甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年1月28日

(平成28年1月28日(木) 17:00~18:11  於:中央合同庁舎8号館1階S101・103会見室)

1.発言要旨

 私をめぐる今回の週刊誌報道、すなわち株式会社文藝春秋発行の「週刊文春」1月28日号記載記事の件で、国民の皆様に御心配をおかけしていることにつきまして深くお詫びを申し上げます。
 今回の週刊誌報道以降、私は、自らの記憶をたどり、事実関係の確認を行い、しかるべきときにしっかりと説明責任を果たしたいと申し上げてまいりました。
 具体的には、自らの記憶をたどるとともに、本件記事を受けまして、事務所において客観的な立場から事実関係を確認してもらうため、当事務所とは今まで全く関係のない弁護士に調査を依頼しました。この弁護士は、東京地検特捜部の経験を有する元検事の経歴を持っておられる人物であります。
 なお、公正な調査を担保するため、私は、調査を担当した弁護士とは一切接触をしておりません。
 本日は、まだ調査は途上でありますが、これまでに判明した事実関係について御説明を申し上げます。
 現時点での調査では、私の秘書らから、本件記事の内容に関する本人らの認識等を確認することに主眼を置きまして、可能な範囲で、その裏づけの有無等を確認することとしているとの報告を受けているところです。
 このたびの報道によれば、異例にも相手方が膨大な録音や写真を持っているとのこともありまして、報道と私の記憶とのギャップについて慎重に確認を重ねた結果、本日の報告までに時間を要してしまいました。誠に申し訳なく思います。
 最初にお断り申し上げたいのですが、このたび週刊誌から指摘された私自身の問題と、事務所秘書の問題の二つのうち、本日は私自身の問題、すなわち大臣室及び大和事務所における現金授受の問題を中心に御報告をさせていただきたいと思います。
 大変重大な問題である事務所秘書の問題につきましても、本日できる限りの御報告をいたしますが、いまだ全容の解明には至っておりません。引き続き調査を進め、しかるべきタイミングで公表する機会を持たせていただくことについて、御理解を賜れればと思っております。
 まず、本件記事の概要については、既に皆さん御案内のことかと存じますので、この場で説明することはいたしません。早速、現時点での調査結果の概要を御説明申し上げます。
 まず、平成25年11月14日の50万円及び平成26年2月1日の50万円の授受についての私の認識について申し上げます。
 平成25年11月14日の大臣室における表敬訪問及び平成26年2月1日の大和事務所における面談については、日々多くの面談などの日程があること、そして時間が経っていることなどから、個別の件についての詳細な記憶はありません。
 記憶の限りで説明をしますと、まず、大臣室で菓子折りの入った紙袋をいただいたと思います。社長らが退室された後に、秘書から、「紙袋の中にのし袋が入っていました」との報告がありました。それで私から秘書に、「政治資金としてきちんと処理をするように」と指示をしたと思います。
 次に、大和事務所での面談は、地元事務所所長であるA秘書からあらかじめ総務担当者が大臣室訪問のお礼と病気の快気祝いに来られると聞いておりました。お礼とお祝いの話の後、総務担当者の私生活に関する雑談などをした後、総務担当者がS社の敷地から産廃が出て困っているとの相談がありました。私は、「地主が責任を持つのではないか」と話したように思います。ただ、資料を持参されていたので、「東京のE秘書に渡しておいてくれ」とA秘書に指示をし、話を終えました。そして、帰り際に総務担当者が、菓子折りの入った紙袋と封筒を差し出しました。大臣室訪問の御礼と病気を克服して頑張れという政治活動への応援の趣旨だと思いこれを受け取り、A秘書が、その総務担当者を送って部屋に戻ってきた際に、菓子折りと白い封筒をA秘書に渡し、適正に処理しておくようにと指示をいたしました。
 「週刊文春」は、大臣室にて私が、お土産の袋から現金の入った封筒を取り出し、スーツの内ポケットにしまったと二度にわたって報道しました。実は、この部分が私の記憶と「週刊文春」が二度にわたって報道した内容の違いの一つです。しかも、音声など決定的な証拠が全てそろっているとの報道でありました。お客の前で紙袋から現金の入った封筒を取り出し、スーツの内ポケットに入れるという行為が本当だとしたら、政治家以前に人間としての品格を疑われる行為であります。そんなことはするはずがありません。
 以上が、本事案に係る私、甘利明の認識であります。
 次に、本事案について、A秘書が弁護士に対して説明した内容について申し上げます。
 これから申し上げる調査結果は、元東京地検特捜部の検事である弁護士が、秘書や経理担当者などの関係者から直接聴取し、関連資料等を確認された結果、取りまとめられた報告書に基づいて、そのまま申し上げます。
