加藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年4月28日

(平成28年4月28日(木) 8:53~9:03  於:官邸3階エントランスホール)

1.発言要旨


 おはようございます。
 私の方からは、閣議では発言はございません。
 そして、この連休中、米国ワシントン、ニューヨーク、ボストンに出張することにしております。5月1日に出国して、8日に帰国する予定であります。
 大きく二つあります。
 まず拉致問題でございますが、拉致問題に関しては、ワシントンDCで、現地時間2日に日本政府と米国のシンクタンクである戦略国際問題研究所(CSIS)との共催により、シンポジウム「北朝鮮における人権問題の解決に向けて-日米韓の連携-」とタイトルとして開催いたします。私以外に、アメリカ国務省のロバート・キング北朝鮮人権担当特使、そして韓国外務省のイ・ジョンフン人権担当大使の3人により拉致問題の解決に向けた日米韓の連携について議論をすることとしております。なお、拉致被害者御家族の飯塚耕一郎氏にもスピーチをお願いをしております。
 また、ニューヨークでは、現地時間4日に日本政府主催によるシンポジウム「北朝鮮の人権状況~人間性の回復に向けた戦略~」を開催いたします。マルズキ・ダルスマン特別報告者に北朝鮮の人権問題解決に向け、取組についてお話しいただき、その後、拉致被害者御家族の横田拓也氏、特定失踪者御家族の大澤昭一氏のほか、脱北者やNGOの代表などにも御参加いただき、北朝鮮の人権状況改善のための、国連人権プロセスを活用した具体的戦略について議論することとしております。
 さらに、両都市において、アメリカ国務省等政府関係者や国連関係者と面会し、拉致問題等北朝鮮人権状況を含む北朝鮮情勢について意見交換を行いたいと考えております。
 また二つ目は、一億総活躍の関係であります。
 「成長と分配の好循環」に関する経済問題について、影響力の大変大きい著名な経済学者、また米国政府関係者等と意見交換を行うことを予定しております。
 具体的には、5日6日両日に、ボストン近郊のケンブリッジにおいて、ローレンス・サマーズ ハーバード大学教授、アマルティア・セン ハーバード大学教授、ケネス・ロゴフ ハーバード大学教授、ダロン・アセモグル マサチューセッツ工科大学教授、デール・ジョルゲンソン ハーバード大学教授のほか有識者、また6日にもワシントンDCにおいて米国政府関係者との会談を予定をしておりまして、来月、「ニッポン一億総活躍プラン」の取りまとめに、有意義な機会にしていきたいというふうに思っております。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)今回のこのアメリカ訪問について、拉致問題を前進させるに当たり、大臣としてどのように位置づけていらっしゃいますでしょうか。
(答)残念ながら、一昨年のストックホルム合意によって、全ての日本人について調査をするということでありましたけれども、全く進展が見られない全く遺憾な状況が続き、また北朝鮮は核の開発、ミサイル発射等を行ったわけです。それに対して我が国としては独自の北朝鮮措置も含めて対応している、こういう状況でありますが、他方で、国連等あるいは国際社会においては、拉致を含む人権問題に対する問題意識というのは大変高くなってきておりまして、そういった機運をしっかりまた継続をしていくという意味において、今回、ワシントンとニューヨークにおいて2か所、こうしたイベントを開催する中で、日米韓の連携、あるいは国連プロセスの活用、そういった面について更に議論を深め、対応が進んでいけるように努力をしていきたいと思っています。
(問)共同通信、瀬野と申します。
 一億総活躍に関連してお聞きしたいのですけれども、先日、総理が保育士の処遇改善策を示されましたけれども、大臣としては、目指すべき賃金の水準、どのようにお考えになりますでしょうか。
 一部で女性の全産業平均を出すということになった場合、女性活躍という点からも、元々男女の賃金格差がある中で、低いのではないかという指摘もあるのですけれども、そのあたりはどうでしょうか。
