加藤内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年4月1日

(平成28年4月1日(金) 8:46~9:05  於:中央合同庁舎第8号館1階S101記者会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 まず、閣議で犯罪被害者等基本計画の変更について御説明をいたしました。本日から国家公安委員会に、この犯罪被害者等基本計画の推進に関する事務は移行されるところでありますが、この計画を取りまとめたという立場において御説明をいたしました。
 現在の第2次基本計画の期間が平成27年度末であることから、新たに第3次犯罪被害者等基本計画を定めたものであります。
 この計画では、新たな方向性として、被害が潜在化しやすい犯罪被害者等への適切な支援や犯罪被害者等の生活全般にわたる中長期的支援等を盛り込んでおります。犯罪被害者等施策につきましては、移管後も政府を挙げて取り組むべき重要施策であることには何ら変更はなく、各関係閣僚に対して各種施策の着実な推進をお願いしたところでございます。
 閣議についてはこの1件でございます。
 あと4件御報告をしたいと思います。
 まず、「女性活躍推進法」が、いよいよ今日から施行されるところでございます。
 女性活躍推進のためのメインエンジンともいうべきこの法律の完全施行により、働き、働こうとする女性の活躍推進は新たなステージに入ったわけであります。
 今日は、もちろん飽くまでもスタートであります。企業等が、策定した行動計画に基づいて積極的な取組を進めていただくことや、その進展状況に応じた見直し等にも取り組んでいただくことを期待をしております。
 今後、行動計画に関する調査・分析や女性の活躍状況の見える化、公共調達や認定制度等を活用した企業へのインセンティブ付与、行動計画の策定が努力義務である従業員300人以下の中小企業への支援を更に進めていきたいと思っております。企業等における女性の積極的な採用・登用や、将来指導的地位に登用される女性の候補者の育成を促進し、社会全体の機運を更に高めていきたいと考えております。
 2点目は、昨日成立いたしました「子ども・子育て支援法の一部を改正する法律」は、本日付けで施行されるところでございます。
 先般、与党から緊急的に取り組むべき施策が提言され、待機児童を巡る状況は依然として厳しいものであり、待機児童の解消は政府の喫緊の課題であるということであります。
 本改正法は、子ども・子育て支援の提供体制の充実を図るべく、子ども・子育て支援法に新たに「仕事・子育て両立支援事業」を位置づけ、多様な働き方に対応した企業主導型の保育サービス等を、事業主拠出金を活用して展開できるようにするものであり、待機児童の解消に有効なものであると考えております。
 企業主導型保育事業を展開していくためには、企業の理解が必要不可欠であります。お手元にチラシをお配りしているように、企業への周知をしっかり図っていきたいと思っております。
 今後、事業の一日も早い実施とそれに伴う待機児童の解消に向け、全力で取り組んでいきたいと考えておりますが、具体的には、まず、助成金の執行などを行う団体の公募を速やかに行い、企業主導型保育事業の設置運営を希望する企業からの申請受付を夏前にも開始できるよう準備を進めていきたいと考えております。
 3点目でありますが、「障害者差別解消法」の施行についてであります。
 本日、「障害者差別解消法」が施行されました。本法に基づき、国・地方公共団体の機関や事業者は、障害のある方に対する「不当な差別的取扱い」が禁止されるとともに、「合理的配慮の提供」が求められることとなります。
 内閣府では、本法の円滑な施行に向けて、法の趣旨・目的を広く国民に御理解いただくため、障害者差別の解消に向けたフォーラムを開催したほか、リーフレットやポスターを新たに作成し、各省を通じて事業者団体等に提供するとともに、各事業者への周知を依頼することなどの取組を進めてきております。
 さらに、法に基づく合理的配慮等の具体例を収集・整理し、広く社会で共有するため、具体例データ集の「合理的配慮サーチ」を昨年12月から内閣府ホームページで公開をしております。
 今後とも、法の趣旨が広く国民に一層浸透するよう、政府全体でしっかりと周知啓発に取り組み、一億総活躍社会の実現に向けて、障害者差別解消法の実効性のある施行に努めてまいりたいと思います。
 最後4点目でありますけれども、「子育て支援パスポート事業」の充実強化ということであります。
 「子育て支援パスポート事業」に関しましては、本日4月1日から、41の道府県において相互にサービスが利用できるようになります。
 「子育て支援パスポート事業」とは、子育て世帯に対し、各協賛店舗において、乳幼児連れの方々へのフレンドリー・メニューを始め、割引・優待などのサービスを御提供していただく事業であり、現在居住する地域に加え、他県でもサービスが受けられるようになるわけであります。
 また、これから1年かけて、残りの都府県においても、相互にサービスが利用できるようになる予定であります。
