島尻内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年5月13日

(平成28年5月13日(金) 9:15~9:31  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 本日は冒頭3件、お話をさせていただきます。
 まず、「特定国立研究開発法人法」に関してでございます。5月11日、一昨日でありますが、特定国立研究開発法人による研究開発等の促進に関する特別措置法が国会で成立いたしました。報道各位におかれましては、早速、本法律の成立について報道いただくなど、関係各位の御協力に対し、深く感謝申し上げたいと思います。
 政府といたしましては、今後、特定国立研究開発法人を中核として、大学や公的研究機関、さらには産業界も含めて、オールジャパンで我が国の科学技術イノベーションのシステム改革を積極的に進めてまいる決意でございます。
 続きまして、先ほど、第19回総合科学技術・イノベーション会議(CSTI)を開催いたしました。まず、「科学技術イノベーション総合戦略2016」の答申案を決定いたしました。この「総合戦略」は、今年度の重点項目を示すものでありまして、そのポイントは、まず、①といたしまして、「Society5.0」の深化と推進、そして、②若手を始めとする人材力の強化と、大学改革と資金改革の一体的推進、そして、③といたしまして、オープンイノベーションの推進による人材、知、資金の好循環システムの構築等でございます。今後、5月中下旬の閣議決定を目指すとともに、成長戦略への反映を図ってまいります。
 次に、生命倫理専門調査会によります、ヒト受精胚へのゲノム編集技術を用いる研究についての中間取りまとめを御報告いたしました。中間まとめの内容は既に御紹介しているとおりでございまして、今後、研究者コミュニティや国民の議論、関係研究の動向を見ながら検討を深めてまいります。
 最後に、東京大学宇宙線研究所の梶田隆章教授から御講演いただきました。総理のお言葉にもございましたが、ノーベル物理学賞を受賞されている小柴(昌俊)先生や、スーパーカミオカンデの建設に御尽力された戸塚(洋二)先生など、研究者のリレーの中で生まれた成果であり、地道な基礎研究を継続された結果の賜物だと思います。
 もう一つ、G7でございます。「G7茨城・つくば科学技術大臣会合」を5月15日日曜日から17日火曜日にかけまして、茨城県つくば市のつくば国際会議場で開催いたします。G7・EUからは6人の閣僚が出席いたします。なお、出席者8人中6人が女性となります。
 まず、5月15日日曜日は、「G7茨城・つくば科学技術大臣会合開催記念シンポジウム」を開催いたします。各国大臣にも参加いただきまして、ノーベル賞受賞者などによる講演や、第一線で活躍する研究者によるパネルディスカッションを行いまして、次世代を担う若者に向けて、科学技術の魅力を伝えたいと思います。
 5月16日月曜日から17日火曜日にかけて、六つの議題について、各国の大臣あるいは代表と議論を行います。17日には、議論を踏まえた成果文書として、「つくばコミュニケ」を世界に向けて発信するとともに、G7伊勢志摩サミットに報告いたします。
 また、この大臣会合の機会を捉えて、日本の科学技術を始め、茨城県・つくば市の魅力など、日本の素晴らしさを知っていただけるように、各国大臣による科学技術関連施設の視察と、つくば国際会議場の多目的ホールで特別展を開催いたします。
 大臣会合の成功に向けて、各国大臣と実のある議論を行うことはもとより、開催地の茨城県・つくば市とも連携して、各国の皆様に心を込めたおもてなしができるよう、お迎えしたいと思っております。
 私からは3件、以上であります。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 今日のCSTIでも有識者議員ペーパーが出たと思うんですけれども、尾身(幸次)さんの研究費の抜本的強化、それを受けてのペーパーが出ていたと思うんですけれども、それについて大臣としてはどのように受け止めて、今後、霞が関の今の予算編成システムにちょっと一石を投じるものだと思うんですけれど、それについてどのように受け止めて、今後取り組みたいとお考えでしょうか。
(答)おっしゃるように、本日、有識者議員ペーパーが出まして、第5期の科学技術基本計画と、それから「総合戦略2016」を実行する段階に入る中で、そのために必要な政府研究開発投資を確実に確保すること、それと呼応した民間投資の拡大が不可欠であるということで、基本計画のこの政府研究開発投資の目標として掲げられております、対GDP比1%、総額26兆円、この達成に向けて、所要の予算を確実に確保すべきであるということが述べられております。
 もちろん、私といたしましても、この科学技術イノベーション、未来への投資でありますので、この研究開発投資については、我が国の経済発展、そして国内外の社会的課題の解決に貢献するものでありまして、必要不可欠だということで、何とかこの予算獲得に向けて、また頑張っていきたいと決意を新たにしたという感じです。
(問)時事通信、田中です。よろしくお願いします。
 ユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)が沖縄に進出を一時検討したものの、撤退、断念するという発表がありました。これについての受止めをお願いします。
(答)このUSJの沖縄進出計画見送りということで、あくまでもこれは民間企業の経営判断であるとは思いますけれども、私としても率直に言って大変残念でございます。