 平成25年11月14日の50万円の授受の状況等でありますが、S社の総務担当者との間で、総務担当者が千葉で講演会をまとめてくれるという話が出て、その話を盛り上げていくため、一度甘利大臣に会っていただこうという話になった。11月14日に大臣室で、甘利大臣との面会の予約を入れた。甘利大臣には、面会の直前に甘山会に入っていただいた企業の方が表敬訪問に来たという程度の話のみで、URとの件は話していない。
 国会見学、昼食の後に大臣室で面会をした。総務担当者側はS社社長、その知人女性と総務担当者がいた。もう一人いたかどうかは覚えていない。大臣側は、甘利大臣のほかA秘書と大臣の政務秘書官であるE秘書がいた。大臣室には30分ぐらいいたと思う。甘山会について千葉をまとめますからという話があったが、URの話が出た記憶はない。総務担当者側は、S社社長が主に話をしていた。
 面談のどこかで社長が、お土産と就任祝いを大臣に渡した。A秘書の記憶では、社長がご祝儀袋を取り出し、お土産が入っている袋に入れ、その袋ごと大臣に渡していたと思う。大臣がその祝儀袋を袋から取り出したことや、ポケットに入れたような記憶はない。
 以上が平成25年11月14日の50万円の授受の状況等について、A秘書が弁護士に説明した内容であります。
 次に、平成26年2月1日に面会を設定した経緯及び50万円の授受の状況等について、A秘書が弁護士に説明した内容を申し上げます。
 1月21日、午前11時30分ころ、総務担当者が相談したいことがあると言い、大和事務所にやってきた。S社が使っている土地上の社屋を移そうと思い、新しい土地を掘ったら産廃が出てきたので、S社の敷地の産廃撤去を企業庁にお願いしたいという話だったと思う。 
 総務担当者が大臣に会って話がしたいというので、2月1日、大和事務所で大臣のアポを取った。ただ総務担当者は、産廃の件よりはどちらかといえば、前回、大臣室にいたときは社長ばかりが話をしていて、総務担当者の影が薄かったので、今度は同人が個人としてお祝いをし、大臣とつき合いたいという希望であった。
 2月1日、面談の前に、A秘書の方から大臣に詳しい説明等はしていなかったが、敷地の下から産廃が出てきて、UR、企業庁と問題があるようなので話を聞いてもらえますかという程度の説明をしたと思う。面会時間は二、三十分くらいで雑談がほとんどだったと記憶している。
 産廃の件については、総務担当者はファイル2冊くらい持ってきて説明をしていた。大臣は総務担当者の説明を聞き、S社の方で産廃を掘り出した等と言っていたのに対し、自分で掘り出したのなら自分で処理するしかないとか、見つけた段階ですぐに言わなければだめなのではないか等と言っていたと思う。その後、大臣は総務担当者が持参した資料を東京のE秘書に渡しておいてくれということだった。大臣は総務担当者の話を聞き、面倒に思ったのではないかと思う。この件はこれで話が終わった。
 記憶が定かではないが、総務担当者は帰る前に、甘利大臣に50万円の入った封筒や手土産を渡していたと思う。社長のときと同じようにお祝いの趣旨と聞いていた。大臣から、しっかり処理しておいてくれと言われ、現金50万円の入った封筒を受け取った。これについては、一旦、大和事務所にある金庫に入れた。
 以上が平成26年2月1日に面会を設定した経緯及び50万円の授受の状況等について、A秘書が弁護士に説明をした内容であります。
 続いて、大臣室及び大和事務所で手交された各50万円の会計処理について、A秘書が弁護士に説明した内容であります。
 平成26年2月1日に大和事務所で渡された50万円は、平成25年11月14日の大臣室で社長から渡された50万円と合わせて、平成26年2月4日に13区支部で寄附として入金処理をした。このうち、平成25年11月14日の50万円は、E秘書が1月下旬ころ、大和事務所に持ってきていたと思う。A秘書がおつき合いをしているところからのものなので、大和事務所で処理をすることで持ってきたと思う。持ってきたのが平成26年1月ころになったのは、平成25年末が大臣の舌がんの件で、E秘書に余裕がなかったからではないかと思う。
 A秘書が大和事務所の経理担当者に、E秘書が持ってきた50万円と、この50万円の合計100万円につき、S社からの100万円の寄附として、第13区支部で処理するよう言い、S社宛ての領収書を作成してもらい、S社に送ったと思う。
 さらに、産廃の件の対応状況について、A秘書が弁護士に説明した内容を申し上げます。
 総務担当者が持ってき資料は、甘利大臣が「総務担当者との面会時にE秘書に渡しておいて」と言っていたので、そのまま事務所の誰かに、E秘書に届けてもらったと思う。E秘書に献金のことは伝えていない。その後、随分待たされた記憶はあるが、それから数カ月以内には、E秘書が千葉県に電話した結果を伝えてきた。E秘書から電話をもらい、その後、総務担当者に対し「千葉県も処理に困っていて難しい。千葉県とはこれ以上話ができない。力になれないと思う」と伝えたと思う。A秘書が弁護士に説明した内容の説明は以上です。
 弁護士によりますと、第13区支部の政治資金収支報告書には、平成26年2月4日にS社からの100万円の寄附金の記載があることが確認できました。また、大和事務所の経理事務員に対して電話でヒアリングをしたところ、S社からの寄附金として処理をした等の説明を受けたとのことです。
