石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年6月21日

(平成28年6月21日(火) 10:32~10:45  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 「地方創生人材制度」による派遣者が派遣をされます。3月に58市町村への派遣を公表し、春に46名、国家公務員、大学、民間から派遣をしたところでありますが、残っております12名、国家公務員11名、民間人材1名を7月に10名、8月に2名ということで、自治体に派遣をするものであります。研修会は本日であります。私から激励を兼ねて、地方創生についての話をさせていただきたいと思っております。詳細につきましては、出身省庁、市町村での役職等、お手元に資料をお配りいたしております。
 この制度は、それなりの成果を上げてきているというふうに思っております。今度の派遣の皆様方にも、先輩諸兄姉に負けないように、そういう役割を担っていただきたいと思っております。
 以上です。

2.質疑応答

(問)第24回参議院議員選挙が明日公示されます。アベノミクスの評価ですとか、安全保障関連法のそういった評価、こういったものが争点になると見られていますけれども、地方創生の観点からは、大臣は街頭などでどういったことをお訴えになるお考えでしょうか。
(答)これは、私も北海道から沖縄まで回ってみて思うことですけれども、アベノミクスというものがその地域にとって、例えば岡山県なら岡山県、滋賀県なら滋賀県、三重県なら三重県、そこにおいてどういう意味合いを持つものなのか。そして、これからそれぞれの地域に、私ども政権としてどのようなことを考えており、それぞれの地域でどのように応えていただきたいかという、私は個別具体論の話だと思っております。アベノミクスというものがそれぞれの地域において、これから先いかなる役割を果たしていくのかという、具体論を語っていくというのが必要なことだというふうに思っております。
 例えば私どもの鳥取・島根、今度は合区という制度になるわけですが、例えば出生率、全国第3位が島根県であると、第4位が鳥取県であると。その伸び率も、鳥取・島根というものは1番、2番であるとかですね。あるいは、県外からの移住者の方が、一番多いのは岡山県ですが、第2番が鳥取県の1,246人であるとかですね。出生率が上がってきた、あるいは人の流れというものが変わってきたというのは、地域において差はあるけれども、少しずつ動きになっていると思っています。
 その地域における地方創生のいろいろなシーズというものがあります。やはり全国あちこちで申し上げているように、今まで公共事業と誘致企業で雇用と所得というものは引っ張ってきたと。しかし、これから先、世の中が変わってきて、そういう従来型のものでは対応出来なくなってきたわけで、地方に仕事を作るというのだけれども、では、それはどういうものなのだろうか。なぜこのような人口の変化というものが地方において起こるようになったのだろうかということです。それぞれの方々に、アベノミクスなるものがそれぞれの地域において何なんだということ、これを納得していただき、共感していただくということがとても大事なことなんだと思っております。
 また、安全保障法制について申し上げれば、それは憲法違反の立憲主義に反する戦争法制であるという御批判があるわけですが、なぜ憲法違反ではないのか、立憲主義に反するという立論をなさるのであるならば、個別的自衛権を認めたところから立憲主義に反していたのかということになるはずで、その問いに答える人は誰もいないんですね。集団的自衛権、ごく限定的にではあるが、認めたことは立憲主義に反するとおっしゃるのであれば、では、個別的自衛権もそうなんですかと言うと、いや、個別的自衛権は認められるんだと。それはなぜということですね。
 そして、集団的自衛権が合衆国とともに世界で戦争する権利であると本当にお思いであれば、それは、およそ集団的自衛権なるものがそういうものであるという前提に立っておっしゃっておられるのでしょうから、仮に参議院で多数を獲り、そうならないように我々は全力を尽くすわけですが、そして政権交代をした暁には、国連総会に行って、国連憲章から集団的自衛権条項を削除すべしと言わないと、この論理は通らないわけです。ですから、その場だけ、あるいは日本の中でだけ通用する議論というものは、私は政党としてすべきことだとは、少なくとも私は思っていない。
 ただ、この手の話は、どうやって多くの有権者に御理解をいただけるかには、私の努力もなおなお足りないところは一杯ありますので、1時間も2時間も話をするわけではありませんから、街頭演説というのはせいぜい5分から10分ですので、どうすれば御理解いただけるかということには、更なる努力は必要だと思っていますが、それぞれの有権者の方々の納得と共感が得られるような、そういう参議院選挙にしていきたいと思っています。
