石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年11月10日

(平成27年11月10日(火) 8:44~9:09  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 今週はまたリボンが変わりまして、女性に対する暴力をなくす運動というものが11月12日から11月25日まで行われるということでありまして、それのシンボルのパープルリボンであるということであります。
 あと1点、急遽のことで恐縮でありますが、かねてからこれは視察をしたいと思っておりました、千葉県佐倉市ユーカリが丘ニュータウンを訪問させていただきます。これは、ニュータウンがやがてオールドタウンになりゴーストタウンになるというのが全国散見されるところでありますが、そうではなくてサステナブルなまちづくりということであって、先般も日本版CCRC構想の有識者会議にお出かけをいただいて見解を御開陳いただいたところでありますが、ユーカリが丘ニュータウンを訪問させていただき、その取組を今後のいろいろなCCRC等々の推進の糧にしたいというふうに思っております。お手元に日程をお配りしております。御都合のつく方はお出かけをいただきたいと存じます。
 それから、地方創生先行型交付金の決定についてであります。
 いわゆるタイプⅠ、タイプⅡと言われるものでありますが、26年度補正予算に盛り込まれました地方創生先行型交付金の上乗せ交付に関しまして、本日、10月末までに地方版総合戦略を策定していただきました団体への交付分-いわゆるタイプⅡであります-について交付決定をいたしました。
 概要でございますが、お手元に資料をお配りしておるとおりであります。交付団体数、交付額につきましては、都道府県が34団体、約3.3億円、市区町村が690団体、約63億7,000万円、合計724団体、都合67億1千万円ということになっております。
 今回交付決定された団体は、10月末までに先んじて地方版総合戦略を策定していただいた団体であります。これまでの御尽力に敬意を表する次第であります。この交付金により、地域の特色を生かした事業が早期かつ着実に実施されることを期待をいたしております。
 また、先月27日に交付対象事業を公表いたしました先駆的事業分、これはタイプⅠと申しておりますが、これにつきましても本日付で交付決定をしたところであります。
 合わせますと、上乗せ交付全体では、お手元にお配りしておる資料2のように相なります。
 次に、交付金とは別でございますが、全ての都道府県市区町村を対象として地方版総合戦略の策定状況について状況把握をいたしたところであります。その結果の概要についてでありますが、これもお手元に資料をお配りしておりますが、10月末現在の状況として、都道府県では81%に当たります38団体、市区町村では42%に当たります728団体、合わせまして43%の766団体が地方版総合戦略を既に策定済みということになっております。
 上乗せ交付タイプⅡの交付対象は724団体というふうに申し上げましたが、その差であります42団体につきましては、10月末までに地方版総合戦略は策定したけれど、タイプⅡの交付金は申請しなかったということになります。
 また、三つの団体を除きまして全ての地方公共団体におきまして27年度中、つまり来年3月末日までに地方版総合戦略が策定されるという見込みになっております。
 全市町村が10月末までに策定を終えましたという県は二つございました。これもお手元の資料をご覧ください。
 このような地方版総合戦略の策定や上乗せ交付の取組状況を拝見いたしますと、このプロジェクトがスタートして1年余りを経ましたが、地方創生が目に見える形になりつつあるということを感じておるところであります。私も可能な限り市町村長の皆様方とお目にかかりお話を伺うべく努力をしております。もちろん全部なんてまだ無理でございますが。
 よく金がない、時間がない、人がないというようなことを言われる方があるやに聞いておりますが、例えて言えば、人口が1万人程度と比較的規模が小さいのだけれども、高校生や大学生、女性を含む幅広い層のまちの方々を巻き込み、手作りで地方版総合戦略を仕上げた、役場の職員の皆様方の取組も以前とは全く変わってきたというようなのがございます。これは長野県の飯綱町というところであります。