 一方、E秘書も弁護士に次のとおりの説明を行っています。 11月14日、A秘書の案内で総務担当者や社長らが大臣室で大臣と面会をした。一緒にいたが、A秘書が連れてきたので、関心を持って見聞きしていなかった。どのようなやりとりがなされたかは、ほとんど覚えていない。
 大臣からお菓子と言われ、受け取った手土産を渡された記憶がある。その後、中を確認したところ、立派な祝儀袋のようなものが入っているのに気がついた。大臣からはきちっと処理するよう言われ、A秘書の関係なので、大和事務所に持っていくのがいいと思い、時期は覚えていないが、大和事務所に行ったときに持っていった。大臣の舌がんの件があったので、年が変わっていたかもしれない。大和事務所で適切に処理すると思っていた。どのように処理したかは聞いていなかった。
 また、大和事務所から資料が送られてきたことがあったかについては、いつ資料が送られてきたかは覚えていないが、大和事務所から送られてきたことはある。普段でも地元で国絡みの陳情があると、それが送られてくることはある。重要な案件であれば、甘利大臣から資料届いたか等と聞かれることがあるが、この件では甘利大臣からは全く話はなかった。E秘書も甘利大臣に報告しなければならない重要な案件でないと思い、甘利大臣には全く説明や報告等はしていない。
 資料に記載のあったところへ電話をしたが、千葉の企業局の方にと言われたので、そちらへ電話をした。案件の内容は説明しているかもしれないが、どのような説明をしたか等は覚えていない。一般論として、このような場合、誰が処理するのか等について質問をし、一般的に地主が処理するという回答だったと思う、との説明でありました。
 以上が、E秘書が弁護士に対して行った説明の内容であります。
 以上のとおり、各50万円については、私が秘書に指示したとおり、政治資金として処理されていたことを確認しました。
 なお、平成25年11月14日の50万円につきましては、私からきちんと処理するようにと指示を受けていたものの、私の舌がん騒動で入金が遅れてしまったとのことでしたので、収支報告書の入金日については、選管などとも相談し、適切に対応するよう事務所に指示をしました。
 次に、本日発売の「週刊文春」において、総務担当者が私の父などと面識があったとする記事が出ているようなので、私が記憶する限りで、多少説明をします。
 総務担当者は、私の父が衆議院議員時代に父と面識があったとか、父との会食の場で私と会ったと述べているようですが、当時、私は面識はありません。この総務担当者の方は苗字が幾つか変わっているとの話も聞いていますが、少なくとも「週刊文春」に出ていた総務担当者の名前を当時父から聞いたことはありません。
 次に、1996年から97年ころ、漁業権の売買に関する相談をしたとのことですが、このころ私の父の知人の僧侶が来られまして、北方領土の漁業権の相談を受けたことがあります。しかし、僧侶が誰かを連れてこられたような記憶はありますが、この総務担当者だったかは記憶にありません。
 このときの僧侶の相談は、北方領土の漁業権を買い上げてもらいたいというものでした。とても無理な話なので、その旨伝えて相談は終わったと思います。
 後日、この漁業権の話はときどき出てくる話で、筋が悪いと役所から聞いた覚えがあります。
 今回の報道を受けて初めて知ったのですが、七、八年前に大和事務所のC秘書に、ある人が北方領土の漁業権の相談に来たが、C秘書が外務省に問い合わせて無理であることがわかったので、C秘書がその人にその旨伝えたところ、「何にもできねえじゃねえか」などと捨てぜりふをはいて出て行ったことがあるとのことでした。
 そして、平成25年5月ごろ、総務担当者がA秘書にURとの相談を持ち込んだ際、A秘書から総務担当者を紹介されたとき、C秘書が昔相談に来た人ではないかと思い出し、総務担当者に対して「前にお会いしましたよね」などと尋ねたところ、総務担当者は「いや、初めてです」と答えたので、おかしいなと思ったとのことでした。
 次に、報道されている秘書とS社との間の平成25年8月20日の金500万円の授受についての調査状況を報告いたします。
 まず、S社とURの補償交渉への関与等でありますが、A秘書の弁護士に対する説明の要旨を申し上げます。
 総務担当者と初めて会ったのは平成25年2月ごろであり、その後平成25年5月の連休後、5月9日だったと思う。大和事務所に来た際に、URとの間の補償に関する陳情があった。それに対して確認するという対応をした。その後、大和事務所のC秘書に総務担当者から預かった資料を渡し、当事者の双方から話を聞くという趣旨で、現状を調べてくるように頼んだ。C秘書からの報告については、記憶が定かではないが、URに行って現状について教えてもらったのではないかと思う。
 その後、大和事務所で総務担当者と会った際、詳細は覚えていないが、話はしてきたので、後は当事者でやってほしいという話だったと思う。総務担当者との間でそれ以上の話はなく、この件はこれで終わったとの認識であった。A秘書やC秘書が金額交渉等に介入したことはない。
