島尻内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年4月12日

(平成28年4月12日(火) 10:42~11:09  於:中央合同庁舎第8号館1階S103記者会見室)

1.発言要旨


 今日は冒頭4件お話をさせていただきます。沖縄出張、北海道訪問、それから東工大の視察で、人工知能についてでございます。
 まず、沖縄出張です。先週末、沖縄を訪問いたしまして、日本学術会議と沖縄県内学術関係者との意見交換会に出席いたしました。日本学術会議の大西会長の他、琉球大学、OIST(沖縄科学技術大学院大学)、沖縄高専の学長・校長など沖縄の学術を代表する方々が一堂に会する貴重な場となりました。意見交換会では、出席者から、沖縄県の学術の今後の在り方について様々なアイデアを頂きました。こうしたアイデアが今後の沖縄の振興に活用されることを期待したいと思います。
 続きまして、北海道訪問です。先日10日に、北方領土隣接地域の別海町を訪問いたしまして、小中学生や保護者の方々を対象に実施された、映画「ジョバンニの島」の上映会に参加いたしました。この映画は、北方領土問題を考えるきっかけとするにはとても良い映画でございまして、御覧になった皆様には、改めて、北方領土問題に関心を持っていただき、また、理解を深めていただいたと思っています。特に今回、映画に登場する兄弟、10歳と7歳の設定なのですけど、この兄弟と同じ世代の児童・生徒の皆さんにはとても印象に残ったのではないかと思っています。引き続き、関係者の皆様と連携をとって、若い世代への広報・啓発に力を入れていきたいと思っています。
 そして、東工大視察です。本日午後、東京都目黒区にあります東京工業大学の視察に参ります。今回の主な目的は、第5期科学技術基本計画で重要な政策として掲げております「Society 5.0」、あるいは大学改革について意見交換を行いまして、現場の声をいろいろとお聞きすることであります。視察後には、現地で取材・ぶら下がりを予定しておりますが、その詳細については事務方にお問合せいただければと思います。
 最後でありますが、人工知能、AIについてであります。内閣府、CSTI(総合科学技術・イノベーション会議)の司令塔機能の強化の一環として、私として、ここ数か月温めてきたのですけれども、この構想を発表させていただきたいと思います。最近、多くの報道があるとおり、人工知能、つまりAIと人間が共存していくためには、AIの社会的影響、あるいは倫理的課題等の検討が不可欠になってきたと感じています。例えば、先月も、マイクロソフトが開発した実験中のAIがツイッター上でヒトラーを肯定したり、人種差別的な言葉を発したりという事態が発生し、世界的な話題となっています。こうした予期せぬ出来事に私たち人間として対処していく必要があると考えています。SF作家のアシモフは1950年に「ロボット三原則」を発表いたしましたが、現時点でも、AIが人間を支配するといった懸念は不要だと考えておりますが、AI研究を人間の幸せに結び付けるため、AIと人間社会との関わりを考える取組が国内外のアカデミアなどで始まっております。我が国でも、人工知能学会が倫理委員会を設置し、真剣な議論を行っていると聞いています。他方、日本を含め、政府レベルでの検討はこれまできちんと行われてこなかったということでもありますので、私は、「科学技術は人間の幸せに役立つべき」という政治家の信念も込めまして、世界に先駆ける形で、我が国の科技政策の司令塔たる内閣府のCSTIにおいて、この難問の検討を開始することとしたいと思います。具体的には、AIと人間社会の関わりについて、制度面や倫理面を含めた幅の広い議論を行う懇談会を科学技術政策担当大臣、つまり私ですが、私の下に設置したいと考えています。そこでは、AIが人間の幸せにどう貢献するよう、AI研究を適切な方向に導いて、健全に発展させるための息の長い議論を行いたいと考えています。また、こうした議論を今から始めておくことは、今後、国際的な安全基準や標準化に向けたルール作りで遅れをとらないためにも必要だと考えています。詳細について、今後、事務的に詰めた上で、来月中下旬にも取りまとめられます「科学技術イノベーション総合戦略2016」の中で、政府の重点政策として位置付けていきたいと考えております。