(問)明日からの参院選の関連なんですけれども、これまでの安倍首相の街頭演説の中で、憲法改正について首相が余り触れてこられなかったというお話があります。先日のテレビとかネットの討論会では憲法改正について触れられましたが。
 大臣も今後、街頭演説などなさる場合に、憲法改正については積極的にお訴えしていこうというお考えでしょうか。もし訴えられるとしたら、どういう部分をどういうふうに改正していくというのは、個別的なお話もなさるおつもりでしょうか。よろしくお願いします。
(答)それは、総理はTPOというものをよく考えて発言をしておられるのではないかなというふうに思っております。街頭で憲法改正について訴えるというのはなかなかTPO的にはそぐわないところがあって、しかし、ネットですとか実際のテレビ討論で、他党の方が憲法改正について議論をされれば、それは当然、総理としてそれに応えるということがありますから、それはTPOというものだというふうに認識をいたしております。
 自民党として憲法改正の草案はございますが、それは私自身、起草委員でしたけれども、優先順位を付けているわけではございません。ここからやるんだとか、そういうことを決めたという事実も全くございません。そうすると、そういう状況の下で憲法改正について、ましてや街頭演説あるいは個人演説会、それは時間が5分とか10分とか、そんな中でそれだけ語るわけではございません。そうしますと、なかなか憲法改正というものをテーマとして演説をするということは、実はとても難しいことなのではないだろうかと思っています。
 我が党が結党いたしました昭和30年に、日本国が独立を果たしたからには、独立国家にふさわしい憲法を作ろうと。つまり、現行憲法は大日本帝国憲法の改正規定を用いて正当に改正されたものでございますので、私は、占領下において改正されたから日本国憲法は無効だという立場には立っておりません。日本国憲法は大日本帝国憲法の改正条項に従って制定された、正当性を有するものであるというふうに承知をいたしております。
 ですが、国家主権というものがない状況で出来ている憲法ですから、当然、そういう国家主権に関する条文というものがあったらおかしいわけです、逆に。主権を回復していない状況で出来たものですから、主権を前提とした条文を入れると、それは矛盾が生ずるわけであって、これは価値観を交えずに、状況が変わったならば当然そうでしょうというお話なんだと思っています。
 そうしますと、そこまで話するのに、もうこれだけで4分掛かってしまうわけです。そうすると、この参議院選挙において、この候補者を当選させてくださいというお願いをするに当たって、それがふさわしいかというと、そうではない。
 しかし、それは我が党が憲法改正から逃げているということを意味するものではないと思っています。それは、憲法改正を国民に訴える際には、一体なぜ憲法を我が党は改正しようとしているか。それが基本的人権の尊重であり、あるいは平和主義であり、国民主権でありという、そういう憲法の基本理念に抵触するものでは全くないということもお話をしていかなければなりません。そうしますと、選挙の街頭演説等でそれを訴えることはなかなか難しいかと思いますが、繰り返しになりますが、それは、憲法改正から逃げて、違うテーマで議席を獲ろうというような、よこしまなことを考えているということを意味するものでは全くございません。
(問)関連してお伺いします。総理は、改憲項目は決まっていないから憲法改正を選挙の争点にする必要はないとおっしゃっていますけれども、仮にこの問題に大きく触れなかったとしても、改憲勢力が3分の2を獲得した場合、憲法改正を発議すること自体は適切だとお考えでしょうか。
(答)それはそのときの判断ですから。それは発議しなければ変わらない。当たり前の話であって。だから、今予断を持ってそういうことを申し上げることは決して適切ではないと思っています。
 仮に3分の2を頂くことがあったとして、発議ということをやるときには、選挙においてそれを問うたのかということは、当然、政党の中で議論されるべきことでしょう。そしてまた、ここは良く出来ていて、日本国憲法というのは衆参の両院議員の総数の3分の2の賛成により発議できると、そして国民投票の2分の1ですから、最終的に国民が主権者として2分の1の多数を持たなければ憲法は改正できないわけで、そのときにその判断をする主権者たる国民が「おいおい」と、「発議はされたけど、自分たちは選挙のときにそんなことは聞いてない」ということをお考えになるのかもしれません。そこは日本国憲法の改正手続がそういうように、最終的に主権者たる国民の意思によって決められるというところの意味合いだと思っています。

(以上)