石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年12月22日

(平成27年12月22日(火) 10:40~10:58  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 本日、地方分権改革推進本部及び閣議におきまして、「平成27年の地方からの提案等に関する対応方針」を決定いたしました。
 お手元にこういう資料があります。非常に簡素にまとめたものであります。主な結果を記しております。
 1ページを御覧ください。これの一番右端にございます実現・対応の割合というのが9.1ポイント増えましたということであります。
 2ページ目を御覧いただきますと、これは通知によりまして、地方のいろいろな支障を解消しようというものであります。
 どういうお話かというと、旅館業法ですが、宿泊料をいただいて不特定多数の方々を反復継続して宿泊させる場合には旅館業法による許可が必要だと、そういうことになります。
 ところが、今あちこちでやっております空き家へのお試し移住-移住するに当たって試しに住んでみようというもの-は、一体これは不特定多数というのか、反復継続というのか、判断基準がよく分からないということで、旅館業法による許可が必要なのかどうか、そういうような迷いが地方にあったわけでありますが、これを明確化いたしまして、こういうところがお試し移住のお家ですよというふうに自治体が特定をする。そして、やってくる人も、実際にそこへ居住したいんだと、そのことを実際に試しに来たんだと等々、単に安いので旅館替わりにみたいな話ではなくて、実際に居住する意思というものを有しているかどうか。結果として居住しなくなってしまうこともあるんでしょうけれども。この二つを満たした場合には、旅館業法の適用は受けませんということを明確化するものであります。
 したがいまして、これによって空き家の有効活用が行われ、地方移住の促進に資するといいなというふうに思っております。
 次のページは、要綱を改正するものであります。
 これも、ははあ、なるほど、こういうことがあるのかということですが、病気のお子様の保育をする場合に、看護師等、「等」というのは准看護師、保健師又は助産師のことですが、お子さんがおおむね10人につき1名以上配置しなければならないと、こう書いてあるわけですが、これは一体どういうことだと。配置しなければならないというのは、常にそこにいなければいけないことなのかどうなのか、そこが明確にならないと補助が受けられないというケースが出てくるわけであります。
 これがどういう場合なんだということを明確化するものでありまして、上の段の右を御覧いただくと有り難いのですが、病院とか診療所の中で看護師等が保育室にずっといないで病児保育を行う場合に、常時そこにいると言うんでしょうか、どうでしょうかというお話であります。これは常時とは言わないんだろうということで、補助対象とならなかったという自治体もあって、そういうところは自治体が自分の金で実施しているわけですが、これを明確化し、看護師等が緊急時に駆けつけられる場合でいいのだと、そういう場合には、そこにずっと一緒にいなくていいのだというふうにいたしました。
 右側の矢印でございますが、そこに小児科というものがあって、病児保育室というのがあって、病院内にそういうものがあるのならばオーケーですよということであります。それでは、何分で駆けつけられる場合ならいいんだとか、いろんな話になりますが、この辺は常識の範囲内ということでありまして、こういうことを行うことによって国の補助が受けられるということになります。これで地方の迷いというのは解消されるわけでありまして、自治体が自らの負担によることなく、国の補助対象として病児保育が行われるということであります。
 今のは、要綱の改正が必要なものです。
 次は法律改正によらなければ駄目なものです。災害時における放置車両の移動権限の付与であります。
 現在は、大規模災害が起こったときに、放置してある車両、運転手さんが逃げてしまったとか、もともとそこに置いてあったとか、あまり合法なものではない場合も含むのでしょうが、道路管理者であればそれを移動する権限を持っていると。
 しかし、臨港道路を管理する港湾管理者は放置車両の移動権限がありませんということであります。レインボーブリッジというのは二層構造になっておりまして、上のほうは道路管理者がいるのですが、下のほうは臨港道路でありますので港湾管理者、これは放置車両が移動できないというような話で、そんなばかなことはあるまいということであります。港湾管理者も移動権限を持つということにいたします。法律改正であります。これによりまして災害救助活動の円滑化を図るものでございます。