 さらに、今後も引き続き、地方自治体、企業、地域の店舗の御協力を頂きながら、子育て支援パスポート事業の充実強化に向けて、例えば、全国的に展開しているコンビニ等協賛店舗の拡大やサービス内容の充実、利便性の向上等を図っていきたいと思っております。
 これらを通じて、地域ぐるみで子育てを応援しようとする社会的機運の醸成を図っていきたいと思っております。
 私の方からは以上であります。

2.質疑応答

(問)共同通信、瀬野と申します。おはようございます。
 女性活躍推進法でお尋ねしたいのですけれども、法の成立が、一度廃案になったりして遅れまして、その影響で準備時間が足りないという声も聞かれます。そういう中で、政府として率先垂範を求めている特定事業主について、現状の行動計画の策定状況をお教えいただければと思います。
(答)まず、女性活躍推進法に基づく行動計画策定の民間企業における状況については、本日から完全施行になったことを受けて、厚生労働省が取りまとめるというふうに承知をしております。義務付けされている一般事業主は約1万5000社というのでしょうか、主というのでしょうか、というふうに承知をしております。
 また、国・地方公共団体については、昨日までに、国の機関については、行政・司法・立法、全ての機関で策定され、また、地方公共団体についても、全ての都道府県においては策定されているという状況であります。
 市町村の策定状況を含めたより詳細な状況については、今後、調査を行い、来月中には取りまとめをしていきたいというふうに思っております。
(問)NHKの伏見ですが、関連になりますが、今のでいうと、企業の取りまとめ状況というのは、現段階では把握されていないのかという点が1点と、今、大臣も政党に政治分野での女性活躍ということで申入れされていますけれども、反応を見ていると、なかなかやはり厳しい反応というか、なかなか難しいのかなと思えるような反応もありまして、改めて2020年に指導的地位に占める女性割合30%という目標と、その実現可能性についてどうお考えになっているかという2点を教えてください。
(答)まず、企業に関しては、先ほど申し上げましたけれども、これから厚生労働省において取りまとめをされるということであります。
 また、政党に関しては、これまで自民党、公明党の与党と民進党に私が直接、幹事長あるいは政策の責任者にお話をさせていただきました。それぞれ内容については理解をいただいているというふうに思いますけれども、それから先はそれぞれの政党においてどう取り扱っていかれるかということだと思います。
 それから、2020年30%の目標でありますけれども、これは元々男女参画計画(男女共同参画基本計画)の成果目標についても、それぞれ国や、あるいは民間における課長職相当等々の数字からして、なかなか正直言って、2020年の30%というものはストレートに見えてきていない状況であるというふうには思っております。そういう意味ではなかなか厳しい状況ではありますけれども、しかし、そうした2020年30%という目標については、引き続き堅持をする中で、それに向けて努力をしていく。また、その努力ということにおいては、男女共同参画計画(男女共同参画基本計画)の中にもありますけれども、やはり採用を増やし登用し、そしてやはり一定のそうした対象となる候補層というのですかね、その方々の人数が増えないと、なかなか割合が増えていかない、こういう関係が見えるわけでありますから、そうした候補の対象になる人たちが、あるいは将来においてなる人たちをどう増やしていくのかということが非常に重要な課題だと思っておりますので、まず採用を増やしていく。そして、そういう方々がそれぞれの層に登用され、そして、さらには指導的な立場になっていく、こういうことをしっかりとサポートしていくという中で、2020年30%という目標の実現に向けて引き続き努力はしていきたいと思っております。
(問)おはようございます。東京新聞の我那覇です。
 先ほどお話がありました障害者差別解消法の関係で大きく2点お尋ねしたいと思います。
 政府は、全国約1,800の自治体に対して、障害者差別解消支援地域協議会を設けるように呼びかけていますけれども、現時点でほとんどの自治体で設置されていないというような現状があります。障害のある人たちからは、差別を受けても相談する先がない、相談する機関がないというような声も出ているのですが、大臣としては現状をどう認識しているかということがまず一つ。
 それと関連してなのですけれども、このままでは法律の趣旨がなかなかいかせないのじゃないかというような同様な障害者の指摘もあるわけですけれども、一億総活躍担当大臣として、今後どのようにそういうような指摘に応えていくか、どういうふうに取り組んでいくかお聞かせください。
(答)まず、今お話がありました障害者差別解消支援地域協議会、これは法律上は組織することができるというふうに規定をされているわけであります。しかしながら、障害者にとって身近な地域における差別の解消を推進する上で大変重要な役割を担う組織だというふうに私は認識をしております。
 現時点での取組状況でありますけれども、既に地域協議会を設置している地方公共団体は、都道府県は18道府県、それから政令指定都市は9市、その他の市区町村については103市区町村ということであります。