 私からは4件、以上です。

2.質疑応答

(問)科学新聞の中村です。
 今のAIの懇談会なんですけれども、懇談会ではいろいろなことを検討されると思うんですけれども、例えば具体的にこういうことを検討したいという大臣の思いについて教えていただきたいのと、アウトプットとして、例えば報告書にするのか、政策にどういうふうに活かしていくのか、懇談会のアウトプットをどういうふうにこれから展開されていくお考えなのかを教えてください。
(答)第一には、司令塔たる科技担当大臣の下に、この懇談会を開く、CSTIも含めて開く、ということでございまして、各省庁に司令塔機能の強化として、いろいろと御提案といいますか、こういうことを行っていきたいと思っています。
 繰り返しになりますけれども、この科学技術全般もそうなのですけど、どのように人間社会を幸せにしていくのかというところの議論がないと、今いろいろな報道等なされていますけれども、何か仕事がなくなるのではないかとか、これが進んでいくと大変なことになる、つまり、人間よりも先にAIがいろいろと決定事項をしてしまうのではないかとか、そういった国民の不安を払拭できるようなものになっていけばいいのかなと思っています。なので、裾野の広い議論、あるいは長期的な、これで終わりということにはならないと思うので、その時々にいろいろな問題というのが出てくると思うのですね。ある意味、柔軟な議論ということもできるのではないかと思っていまして、そういった意味で今後進めていきたいと考えています。
(問)フジテレビ、和田でございます。
 一般的な政治の質問で恐縮です。御承知のとおり、今日、北海道5区衆議院、それから京都3区補欠選挙が告示をされました。この選挙結果が参議院選挙にどういう影響を及ぼすかということと、もう一つは、北方担当でいらっしゃるので、特に北海道の補選ですね、この結果によって、何がしか今後の北方政策に影響が出るものかどうか、その2点、簡単で結構ですが。
(答)北海道5区選挙が始まったということはもちろん承知しております。この結果どうなるのかということについては、率直なコメントは控えたいと思います。というのは、北海道5区の住民の皆様、有権者の皆様が、その争点への1票を投じるということだと思っておりますので、まずは地域的なところが、地域的なものの暮らしの問題など、今後についての争点としての有権者の意思表示ということが第一だと考えています。
 なので、北方対策云々についても、今回のこの選挙の争点になっているとは私は認識しておりませんので、この結果いかんで何か対策に影響があるのかといったら、そんなに大影響ではないと思っております。
(問)勝ち負けに伴う参院選への影響というのは、どう捉えていらっしゃいますでしょうか。
(答)一議員というか自民党議員としては、これまでの自民党の政策あるいは政権政党としての政策は、是非この選挙の勝利ということで御理解を賜りたいというのは正直な思いでございまして、それが参議院選にどうつながっていくのかということに関しては、まずはこの北海道5区で自民党としては勝利をさせてもらいたいということに尽きると思います。
(問)化学工業日報の伊地知です。
 AIの懇談会について、ちょっと細かくなりますけれども、お聞きしたいと思います。懇談会はいつ立ち上がるかということをまずお聞きして、それはどういうメンバーでということがもし分かれば。
(答)メンバーについては、人工知能と人間社会の関係を倫理的、法的な側面から、幅広く議論できる有識者を選定中でございます。スケジュールについては、私としては早目に立ち上げたいなと思っておりまして、直ちに結論が出るということではありませんけれども、先ほども申し上げたとおり、裾野の広い長い議論になるとは思っていますけれども、取り急ぎ、この総合戦略2016の重点施策と取り上げられる場合には、私としては取り上げたいとは思っているのですけれども、ここで取り上げられるということでは、2016年度内に一旦議論の整理が行われる可能性もあるかなということは考えています。
(問)そういう意味では、初会合というのは、例えば7月、8月というわけではないという理解でよろしいわけですよね。