 以上が、S社とURの補償交渉への関与等に関する、A秘書の弁護士に対する説明の要旨であります。
 続いて、本件についてのC秘書の弁護士に対する説明であります。
 A秘書から頼まれて、平成25年5月か6月ころ、一度URに行ったことがある。その際、A秘書から数枚程度の資料を渡されたと思う。その中にS社の名前はあったと思う。話し合いの進捗状況の確認に行ったと思う。URに何かお願いをした記憶はない。解決をしてくれなどと話した記憶もない。
 次に、500万円授受の有無及び趣旨についてのA秘書の弁護士に対する説明の要旨を申し上げます。
 8月20日、総務担当者と大和事務所で会った。その際に、2億2,000万円という話は聞いた記憶がない。当日、総務担当者が1,000万円を出してきて、そのような多額の献金は受け取れないと言ったが、結果として100万円と400万円の合計500万円を受領して、大和事務所の経理事務員に100万円と400万円で分けて領収書を切るように言ったと思う。独断で決められないと思い、100万円は献金としていただき、400万円は預かり、事務所の者と相談して判断しようと考えた。2枚とも寄附として領収書を、これは13区支部を作成してもらい、総務担当者に渡した。なお、総務担当者からは領収書は要らないと言われたが、領収書は発行しなければいけないと言って発行した。
 その後、経理事務員と400万円の扱いについて相談したところ、やはり400万円については返した方がいいとなったので、その日のうちに総務担当者に返したい旨伝えたが、総務担当者は、一旦渡したお金なので受け取ってもらいたい、自由に使ってほしい旨言ってきた。そこで、400万円のうち100万円を大臣の元秘書の県会議員の方へ回すこととして、9月6日に渡した。元秘書の県議に対する100万円の寄附については、事前に総務担当者に話をしている。
 9月6日に、総務担当者に県議からの100万円の領収書を渡したが、300万円については、結局総務担当者に返せず、自分の机の引き出しに保管してしまった。なお、400万円の領収書は総務担当者の方で処分しておくという話であり、その後に処分したと聞いた。
 この300万円については、その後、本来自腹でしなければならない支出・支払い等に使った。自腹での負担が大きいので、誘惑に負けてしまった。県議に100万円渡したことや、300万円を返さないで使ったことは、甘利大臣や事務所の者には話していない。
 以上が、500万円授受の有無及び趣旨について、A秘書が弁護士に対し説明した内容であります。
 加えて、弁護士が確認した500万円授受の有無及び趣旨について、甘利明事務所関係者の説明や関係資料によれば、平成25年8月20日の500万円のうち100万円は、同日、S社からの寄附として入金処理がされ、平成25年政治資金収支報告書に計上されていることが確認できました。また、県議が代表を務める大和市第二支部の平成25年政治資金収支報告書に、S社からの100万円の寄附が計上されていることについても確認されました。
 また、大和事務所の経理事務員は、A秘書から相談され、寄附として受け取るのはせいぜい100万円と言った。500万円は受け取ったが、400万円は返却するという話だった。そこで、入金簿のS社の欄に、「8月20日400万円は返却のこと」とメモ書きした。400万円は返却したとA秘書から聞いた。そこで、入金伝票に「9月6日返却」と書いた等と説明し、また同じく、大和事務所の同じく経理を担当している事務員も、同様、同趣旨の説明をしております。
 このメモ書きと入金伝票の記載は確認できました。これはみんな弁護士ですよ。
 以上のとおり、当初受け取った500万円のうち、第13区支部と大和支部の2支部への各100万円については、それぞれ収支報告書に記載されていることを確認しました。
 残りの300万円については、A秘書が総務担当者に返金を申し入れましたが、強く拒まれ、結果としてA秘書が手元で管理し、費消してしまったとの報告を受けました。したがって、300万円については収支報告書の記載を欠いている状況に、状態になっていますので、選管などと相談の上、適切に対応するよう指示をしました。
 以上、本日までに弁護士に調べてもらい判明した内容を、中間報告という形で報告を受けた内容を踏まえ、説明をしました。現在も引き続き、記事に掲載をされているような事実があったのか調べてもらっています。
 秘書らの対応につきましては、現在も調査をしてもらっているところであり、URなどとのやり取りの内容についても今後明らかになると思います。
 ただ、現時点では、先ほど説明したとおり、A秘書が寄附として受領してしまった300万円を費消してしまったことが明らかになっています。さらに、A秘書とB秘書からは、総務担当者やS社社長から、飲食や金銭授受などの接待を多数回にわたり受けている事実は認めているとのことであり、調査をしている弁護士を通じて、両名から辞表が提出されました。今後も調査を引き続き行いますが、辞表は本日付けで受理することといたしました。