 次も、こんなことがあるのかという話ですが、これは政令の改正であります。
 これは、今のところは、都市公園の中の運動施設の敷地面積は都市公園の敷地全体の100分の50以下でなければならないと、こう書いてあるわけであります。
 ところが、都市公園の中に運動施設を作りましたと、でも、それは30年前、40年前のものでありますと。そうすると、バリアフリー化のスロープを付けるとか、そういう場合に、例えば岐阜県では運動施設の敷地面積の割合が100分の49.967というのがありまして、そうすると、ちょっとスロープを付けただけで50超えてしまいますと。50.25になってしまうと、よってバリアフリー化が出来ないとかですね。
 国際大会を行いたいのだが、記者室を設けるに当たって、作るとすればどうしてもそのスペースが100分の50を超えてしまうと。あるいは、昔はそんな話はなかったのですが、ドーピングコントロール室を作りたいと。そうであれば、今あるものの上に建てればいいのではという話になるんですけれども、そういうことが難しい場合も実際にあるんだそうでございます。そうすると、国際大会が誘致できないとかそういうことが起こっているので、運動施設の敷地面積の割合の上限を弾力化ということになります。
 弾力化って何なんだという話なんですけれども、これを具体的にどうするかは平成28年中に結論を得るということですが、とにかく100分の50というふうにがちがちにはしないというところまでが今のところでございます。政令改正を伴います。
 次は、長年の懸案となっておりましたハローワーク、これを地方へ移管するものであります。
 実際、皆さんが地方に行かれる、あるいは地方に御勤務のときに御覧になったかもしれませんが、(地方、国、それぞれが別々に、)地方の場合には各種住民の皆様方の御相談、生活困ったなとか、仕事ないかなとか、どこか企業が来ないかなとか、そういうようなものを地方は地方でやっていて、ハローワークというのは国がやっているものでございます。これは別々に実施をいたしておりまして、加えて、国のハローワーク、職業紹介をするハローワークというのは必ずしも便利な場所にあるわけではないと。
 実際にどういうのが困るのかといいますと、ある市に住んでおられるAさんがいて、女性の方ですが、市の女性センターに社会参加を相談する中で、もう一回勤めてみたいなと思うようになりましたと。ですが、どこに勤めるかというと、職業紹介は地方の仕事では今のところございませんので、そうすると、職業紹介は遠く離れた国のハローワークに行って、またお話をしなければいけません。面倒ですね。
 あるいは、ある県に工場を建てたいなというふうにある会社が思っている。さっきの図でいうと左の地方ですが、県に、補助金くれませんかとか、用地探してくれませんかとか、用地の分譲してくれませんかとかいう相談をするわけで、工場がめでたく建つことになりましたということなんですけれども、そこにおいて優秀な社員、職員というものが欲しいなということになると、今度は国のハローワークに行かなければいけないということで、出来れば、企業が工場を立地するような場合に、そこにおける財政支援でありますとか、土地の支援でありますとか、あるいは、そこに働く方々の紹介でありますとか、そういうものが一体で出来たらいいなということが、今、全国のあちらこちらにあるわけでございます。
 そこで、地方版ハローワークというものを作ろうということになりました。これは、国のと同列の公的な立場で職業紹介をするものであります。国の監督というものは廃止をいたします。そして、全国の求人情報というものは、国はオンラインで持っているわけでございますが、地方もそれが活用できるようにいたします。そして、雇用保険の事務手続というものが地方版ハローワークにおいても出来るようになると。そして、住民相談、企業支援など、先ほどの例で申し上げたとおりですが、そういうものと一体となった職業紹介を地方版ハローワークにおいて行うということでございます。
 そして、国のハローワークというものが、なくなるわけではございませんで、地方の産業政策と連携した雇用対策というものを地方が国に要請するということに相なります。
