石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年10月30日

(平成27年10月30日(金) 11:16~11:34  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 先ほど第7回まち・ひと・しごと創生会議がございました。本日の会議におきましては、本年末に予定しております総合戦略の改定に向けた意見交換が行われました。
 また、「まち・ひと・しごと創生会議」の下に、官民が力を合わせて、地域経済、社会的課題の解決に資する取組の発掘と支援を行っていく観点から、「地域しごと創生会議」を設立することと相成りました。この地域しごと創生会議は、来月11月中に開催することを予定しておりまして、鋭意人選を進めておるところであります。
 詳細は、後ほど事務方から説明いたさせます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)今、御発言のありました「地域しごと創生会議」なんですけれども、総理の挨拶では、地方の生産性の向上ですとか、雇用の拡大ですとか、賃金の安定という話がありましたけれども、具体的にどういった分野で、施策を強化していくお考えなのでしょうか。
(答) これ、やってみないと分からないのですけれども、まち・ひと・しごと創生本部というのを作ったときに、これは「ひと」が先ではないかとか、「しごと」が先ではないかとか、いろいろなお話がありました。別にネーミングがどうのこうのと言うつもりはないのですが、やはり地方に人材を還流する、そこに定住し、そこににぎわいが創出され、ということを企図した場合に、やはり仕事というのが大事ではないですかということが、当然あるわけです。
 今まで1年間、いろいろな作業をしてきて、これは当初から言われていることですが、有効求人倍率を見ると、地方でもおおむね1を超えたということでありますが、そこにミスマッチが起こっていて、仕事はあるのだけれども、募集しても人が来ないというようなことがあるわけです。さすれば、今、分析中ですが、47都道府県、労働生産性には相当の差があって、これは一体何に起因するものであろうか。一般的に言われるのは、製造業は高いが、それ以外は低いということがあるわけで、そうすると製造業以外の産業において、どれだけ生産性を上げるか。そのためにはどのようにすればいいのか。人材面の支援なのか。あるいは財政面の支援って、これ、なかなか難しい話で、べたで配ってもしようがない話ですから、ではどういうような財政的な支援、あるいは税制の支援が可能なのだろうか。そういうような議論を、なるたけ現場に即した形で行いたいと思っています。
 「政府で何か議論しているのだけれども、それって俺たちの感覚と違うよね」ということになると、これ、何にもならないわけであって、特に地方創生の観点から、繰り返しになりますが、地方に仕事はあるけれども人は来ない、実際に人手不足は地方で起こっている。ここをどうするのだということにかなり焦点を当てて、どうすればこういう状況が打開されるのかということで、この会議の運営をいたしたいというふうに思っております。
 やらんとすることは何なのかということを明確にし、そして、どういうようなことを問題意識として持っているかということが、地方で働く人たち、働きたい人たちに実感を持って認識していただけるような、そういうものにしたいと思っております。
(問)今の「地域しごと創生会議」にちなんでですけれども、地域が主体的な取り組みをするには、様々な支援方法があると思いまして、今、大臣から財政支援とか人材支援というお話がありましたけれども、情報支援という観点も大事かと思うんですけれども、そういったお話も、今日の会議では出たのでしょうか。
(答)今日の会議で、別に情報に特化したお話があったわけではございません。
 ただ、私は、昨日、これは所管ではないのですが、「ディスカバー農山漁村の宝」というのがありました。昨日が第2回だったのですけれども、第1回に比べて応募数が3倍に増えたのだそうです。それぞれの地域で、農業者だけではなくて、社会福祉法人とか、NGOとか、そういう人たちが表彰を受けていました。
 だから、こういうふうにして、うまくいくんだよという事例がある。それが普遍的にというか、広がりを持って出来るためには、こういうこともあります、ああいうこともあります、という情報が共有化されないと駄目なんだろうと。
 よく私が、点があって、点が密になって、やがて面になってという言い方をいたしますが、放っておいても点が密になるわけではない。放っておいても点が面になるわけではない。どうしたらできるのだろうという、やはり気付きというものを広げていくために、そういう先進事例みたいな情報というものを提供することが必要なのだろう。
 あるいは政府がいろいろな情報を発信するわけですが、各自治体に政府から山と文書がやってきて、それをとてもこなし切れないということが実際あるのだろうと思っております。
 自治体はそれでなくても人が足りませんし、そうすると政府から来た情報って一体何なのだろう。これを見て何をしたらいいのだろうかということが、もう一工夫、二工夫必要なのだろうと思っております。
 少子化の問題で、全自治体に対しまして、例えばどこでもいいのですけれども、三重県松阪市は、こうこう、こうでありますとか、新潟県新発田市はかくかくしかじか、こうであります。と、たくさんのデータが来るわけです。それで全体の分析がこうでありますとか来るのだけれども、分かる人は分かるのだけれども、分からない人は「これって何」ということになってしまって、やはり情報を活用するために、もっと工夫が必要なのだろうと思います。
 また、RESAS(リーサス)を使って何が出来るのだろうかということで、環境大臣からお話がございました。
 題は「地域経済循環分析に係るデータベースの提供について」って、これだけを聞いても何のことだか全然分からないのだけれども、それぞれの地域において、どのような形で再生可能エネルギーのポテンシャルというものがあって、それが地方と都市との連携にどれだけ資するような働きをすることが出来るかとか、地域内総生産に対するエネルギー代金の収支の比率とかがわかる形になっている。