 そして、総務担当者及びS社からの政治献金につきましては、選管などとも相談をした上で、全て返金するよう事務所に指示をしました。
 また、今回の報道後、調べてみて初めてわかったことですが、信用調査会社によれば、S社は3年連続赤字企業であるおそれがあり、そうであれば総務担当者やS社は政治資金規制法22条の4に違反する寄附をしたことにもなるので、その観点からも直ちに返金をするように指示しました。
 今回の報道があってから、A秘書に対しまして、S社社長から毎日のように、口裏合わせをしようとの電話があったとの報告を受けています。S社社長からは、次の内容の電話があったとのことです。たくさんありますが、幾つか御紹介をいたします。
 「口裏合わせは何でもいいけどさ、じゃ、独り言で、独り言を聞いてくださいよ。もしちょっと動いてみて、大臣が口きいてでも、もしうまくなるようであれば、その返事をいただいて、絶対、正面絶対出さないけれども、何とかなるっていうふうにやって、言ってくれれば絶対に止める。ただ、最後は、例えばですよ、記事が出たとして、いろいろ迫られるよね。でも、一色がいなければ、一色が出てきて、いや、実を言うと、内輪もめでありもしないことを言ったって言えば済む話になると思いますよ。」
 もう一つ紹介いたします。
 「俺、一色がしゃべっているだけだったら証拠ない、証拠が薄いと思いますよ。それは話しているだけであって、実はないと思いますよ。私、確信もって言いますよ。あのA秘書さんたち、あきらめるのが早いんじゃないですか。ないと私は踏んでいますよ。なぜかっていうと、私、録音持ってませんかって聞かれましたもん。大臣室での話とかなんか録音したものありませんかと聞かれましたもん。俺、持ってませんよって言いましたもん。俺にもよく言ってくる。録音してありますかって言ってきたけれども、じゃ、聞かせてよと、はいって言って、俺、一回も聞いてないよ。一色が言うには、解決すれば自分が出ていって頭を下げると言っているんだよ。私が虚偽で言いましたって。」
 などと言ってきているとのことです。
 なお、当然のことながら、A秘書はS社社長の誘いには乗っておりませんし、本日説明したとおり、S社社長が大臣室に持参した50万円の授受についても、調査の中で説明をしているところであります。
 今回、私の秘書のUR関係の件につきましては、今回の記事を読んで初めて知り、愕然といたしました。
 秘書が疑惑を招いていることについて、監督責任を重く受止めております。現在、更なる調査を進めておりますが、多数の関係者からヒアリングを行う必要があることから、一定の時間がかからざるを得ないということを、どうか御理解ください。
 このように私が受理した2件の献金は政治資金として処理され、政治資金収支報告書に記載されていたと第三者である弁護士から報告を受けました。
 以上で私の報告を終わりますが、今般の私をめぐる週刊誌報道によって、国民の皆様に御心配をおかけしましたことについてお詫びを申し上げますとともに、国民の皆様に対しても多大な御迷惑をおかけしたことをお詫び申し上げます。
 私は、アベノミクスの司令塔として、安倍総理より日本経済の舵取りを任され、この3年間、国務に命懸けで取り組んでまいりました。デフレの脱却、経済再生と財政健全化の二兎の追求、成長戦略の実行・実現、社会保障・税一体改革の推進、そしてTPPの推進など、不眠不休で取り組んでまいりました。舌がんの病床においても、経済財政諮問会議の席上でも、あるいはTPP国際交渉の現場においても、この国の未来に思いをはせなかったり、国政に心を砕かなかったりした瞬間は一瞬たりともありません。国家・国民のために、文字どおり全身全霊で取り組んでまいったという自負があります。
 しかしながら、その一方で、気がつけばその代償としてとしか言いようがないのですけれども、私の政治活動の基盤である地元事務所及び私を支える秘書の問題で、国民の皆様に対し大変恥ずかしい事態を招いてしまった事実が判明をしました。国政に貢献をしたいとの自分のほとばしる情熱と、自身の政治活動の足元の揺らぎの実態と、その落差に気がついたときに、天を仰ぎ見る暗たんたる思いであります。
 この1週間、報道された事案の真の内容を知れば知るほど、一体全体、なぜこのようなことが起こったのか、自問を繰り返す日々が続きました。同時に、なぜ秘書は自分に報告、相談をしてくれなかったのか、忙し過ぎて地元に目が向かなかったことが原因かなどと、深い悔恨の思いがおりのようにたまってまいりました。一介の秘書ではなく、よりによって地元事務所長という事務所を統括する立場の人間が、その道を外れてしまったこと、いやそれ以上に、そうした事態に至っていることを、およそ報道されるまで見逃してしまった自分自身を責めました。
 もはや統括すべき人間が不在となる以上、事務所を一から立て直す責任は、支部の代表者たる私自身にあります。改めて、地に足の着いた政治活動を実施していく責任が、衆議院議員としての私にはあります。
