石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年5月17日

(平成28年5月17日(火) 8:30~8:38  於:官邸3階エントランスホール)

1.発言要旨


 5月13日の金曜日、第6次地方分権一括法が成立をいたしました。昨年12月に閣議決定をした、「平成27年の地方からの提案等に関する対応方針」を踏まえ、地方版ハローワークの創設を初め15の法律について所要の改正を行ったものでありますが、本日、閣僚懇におきまして、私から関係閣僚に対しまして、この事務・権限の移讓に伴う確実な財源措置、制度改正の内容についての地方への周知・助言、政省令等の早期制定などについて御協力を求めたところであります。これは、国会審議等を通じて御指摘が随分あったところであります。
 また先般、15日の日曜日、山形県鶴岡市、大学発ベンチャー企業を生み出しております慶應義塾大学先端生命科学研究所、人工的にクモの糸を製造するSpiber(スパイバー)株式会社等を視察したところであります。
 これは幾つかのテレビでも取り上げられているので、関係の方は御存じかもしれませんが、クモの糸を石油資源によらずして人工的に作るという、アメリカ陸軍も出来なかった、NASAも出来なかったという技術を開発したものであって、これは慶應義塾大学先端生命科学研究所と密接な連携を持ちこういうベンチャーが出来たものであります。
 非常に強く、かつ弾力性があるというものであり、これを実現するというのは決して容易なことではない。これからいろいろな分野、自動車でありますとか飛行機でありますとか、あるいは防寒服といった分野で使われることが見込まれます。スパイバーというのはスパイダー(蜘蛛)とファイバー(繊維)を合わせてスパイバーというのだそうです。
 今般の中央機関の地方移転に伴いまして、鶴岡には国立がん研究センター研究所の一部も移転をいたします。これは実際に各社さんとも行ってみられると分かると思いますが、そういう地域、鶴岡というのは人口13万ぐらいのまちですよね。そういうところに最先端の研究所が出来る。慶應義塾大学先端生命科学研究所の富田所長が言っておられたのは、「こういうところにこそ、そういう研究が出来る場があるのだ。そして、その地域が良くなろうと思っているだけではだめで、この地域が良くなることが日本が良くなることだという意識を持ったところでなければ、それは発展しない」と、まさにこういうことだねというのが鶴岡を見て感じたことでありました。
 これから先、慶應義塾大学先端生命科学研究所には鶴岡の女子高生、男子高生、高等学校の学生たちがそういう研究のスタッフとして助手みたいな形ですね、もちろん学校が許可する範囲においてでしょうけれど、そういうところで若い子たちがそういうことに一生懸命取り組んでいる。学問を生かした地方創生の一つのモデルと思って非常に感銘を深くしたところであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)地方分権法の成立を受けまして、大臣のお受け止めをお願いします。
(答)これは、今回は、いわゆる地方版ハローワークということが非常に大きく取り上げられているものであります。実際にそれを地方に分権をいたしました。もちろん国のハローワークがなくなるわけではないが、国のハローワークと地方のハローワークがうまく連携をして、今までは、ここは全く交わらなかったのですが、こんな議論をいつまでしていても仕方がないので、結論を出しましょうということで多くの方に御尽力をいただき、こういうような解決を見たものであります。ですから、地方分権というのは面倒なことをやりたくないとか、いや、これはやらせてくれとかそういう話ではなくて、要は、地域に住んでおられる方々の利便性がどれだけ増していくのかということですから、地方分権というものがこれから先、権限だけもらっても金は来ないのでは困るわけです。また、権限だけもらっても、ノウハウはないということでは何のために分権をしたか分からないので、それは農地法の場合もそうでしたが、必要な財源あるいはノウハウ、そういうものがきちんと受け継がれるように、そして中央との関係が、協力が引き続き保たれるように、結果として地域住民の利便性が確実に増すように今後も取り組みたいと思っております。
(問)今の視察の関係で、学問を生かした地方創生のモデルという話がありましたが、以前、おといねっぷに視察された際も、教育というものが地方創生に一つの与える影響というのがあるのではないかという発言もされていましたけれども、今後、国として学問とか教育を生かして地方創生というのにどう結び付けていくことができるとお考えでしょうか。
(答)おといねっぷもそうですし、あるいは海士町の島根県立島前高校もそうですが、ここでなければ出来ないという教育をやることによって、おといねっぷなんというのは村立高校ですから、島前高校というのは、もう廃校寸前の県立高校だったわけで、そこにおいて、ここでなければ出来ないという教育をやることによって多くの子供たちが集まるようになりました。
 慶應義塾大学先端生命科学研究所というのは、これはもう世界最先端です。NASAもアメリカ陸軍も出来なかったというのは、そんなことが出来るわけがないではないかというお話で、だけども、そこに慶應義塾大学先端生命科学研究所が取り組み、国も支援をしということで、これもまた、先ほどの高校とは別の意味で、ここでなければ出来ないというものがあるわけですね。それも軽々にオンリーワンなんという言葉を使うつもりはないけれど、それはもう観光でもそうで、今だけ、ここだけ、あなただけというのがどれだけ求心力を持つか、訴求力を持つかということです。ですから、今の時期、鶴岡はタケノコが一番最盛期を迎えているわけですが、この湯田川のタケノコというのは全国的に有名なものなんだけれども、これはまだお日様が上る前に収穫をする。そうであるがゆえに、いわゆるえぐみというのか、タケノコ特有のそれがないという、日本で一番おいしいと言われるので、これまた人が大勢来るわけですね。ですから、突き詰めれば、教育であろうが観光であろうが、どこでも、誰にでも、いつでもというのではなくて、今だけ、ここだけ、あなただけというのをどれだけ究めるかということに尽きるんだと私は最近つくづく思います。ぜひご覧になってください。

(以上)