石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年2月23日

(平成28年2月23日(火) 9:00~9:17  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 27年度の補正予算でありますが、これに入っております地方創生加速化交付金についてお手元に資料をお配りしておるとおりであります。2月17日を締切りとしておりましたものでありますが、申請状況は御覧のとおりのものであります。
 都道府県は全47団体からの申請がございました。市区町村につきましては、都道府県の取組の度合いにより、全市区町村が申請しているところは15でございます。申請率は低いところもあり、ばら付きが見られます。全体で見ますと、9割を超える、91%の1,578団体から申請があったものであります。都道府県と市区町村を合計しますと、1,625の団体から事業数にすれば2,744、額にして1,253億円という多くの申請を受け取ったところであります。
 分野的に申し上げれば、しごと創生、地方への人の流れ、働き方改革、まちづくり、広範にわたって申請がなされておるものでありますが、今回の加速化交付金は補正予算でもございますし、一億総活躍の緊急対策においてしごと創生に重点を置いておりますので、その分野が半数を占めておるということであります。
 今後、審査を進めまして、3月中旬を目途に交付対象事業を決定してまいります。本交付金によりまして、各地方公共団体において地方版総合戦略の取組の先駆性を高め、レベルアップを図っていただきたいと思っております。これが1点。
 第2点は、首都圏在住の方々を主な対象として、これまで地方創生フェスとして、2月5日金曜日、9日火曜日、17日水曜日、3回にわたりましてテーマごとに地方創生についてお話をいただくワークショップを開催してきたものでありますけれども、これの最終イベントとして今週末土曜日、2月27日午後1時から午後3時まで渋谷ヒカリエにおきまして「地方創生フェスinヒカリエ」を開催するものであります。
 これは何度か御紹介をしましたが、秋田在住の漫画家であります「こばやしたけしさん」、「地方は活性化するか否か」の著者でありますが、この方と私のトークセッション、あるいは地方で活躍をしている若い方々が集まるパネルディスカッションを行うものであります。ワークショップの模様も、これまで開催したものでありますが、御報告したいと思っております。これも定数650に対しまして、倍以上の1,354名の方々から御応募をいただいております。有り難いことであります。
 その他にもふるさと名品、移住情報、RESAS体験ブースなど出展エリアを設けるものであります。どなたでもこれは御自由に参加をできます。定員があるわけではございませんので、多くの方々に御来訪いただきたいと思っております。
 個別の話で恐縮でありますが、テレビ東京で地方創生に関する番組を放送いただくということになっております。3月の毎週土曜日、朝の7時から7時半まで、全4回で、「暮らす」・「まち」・「稼ぐ」・「IT」、この四つのテーマに即しまして、全国の事例を分かりやすく御紹介いただけるというふうに承知をいたしておるところであります。
 こういうふうにイベントとか情報発信とか似たようなお話ですが、私どものほうとしてもイベントを開催し、また、メディアの方々にも情報を発信していただくということで地方創生の関心、理解というものが今日まで高まってきているというふうに思っております。更にこういうものを行い、地方創生という大きな流れを作りたいなというふうに私としては思っておるところであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)地方創生加速化交付金のことでお尋ねいたします。26年度の補正で同じような交付金をされた際には、外部の方も招いて審査を行われたかと思うんですけれども、今回そのようなことにはなっていないとは思いますが、どのようにして透明性ですとか公平性というのを担保されるお考えでしょうか。
(答)これは何しろ作業量が実に膨大なものでありまして、それぞれ有識者の方々にお願いをしてということも難しかろうかと。また、御指摘の26年度の補正においてノウハウというんでしょうか、大体こういうふうにして審査という言い方が良いかどうかは別として、考慮させていただくというか決定させていただくというか、そういうことだと思っております。
 これは既にお示しをそれぞれの団体に対してもいたしておるわけでありますが、もうかなりくどく言っておりますが、KPIの設定、PDCAサイクルの整備というのは、これが大前提であります。自立性と官民協働と地域間連携と政策間連携と、この四つが重点ですよということも方々申し上げておるところであります。
 自立性というのは、行政からの補助金というものに頼らずにその後自立的に─立つというほうの自立ですが─やっていくことができるかどうかということがポイントだと。第2番目は民間の皆様方とともに行う事業であるかどうか、官民協働、そして、広域的なメリットを発揮するがために他の地方公共団体と連携をしているかという地域間連携、そして、単一の政策目的しか持たないという事業ではなく、複数の政策を交互に関連付けて、全体として地方創生に対して効果を発現するかどうかという政策間連携、この四つを重点的にポイントとして挙げておるところでございます。
 このような基本的な考え方、そして、評価項目ごとの配点を含む評価基準につきまして、繰返しになりますが、公共団体の皆様方にはよくよく申し上げておるところであり、また、2月17日が締切りでしたが、1月末まで御相談には幾らでも応じますよという形でも周知をしておるところであります。ですから、何度も御相談をいただき、内容を直して、この基準に沿うように書いていただいたというか、作文でもないですけれども、出していただいたというところも多くあれば、全く何の御相談もなく、ぼーんと出てきたものもあれば、ここはいろいろでございます。