 今回の事案報道により、野党の皆様に経済演説を聞いていただけないばかりか、国会審議にも支障を来しかねない事態となりました。このことは、本来安倍政権を支える中心的立場の人間が、逆に安倍政権の足を引っ張るという、安倍内閣の一員としての閣僚、甘利明にとっては、誠に耐えがたい事態であります。何よりも希望を生み出す強い経済を推進してきた閣僚、甘利明が、そのポストにあることを理由とされて重要な予算審議に入れないなど、いささかといえども国政に停滞をもたらすことがあってはなりません。私自身に関わることが、権威ある国会でのこの国の未来を語る建設的な営みの足かせとなることは、閣僚、甘利明の信念にも反します。
 閣僚のポストは重い。しかし、政治家としてのけじめをつけること、自分を律することはもっと重い。政治家は結果責任であり、国民の信頼の上にある。たとえ、私自身は全く関与していなかった、あるいは知らなかった、したがって何ら国民に恥じることをしていなくても、私の監督下にある事務所が招いた国民の政治不信を、秘書のせいと責任転嫁するようなことはできません。それは私の政治家としての美学、生きざまに反します。
 安倍内閣は、経済最優先で取り組み、我が国経済は緩やかな回復基調が続き、ようやくもはやデフレではないという状況までやってくることができました。15年以上続いたデフレの重力圏から脱却できるかの瀬戸際にあります。デフレから脱却し、強い経済を実現するためには、本予算及び重要関連法案の一刻も早い成立こそが求められており、その阻害要因となるものは取り除いていかなければなりません。もとより、私も、その例外ではありません。
 国会議員としての秘書の監督責任、閣僚としての責務及び政治家としての矜持に鑑み、本日ここに閣僚の職を辞することを決断しました。
 先ほど、この会見の趣旨と私の辞意については、安倍総理に御連絡をいたしました。この会見の後に官邸に伺って、直接お伝えをいたします。
 ありがとうございました。

2.質疑応答

(問)大臣、先ほどの説明の中で、大臣室と大和事務所で会ったのが平成25年11月14日と26年2月1日とおっしゃいましたけれども、そのA秘書がその前に500万円を受け取ったときというのが平成25年8月20日です。ということは、それよりも前になるわけです。そのA秘書が500万円を受け取ったということを知っていて、大臣室でS社と会うことになったのか、若しくは500万円は知らないけれども、S社から相談を受けているということを知った上で、大臣室で会ったのでしょうか。
 そして、100万円と400万円の領収証についてなのですが、400万円の領収証は発行して総務担当者が処分したという話でしたけれども、甘利大臣の事務所の方で、その領収証の控えというのはないのでしょうか。
(答)500万円も含め、この一連の接待も含めて、不覚ですけれども、週刊誌報道が出て初めて知りました。全く事情がわかりません。東京事務所に来られたのも、後援会に入ってくださる方が表敬しますからといわれて、お受けしたということだけです。そこでは、確かに一生懸命、先生を応援していきますよみたいなことしか言われていませんでした。
(問)千葉の甘山会を立ち上げるに当たってということでしょうか。
(答)甘山会は1個しかないのですが、1個の人たちが、こちらの人たちが集まって懇親会をつくったり、こっちの人が集まってつくったりして、そこで、通称で懇親会をそうみんな呼んでいらっしゃるのです。そのお会いしたのが、大臣室が初めてだと思います、11月14日。
(問)領収証の控えについてはいかがでしょうか。
(答)全くわかりません。
(問)現金の授受のところをお聞きしたいのですけれども、14日の方は菓子折りを、これは虎屋の羊羹というふうに報道されているのですけれども。
(答)羊羹かどうかわかりませんが、大きい袋をもらったけれども、少し重かったのは何となく覚えています。
(問)記憶があると。そうすると、受け取ったときには現金が入っているということは、認識はなかったということですか。
(答)わからなかったです。多分、その中に入っていて、それで置いて、秘書にお菓子をもらったよと言って渡して、秘書が何か、かなり立派だったらしいけれども、大きいのし袋みたいな、祝儀袋みたいなのが入っていたと。とにかく大臣祝いとか、大臣祝いといったって1年ぐらいたっているのですけれども、初めて大臣室に来られるので、何か秘書が言っていたような気がします。それで、「では、会社からの政治献金ということで、ちゃんと処理してね」ということで言った記憶があります。
(問)2月1日の方なのですけれども、こちらの方は、現金を受け取ったという認識はあったということですか。
(答)来られる前に、私、秘書に来客が入っているときに、知らない人で、何かわからないのに会わせるなと言っているものですから、A秘書にも、かなりいきなり連れていって、後で私が何の用件でこの人が来たのかわからないことなので、ちゃんと確認しろといったときに、たしかちょうど大臣室の後、舌がん騒ぎになります。11月14日ですから。中旬から下旬でうちの公設秘にだけ最初に言って、かなり深刻な状態で悶々としていたまま、あの前です、フロマンとやった12月1日の前に、がんとわかるわけなのです。だから、あのときの交渉は、私は、これが政治家最後の交渉と思ってやりましたけれども。