 今後また、私としては沖縄振興を積極的に、また頑張っていくということに尽きるわけでありますけれども、気を取り直してといいますか、ちょっと深呼吸しながら、また頑張っていきたいと考えています。
(問)沖縄では、選挙の時になると振興策の話が出て、終わると消えていくみたいな批判があるんですけれども、それについてはどのようにお感じになりますか。
(答)決して、選挙対策のために出たものではないと私は認識しておりますし、私も今後この沖縄振興を進める上では、チャレンジャーとして頑張っていきたいと考えています。
(問)日刊工業新聞の冨井と申します。
 G7のことでお聞きしたいんですけれども、日曜日から始まって、六つのアジェンダがあると思うんですけれども、大臣としては、どれも大事だとは思うんですけれど、重点的に何か思い入れがあるというか、これをちゃんとやっていきたいというのがあれば教えてください。
(答)もちろん、全部必要だと思っています。もっとあったものを、これは必要、これは必要ということで、結果的にこの六つのアジェンダになりました。
 その中では、引き続きというか、前回のものからの宿題的なものも、もちろん入っているわけでありますけれども、これ六つ、しっかり行っていくことが必要だと思います。
 例えば女性活躍のところや、人材育成のところに関しては、プレイベント的に開催して、いわゆる理工系女子についてということで行っていたということもありますので、私も女性として、女性の活躍については応援していきたいという立場から、この辺もしっかり行っていきたいと思っています。
(問)あともう一つ、17日に成果文書を出すということで、つくばコミュニケ、コミュニケーションのコミュニケということで、いいですか。
(答)はい。
(問)分かりました。ありがとうございます。
(問)朝日新聞の竹石といいます。
 2点お尋ねしたいんですけれども、一つは、特定国立研究開発法人の指定についてなんですけれども、確かにその人件費の柔軟な運用とか、研究費の集中的投資とか、メリットは大きいとは思うんですけれども、その一方で、大臣によるヘッドの解任ということが可能になるということで、例えば、その成果を焦って、今回指定された理研でも、この間STAP騒動があったわけですけれども、成果を焦って、例えばまた不正が起きてしまうとか、若しくは、そのトップが逆に成果をすごい焦ってしまって、その解任を意識するあまりにというような、その弊害とかリスクもないとは言えないと思うんですけれども、その点どういうふうにお考えなのかということが、一つお尋ねしたいんですが。
(答)一つの制度として、その件は入っているわけでありますけれども、主務大臣が即刻、その時々のもので行っていくというものではございませんし、関係者の御意見をよく聞いて決めていくということでありますので、そのシステムというか、その段階、その時々のステップについては、しっかり、決まり事もあるわけですから、そう簡単にできるものでもありませんし、その点は十分措置がされていくものだと考えています。
(問)もう一点は、今日の議題にも上がっている「総合戦略2016」を含めて、今の特定国立研究開発法人もそうだと思うんですけれども、出口をとても見据えた戦略が最近多いというふうに思っています。
 その出口も大事だと思うんですけれども、一方で、正に梶田先生のような基礎研究も大事だと思うんですけれども、そこら辺のバランスというのはどのようにお考えでしょうか。
(答)良い御指摘だと思います。そこは科学技術を語る上では、そのバランスというのが大変大事だと思います。基礎研究というのが、いつどこでブレークスルーするかも分かりませんので、だからこそ、研究者が腰を据えて研究できる、その環境作りというのが必要だと思っておりますし、それこそ朝から予算のことが議題に上るわけでありますけれども、だからこそ、その辺のしっかりとした予算措置というのが重要なのだろうと思います。
 他方、その出口といいますか、その社会実装を急ぎたいという企業など、そういうこともあるわけでありまして、その辺をうまくマッチングさせるというのも、これからの課題になっていくのかなと思います。
(問)フジテレビ、和田でございます。おはようございます。
 確認だけなんですが、USJなんですが、これはもう今後、政府としてお願いレベルで働きかけをするようなことがあるのか。あるいは、誘致のための環境整備を検討されたりすることがあるのか。民間企業のことなので、もうしようがないで終わってしまうのか。いかがでしょうか。
(答)先ほども申し上げましたけれども、私もチャレンジャーとして、次々とまた打っていきたいと思っています。
 沖縄県の観光入客数、確か今717万人を超えているというようなデータも出ておりますけれども、また2020年に向けて2本目の(那覇空港)滑走路、今工事中でありますけれども、それが完成後は、もっと入客数についてはこの増加が見込まれるということもあると思いますので、そういったインフラ的な整備をしっかりとする上で、また、その上にソフトを乗せていくようなところに努力していきたいと思っています。
(問)それはUSJについてということではなくて、USJそのものは断念ということになるんですか。
(答)また環境は変わりますから、その入客数が例えばもっと増えたなど、そういった環境が整った時に、またUSJには御検討、再検討をいただくということも、もしかしたら可能性としてはあるかもしれませんし、その辺はまた今後だと思っています。

(以上)