石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年1月26日

(平成28年1月26日(火) 10:03~10:18  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 本日の閣議におきまして、国家戦略特区の区域を追加指定する政令を決定したものであります。既に御案内のとおりでありますが、1月29日付で3次指定として、「広島県及び愛媛県今治市」を新たに追加する。東京圏の対象区域に「千葉県千葉市」を追加する。福岡市の特区を、「福岡県福岡市と北九州市」の特区とするというものであります。結果として、全部で10区域になります。特区の区域の追加に合わせて、総理大臣が各特区ごとに定める区域方針の決定又は追加変更をいたします。今後速やかに特区ごとの区域会議を立ち上げ、具体的な事業を定める区域計画を作成していくということになります。これが一つ。
 もう一つは、RESASを活用した政策立案ワークショップであります。自治体の皆様方がこのRESASへの理解を深め、政策立案に活用する方法を議論するワークショップでありますが、来る金曜日、1月29日、松江市において開催をするものであります。
 これは観光分野の有識者であります公益財団法人日本交通公社の山田雄一主任研究員をお招きして開催するものでありまして、松江市、出雲市、安来市、さらには鳥取県境港市、米子市、5市の合同開催によるものであります。「中海・宍道湖・大山圏域」の観光振興策について、RESASに基づき分析をし、新たな政策を立てるということであります。
 この様子は動画で撮影・配信をして、全国の自治体の皆様方の間でRESASを活用した政策立案に関わります知識・ノウハウを共有したいと思っております。
 今回は5回目でございますが、このワークショップによりまして、例えば福岡県うきは市は、地方版総合戦略の策定が県内で第1号となったでありますとか、愛媛県の新居浜市・西条市のように、この2つの市が産業振興での連携を一層強めることが確認された等々、成果が現れているものというふうに認識をいたしているところであります。
 次に、政府関係機関移転に関する事務局・有識者合同意見交換会についてでありますが、これも貼り出しをしているとおりであります。明日、1月27日、まち・ひと・しごと創生本部事務局及び「政府関係機関の移転に関する有識者会議」の有識者と、中央省庁関連提案の道府県及び関係府省庁との意見交換を行います。
 この意見交換の趣旨でありますが、これもいつも申し上げているとおりで、なぜそこなのかということ。移転することによって、全国的なメリット如何(いかん)というような論点です。また、幾つかの事実関係の確認も行うということが予定をされております。
 これは公平中立な議論を行いたいので、意見交換自体は非公開でありますが、内容につきましては当日、事務方からのブリーフィングについて中央合同庁舎8号館5階の共用会議室Cで17時より行います。
 以上です。