(問)秘書が300万円を、いわば費消してしまったということになりますと、横領ということになると思うのですけれども、この辺の処理について何かお考えですか。
(答)それはまず、どうやった形で返せるのかです。政治資金規正法上は、入っていない金をお返しすることになる。全部返しますけれども、それは県選管と相談するように指示しています。とにかく地元で何が起きているかが全くわからない。そういうつき合いで、何回もフィリピンパブとか報道をされていますけれども、全く不覚ですけれども、知りませんでした。とにかく地元をほうりっ放しにしてしまったというつけが回ってきたということでしょうか。
(問)調査の結果次第、結果が判明すれば刑事的な告訴も考えると。
(答)東京地検の人に、これは私誰だか知らないのです。接触できませんから、知りませんが、特捜の人、経験者に全部調べてもらっています。今日はそれの報告をしていますから、それをずっとやってもらうと。これは、結構時間かかると思いますけれども。
(問)大臣が辞任を考えられたのはいつ頃で、総理にお話ししたのは、先ほどお話がありましたけれども、いつ頃なのかということを、もう少し詳細に教えてもらえますか。
(答)最初は地元のところに記者さんが来ていると、週刊誌の記者。「誰が来ているの」と言ったら、「週刊ブンゲイ」と聞いたのです。だからわけのわからない週刊誌かと思ってそのまま、何か変なスキャンダルなのだろうと思って無視していってしまったのです。それ以降、とにかくほとんど国政で頭いっぱいというのでやっていましたから、完全に放りっぱなしだったですから。1月16日に私の地元の自宅に、そう話しかけられましたから、何か聞いたことがない、そうしたら秘書が聞き違いで、「週刊文春」だったという、「週刊ブンゲイ」とか言われたので、わけのわからないやつには会うつもりないというので、それが最初で、それから17日、翌日の夜にA秘書から、取材の依頼が来ているということを、電話で報告を受けました。とにかく事実関係を確認しろと。それから19日の午後に私から官房長官、総理に、取材を受けていることについて報告をしたと。それから記事になって。それで今日辞任するというのは総理には、ここに入るそれこそ直前です。慰留はされましたけれども、まぁ、私の性格を御存じですから、しようがないと。
(問)常々、大臣は、周りのスタッフの人たちを非常に信頼していらしていたと思うのですが、愕然となさったということで、率直なお気持ちだったと思います。ただ、こういった中で、今後どのように自分の地元を立て直していくというお考えなのか、まず聞かせてください。
(答)これは目を光らせる秘書をもう考えています。そこが目を光らせると。この事務所長は真面目が取り柄なのです、人がよくて。だけれども、すごく線が細くて、完全に取り込まれちゃうということなのです。だから真面目な人が取り込まれてしまうと、もう全部信じてしまうということで、ですから、いろいろな会に連れてくるようになってしまったのです。どんどん潜り込んでこられましたから。それで気がついたら熱烈な支持者ではなかったと。
(問)FNNフジテレビが入手した写真で、去年の夏ごろと思われる、大臣室で告発記事を出した人たちとのお写真というのがあったのですが、あれはどういった。
(答)地元に聞いてみたのですが、お金ではなくて、セミナーをやるのです。勉強会でいろいろな講師が来て、会費1,000円ぐらいでやって、勉強して、将来の市会議員を目指そうとかいうのをやって、そこから議員も出ているのですけれども、そこに潜り込んでこられて、そこの一行が30人ぐらいバスで来たときに、時間がないですから、順番順番に、どんどんベルトコンベアみたいに流して、私が座っていて、ぱっと後ろに入って、また抜けてという、そういう写真撮りの中の1シーンだそうです。
(問)ということは特に個別で告発された方と、ということではなく。
(答)流れ作業で。
(問)たくさんいらした中の。
(答)30人か何十人か来た中で、「はい、5人ずつ」って入れかわって、ぐるぐるぐるぐる後ろ通って、「はい、こっち、はい、こっち」とやる撮影会です。国会見学の場合、そうでないと全然間に合わないので。
(問)国会見学の際、割とよくあるということなのでしょうか。
(答)はい。
(問)秘書が勝手に費消したという300万円、かなり多額ですけれども、何に費消したのでしょうか。
 それからかなりの回数の接待を受けたということですけれども、それは幾ら分でどんな接待を受けたのでしょうか。
(答)これは、私がいろいろ最初はびっくりして、「おまえ何をやったのだ、こうやったんだ」と言っていますけれども、私が言ったって、本当のことを言わないです。私によく思われたいと思うから。そこで、私と無関係な第三者の弁護士さんを、うちの事務所とも関係ない人を頼んで、どういう人だか私は知りませんけれども、その人が一人一人聴取している中で出てきたので、何か県連のバーティー券でわりあい高くて処理し切れないものをそれで購入したりとか何とか、そういう話だったみたいですけれども、ここは私が聴取していませんから、正確な話は、これから東京地検の弁護士さんが報告書を全部作ると思います。
