石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年1月19日

(平成28年1月19日(火) 8:56~9:11  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 私から冒頭2点。
 1点は、お手元に資料をお配りいたしておりますプロフェッショナル人材事業の進捗についてであります。
 一部報道でも取り上げていただいておるところでありますが、全国38カ所、プロフェッショナル人材戦略拠点が活動を開始しております。
 この拠点は、都市圏の大企業などでの実績や経験に基づいて地域企業経営者の片腕となって新事業の立ち上げ、新たな販路開拓等をリードできるプロフェッショナル人材の地方還流を進めるために、地域の潜在成長力のある企業に対し個別に新たな事業展開を促し、それを実現するプロフェッショナル人材の採用をサポートするという事業であります。
 お手元にリストを配付いたしておりますが、各道府県のマネジャーの選任作業には知事自らが立っていただく。
 広島の例もありますが、マツダをはじめとする地域を代表する企業の役員経験者、商社の幹部を経てUターンをされた方など事業経験の豊富な方に御就任をいただいておるということであります。
 これらの方々は、現在、地域の経済団体、金融機関、産業支援団体等と連携し、地域の有望企業を回りながらプロフェッショナル人材ニーズの発掘を進めておるということであります。今後、民間人材サービス事業者と協力をして、その採用を支援していくということでありまして、年度内には、東京都、沖縄県除きます全道府県で拠点が活動開始を予定しております。今後、都市部の企業との協力関係も構築することでプロ人材の還流を加速していきたいというふうに考えておりまして、地域企業及び都市部の企業の双方の皆様方に本事業を御活用いただきたいというふうに思っております。
 第2点は、明日1月20日、「地方創生☆小さな拠点づくりフォーラム」を開催いたします。場所は虎ノ門のニッショーホールであります。
 このフォーラムでは、「小さな拠点」の形成に取り組む地方自治体関係者の方々、地域住民の方々、民間事業者等を対象といたします。
 これは、またいずれかの機会にお話をしたいなと思っているのですが、島根県雲南市長-速水市長であります-に、この取組の紹介をいただきます。これは先般、私も現地に行って視察をし、また先週は雲南市長にお越しをいただきまして、かなり長い時間聞き取りをしたものであります。
 この「小さな拠点」というのは、役場のあたりに教育でありますとか買い物でありますとか、あるいは医療・介護でありますとか、そういうものを集中しましょう、そしてそれぞれの集落がネットワークで結びましょうという話なんですけれども、そういうハードだけのお話ではなくて、ソフトをどのようにしていくかということが肝要であって、雲南市長のお話は極めて面白いお話であります。お聞き取りをいただければありがたいと思います。
 また、各地域の先発事例、山形県の川西町、和歌山県の紀美野町、広島県の安芸高田市等々、そういう取組のポイントを紹介しますケーススタディトーク、あるいはパネルディスカッション、これは雲南市長や小田切教授などの皆様によるものでありますが、そういうものを行いまして、「小さな拠点」というのは法律上も位置付けられておりますが、これから先、地方創生を考えますときに、この「小さな拠点」というのはコンパクトシティと並んで大きな柱となるものであります。この「小さな拠点」て何ですかという人がまだたくさんいるわけで、こういう取組を行って「小さな拠点」についての御理解を深めていきたいし、それぞれの地域における取組というのを具体・加速化していただきたいというふうに思っておるところであります。
 皆様方におかれましては、ぜひともここへお出かけをいただきお話を聞いていただければ幸甚に存じます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)プロフェッショナル人材の事業についてお尋ねしますけれども、改めての質問になるんですが、この人材のいわばマッチングのような業務というのは、これまでも自治体ですとか銀行ですとか経済団体などが担ってきた部分というのがあると思うんですが、あえて国がこういう制度を設けて、拠点を設けて進めていくということの意味合いについてお願いできますでしょうか。
(答)今までもありました、そういう取組は。ただ、それが点であって面になっていないというところ、それぞれが何か良い人いないかなというようなことで、個々の事業者あるいは個々の自治体、また自治体が積極的に前に出るということは余りなかったように思っております。実際に県庁にいたしましても、市町村役場にいたしましても、余り民間のことを知らないというのがあります。私どもでもそうですけれども、選挙のときに回って、こんな会社もあったんだ、あんな会社もあったんだと、そういうことを知ることが多いのです。
 他方、中央においては、我々の年代なんかはそうですけれども、地方から東京へ出てきて、あるいは大阪に出てきて企業の幹部になって、大体定年間近になる、あるいは定年になる。でも、自分の持っているスキルをいろいろなところで生かしたいなと思っても、どこでどんなものが要求されているというか、欲されているのかが分からないというのがあります。そういうものに行政が入ることによって、もちろん国としては委託をしているわけですけれども、行政が関与することによって、そういうニーズというもののマッチングを図るというところに大きな意義があるのかなというふうに思っております。一部報道にありました例などというのは、正しく良い例の典型のようなものでありまして、こういうものがあちらこちらに出てくることを希望いたしておるところでございます。
