石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年3月4日

(平成28年3月4日(金) 10:15~10:28  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 昨日の夕方、「政府関係機関移転に関する有識者会議」を開催いたしました。「中央省庁の地方移転の基本的な考え方」と「研究機関・研修機関等の地方移転の今後の進め方」について御意見をいただいたものであります。
 昨日終わった後でブリーフィングはしているかと思いますが、念のため。中央省庁につきましては、「危機管理業務」、「外交関係業務」、「国会対応業務」について十分な配慮が必要である。その一方で、地方を対象とする「施策事業の執行業務」や、それと密接に関係する「企画・立案業務」は、現場に近いところで実施されることが効果的・効率的であるとの考え方に立ちまして、各機関について具体の検討を進めることについて御理解を得たものであります。
 今後の検討に当たりましては、移転対象となる業務の精査を行うとともに、この取組を契機として、ICTの活用を前提とした働き方の改革につなげていくべきである等の御意見を賜りました。これが中央省庁。
 研究機関等につきましては、今回の取組による研究拠点の設置が地域イノベーション創出のスタートとして今後発展していくため、年次プランの作成とフォローアップが重要な意味を持つという御意見をいただいたところであります。
 これらを踏まえまして精力的に検討を行い、今月中に、政府関係機関移転基本方針を決定してまいりますということです。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)国家戦略特区についてお尋ねします。東京の大田区で民泊の特区を活用した制度がスタートして1か月が経ちましたけれども、1か月経った時点で申請が3件と低調な状況に終わっております。どういったところに課題があり、今後、政府としてどのように対応されるのでしょうか。
(答)直近の数字を申し上げますと、これは報道にもございますが、1,000名ぐらいの方々が説明会にはおいでになった。で、具体的にどうしましょうかという御相談においでになっている、意欲が具体化しているというんでしょうか、具体の御相談においでになったのは3月1日現在で502件であるということであります。同じく3月1日現在で、もう間もなく申請しますという申請間近なのは10件程度、3月4日現在で具体に申請があったものは4件、認定をしたのは2件ということでございます。ということで、直近で見れば大分具体化をしつつあるというふうに思っております。もうすぐ申請ですというのが、3月1日現在で10件程度ですから、数は着実に増えていくだろうというふうに思っております。
 この大田区の条例の狙いは、あくまで安心して泊まれるということが第一だということであります。厳しいのだけれども、泊まりに来る方からの信用を得ることが大事なのだ、時流に流されることなく一定期間このままで進めるのが良いと思う、これは大田区長が会見でおっしゃっておられることです。
 他方、数が少ないのではないかというふうな御指摘をいただくわけでありますが、これは様々な原因が考えられる。6連泊以上というのはちょっときついのではないのとか、あるいは住宅用の火災報知機より高機能な自動火災報知機を設置しなければいけないというのはきついなとか、あるいは近隣住民の方々に事前に周知をし、その結果を文書で提出する必要があるというのも厳しいなということなんですけれども、さはさりながら、火災報知機を備えてなくて良いんですかということ、あるいは近隣の方々に周知をし、結果をお知らせするということはやらなくて良いんですかというと、それはそうはなりません。やはり安全というものを第一に考えていくということと、民泊解禁ということが両立しなければいけないわけで、今後更に丁寧に制度の御理解を深めながら、そのようなニーズに的確に応える、そしてまた安全がきちんと確保されるということが大事なのであって、現状で数が少ない、何か制度そのものに誤りがあったのではないかというふうには認識はしていないところでございます。
(問)すみません、所管外なんですけれども、アメリカの大統領選挙で今予備選が進んでいるんですけれども、共和党はトランプさんが今トップを走っています。トランプさんの主張の中に、日米安保に関して、アメリカの義務が大きくて不平等であるとか、日本はフリーライダーだというような主張があって、日米安保改定への意欲みたいものをにじませているのかなというふうに思うんですけれども、大臣はかねてから、日米安保条約の片務性は是正すべきだという主張をしてきて、対等な日米関係が必要であるというような主張を訴えていると思うんですけれども、このトランプさんの日米安保を改定すべきだという、何ていうんですかね、目的の一致する部分で共感できる部分があるのか、それとも、大臣自身の改定論とは文脈が異なるというふうに考えていらっしゃるのか、そこの所感を伺えますでしょうか。
