論ではなくて、国家の在り方全体から地方創生を論ずるという方は党内にも大勢いらっしゃいますから、鳩山先生が残されたそういうペーパーもありますので、その御意志を受け継いで、我が党として更に地方創生を押し進めるということが、先生に対する私どもの、何と言ったらいいのかな、思いに報いる、そういうようなやり方かなというふうに思います。

(以上)