 あるいは山形県の寒河江市でございますが、これは先般行ってまいりましたが、隣接した市や町と共同で議論を重ねて、広域観光の連携体制の強化、DMOの活用でありますとか観光ルートの開発でありますとかそういうことを地方版総合戦略に盛り込んで、平成31年度までに観光客数10万人増を目指すというようなところもございます。
 鳥取県の日南町-お隣の鳥取県第2区の選挙区になりますが-におきましては、主要産業であります林業を生かしまして、有名ブランドや近隣市町村と連携した木製-木によります製品-のコラボ商品の作成、環境に配慮した木材の販売の推進等々によりまして雇用を創出し、町内の経済活性化を図るというようなものがございます。
 もちろんこの三つに限らず、これは良いなという取組が多くございます。今後も各地でこのような事例がたくさん出てくるということを期待をするものでございますし、私どもとして情報面、財政面、多様な支援策を今後とも講じてまいりたいというふうに思っております。
 長くなりましたが、以上です。

2.質疑応答

(問)この10月末までに市区町村で41%、都道府県も38の団体が早目の策定を済ませたということと合わせて、そのことをまずどう評価されるかということと、27年度中に出来上がらないところが3団体あるということで、これに対してどのように働きかけをしていくのかといったことをお聞かせください。
(答)これは、後ろのほうからお答えをすれば、これは法律に基づきまして、各団体に対して努力義務というのを課しておるわけでございます。この法律を作るときも随分議論があったのですが、これは、国がそれぞれの独立した地方自治体に対してお願いをするというのは、努力義務がマックスだというふうに考えております。作らないということは、それなりの御事情があってのことでございますので、それは自治体の御判断で、法律がそういう仕掛けになっております以上は、これはもうお作りになったらいかがですかという慫慂(しょうよう)はいたしますが、作らないというからにはそれなりのお考えがあってのことだと思います。それ以上でもなければそれ以下でもございません。
 この数字につきましては、短い期間の中で取り組んでいただいたということに敬意を表したいというのは会見冒頭で申し上げたとおりでございます。やはり産業界であり、あるいは大学、高等学校、高等専門学校、地域の金融機関、労働に携わる方々、そして言論等々、全て巻き込んでやっていただくというのは余り今までに例のないやり方でございます。
 例えば、京都市のように、こういうようなことのプロジェクトがスタートする前からずっとこういうことをやっていた。であるからして、比較的こういうのに乗りやすかったところもありますし、それは京都に限らずそういうところもあるのだろうと思いますが、ともすれば、そういうような取組をせずに、役所の内部だけでやっていた、あるいは常におなじみのというのでしょうか、充て職みたいな方々と協議をしてやっていたというところからこういう形に変わっていくというのは大変な努力があっただろうと思っております。そして、PDCAとかKPIとか、今まで聞いたこともないみたいなところもあったわけですが、そういうことについて御理解をいただきこれだけの数が出てきたということは、率直にありがたいことだと思って、上から目線と言われないように気をつけて物を言っているつもりですが、敬意を表したいと思っております。
(問)今のお話に関連してなんですが、「産官学金労言」との連携ってかねてより大臣おっしゃっていますけれども、特に大学との連携についてどのように、出ている地方版総合戦略でどんな印象を持たれていますでしょうか。
(答)その地域に立地する大学ですよね。例えて言えば、会津若松市には、県立会津大学というのがございます。ここは、ITを専門にして比較的最近創設された大学でございますが、そこが会津若松市と連携をしつつICTを生かしたまちづくりということで、非常に強く関与をし、すばらしいものができている。その地域に立地している大学が行政と一緒になって、今までは離れた立場であったものが、計画を立案するに当たって主体的な役割を果たしているというものがたくさんあります。それは本当に今までになかった取組が、点が面になりつつあるという感じでございます。