(答)目指すべき水準ということ、あるいはありようというのは、それは男女性差による違い、あるいは就労形態による不合理な違い、こういったことがないような姿というのは当然求められていくわけでありますし、また実際的には、それぞれの状況の中で、それを原則としながら賃金水準というのは経済情勢等々も含めて決まっていくと、こういうことだと思います。
 そういう中で今回、保育士の処遇を改善する。その背景には待機児童がなかなか減少しない。あるいは潜在的な待機児童の方が多くおられる。更には新たな制度に入る中で申込みの方が非常に増えてきている。そういう状況を踏まえて、我々として、これから更に、まだ整備を進めていこうというわけでありますから、当然そういう中で保育士の確保というのは非常に大きなポイントになってくる。それに要することとしてどういうことが必要なのかというところから、まずはスタートすべきではないだろうか。
 そういう意味において、保育士の方々と競合するような賃金の水準ということになると、今の現状においては、保育士の方の90%以上が女性の方でありますから、やはりそういったことも一つの目安になってくる。
 ただ他方で、男性の保育士の方等もおられるわけでありますし、それから将来的なことを考えていけば、それは御指摘のような議論も当然あるのだろうと思いますけれども、まず総理は来年度からやるということをおっしゃっているわけですから、来年度において対応するというところで、まずは考えていきたいと思っております。
(問)共同通信の原口です。
 訪米についてなのですけれども、一億と拉致両方で、政府要人ですとか、国連の幹部との会談を既にセッティングされているものはあるのでしょうか。
(答)政府の要人ですか。何人かとお話をするということになっております。
(問)(共同通信・原口記者)まだ調整中ということでよろしいでしょうか。
(答)若干調整のところもありますし、大体、先方の了解を頂いているところもございます。
(問)一億総活躍の関連で、前回の国民会議で、これまでプランに盛り込む柱となる個別のテーマに関しては、一通りの議論が終わったかと思うのですけれども、訪米も経てプランの取りまとめに向けて、改めてどういったプランにしたいかというところと、今のプランの策定状況についてお聞かせいただければと思います。
(答)どういったプランということは、総理から指示もございますので一つは三本の矢について、ロードマップというのは既に指示があるわけであります。
 それに加えて、横断的な課題として働き方改革、非正規で働く方の処遇改善、特に同一労働同一賃金を通じたそうした対応、二つ目としては長時間労働の是正、三つ目は高齢者の方の就労促進という話があります。
 そしてまた前回、議論いたしましたけれども、保育やあるいは介護における処遇改善等、加えてやはり障害とか高齢者とか女性の就労を始めとした、そうした様々な活躍を促進していくということ。更には教育のこと等総理から指示を頂いておりますから、そういったことを一つ一つ盛り込んでいきたいというふうに思っております。
 そういう中で、元々あるこれからに向けての正に一億総活躍に向けて、こうした施策を推進していくということをしっかりとお示しをし、またそういう中で正にそれぞれの方々が夢と希望を持っていただいて、その実現に向けて、前に一歩踏み込んでいこうと、こういう機運が高まっていけるように是非ともしていきたいと、こう思っております。
 それから、この間で個別のテーマが終わりましたので、総理からも5月中の閣議決定を目指して取りまとめという御指示もありましたから、それに向けてそれぞれプラン、具体的な文章の作成作業に今、入ろうとしております。
 具体的には、国民会議はあと1回ということを予定しておりますので、それまでの間においても国民会議の有識者議員の方々ともよくよく調整をしながら、取りまとめを進めていきたいと、こう思います。
(問)プランの段階で、予算編成の過程で、財源の問題と、あとはどれだけ具体的な施策で実効性のある施策なのだというようなことを、メッセージを出すところが重要だと思うのですけれども、このあたりについてはどういうことを意識してプランの策定に臨みたいとお考えになっていますでしょうか。
(答)予算編成段階ではありませんから、そういった制約条件は当然あります。その中で、従前から実効性のある具体的な内容をと申し上げておりますので、そういった形をしっかりと示していきたいと思います。

(以上)