石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年1月29日

(平成28年1月29日(金) 10:00~10:19  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 私からは特にございません。
 御質問があれば承ります。

2.質疑応答

(問)甘利前経済再生担当大臣の件なんですけれども、建設会社の関係者から現金を受け取ったことなどから、昨日、辞任されました。大臣の受け止めをお願いします。
(答)これも報道の限りでしか存じません。甘利前大臣の会見も私、同じ時間に別の会合があったもので、実際に拝見をしておりません。甘利前大臣のおっしゃったことが全てだというふうに思っております。
 御自身は、建設会社の方から渡されたものを処理するように秘書さんにおっしゃったということで、それが甘利前大臣の健康上の理由等々があり、一括して100万円として計上したというようなことは報道で拝見をしておるところであります。それは適正に処理をされたというふうに承知をいたしております。
 その他の甘利前大臣が監督責任とおっしゃっておられることについては、更に調査をするということでありますから、その結果を見ないままにあれこれ論評すべきだとは思っておりません。
 甘利前大臣が3年間にわたってTPP交渉あるいは経済再生ということについて、言葉に尽くせないほどの努力をされたということに心から敬意を表し、そして、国政に一瞬たりとも停滞があってはならないということで職を辞されたということに対して敬意を表し、甘利前大臣の思いであります経済再生というものが国政に停滞を生ずることなく果たされていく、そのために地方創生という私の職責からしても力を尽くすことが甘利前大臣の思いに応えることになるというふうに認識をいたしております。
(問)関連ですけれども、正に甘利前大臣はアベノミクスの推進役でありまして、安倍政権にとっては非常に重要な役割を担ってこられましたけれども、今後の政権運営に与える影響については、どうお考えでしょうか。
(答)それは、政権運営というものが安倍内閣にとってどうのこうのというよりも、それは全て総理をはじめとして国家国民にとってどうなのだということだと思っております。さすれば、あれほど大きな仕事をされてきた大臣でありますから、また後任たる石原大臣も、今まで幹事長や政調会長や、あるいは国交大臣等々を務められ、私も一緒に何度か仕事をさせていただきました。また、税制調査会においても、言葉の善し悪しは別としてインナーとして高い識見をお持ちだということはよく承知をいたしております。石原大臣がその能力、識見を生かして甘利前大臣がやってこられたことを引き継がれることだと思っておりますし、また、ローカルアベノミクスということについて申し上げれば、アベノミクスのかなりの部分をなすものであります。それは、加藤一億総活躍担当大臣や、あるいは森山農林水産大臣、あるいは林経済産業大臣等々、関連する閣僚もおりますので、更に連携を密にして、政権運営への影響というよりも、国家国民の暮らし、あるいは経済そのものに対する影響がないようにしていくのが政府・与党あるいは私ども閣僚の務めだというふうに認識をいたしております。
(問)ちょっと関連なんですけど、政治と金をめぐる疑惑で閣僚の辞任が安倍政権で相次いでいます。今回の件に関しても、多分、政治と金という問題で、政治家への信頼というものが揺らぎかねない問題でもあるのかなと思うんですが、改めて政治と金の問題について、もし、大臣、お考えがあればお聞かせください。
(答)これは、私が当選1回のとき、30年も前ですね。当選1回のときにリクルート事件なるものがありました。そこからずっと連綿と議論されていることであって、そこから余りに金がかかるということで小選挙区制というものが導入をされ、政党助成金というものが導入をされということでございます。