(問)地方版総合戦略について1点だけ。自治体連携とか、それから地域間連携というものについて、かなり10月時点でも幾つか例があったんですけれども、これ、現在の状況についてどれぐらい広がっているか、また、その意義について所感をお聞かせください。
(答)なかなかこれだけ広がっているというのを数字にして今お示しできませんので、もし必要であれば、後で事務方にお尋ねをいただきたいと思っております。
 一つは、近隣の自治体が連携をするという意味において、例えばDMOというのを考えたときに、自治体だけで単独でやっていても仕方がない。お客様は何々市に行きたいとか何々町に行きたいというような特定の自治体をめがけて行くわけではない、その地域ということになるわけですけれど、そうすると、観光の在り方というのをそれぞれの自治体で考えるというよりも、連携してやったほうがいいですよねということがございましょう。
 あるいはCCRCにいたしましてもそうなので、一つの自治体だけで完結をするものではございません。近隣自治体というものが協力をすることは必要でしょう。
 あるいは独自の教育を行うという意味においても、これは例えば県境の町とか県境の村というのを想起したときに、近くに県立高校はない。だけども、県境をまたいだ他の県の県立高校は近くにありますというのはございます。そういうときに、教育でどう連携をしていくのか。あるいは、別に物理的に近接していなくても、例えば北海道と九州でもいいんです。何かのつながりの共通項がありとすれば、そういうところの連携というのも当然あり得ることでございます。
 ですから、自治体を超えた連携で何を目指すのか。それぞれにRESASシステム等々を使いまして、ヒト・モノ・カネがどのように流れているかということを考えたときに、近隣の自治体との関係というのは極めて重要で、それがお互いの持っているいろいろな特性を発揮しながら、地域全体がプラスサムの関係になっていく、ゼロサムではなくてですね、そういうときに地域間連携というのは極めて重要なことだという認識をしております。
 ですから、地方創生のいろいろな会合に出まして、一つの単独の町だけではなくて、近隣のところが御参加をいただいているわけで、そういうような取組は全国的に広がりつつあるのかなという感想は持っておるところでございます。
(問)政府機関の地方移転についてお伺いします。消費者庁の徳島県ですとか文化庁の京都府を筆頭に語られていますけれども、文化庁のほうは総理にも会ってお話進んでいますけれども、徳島県のほうの進捗状況というのをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)これは、私どもとして予断を持ってどこどこは何々に行くべきだということを申し上げる立場にはございません。今年度末に総理を長といたします地方創生本部として決定をするものであります。
 消費者庁については、担当大臣であります河野太郎大臣が、実際に概念論を言っていても仕方がないので、そこへお試し移転と仮に言うとすれば、してみたらどうだろうかと。実際に長官がそこへ行かれることによって、高度な通信ネットワークを使って、消費者庁ですから、各省庁との調整も必要でしょう。そういうような調整がうまくいくのだろうか、あるいは国会の対応はどうだろうか等々、実際に実践的にやってみて、これで消費者庁の持っているいろいろな機能の発現が、東京にあると同等以上のものであるというふうに得心をすることが大事であるということが河野さんのお考えであるというふうに承知をいたしております。河野さんらしい、実際に実証してみて、概念論ではなく全体の意義を把握をしながらそういうことに努めておられるということに敬服をいたしておるところであります。
 そういうようなことをやってみて、実際にどうなんだろうかと。消費者庁が移転をするということについては、消費者団体の方々でありますとか法曹関係の方々でありますとか、こちらのほうからいろいろな御意見が出ておりますので、そういうものに対してきちんきちんとお答えをするというような責務も河野大臣もよく御認識だと思います。政府としてもそのようなことはよく承知をして今後対応してまいりたいと思います。
(問)所管外の話で恐縮なんですけれども、人気アイドルグループのSMAPが昨夜、弊社の「SMAP×SMAP」でグループの存続を宣言したんですけれども、大臣の受け止めをお願いします。
(答)これは、先般、このSMAPの解散というものが報道されるようになったときにも御質問をいただきました。そのときに、全然所管外ですから、一個人として申し上げたつもりなのですけれども、私自身、SMAPの番組に出していただく機会があって、そのときに何とも言えない味というのか、一人一人も立派なアーティストだけれども、掛け合いみたいなものが非常に楽しかったんですね。そういう一人一人が立派なアーティストであるけれども、5人が醸し出す雰囲気というのか、それが一つの国民的な共感を呼ぶ、そういうかたちになっているんだなということを実感したものであります。
 ですから、こういうことというのは本当のことは分かりません。御本人たちでなければ分からないことも一杯あります。私たちがそのことにいろいろ論評するべきでもありません。ただ、国民全体のというか国民の多くの方、全体とは申しません。そういう方がああいうような、一つのみんなの憧れというのかな、あるいは辛いとき、悲しいときに5人の歌を聞くと頑張ってみようという気持ちになる、私もそういうことありますけれど。それがこれからもあるんだ、良かったなという思いを、どうSMAPの皆さんや関係者の皆さん方がお受け止めになるかということだと思います。それはいろいろな事情はあろうかと思います。ですから、ある意味、公の存在というのは難しいものだなという、そういうことを思いながら昨日の報道というのか、SMAPの会見というんですかね、拝見したところでした。

(以上)