 今申し上げた地方版ハローワークの創設と、地方が国のハローワークを活用するという2点につきましては、法律に基づきまして、安定的な仕組みとして全国展開をしたいというふうに考えております。これは法律改正を伴いますので、国会の御審議を経なければそういう形になりません。この法案等々についてどうなるかは、これから政府あるいは議会と御相談をしながら決定していくことになりますが、こういうものができますと、さきほどの女性の方でいえば、女性センターで自分に合った社会参加、再就職を決められた上に、そこにおいて職業紹介もしてもらえるということが可能になります。そして、工場を立地したいなという企業にしてみますと、県に行けば、財政支援だけではなくて、人材紹介も含め総合的に支援する体制というものが整備をされているので、工場新設というものが更に迅速に行われる、効果的に行われるということは期待をされるものでございます。
 要は、職を求めている人とか、あるいは働く人が欲しい企業とか、そういう者にとって使いやすいという制度は何なんだろうかということで、これも長年懸案になっておったものでありますが、塩崎大臣の御理解も得て、こういうような形になったというお話でございます。
 以上、ほんの一例でございますが、こういうようなことが地方からの提案というものに基づいて行われるというところに大きな意義があろうというふうに私自身は考えておるものでございます。そういうようなことで、繰り返しになりますが、法律改正で措置すべき事項につきましては、次期常会に所要の法案を提出することを基本とし、これは議会との御相談もございますので、あえて「基本とし」という言い方をしておるわけでございますが、進めてまいりたいというふうに考えておるものでございます。
 長くなりました。以上であります。

2.質疑応答

(問)地方版ハローワークの創設の法整備についてなんですけれども、今、大臣はあえて「基本とし」ということをおっしゃいましたが、このハローワークの部分も次期常会に盛り込む方向で調整をされているということでよろしいんでしょうか。
(答)そういう形で調整はしますが、状況がどうなるか、ここは分かりません。次の国会は、かなりきつい日程ということに相なっておるわけでございますので。
 全国知事会の御要望に基づいてこういうことをやっておるわけでございますが、全国知事会としては、この制度を設計するに当たって、地方側と十分協議するということを求めているわけでございます。ですから、法案を作るに当たりまして、更に地方の御意見というものを十分に反映しなければならないということでございます。その地方の意見を十分に反映した法案が整えば、来年、これは地方分権一括法の中に入れることになりますので、そういうような内容が整ったとするならば、一括法にのせるということは可能なものだというふうに考えております。
 ただ、常会がどういうふうに運ばれるか。かなりきつい日程の中でやっていかねばなりませんので、今の時点では、来年の一括法にのせ、来年の成立を図るということは当然念頭にございますが、それが必ずそういうふうになるというふうに断言はできないので、「基本」というふうに申し上げたところでございます。
(問)企業版ふるさと納税についてお伺いします。今回、来年度の税制改正大綱に盛り込まれることは決まりましたが、地方の活性化に結びつくと言われる一方で、企業と自治体の癒着にもつながるんじゃないかという懸念も聞かれます。大臣のそちらのお考えをお聞かせください。
(答)そういう御懸念が現実化することのないように、これは、実際にこの税制を創設するに当たって、こういうことはよろしくありませんというようなことを、自治体の側にも企業の側にもよく御認識をいただきたいというふうに思っております。
 ですから、例えば企業版ふるさと納税をいたしましたと、そうするとその会社に仕事が行きますとか、これが明確な牽連(けんれん)関係というものがあるということは決して好ましいことだと思っておりませんので、そういうような、おっしゃる癒着というものを引き起こさないようにしてまいりたいと思っております。
 ただ一方において、この企業版ふるさと納税というものは活用されるということも大事なことでありますので、それはもうどう考えてもおかしいですねということはきちんと御了知をいただいた上で、企業版ふるさと納税というものの活用というものが円滑に進むように。それは、何でもかんでも寄附をすればいいというお話ではなくて、そこが地方版総合戦略の中にどのように位置付けるか。それがKPIを伴い、PDCAというものを伴っているか等々、何をするんですかということが明確でなければなりません。ですから、何でもいいから税制の優遇が受けられるのでお金を下さいという話ではなくて、何をするのかということが明確であり、企業がそれに賛同して寄附をするという形が、一般の方々から見て、それはなるほどそういうことだろうねというふうに思っていただけるような、そういう運用を図ってまいりたいと考えております。

(以上)