 いずれにいたしましても、この評価基準に基づきまして、地方創生先行型交付金の先駆的事業分タイプⅠの交付対象事業を決定した際の外部有識者の審査のやり方を参考としながら、事務局において、お一人が決めるということではなく、地方創生推進室長の下で室長代理、次長が3名、参事官8名、参事官補佐8名、主査等々11名、こういう方々で休日返上、不眠不休の体制でダブルチェック、トリプルチェックを行っているものでございます。
 以上によりまして、公平性・透明性は確保いたしております。これも見ていただければお分かりのとおりで、先駆性を有する事業に対して予算の範囲内で交付をしていくということで、恣意性(しいせい)というものを可能な限り排除し、透明性も確保していくというものだと私は認識をしておるところであります。
(問)ちょっと一般論も含めてなんですが、例えばこの地方創生加速化交付金とか地方版総合戦略とか、各地方から申請を求めるという事柄が多いと思います。例えば大臣なりにやる気の自治体、余りやる気が感じられない自治体等あると思うんですけれども、その差というのはどういうところで生まれているとお考えでしょうか。
(答)これはいろんな要素があろうかと思いますが、やはり都道府県がどれだけきちんとこれを理解し、知事あるいは担当局長とかそういう方を置いて、それぞれの自治体にずれが生じないように一生懸命取り組んでいただいているところと、市町村御自由にみたいな、そういうところもないわけではない。やはり都道府県と市町村の連携がうまくいっているところと、いま一歩かなというところもあるような気がいたしております。
 もう一つは、民間の方々からのいろいろな働きかけ、前から「産官学金労言」と、こう言っているわけですが、民間が一生懸命やろうという形で行政を巻き込んでやっている。従来、官と民は結構距離があったんですけれども、「産官学金労言」で民間の方々、言論機関も入ってこれ頑張ろうじゃないかと言っていただいたところと、まだまだお任せ民主主義みたいなところと、やはりそこは明らかに差が出てきているかなという感じがいたします。
 ですから、大臣室にお出でになる首長の方々もそこに議員さんや自治体のスタッフの方もお見えですが、本当に良いですね、頑張りましょうという一体感のあるところと、何だかそこに市長や町長は一生懸命演説するんだけれども、あとは何となく一歩離れて見ているようなところと、ここは明らかに違いがあるような気がいたしております。
 「町長、そうだよな」とかいう感じで議員も呼応し、職員の方々も下向いているんじゃなくて一生懸命うなずいているところがありますよね。そういうところとそうじゃないところは、これはそういうものだと思います。それがそういうみんながうなずき、みんなが発言するみたいなところがだんだん増えてきたなという感じはありますが、これを更に広げていかなければいけないなと思っております。
(問)所管と関わるんですが、議員定数の削減の議論が今行われていて、どの自治体かまだ明確に決まっていませんが、議員の定数削減はする方針で各党固まって、ただ、人数を減らすことに対しては、要は地方創生と安倍政権は言いながらも地方代表の人間を減らすのかという反発する声もありますが、所管大臣としては、その議員の定数削減についてはどのようにお考えでしょうか。
(答)司法から求められているのは、法の下の平等に由来します一票の平等ということが求められているのであって、立法府と司法との関係からいえば、議員の数というものは求められているわけではありません。ここはきちんとしておかねばいけないことだと思います。これが民主党政権末期の野田総理と安倍総裁とのあのやりとり、私も現場におりましたが、そこにおいて、これから国民の方々に対して御負担を求めねばならんと。消費税にしてもそうでしょう、社会保障改革にしてもそうでしょう。そうであるならば、身を切って国民の方々に御理解を求めなければならないのだというところもみんなそこは一致をしている話だと思います。
 他方、地方創生と言いながらということになるわけですが、司法から求められているわけではないので、これは政治の判断になるわけですね。そこにおいて、地方創生の観点から地方の議員というものを余り減らすべきではないという考え方にも私は説得力がない話だとは思いません。憲法上求められているのは1対2ということであると。身を切らねばならないこともまた事実であると。そこでどうするかを考えるときに、余り議論の中心に出てきませんけれども、では比例区を随伴している今の選挙制度をどう考えるんだいということだと思います。もちろん比例もいいかげんに数字が決まっているわけではなくて、ここも人口に応じて比例の数は決まっているわけですけれども、これは細田さんがよく言うことですが、東京で考えてみた場合に、比例は全部東京がエリアなわけですよね。そうすると、その場合に比例も合算した一票の格差というのはどうなんでしょうねという議論があって、そのときに定数をどうしますかというお話も今後、党内でなされるのかもしれないなと。これはあくまで推測でございます。
 それから、これはもうずっと議員になったときからある話なんですけれども、やはり議員の数というのが発言力に結び付くところがありまして、地方がどんどんと人口が減ると。農山村が荒廃をし、シャッター通りがいっぱい出来てと。そこからこれ以上減らしてどうするんだということになります。
 そこは、ここも余り取り上げてもらえないことなんですけれども、地方分権というものをどうするんだと。地方の発展というものを担うのは自治体なのであって、国会議員は外交、安全保障、財政、教育の基本、通貨、そういうものに特定すべきだというお話もどこかでしなければいけないことだろうと思っております。分権の度合いがまだ足りないのではないかということはあって、やはり地方の発展の第一義的な当事者は自治体なのだというお話、これは私が前に御紹介しましたが、政治改革の議論のときに細川総理とこの小選挙区制というものをきちんとワークさせていくためには、地方分権を徹底すること、そしてまた、政党というものをきちんと法律によって位置付けることが必要ではないかというお話をしたのはもう20何年も前ですが、まだそこがきちんと出来ていないことに私自身もちょっと努力が足りなかったかなという気はいたしております。

(以上)