島尻内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年5月31日

(平成28年5月31日(火) 10:28~10:50  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 本日は私の方から冒頭3件、お話をさせていただきます。
 伊勢志摩サミット、それからSIP(戦略的イノベーション創造プログラム)関連、それから国際シンポジウムのことについてでございます。
 まず、伊勢志摩サミットであります。先週開催されました伊勢志摩サミットにおきましては、世界経済等の主要議題に加えまして、我が国が議長国として、「保健」、そして「女性の活躍推進」を重視する優先アジェンダ等についても議論が行われ、成果文書が取りまとめられました。特に、女性については、女性の潜在能力の開花及び自然科学分野における女性の活躍促進が重要との認識の下で、「女性の能力開花のための行動指針」及び「女性の理系キャリアのためのイニシアティブ」、これを「WINDS」と言いますけれども、これの合意がなされました。これに関しましては、先日開催したG7茨城・つくば科学技術大臣会合の「つくばコミュニケ」において、科学・技術・工学・数学、「STEM」の分野における女性の役割促進、そして、女性の研究者・技術者・生徒・学生の国際的ネットワークの強化を打ち出したところでございまして、今般、伊勢志摩サミットで合意されましたこの「WINDS」というものは、「つくばコミュニケ」を踏まえたものでございます。「リケジョ」の活躍拡大に努めてきた私といたしましては、大変これをうれしく思うところでございます。今後、女性が科学技術分野に積極的に関与して、リーダーシップを発揮するために自らのキャリアを切り拓く平等な機会を持てるように、グローバル・ヤング・アカデミーなどの国際組織の活動の支援、あるいは情報の共有、そして具体的対策など、G7各国及び関係省庁の協力も得て、「WINDS」の取組に貢献していきたいと考えています。その他、「つくばコミュニケ」と伊勢志摩サミットの関連でありますけれども、例えば、先週の伊勢志摩サミットで合意されました「国際保健のためのG7伊勢志摩ビジョン」に盛り込まれた、顧みられない熱帯病、NTDs、それから、貧困関連疾患、PRDs、これに係る研究連携の強化、それから、アクティブ・エージングのための研究開発、そして医療・ICT・ロボット支援の統合、さらには、脳科学分野におけるオープンサイエンスの推進、などが「つくばコミュニケ」からつながった成果であると言えると思っております。伊勢志摩サミットでの合意事項の実現において、科学技術の果たす役割というものは大変大きいと。今後、「つくばコミュニケ」の着実な実施に向けまして、G7各国、そしてEUの科学技術大臣としっかり連携を強化、あるいは協力を推進していきたいと考えております。
 続きまして、SIPの追加配分についてでございます。総合科学技術・イノベーション会議の戦略的イノベーション創造プログラム、SIPにおいて、地震即時被害推定技術の研究開発を進めております。これまでに、自動的に地震の被害推定を行うシステムを構築したところでございます。今回の熊本地震におきまして、発災後即時に、このシステムにより被害推定を行ったところ、建物の倒壊の集中地点を概ね正確に予測することができました。この結果から、内閣府といたしましては、今回の熊本地震における教訓を踏まえて課題を重点化した上で、この開発を加速したいと考えておりまして、技術の高度化と新たな機能付与について、具体的提案をSIP防災プログラムの中島プログラムディレクター(PD)に依頼いたしました。今般、この中島PDより、即時被害推定技術の高度化に関する具体的な提案がございまして、先週の内閣府SIPガバニングボードで審議し、予算の追加配分が妥当とされたところです。この予算追加措置によりまして、まず、熊本地震のような前震、前震と後震があったということで、その前震による建物のダメージも考慮した、より高度な被害推定を可能とすると。これによって、いち早く初動の救命活動を開始できるようになります。また、新たに、事前のシミュレーションに基づくリスク評価が行えるようになるということで、平時から自治体等の防災活動に用いることが可能になります。これにより、地域の地震対策に更に貢献できるようになるということでございます。なお、今回追加で配分する金額は2.2億円を予定しております。今後、これはCSTI(総合科学技術・イノベーション会議)で正式に決定いたします。詳しくは内閣府の科技部局にお問合せをということでございます。