(答)具体的なところはまだこれからなので、人員の選定もありますので、そこはしっかり着実にというか。
(問)いわゆる早期ということで、早い時期に初会合を開くという理解でよろしいということですね。
(答)はい、その希望があるということです。
(問)それから中身の話なんですけれども、どうしても倫理ということになると生命倫理のイメージが強くて、やはり人間の尊厳をどういうふうにバランスをとって研究を進めていくかということが生命倫理の中には入ってくると思うんですけど、AIという形のドライな部分というのは、どういうイメージを持って、いわゆる規制をかけるという形で、例えばiPSだとかES細胞の場合は、規制をかけて、それでこういうことは駄目だという中で例外的に研究を進めていくという形のアプローチで研究推進をしてきたという理解があるんですけれども、AIの進化をしていくために、あえて言えば、何か規制をかけなければいけないという形のものというのが大臣の頭の中にあるか、ちょっとお聞かせいただきたいんですが。
(答)これを議論することで、例えば研究開発を停滞させるものではないということは、まず始めに申し上げておきたいと思うのです。ただ、他方、今おっしゃったような、大変難しい悩ましいところもあるのですけれども、倫理というところに関して、そこで私としては議論は必要なのではないか、そして、その上で規制というイメージではなくて、冒頭も何度も御発言させていただいておりますけれども、AI研究というものを人間の幸せにどう結び付けていくのかというところを、つまり人間の生活、人間社会とどうAIが関わっていくのかというところの議論というのは早目に始めないといけないのではないかと思っています。何か事が起こってから、起こらないとは思いますけれども、起こってからやるというのではなくて、最初から議論を行うということで国民あるいは世界中の関係者の皆様の概念といいますか、考え方といいますか、それはコンセンサスまではいかないとは思いますけれども、そういったところに向けて議論を行っていくということがまず重要なのではないかと考えています。
(問)ちょっと確認ですけど、いわゆるインターネットを悪用していろいろな詐欺をしたりとか、そういう形のことにAIが使われないようにというイメージというので、ある側面としては正しいという感じでよろしいですよね。
(答)そうですね、正にそうだと思います。それが一番分かりやすい表現かもしれません。
(問)共同通信の広江といいます。
 懇談会って、名称はもう決まっていらっしゃるんですか。
(答)まだこれからです。
(問)開催時期なんですけど、さっき早いうちとおっしゃっていましたけど、例えば2016年度中とか、2016年中とか、そういった表現はできますか。
(答)そうですね、先ほども申し上げましたけど、総合戦略2016のところに重点政策として行いたいなとは思っておりますが、今検討中でございます。もしそこに入れば、2016年度中に何らかのまとめということはできるのかなと思っています。
(問)初会合も2016年度中に開催するという。
(答)議論としては速やかに行いたいと思います。ですから、まだ具体的な日付については申し上げにくいことではありますけれども、私としては早目に行いたいと。
(問)あと文科省とか別の省庁でも人工知能についての研究を始めたり、いろいろやっていますけれども、何か懇談会の中に文科省が入ったりとか、そういうことは考えていらっしゃるんですか。
(答)その形についてもあれなのですけれども、まずは私の、科技大臣の下に行いたい懇談会としては、有識者の皆様の御意見を捉えつつ、これを司令塔たる機能を発揮させていただき、それを各省庁に御提案といいますか、こんなことではいかがでしょうかということでさせていただければと思います。技術的なところはAIの研究開発とか、どこにどう使って実装していくのかとか、そういったことについては各省でお考えに基づいて頑張っていただくことだと思っておりまして、そうではない倫理面とか制度とかそういったところを内閣府として担っていきたいと考えています。
(問)確認ですけれども、有識者というのは法律学者とか、人工知能の専門家とか、そういった方々を考えていらっしゃる。
(答)そうです。今、本当にいろいろなところでこの議論はされておりますので、そういったところを見させていただく中で、そういった有識者にお声をかけさせていただきたいと思います。