(答)これは、総理が昨日、委員会でも答弁したところでありますが、他国で実際に今選挙が行われている段階であれこれ日本政府の閣僚の任にある者がああだのこうだのと言うことは決して好ましいことではないというふうに思っていますし、私、トランプさんというのは、すみません、会ったこともないし話したこともないので、真意というものは理解しかねるところであります。
 ただ、この選挙云々かんぬんということと別に申し上げれば、日米安全保障条約の構造というものをかの国もそうですし、我々もそうですし、どれだけ理解しているんでしょうということはございます。ですから、変えるべきとか、変えざるべきとか、そういうことを私は申し上げる立場に今ございませんが、この手の話をしますときは、条約を全部読みましょうということが、そんなに長い条約じゃありませんのでね、そして、旧安保とどのように違うのでしょうかということ、そして、それと一体をなします地位協定というもの。よく地位協定を変えるべきだという方がおられて、それはそれなりに傾聴に値する御意見も多々あるわけですが、それは、これセットなので、地位協定と安全保障条約はですね。地位協定だけ独自に変えるということは、なかなか論理的には難しいのではないかという意見をかつて文書にしたことも私はございます。要は、どうあるべきかという議論の前に、この条約の構造というもの、あるいは歴史的経緯というもの、そこにおいてトランプ氏が言うがところのフリーライダーというのは、本当にフリーライダーですかと。日米安全保障条約は、よく非対称双務条約と言われております。決して片務条約ではない、双務条約なのだけれども、果たすべき義務が異なっているという面において、極めてユニークな条約でございます。それをどう理解をし、どのようにして変えようとするのか、あるいは今のまま行こうとするのか、条約の条文を、母国語のみならず、我々もきちんと英語で読まなければいけないし、彼らに日本語で読めというのはなかなか難しい話なんですけれど、両方の言葉できちんと理解をする。そうでないと、少しニュアンスが異なることがございますので。それは、日米安全保障条約のみならず、日本語にすると同じような文章なんですけれど、それがNATO条約ではどのように英語で表現されているか、あるいはアンザス条約ではどのように英語で表現されているか等、まず事実関係の正確な理解というところから始めなければいけないのではないかなというふうに思っておるところでございます。
(問)またちょっと所管外で、すみません。自民党の憲法改正草案についてお伺いします。今、国会のほうでも安倍首相が、在任中の憲法改正について意欲を示したり、憲法改正の議論が盛んになっていますが、今現在でいうと、自民党の考え方は自民党の憲法改正草案だというふうな主張もされていて、憲法改正草案に対しての評価、またその意義とかについてお考えがあれば教えていただければ。
(答)これは完全に所管外なので、国務大臣としてお答えするわけではありません、念のため。それは、私は与党のときもこの憲法改正草案の起草委員でもございました。野党のとき、谷垣総裁の下でやりましたときも起草委員でした。ですから、あの憲法改正草案には責任を持つべき立場におります。ただ、今の時点でこの憲法改正草案が自由民主党の考え方であるわけですが、今後どうするか、つまり、この起草に携わっておられない方々が自民党議員の相当数をなしておりますので、まず、そこをどう考えるかというお話ではないか。自民党として今この憲法改正草案が直近のものですけれど、これを国民の皆様方に問う場合には、やはり所属国会議員がきちんとその内容を理解するということは当然執行部において進めていかれるものだというふうに考えております。内閣としてあれを提案するわけではございませんので、自由民主党の中で決まったというものでございますが、これを実際に国会において議論をする際には、また一工夫、二工夫あるのかもしれません。総理が答弁も致しておりましたが、国民主権、平和主義、基本的人権の尊重という、これは憲法改正条項があるということに関わりなく絶対に変えてはならないものというのはあるわけでございます。その立場は普遍でありますし、あとはそれぞれの条文について、これを今後国会に出すに当たってどのようにするのかということは党内の議論なのであって、私が今の立場であれこれ申し上げるべきものではございません。

(以上)