 続きまして、国際シンポジウムについてでございます。お手元の配付資料を参考にしていただければと思いますけれども、来月、6月17日金曜日の午後、琉球大学、日本医療研究開発機構(AMED)、それと内閣府が共同で宜野湾市におきまして、沖縄における医療分野の研究開発の推進をテーマに国際シンポジウムを開催いたします。平成27年3月末に返還されました西普天間住宅地区の跡地利用について、地元の要望であります国際医療拠点の形成に向けて、アメリカ国立衛生研究所(NIH)、それから日本医療研究開発機構(AMED)、そして琉球大学などの有識者に御参加いただき、開催されるものでございます。この国際シンポジウムを契機にして、沖縄における研究開発の推進と西普天間住宅地区跡地の利用の推進に向けた機運が一層高まることを期待しております。これについて、詳細は沖縄担当部局にお問合せいただければと思います。
 私からは3件、以上です。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 二つ質問があるんですけれども、一つ目が、昨日のAIの懇談会でも話が出たかと思うんですけれども、沖縄で痛ましい事件があって、本当は防犯機能がもっとしっかりしていればそういうことが防げたんじゃないかと。その中で、AIを防犯分野にどのように活用するのか、大臣としてのお考えを教えてください。
(答)今、御指摘がありましたように、昨日のAIの懇談会において、冒頭一例としてお話をさせていただきましたけれども、民間分野ではAI技術を活用して、防犯カメラの画像から普段とは違う不審な動きをする人物を特定したり、追跡するシステムを開発するなどの取組がもう既に進められていることは承知しておりまして、こうした技術開発の最新状況については、開発企業から直接私も説明を受けております。
 昨日も沖縄の例を出させていただきましたけれども、全体的には例えば東京オリンピック・パラリンピックに向けた九つの科学技術プロジェクトの中の一つにも移動最適化システムなどで、不審な物や人などをすぐに発見するための研究を推進していることがございます。
 こういったカメラ画像を高度化していく、あるいはこれをきちんと活用できるように研究開発を進めていくという流れの中で、私もこういった防犯のみならず、人の安心・安全という中で活用できる整備の提唱というのは提言していきたいと思っております。
 引き続き、こういった健全な利活用の促進のために、産業界や、あるいは、関係省庁とともに検討を進めていきたいと思っています。
(問)もう一つは、安倍総理が増税を見送る考えを表明したかと思うんですけれども、一方で、G7で科学技術が重要だと。第5期科学技術基本計画でも26兆円が必要だと。科学技術予算に与える今回の増税見送りの影響について、大臣としてどのようにお考えでしょうか。
(答)この増税見送り関連に関しては、まだ正式に総理がこれを表明されていないと私は認識しておりまして、ですので、そのことに関するコメントは控えたいと思いますけれども、ただ、科学技術政府開発投資予算については、科技大臣としては、そこはきちんと増税云々とはまた別の考え方で、ここはきちんと実現していかなければならないと思っています。第5期の科学技術基本計画にしっかりとGDP比1%ということが掲げてありますから、その実現方、官民挙げて頑張っていくと。その旗振りに邁進するということは、これからもしっかり行っていきたいと思っています。
(問)琉球新報の池田です。
 国際シンポジウムの関連で、大臣、OHMIC(Okinawa Health Medical Innovation Center)の関連も大臣になられる前から取り組んでいたと思うんですけれども、今後、このシンポジウムを足掛かりに、どういったふうに進めていきたいのかというところをもう少し詳しくお聞かせ願えればと思います。
(答)国際医療拠点の形成に向けてということは、この数年、私も取り組んできております。特にその中で、いろいろなコンテンツといいますか、いろいろな構成が考えられると思っていまして、私としては、今お話のあったOHMIC等を通じて国際医療拠点に向けて何ができるのか、どういう取組ができるのか、ということを更に深掘りして行っていきたいなと思っています。
 他方、この拠点構想について、まだ県民の十分な理解というか、どういう方向に進んでいくのかということも含めて、十分な御説明というのがなかなかなかったかなということも正直考えておりまして、今回のこういった国際シンポジウムにおいて、この国際医療拠点としてどういう方向を目指すのか、目指したらいいのかということを有識者の皆様の御議論もいただきたいと思っていまして、そういった意味において有意義なものにしていきたいと考えています。
(問)フジテレビ、和田でございます。