(問)NHKの黒川と申します。
 同じ人工知能で、今日の一部報道で、高松で行われる、高市大臣が多分出られるやつだと思うんですが、情報通信相会合で、AIの国際的なルール作りをしていこうというのがテーマだみたいな報道もあったんですけれども、大臣、先ほど冒頭、国際的なルール作りに先駆けてやりたいとお話しされていましたが、その辺での連携とか絡みみたいなのを教えていただいてもよろしいですか。
(答)私の下に作らせていただく懇談会でいろいろな議論をして、それも含めて各省庁がそれぞれにまた頑張っていただくということだと考えています。
 今朝、その報道があったということは認識しております。どちらも、というか、その報道に基づいてAIの社会規範作りの一環であるということには変わりはないわけであります。各省庁そこは連携をとって行っていきたいと考えております。
 G7の国際ルール作りということでありますけれども、総務大臣の御提案は当面の整理を基にG7で主導権を発揮すべく御提案をされると私は認識しておりまして、他方、CSTIの方は、何度も繰り返しになってしまいますけれど、幅の広い、息の長い議論というものになっていこうかと思っていますので、この検討結果についても今後の国際ルール作りに活用していただくということなど、各方面連携して進めていきたいと思います。
(問)日経新聞の出村と申します。
 今の懇談会についてなんですけれども、これ、最終的な出口としては何かしらAIの利用指針を定めるですとか、どういう形の出口を想定されているものなのでしょうか。
(答)もちろん議論をするということで、何らかの取りまとめはまとめていかなければならないと思っています。なので、ここで私がこれということではなくて、幅広い、裾野の広い御意見を賜る、あるいは議論が行われるということは大変重要だと思っています。その中で、それがつまりはAIの研究が進んでいく中において、いろいろな不安を払拭していくものになればいいなと考えています。
(問)先ほどの話も合わせると、規制をするわけではないけれども、何かしらAIはこう使いましょうということを指針として最終的には打ち出していくという、そういう方向性だという理解でいいですか。
(答)先ほどもお話が出た国際ルール作りに先駆けて研究開発のガイドラインを、何らかのラインを策定する方針だと私は認識しておりまして、それが一番やりたいことではあります。
 ただ他方、規制をかけるだとか、そういうことではなく、自由闊達な御議論ということを期待しているというところです。
(問)人工知能、かなり産業利用というのも進んでいると思うんですけれども、この懇談会に企業の関係者も入るというふうに考えていいですか。
(答)今、科学技術全体でも言えるのですけれども、いろいろなところとの連携は必要でありまして、特に企業、経済界の団体との連携というのは大変必要だと思っておりますので、その御意見も賜りつつ行っていければと思っています。
(問)(毎日新聞・梅田記者)
 本日4月12日が普天間の返還合意から丸20年ということなんですけれども、改めて今後について大臣の所感を伺いたいと思います。
(答)20年たってしまったかなという思いです。振興を担当する大臣としては、コメントは控えさせていただきたいとは思っておりますが、ただ、沖縄県選出の国会議員としても、一日も早い普天間の危険性の除去ということはしっかりやっていかなければいけないことで、これ以上の遅延は許されないと考えております。
(問)(フジテレビ・和田記者)
 懇談会に戻りますが、ちょっと細かなことなんですが、各省間の調整なんですが、重なる部分があると思いますので、これは専ら然るべくクラスの事務方で何か定例的な会合みたいなものをやったりするんですか。それとも、その都度、然るべきクラスでというようなことの調整になるんでしょうか。
(答)普段からCSTIという、我々としては科技全体の司令塔としての役割は果たさせていただいておりますので、そこの文脈からすると、これからも各省とは、各関連するところとは、連携をとってしっかり密に行っていきたいと思います。
(問)別に新しい会議体を作るとか、そんなことは特別ないわけですね。
(答)それは特に考えておりません。

(以上)