2.質疑応答

(問)政府関係機関の移転についてですけれども、明日、その意見交換があるということですけれども、これまでその担当大臣の河野さんとか馳さんが、消費者庁ですとか文科省の移転を、この前提にというような話もありましたが、明日の意見交換の中でも、そういう方向の下で議論をするのか。そういうことではないのか。その辺はどうなるんでしょうか。
(答)別に、そういう方向というのを前提でやるわけではございません。それは河野大臣なり馳大臣なり、担当大臣としての認識を示されたものでありますが、明日は、なぜそこなのだろうかとか、そこに移って全国的なメリットがあるんだろうかというようなことを、予断を置かずに議論をするものであります。
 最終的に決定をしますのは創生本部において決定をするものでありまして、もちろん、それら大臣の御発言というのは非常に重く意味のあるものでありますが、前提に明日の議論が行われるとは承知をいたしておりません。
(問)関連してなんですけれども、改めて、明日の中央省庁移転に関する会議で大臣が期待されることがあれば教えていただけますでしょうか。
(答)これは何しろ明治以来やったことがない話でありますので、それによって、京都でもそう思ったのですけれども、今と同じ行政の機能が発揮されるのは当然のことですが、移ることによって更に大きなメリットというのがあった方が望ましいことだと思っております。
 単に移せば良いというものではなくて、そのことによって、今よりも行政サービスが低下してはいけないのは当たり前のことですが、更にそれが地方創生という、その地域にとってのみならず、それが移ることはそこに人が来るわけですし、仕事も出来るわけで、地域にとっては良いことだという話なのですが、それが全国にとって更に大きな効果があるというようなことを議論されると、単に物理的に移すだけ以上のものが得られる。地方創生というのは、その地域がということのみならず、全国が良くなっていくんだということですから、そういう議論があると良いなというふうに、私は思っています。
(問)今の話に関連してなんですけれども、この前の総理の施政方針演説、先ほど大臣から、その明治以来やったことがないことだという、これは結構大きな意味合いの持っている、象徴的な話だと思うんです、移転がですね、地方創生にとってはですね。ただ、その施政方針演説では地方創生には触れていましたけれども、いわゆる政府機関移転の話には触れておられなかったと。この点、大臣、どう受け止められますか。
(答)これは有識者会議というものをきちんとやらねばならんということだと思います。有識者の御議論も経ないうちから、そういうことに言及すべきではないという判断だったのではないかなというふうに、これはあくまで推測でございます。
 そしてまた、一つの政府機関をめぐって複数のところが手を挙げているとかですね、いろんなことがございますので、先般の二之湯議員の参議院決算委員会における質問に対して、総理がお答えになった、そこに総理の含意があるものだというふうに思っております。特定のところというものが、まだ議論の俎上(そじょう)に、ピンポイントで決まったものではありませんので、先般の参議院での答弁が総理のお気持ちかなというふうに思っております。触れたか、触れないかのことについては、私が言及すべきものではございません。
(問)ちょっと話題変わって 、地方版総合戦略の件なんですけれども、今、策定が大分進んできて、地域間連携ということを非常に重視されているかと思うのですが、連携をしたからといって、例えば著名なところであれば人を集客する効果が生まれるかもしれないのですが、等しく、じゃあ連携したところ全てに等しく効果が現れるかどうかというのは、やってみなければ分からないところはあると思うのですが、その連携したからといって効果が等しく出るかどうか分からないという点に関しては、どのように対応をお考えでしょうか。
(答)連携することでマイナスは絶対にないと思うんですね。ヒト、モノ、カネの流れというのは、自治体で分断されているわけではない。例えば先ほどの松江市、安来市、出雲市、あるいは米子市、境港市、そういうようなところに来る人は、そのエリアに行こうと思って行くのであって、松江市に行こうとかですね、境港市に行こうとか、そういうような意識ではなくて、あの辺に行きたいなということだと思います。
 そうすると、地域間が連携することによって、滞在時間を長くする、あるいはそのお客が増える。そこに一つのストーリーを作って、長い時間滞在をし、多くのお金がそこに落ちるというようなことを考えたときに、著名でないところならばなおさら、そこに行くインセンティブが効かないわけです。幾つかが連携することによって、量的、質的な集客力効果を高めるということはあるんだろうと思っています。
 また、物流においてもそうなので、それぞれのところがどのようにして物が動いているか、お金が動いているかということを考えたときに、連携したほうが、そこの連携したところに落ちるお金というのが増える。これは、そこは私のところの町の、私のところの市のお金は、物は、どういうふうに動いているんだろうねということを考えたときに、連携することに大きな意義はあるというふうに思っております。
 それは、効果がでないところもあるかもしれないけれど、効果を生むところのほうが多いのではないかなと思っております。
(問)また話変わって恐縮なのですが、与党の税制改正大綱で、法人住民税、国税化にしていくという方針があってですね。それに対して、財政力の強い愛知県の大村知事が、企業誘致の努力に水を差すというふうに反発しています。例えば地方創生で言えば、財政力ある自治体、また全然ない自治体とですね、様々ある中で進めていく、その難しさもあって、それを象徴するエピソードなのかなとも思うんですけれども、こういう財政力のある自治体から反発が出ていることに対しては、もし大臣、お考えがあればお願いします。
(答)そのような御見解を愛知県知事が発表されたということは承知をしておるところでありますが、今回の法人住民税の国税化そのものにつきましては、地方創生の推進を図るという目的のもとに、消費税率の引上げに伴う地方消費税の充実に合わせ、地域間の財政力格差が拡大することがないように、偏在性の大きい法人税割の一部について国税化する。その税収全額を地方交付税の原資に充てるとともに、不交付団体の減収分も活用して地方財政計画に歳出を計上すると。
 これだけ読んでも何のことだかよく分からないんだろうと思いますが、財政の豊かなところから、財政の厳しいところ、すなわち先ほど申し上げましたように税収全額を地方交付税の原資に充てるということになっているわけですから、財源保障、財源調整という交付税、地方交付税の持つ機能というものをきちんとワークさせるためのものだというふうに認識をしておるものでありまして、そうした措置は全国知事会の御要望にも沿うということであります。
 個別の団体では今の豊田市のように、地方税としての税収が減収となるというところも確かにあるわけでございますが、この不交付団体、もともと豊田市は不交付団体でございますので、これについては、この言い方はともかくとして、超過財源があることから財政運営に特段の支障が生ずるということではないということだと思っております。
 それに対して、努力したのに何だいというような反発もあるわけで、そうすると、その地方交付税の機能というものをどう考えていくかということに最終的には帰着するものであります。そこは総務大臣の所管でございますので、私から立ち入ったことを申し上げるべきではございませんが、この税制改正に伴う減収、これを補塡するための地方債-借金ですね、これについても検討を総務省としてはしているというふうに承知をいたしております。この減収額を対象に、地方債の発行を可能とする特例規定を設けるというようなことも、総務省としてはお考えだというふうに聞いておるところでありまして、安定的で偏在性の少ない地方税体系をどう構築するかという、そういう根本論だと思いますね。

(以上)