 大臣としてのお話ではないので簡単にで結構ですが、先ほど増税云々の話で、まだ総理が結論を出していないのでというお話でしたので、ちょっと角度を変えてお伺いしますが、大臣というか、一議員として、あるいは選挙を戦われるお立場として、消費税率を上げるのか、上げないのかの問題、それから、同日選の問題、基本的には昨日までに消費税率の引上げは先送り、同日選は行わないということではあると思うんですが、決まっていないという観点からで結構ですが、これは実際選挙を戦われるお立場に、その結論というのは何がしかの影響があるのかどうかということと、稲田(自民党)政調会長は、はっきり上げるべきだと、上げないんならば総選挙を行うべきだということもおっしゃっているんですが、まず、この2点についての議員としてのお立場と、この二つの問題というのが実際に選挙を戦われる立場に何がしかの影響があるのかどうか、簡単にで結構です。
(答)先ほども申し上げましたけれども、この件に関しては総理がサミットの時にもおっしゃっていましたけれども、適時適切に判断をされるということでございますので、閣僚の一人としてのコメントは控えたいと思っております。
 夏の参議院選挙の前に明らかにされると理解しているところでございます。私としては、総理の御判断も踏まえて、これは適切に対応していきたいと考えています。
(問)こうなってもらっちゃ困るなんていうことはありますか。
(答)私としては、総理の御判断にお任せするということでございます。
(問)NHKの黒川と申します。
 今の増税の話と、先ほどの26兆円の話、改めてちょっと伺いたいんですけれども、去年第5期(科学技術基本計画)を作る段階では、当然、消費税率を上げてという前提があって、いろいろ額の話だとかも出ていたと思うんですけれども、これが増税見送りというふうになった場合に、科技計画そのものが、少し変更されたり、あとは財務省からの攻撃も激しくなると予想されるんですけれども、その辺の大臣の御所感をちょっと伺いたいんですけれども。
(答)科学技術担当としては、むしろ生産性の向上、あるいはアベノミクスを進める上で、科学技術が果たす役割というのは、これ大変大きなものがあると考えていますので、私としては、先ほども申し上げましたとおり、科学技術予算全体をどう上げていくかということはしっかりと取り組んでいきたいと思っています。むしろ、今まで以上に邁進していくという勢いで頑張っていきたいと思います。
(問)共同通信の広江と言います。
 昨日の人工知能懇談会のことで伺いたいんですけれども、文科省と総務省と経産省で3省で人工知能技術戦略会議というのを作って、あっちの方で研究計画と人材育成の工程表を本年度中にまとめるとかってイメージしやすいんですけれども、ちょっと懇談会の方が何をやっているのかというのをイメージしづらくて、もう一度ゴールというか、狙いをどのように考えていらっしゃるのか教えていただけますでしょうか。
(答)昨日、第1回の懇談会でございました。この懇談会においては、広い分野の専門家の皆様に御意見を頂きまして、聞いていただいたのかと思いますけれども、本当に様々なお立場からの意見がございました。この懇談会を開催するに当たって、私としては、今、AIの利活用等から、例えば仕事がなくなるのではないかなど、いわゆるミスリードされたといいますか、もう少し人間に寄与するためのAI技術なのだということを国民の皆様に御理解いただかないといけないのかなと。そういう中にあっての懇談会の議論にしていきたいと。議論の内容としては、例えば、倫理もそうですけれども、労働関係、あるいは哲学的な見地からの御意見、それから知財関係など、本当に様々な、もちろんそれを使う側の企業や、それから開発する開発者の意見なども含めて御意見を頂いたところです。
 その中で、これはすぐに結論が出るとは私は思っておりませんで、息の長い、足の長いものになっていくだろうと。ただ、その中で私が今申し上げたような、国民になかなかきちんと理解していただけていないところ、例えば、繰り返しになりますけれども、労働的な分野からいうと、仕事がなくなるのではないかなど、そういった疑問や懸念など心配をしていたりとか、そういうところを私としては払拭していくというのが大事なのでないかと思っています。
 いずれにしても、この科学技術全体に言えますけれども、何のための技術なのか、人間社会を豊かにしていくためのものでないといけないわけでありまして、その辺のところを今後、うまく取りまとめていければいいと考えています。
(問)AIが人間に寄与する技術だというメッセージを報告書なり何なりにまとめるというのが今後のゴールですか。
(答)それだけではありませんけれども、内閣府としての役割として、今おっしゃいました各関係省庁、あるいは関係研究機関がそれぞれの得意分野で進んでおられると思います。そういう中で、我々内閣府としての役割をきちんと果たしていくと。AIの研究開発、あるいはその利活用において、倫理的又は制度的に整理しないと先に進めないという課題もあるということでございますので、そういった課題を整理するということがまず第一の目標、目的になっていくと考えています。

(以上)