石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年5月24日

(平成28年5月24日(火) 9:37~9:45  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 昨日、厚労省より、27年人口動態月報年計の概況が公表されたのは御高承のとおりで、合計特殊出生率1.46、前年に比べて0.04ポイントの上昇。出生数100万5,656人、対前年比2,117人の増であります。1.45を超えたのは1994年の1.50以来21年ぶりということでありまして、お母さんの年齢階級別で見ると29歳以下での出生数が減少していると、30歳以上での出生数は増加しているということであります。地域別に見ますと、程度差はございますが、ほぼ全ての都道府県において前年よりも合計特殊出生率は上昇、顕著な上昇を示している県は島根県、対前年比0.14増で1.80。次は鳥取県、徳島県、0.09ポイントの増ということに相なっております。
 出生率は前年に比べて上昇しておりますが、低い水準であることには変わりはございません。人口減少に歯止めが掛かったというような状況とは認識いたしておりません。私どもとしてかねてから進めております地域アプローチにより、個々の地域の特性や課題に即してきめ細かな少子化対策を推進するということ、国民の皆様方の御希望が実現できるよう、引き続き取り組んでまいりたいと思っております。
 また、先般の日曜日、新潟市の特区の視察をいたしましたが、実際に見てみると非常に強い印象を受けるところであります。これは国会でのいろいろな議論も今日もございますが、実際に特区を最大限活用しているというのはこういうことなのかということを、目の当たりにして、それぞれの地域における取組に相当の差が出てきているというような感じでございます。良い事例というものを普遍化していくというか、全国的に展開していくということが重要であるなということを、改めて強く感じたところであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)出生率の件でお尋ねします。大臣が就任されて、若い人の出産の希望をかなえるということで、最初の年の総合戦略にもしっかりと書き込んで、今こういう0.04プラスという数字が出たわけですけれども、純粋にこの0.04プラスという数字自体は、実感としてはどのように評価されているんでしょうか。
(答)合計特殊出生率自体は昨年は減ったわけですね、26年1年間は合計特殊出生率は下がっていたわけで、これが増加に転じたということの意味は大きいのだと私は思います。数字はもっと大きければ良かったなと思いますけれども、それは国民の皆様方の出生ということについて私ども、余り論評する立場にいるとは思っておりません。
 しかし、都道府県別に見てかなり違いが出てきている。これは市町村別にみるとまた違うんだろうと思っています。今日どこかの識者の方も言っておられましたが、出生率は増えましたと。しかし、それが地域にとどまることなく東京に集中するという状況を変えるというのは、また別の政策でございます。そしてこの東京が、ブラックホールとは言わないが、人を集めて出生率が全国最低ということになれば、地方がどんなに頑張って出生率を上げても、東京がそれを吸収してしまうということは、日本全体にとって決して望ましいことではないということであります。
 ですから地方において出生率を高めるような、そういうような状況を作っていくということ、そしてそういう方々が東京に出られることなく地方にとどまる、あるいは東京に出られたとしてもそこにおいて出生率が上がる、両方の政策をトータルとしてやっていく必要があるのであって、私は今回見て地域別アプローチということの重要性というものを、改めて再認識したところであります。
(問)出生率の関連でお尋ねしたいんですけれども、前年と比べたときに都道府県別で今見た中で、島根県と徳島県と大臣の御地元であります鳥取県が入っていますけれども、どうしてこの県が増えているのか、大臣の御見解なり分析がございましたらお願いします。
(答)それはこの地方創生の取組を見ていると、島根県で言えば浜田市あるいは邑南町、益田市、雲南市、海士町というように、そのほかにもあると思いますけれども、実際に少子化とか過疎化とか高齢化とか、それが日本で一番早く進行している、そうであるがゆえに危機感も強い。現状を打破しなければいけないという意欲も強い。そして首長の方々あるいは住民の方々の意識も高いということだと思います。
 それは徳島県にも土曜日行きまして、知事あるいは市町村長、議員の皆様方と、かなり長い時間お話をすることがありましたが、それは神山町であり上勝町であり美波町でありということで、徳島県においても高齢化・過疎化というものは急速に進行して、そうであるがゆえに通信回線の優位性を利用した移住者あるいは企業の誘致の取組でありますとか、あるいは半農半Xというか、そういうものを利用したいろいろな取組というのが、かなり進んでいるという印象でございました。鳥取県においても似たような状況だと思っております。
 それだけに私は、島根県に行っても徳島県に行ってもそうなんですけれども、よし、頑張ろうという感じがすごく伝わります。どうしようかな、困ったなという状況から本当に反転しつつあるという実感が、すごく私にはあります。そういうような徳島県であれ鳥取県であれ島根県であれ、そういうふうなところから新しい日本の形が生まれていくのだというのが、私の強い実感であります。それぞれの地区の取組に心から敬意を表したいと思いますし、私どももそういう事例に学びながら、それを全国に普遍化していくという努力が必要だと思います。

(以上)