 あるいは大学によっては、その大学と幾つもの自治体が協定等々を結びまして、それぞれの地域における地方版総合戦略作りに関与しているというタイプもございます。これは、そこの教員でありますとか学生でありますとか、そういう方々がその地域に出向いて、その地域の方々と意見交換をしながらやっていくというスタイルのものでございまして、これは地方版総合戦略とどのような関わりがあったかこれからちゃんと見ますが、先般行きました天童市というのがございます。ここは、いわゆるふるさと納税の寄附額が飛躍的に上がって、額で言えばいきなり全国トップだか2位だかに、速報ベースでいうとトップでしょうか、躍り出たということでございますが、これは、明治大学の学生さんが天童市に出向いて、一体何がこのまちの売りなのだと。それは、将棋のまちであり、温泉のまちであり、そしてまたラフランスのまちなのだ、サクランボのまちなのだということがあるのだけれど、それは将棋というのは全て日本全体に訴求力を持つものではない。温泉ならほかにも一杯あるよね、サクランボであれば、果物屋さんに行けばあるよねというようなことで、それじゃ、その三つの組み合わせ、単体で勝負しても駄目で、この三つを組み合わせたまちづくりとか、それに対して訴求力を持った返礼品とか、そういうものって何なのだろうというような形で、大学と地域が連携をしながら、別に明治大学が天童市に立地しているわけでも何でもありませんが、明治大学の創始者のお一人が天童市の出身であったという御縁だそうですが、そういうようないろいろなつながりで大学というものが地方版総合戦略作りあるいはまちづくりに本当に良い形で関与していった例が多いと思っております。
 それは、大学のみならず高校生が参画をしている、あるいは中学生が参画をしている。いつも申し上げますように、まちは10年先、20年先の子供たちのもの、今の子供たちが10年先、20年先で大人になっていくものであります。彼ら彼女らがそういう計画作りに参画することによって、また新しい形の地方版総合戦略が出てくるということは、今までに例のない取組だというふうに承知をいたしております。
(問)話は変わってしまって恐縮なのですけれども、髙木復興大臣について、政治資金問題や一部週刊誌とかの報道があり、説明責任等を求められていますけれども、この辺について大臣の受け止め等があればお願いします。
(答)報道があることは承知をいたしております。それに対して大臣として、あるいは政治家としてきちんとした説明責任を髙木大臣が果たされるということに尽きますよね。私自身、中身を存じているわけでも全くございません。説明責任を果たしていただけるだろうというふうに期待をするとしか申し上げようがございません。
(問)来年の参議院選挙についてちょっとお伺いしたいのですけれども、県連会長として石破大臣にお考えを伺いたいのですが、いよいよ自民党の県連として公募も始められるようですけれども、改めて候補者の理想像と、あと石破会長として、個人的に候補者に目星を付けておられるかどうかをお伺いできればと思いますが、よろしくお願いします。
(答)すみません、ローカルな話になりまして、まことに恐縮でございますが、これは、淡々と決めた手続にのっとってやるという以外にございません。そうでなければ何のための公募の仕組みだいということになりますので、淡々とこの11月16日から20日までという期間に、有為な方々が応募をしていただけると良いなということであって、私が目星を付けるとか付けないとかそういう次元の問題ではないと承知をいたしております。
 候補者の理想像というのは、これは地元においても会見等々で申し上げたことですが、私自身、5年前に鳥取県で選ばれた方、自由民主党公認ということで、私ども本当に総力を上げて当選した方が、その後の経緯というものを考えたときに、大変県民に申し訳なかったという強い贖罪感を私自身持っているところでございます。それを県民の皆様方の怒りとか情けなさというものを払拭しなければいけないと思っております。そうしますと、やはり何のために議員になるのだということがはっきりしていて、議員になることが目的ではない。それになることによって何を果たすのだという考えが明確な方が望ましいのであって、鳥取県を踏み台にしようとか、今回の場合には全国比例という形ですが、本県の方を全国でお願いをするからには、もちろん全国的な見識、視野というものも必要ですが、うちの県あるいは島根県で多くの票を取らねばならない以上は、本当に鳥取県でそういう参議院の候補者の募集があるから、それに応じて自分のいろいろな思いを達成しようというような方であっては絶対にならないのだというふうに思っております。県民の方に対して、本当にそういうお持ちの思いを何とか払拭できるような、そういう方をお願いしたいと思っております。
(問)政府機関の地方移転についてお伺いします。優先候補である筑波などが一部難色を示している一方で、高知県などが消費者庁の誘致を歓迎しています。結構地域によってバラつきがある中で、大臣として、この政府機関の地方移転に関するお考えをお聞かせいただけますでしょうか。