 それから、古い話ですが、細川内閣で政治改革関連法案が審議をされたときに、議事録をご覧いただければ分かりますが、あのときに私は自民党で政治改革特別委員会で質問に立ったことがあります。細川総理と何度かのやりとりをさせていただきましたが、仕組みとして小選挙区制が導入されて、政党助成金が導入をされるということだけで政治改革が終わりではない。やはり国会議員というものが、地域の利益というものに関わらないようにするということからすれば、地方分権というものが更に進められなければいけないし、政党が政党助成金というものをいただくという、国民からそういうような立場を与えられるとするならば、政党は国民に対していかなる義務を果たすべきなのか、政党法というのが我が国にはないし、憲法上ももちろん位置付けがないわけですね。ですから、選挙制度の改革、政党助成金の導入、地方分権の徹底、そして政党法の成立、これをもってして政治改革というのは完成するのだというようなことを申し上げた記憶がございます。建設業者さんがURに絡んで建設業者からの依頼を受けたということは、国会議員なるものが地方のいろいろな問題について、職務上の権限云々という話はまた法律上の話ですから置きますが、国会議員に頼むと何かしてもらえるのではないかということは、そういう思いを抱かせるような仕組みというものをどう考えるか。また、それが地方におりたらば、地方議員さんは良いのかというと、またそこはややこしい話になるわけで、これを仕組みとしてどうするんだろうねということだと思います。
 だから、そこに金銭が絡むということは、そもそも問題ではないかということになるわけですけれども、世の中はいろいろな複雑なことがあって、いわゆる口利きのたぐいというものをやっても意味がないのだよという仕組みをどう作っていくのかなということもあるんだと思います。これは、もう新聞にあれこれ出ているように、いろいろな閣僚や議員や総理とかそういう方々が、御本人は関係ないにしても、そういう事務所関係のことで責めを問われるということをずっと見てきました。そのたびにこの問題が出てくるわけです。だから、金銭に対して清廉潔白であれということと同時に、お願いする側が、これをやると何か効き目があるかもしれないというような期待感というのかしら、期待感という言い方は変ですが、持たせないための仕組みって何なんだろうねということも併せて考えていかなければいけない、両方だと思いますね。だから政治家、あるいは政治家のスタッフの皆さん方の倫理観というものと、そして依頼する人がいるわけで、そういう人たちが、ひょっとしたらというような思いを持たせないための仕組み、どちらも大切なことだと思っております。
(問)またもう一問関連で、今回、甘利前大臣は、例えば地元事務所に、要職に就かれていることもあってなかなか目が行き届かなかったということもおっしゃっていまして、例えば、石破大臣もずっと要職に就かれていてなかなか地元に帰る機会も少ないと思いますが、今回の甘利前大臣は、そういったことを言ったことに対してお気持ちが分かるというか、なかなか地元事務所に本当に目が行き届かないものかどうか、政治家としてちょっと教えていただければと思っています。
(答)これは、目が行き届きません、ごめんなさいということで世の中の人がそうか、そうかと言ってくださるようなことではないことはよく承知をいたしております。
 私も閣僚になる前は、もう十何年も前のことになりますが、特に当選1回、2回の頃は週何回も帰っていましたが、それなりに責任のある地位に就くと、全国もお手伝いに行かねばならん、全国の状況も知悉(ちしつ)をせねばならん、東京でやらなければいけないこともいっぱいある、月に1回ぐらい地元へ帰ったとしても、なかなか事務所というものに長時間いて、いろいろなことの気配りに欠ける点は否めないと思っております。
 もちろんいろいろな関係書類等々は自分で見なければいけませんし、そういうふうに心がけておりますが、やはりそこは東京のスタッフと地元のスタッフがよく連絡をとりながら、その点、うちの事務所について申し上げれば、本当に信頼するスタッフたちが良くやってくれていると思っています。しかし、最終責任は国会議員が負うべきものなので、そこは信頼しているということもあります。甘利前大臣も、恐らく全幅の信頼を置いておられたのだと思います。ということと同時に、可能な限りというかな、全責任を負うべきは政治家ですから、やっていかねばならない。そこにおいて、またここは党でいろいろな御議論があることだと思いますが、そういう政治家の事務所のいろいろな経理等々について、更に正確、厳正、公平を期すような仕組みが考えられないかということは、党において御議論があることなのかもしれません。