 また、今は設置はされていないけれども、今年度上半期中に設置をすることを予定しているという地方公共団体は、都道府県については24都県、政令指定都市については6市、その他の市区町村については362市区町村ということであります。
 こうした既に地域協議会を設置をされたところ、あるいは今後予定をしている具体的な地方公共団体名については、やはりそういうところに相談をしていくということが必要でありますから、内閣府のホームページでも公表していきたいというふうに思っております。
 それから、今お話がありました地域協議会をこれから更に増やしていくという意味においては、我々も様々な形で支援をすることによって、まずは都道府県ないし政令市において、そして、さらにはその他の市区町村においてこうした地域協議会が設置されるよう働きかけをしていきたいと思っております。
(問)(東京新聞・我那覇記者)関連なのですけれども今のお話だと、その他市区町村だけですと400余り、500に達しないぐらいで、全体の中に占める割合というのはやはり少ないのかなという気がします。大臣としてはここら辺、スタートしているわけですけれども、どういうふうにお考えになりますか。
(答)そうですね、その他の市区町村では設置をし、あるいは上半期に設置を予定している割合というのは27%、約3割ということでございますので、その割合をしっかりと高めていけるべく努力をしていきたいと思っています。
(問)再び共同です。
 先ほど、企業主導型保育事業の御説明をいただいたのですけれども、昨日、保育現場での事故防止を強化するガイドラインが自治体に通知されて、子育て本部さんの方でやられたと思うのですが、企業主導型保育所は、保育士の配置数も認可よりは緩和しているかと思うのですけれども、質の確保ということですね、今後緊急対策を打っていく中で、子育て支援事業でどのように事故の再発防止とか質の確保を図っていかれるか、大臣のお考えをお聞かせください。
(答)企業主導型保育園というのは、児童福祉法では認可外保育園という位置づけになるわけでありますけれども、これまでは、事業所内保育所については、全ての預かっている子供さんが従業員の子供さんである場合には届出も要らなかった。今回は、届出をしてなければ助成の対象にしないということで、これは都道府県が最終的には監査等を行うわけでありますけれども、そのカバレッジにしっかり入れるようにさせていただいているところでございます。
 それから、もちろん児童福祉法の認可外であっても児童福祉法の規制がかかることに加えて、これから実施要綱、補助金要綱等をこれから作らせていただくわけでありますけれども、やはりそういう中で一定の質の確保ということに関してはしっかり盛り込んでいきたいなというふうに思っております。昨日も参議院の内閣委員会でもいろいろ御議論がございました。そういったことも踏まえながら作業を更に進めていきたいと思っています。
(問)NHKの伏見です。
 関連してなのですけれとも、この企業主導型保育事業に関しては、事業所内保育というのは一般に企業の中に作るものであると、なかなか待機児童の懸念が多い都市部においては、子供を連れて会社に出社するというのは考えにくいのじゃないかと。その中で5万人という受皿が本当に確保できるのかというような話もありましたが、改めて、どういうものをイメージされているのかというのと、5万人というところに関してしっかり確保していけるのかというふうにお考えになっているのかというのをお聞かせいただければと思います。
(答)5万人ということは、要するに、当初の待機児童解消加速化プランでは、25年度から29年度に40万人分の受皿の拡充を図っていくということで、しかし、その計画を上回るスピードで実際設置が行われていますけれども、引き続き待機児童というのは大きな問題になっているわけでありますから、さらに、最近の女性の就業率のアップ、それに伴う保育所の利用率の上昇、そういったことを踏まえて、あと10万人はまずは必要だろうということで50万人まで引き上げたわけであります。
 他方で、市町村から、その地域における待機児童あるいは潜在待機児童、あるいは今後の動向等を踏まえてお出しいただいた整備計画というのは45万6000人分ということでございますから、それを超える部分について、こうした形で対応していくという、その受皿として作らせていただいているわけであります。
 その上で、これは事業所内といっても、実際、ある商社さんは都心で保育所を持っておられて、時差通勤等を活用してそれを使っているというところもあります。それから、中には本社そのものが都会でないところもございます。さらには、この企業主導型については、別に事業所の中にある必要はなくて、必要なところに、ある意味では、自由にどこにでも置くことができる。そういう意味では、いろいろと活用していただけるのではないかなと思っておりますし、また、受ける対象者も、普通の保育所以上に幅広く受けることが可能になっておりますし、また、その企業そのものの働き方も含めて出てまいりますので、これからそういった意味でニーズが高まっていくのじゃないかと思いますし、まず既に、これに関心を持っていただいて問合せを頂いている企業もあるというふうに承知しています。

(以上)