(答)これは、かねてから申し上げておりますように、その機関がそれの地域に移転をすることによってどのような効果が期待されるかということが一番で、移転が先にありきということではございません。それが高知市なら高知市、山形市なら山形市、徳島市は徳島市、どこでもいいのですが、そこへ移転することによって、東京に今所在をしている、それと同等か、それともそれ以上の効果が期待できるということが国全体のためというものでございます。ですから、それがうちに来たらいいなということは、みんな来たほうがいいに決まっているわけですが、それによって、例えば雇用が増えますというような話ではなくて、それがそこに行くことによって、国の機関ですから国全体のために働くわけで、その地域のみならず国全体にとって今と同等以上の機能の発現が期待できるということが重要でございます。
 ですから、それが、例えばある研究機関があるところへ行く。そこには関連の大学があったり、あるいは他の研究機関があったり、あるいは企業の集積があったりして、東京の霞が関あるいはこの近隣の地域にあるよりも、より日本全体のためにその働きをなすことができるというようなことを地方のほうからお考えをいただき、そんなこと言ったって、地方にそんなこと分かるわけないではないのということを言われることがありますが、その機関がどんなもので、何をやっておりということは、お求めに応じて詳細に自治体には把握をしていただける仕組みを作っております。ですから、国全体にとってどうなのかということを中央の側も、地方がそういうような立論をしてきたら、いや、それはそうだねということであればそうなのでしょうし、それは違うよということであれば、それを国の側が説明をする責任を持っているのだと思っております。要は、地方のためであると同時に国の機関ですから、国全体のためということを広く議論に付すというところに意味があると思っております。
(問)関連でお伺いしたいのですけれども、先週の有識者会議で、筑波などへ所在する研究機関への希望というのが大分ハードルが高くなった印象があるのですが、そもそもリストとして各研究機関の案内ということで各都道府県に示していた経緯があると思うのですが、そのあたりはどういうふうに見られているのでしょうか。
(答)ハードルが高くなったって何を指しておっしゃっておられますか。
(問)東京圏以外のところというのは、より高いレベルを求められているような形だったと思うのですが。
(答)いや、それは、基本的には東京に対する一極集中の是正ということが第一義的にはあるわけです。しかし、先ほどの御質問にもお答えしたように、それがその地域に行ったほうが、より日本全体のためであるという、この二つの政策目的というか政策目標を持っているわけですね。そうすると、筑波の場合には、筑波学園都市という形でいろいろな研究機関があの地域に集積することによって複合的な効果が得られるということをそもそも企図してやったものでございますから、そういうようなメリットというものを更に上回るものというのを提示していただければよいわけです。逆に言えば、それを上回るものが提示をできなければ、それはそれが移転をすることはないということでございまして、これは原理原則に何ら反するものではございません。筑波にあるものでうちに欲しいと、それが日本全体にとって、筑波において発揮されている集積の利益というものを上回るものがあるのだということで、そういう意味ではハードルは高いのでしょう。ですから、筑波が何のために作られ、筑波がどのような効果を発揮しているかということは当然多くの方が承知をしておることなのであって、それを上回るものがあるということであれば、それはそれでいいのではないでしょうか。
(問)関連したことなので、すみません。
 7日付の一部の報道で、政府関係機関の地方移転に関して、都道府県から誘致があった69機関のうち47機関について優先候補として優先的に検討を進める方針を政府が決めたという報道があります。47機関というのは、例えば官公庁だとか文化庁、森林技術総合研究所などだということなのですが、実際にそういう政府の方針というのがあるのでしょうか。
(答)そのような方針を決めたという事実はございません。何をもってそのような報道をされたか、それこそ報道された方にお尋ねをしたいようなお話でございまして、そういうものを優先してやるということを決めたという事実はございません。

(以上)