(問)甘利前大臣の辞任に関連してなんですが、先ほど大臣おっしゃっていたように、甘利前大臣は、建設会社からの金銭授受を認めた上で辞任を表明されました。大臣に関しても、大臣室や事務所のほうで金銭を直接受け取るようなことというのはあり得るのでしょうか。
(答)それはございません。
(問)すみません、地方創生の関係なんですが、政府機関の地方移転で、27日に省庁と道府県との意見交換がありました。省庁側は、消費者庁は職員を派遣するといった以外は相変わらず反発が強かったそうですが、大臣は日ごろ、国民全体のためになるのかが大事だとおっしゃられていますけれども、こうした省庁側の抵抗と言ってもいいのか分からないですが、反応をどのように見られましたでしょうか。
(答)それはいろいろな意見があるのは当然で、実際に消費者行政を担当しておられる方は、抗弁がある。だから、河野大臣がおっしゃっておられるように、それでは、それを仮に、徳島なら徳島にしたとして、どんな支障が生じるんだろうねというのはやってみなければ分からないことですよね。ですから、河野大臣だってそういうような実証的な検証も経ないままに、とにかく移転だということをおっしゃっておられるわけではない。消費者行政というのは、本当に東京でなければ出来ないことなのかどうか。テレワークが発達をしている、通信が発達している、交通が発達している。また、消費者というのは、何も東京だけにいるわけじゃないですよね、北海道から九州・沖縄まで全ての地域にお住まいの方々、全て消費者なのであります。そうすると、省庁間の調整というのもあるのでしょう。ですが、適切な消費者行政の企画立案というものが行われて、それが全国にあまねく適切な消費者行政を行われるためには東京でなければ駄目なんですかということを実証してみよう、あるいは消費者庁の設置のいろいろな条項に書いてあるような危機管理業務というものが、これが防衛省とか警察とか海上保安庁のように、実働部隊を動かすというものではないわけですね。例えば、防衛大臣、防衛省というもののように、海上保安庁であるとか、あるいは警察諸機関であるとか、そういうものと常に連携をとりながらやっていかねばならないという実働部隊を動かすというものと、消費者庁の危機管理行政というのは、あるいは違うものなのか、本質的に一緒のものなのかということは、これから先に議論が行われることです。ですから、移してみてどうなんだろう、それが本当に消費者庁の行政というものが国民にとって支障があるのかどうなのかという、とにかく実証をちゃんとやるんだというような河野大臣の見識というのは、私は正しいものだと思っていて、今からどっちがどっちということを実証も経ないままに申し上げるべきではございません。
(問)質問の趣旨が、消費者庁以外の省庁が全体的に抵抗感が強くて、消費者庁はやると言っているのであれなんですけど、霞が関の抵抗が余りにも強いという印象を受けたんですけど、それについてどう思うかという質問だったんですが。
(答)そうですか、失礼しました。
 それは、抵抗なしにこんなことが出来るとは思っていません。ですから、その抵抗が、国民全体にとって望ましくないという立論であるのかどうかということに尽きるんだと思います。国民全体にとってこういうような支障が生ずる、弊害が生ずるということであれば、それは抵抗というよりも意見なんでしょうね。だから、我々政治の側も行政というか官僚機構の側も、常に議論の中心は、国民全体にとってどうなんだろうということですし、そして東京一極集中排除というのがもう一つあるわけですね。このまま東京圏に人も物もお金も集まるということは、国家のサステナビリティを失うものだという認識は根本にありますから、そういう行政があるところ、行政の中心があるところに人とか物が集まるということがありとすれば、地方創生あるいは一極集中排除という大目標の下においてどうなんだという、今日の自民党本部であったような議論という観点もあると思います。
 紙面的にいえば、政治家対抵抗する霞が関みたいな構図が一番分かりやすいんだと思いますけれども、そういうような話というよりも、国全体にとってどうなんだろうという観点からまた御論評をいただきたいものだと思っています。

(以上)