 これを見ると、全国の自治体のうちの9割が電気・ガス・ガソリン等のエネルギー代金の収支が赤字である。自治体の9割が、エネルギー代金が赤字なのは、それはそうでしょうね。そのうちの7割が地域内総生産の5%相当額以上、151自治体では、10%以上地域外への資金流出を招いておりますと、こういうような情報があるわけです。
 そうすると、これはコストの問題もあるのですけれども、あるいはFITとの関係をどう考えるかという問題もあるのですけれども、それぞれの地域の経済を分析するに当たって、そこでせっかく稼いでも、それが外へ出ていく、それを外へ出ていかないようなやり方は何があるだろうかというような、環境省は環境省として、こういうようなのをきちんと分析して、地域内でお金が回っていくようなやり方ってあるのではないですか、という問題提起です。
 ですからこのRESAS(リーサス)システムというのは、今、年末を目途にいろいろなリニューアルというか、中身の充実というのをやっているわけです。
 例えて言えば、私、一昨日、川越市とか、あとはふじみ野市、富士見市、あの辺りの方々をお客様として講演してきたのだけれども、川越市の観光というのを考えたときに、川越市というのは何せ東京と近いものですから、滞在時間が大体平均3時間なんです。宿泊する人というのは、川越に来る人の2.6%しかいないのです。あるいは60歳以上の方々が4割を占めていて、若い方が少ないのです。男性、女性の比率で見ると、女性の方が高いのです。
 というような情報があって、泊まってもらうためにはどうしたらいいでしょうか。若い方々に来てもらうためにはどうしたらいいでしょうか、というようなのも、結局、そういう情報に基づかないであれこれやるよりも、何をするためにどうするのだというような、そういうことがあると、随分と変わってくるのだろうと思っております。
 やがてRESAS(リーサス)でもそういうことが、全面的に可能になるといいなというふうに思っているのですけれども、そういう情報の提供というのは、それを使ってどうするのだということが余り頭を抱えて、頭をひねらなくても、「ああ、そうなんだ」ということが分かるような形で、提供していきたいなというふうに思っておるところでございます。
(問)今日の創生会議では、年末の政府の総合戦略の改定に向けた議論も出たと思うのですが、方向性として、どのような感じになりそうなのでしょうか。
(答)これから総合戦略の改定に向けての御議論をいただくということで、むしろ今日は意見を提起していただいたという形でございました。
 それは例えて言えば、最低賃金というものをどうするかとか、あるいは大学の教育というもの、つまりこういうことをおっしゃる方がありました。確かにそう言われてみればそうで、日本の国の場合には、世界の中で小学校・中学校の学力テストなどというものを国際比較した場合に、小学校・中学校って高いわけですよね。
 ところが、高校・大学になると、例えばこれが全てだとは私は思いませんけれども、世界の優秀な大学ランキングになってみると、かなり下の方で初めて東大が出てくるとか、そういうお話がある。あるいは高校生の学力テストでも、それが世界の中で見たときに、小学校・中学校と同じようなレベルなのかというと、そうでもないのがある。
 やはり地方において人材が必要だとか言いながら、地方における教育というものを、もっと実学というのでしょうか、経済学ではなくて経営学だとか、そういうような言葉になるのかもしれませんが、持っているポテンシャルを最大限に引き上げていく、それが地方の学校でなされなければ駄目なのではないかとか、あるいは、それぞれの地方版総合戦略が出そろいつつあるわけですけれども、それを更に支援するやり方があるのではないか等々、いろいろな御議論が出たと思っております。
 それは、総合戦略の改定にそのまま活かせるものもあれば、今までの取組に更に改善の要ありという、やり方についての御意見もあれば、でしたが、今日、出た御意見、今日に限らず、今までそういう有識者の方々から出た御意見というのは、きちんとまとめて対応したいと思っております。
 会議はやることに意味があるのではないので、そこで出た意見をどうやって取り入れていくか。あるいは取り入れがたいものがあるとすれば、なぜなのかということを、意見を述べられた方にきちんと御説明をしなければなりません。
 今日出た御意見等々は、これから先の総合戦略の改定に、可能な限り活かしていきたいということを、私の方から申し上げました。
(問)少し話題がさかのぼってしまうのですけれども、火曜に公表された地方創生先行型交付金の上乗せ交付の件で、710件の対象事業が発表されましたけれども、これらの事業の来年度以降の財源の手当てというのは、どのようにお考えなのでしょうか。
 やはり新型交付金で優先的に措置するとか、そういったことをお考えなのでしょうか。大臣のお考えをお願いします。
(答)それは新型交付金については、かねてから申し上げているとおりでございます。ですから、事業費ベースで見れば、これで十分ということにはなりませんが、かなりのものは確保させていただいたと思っております。
 これは予算のお話でございますので、補正について、今、あれこれ申し上げる段階には全くないわけでございますが、どういう形で、この新型交付金の趣旨というものをご理解いただけるかということだと思います。
 今、提出いただいた地方版総合戦略を見ていると、例えて言えばDMOであったり、あるいはCCRCであったり、今ある補助金では対応出来ない。だけれども、こういうことをやって、そのことによってこのような効果を期待するものであると。そこにはKPIが必ず付くわけです。
 そして、そういうものが単なる思い付きとか、コンサルが書きましたという話ではなくて、そこにおいて、各層の方々のお話し合いがなされて、ということであれば、それは新型交付金の意味が非常にあるだろうと思っております。
 これが、これで何が出来るのかというような形のものであるとすれば、そこはやはりもう一度お考えいただくということになるのでしょう。
 ですから、今回の上乗せ交付というものも、新型交付金に大きな意味を持つもので、これを見て、それぞれの自治体が更に総合戦略の最終的な作業に向けて、どういうことをやっていただくかということだと思っています。

(以上)