(問)つまり私用で使ったわけではないということなのですか、300万円は。
(答)私用もあるのでしょう。私用もあるし、県連パーティー、みんな割り振って、秘書が売るのですけれども、残ってしまう分があるのです。それを何とか引き受けていたという話も聞いた、仄聞していますけれども。
(問)50万円を大臣室にのし袋で持ってきた件なのですけれども、社長と総務担当者がいなくなってから確認したら、50万円あったと。
(答)いえ、そのまま大臣室に来られて、みんな帰ると、私、袋のまま「大臣室のスタッフで食べて。」って渡すのです、うちの秘書に。秘書に渡して、秘書が持って行って、どのくらい後か忘れましたけれども、「のし袋が入っていますよ」と言うから、「ああ、そう」と。そういえばお祝いに来るとか、何とかに来るという話が事前にあったので、では正式処理しておいてという話をしました。
(問)これは、要は何も言わずに置いていったということだと思うのですけれども。そういうことはあり得るのですか。
(答)「大臣、どうぞどうぞ、これ」みたいな。「おみやげです」みたいな感じで、「大臣、どうぞ」みたいな感じで。これ、お祝い金ですと、お金ですというのは言わなかったと思うのです。
(問)けじめのつけ方のタイミングについて伺いたいのですけれども、この後、秘書の方の調査結果が待っているのですけれども、繰り返しになるのですけれども、今日のタイミングでけじめをつけられた理由というのは、どこにあったのでしょうか。
(答)事務所の責任者、監督すべき責任者が報道されている一番大きい部分について関わっていたという報告を受けたものですから。それからもう一人の秘書が、いろいろ報告があるのは、その都度、一色氏と一緒に、飲食で回っていたと。この2人がということで、それで2人から辞表が出ました。申し訳ないということで。
 それ以外の秘書は、全く聴取してもらった限り関知していない、関与していないのです。一方が責任者であるということと、それから、これから審議が始まる。しかし、動かない。それからTPPが始まる。もろもろ、これこれで政治資金は第三者に確認してもらって、ちゃんと処理されていましたと言って、「では、わかりました。はい、はい」といくかということを考えて、私は安倍政権を支える役ですから、安倍政権を支える役が、安倍政権の障害になることは忍びないと。
(問)秘書の方の調査結果は、大体いつ頃をめどに出したいと考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)これは、何とかパブとかですね、もうあちこち行っているので、これを全部調べるのはどのくらいかかるか、今は何とも言えません。
 だから、今回の私の件も、皆さんは何でそんな簡単なことをこんなに待たせるのだと思われたと思うのです。でも、これを報告されたら、それじゃあこのくらいかかるなというのはおわかりいただけたと思うのです。第三者を入れて、弁護士さんに、我々が知らない三者できちんと調べてくださる方。その人が、私の知らない人が、一つ一つ聴取していったのですから、面接してですね、それで領収書も全部調べて、帳簿から調べてですね。だからこのくらいは相当早い方だと思いますけれども。
(問)確認なのですけれども、閣僚は辞任されるということですけれども、議員活動は続けていかれるということでよろしかったでしょうか。
(答)はい。一からやり直します。
(問)甘利大臣が当選1期のときから取材をさせていただいている者からしますと、今回、こういう閣僚辞任という決断を出されたのは、政治理念ですとか政治信条を見てきた者からしますと、まあ当然の結論を出されたのだと思います。
 ただ、ベテランの甘利大臣であるからこそ、違う観点から一つお伺いをいたします。政治家のところへ、事実関係が違っていたら教えてください、支援者という形である人間が近づいてきたと。支援も受けたと。そういう中で、その支援者と称する人間が徹底的にメモや録音をしていたと。あるとき、手の平を返すように、徹底的に、これは敵というのでしょうか、敵対的な動きに移ったということは、これからも恐らく政治の場面で、私は余り今まで、これだけ執拗なことというのは、いい悪いを別にして、取材で経験したことはないのですが、これからもあり得ると思うのです。そのときに、例えば与野党関係なく、政治家の選挙活動、あるいは日々の政治活動に、いい悪いではなく、何がしかの影響が出るのだと思うのです。甘利大臣御自身は、現在、そうしたことについて、御自身の責任ということではなくて、そうしたことについてどのような御感想、あるいは問題意識を持たれたのか。今後のためという観点からお伺いをしたいと思います。
(答)私ですね、これについて、どの時点でどうすればこういう事案が避けられるのかということをずっと考えていたのですけれども、まず政治家の事務所は、いい人だけつき合っているだけでは選挙は落ちてしまうのです。小選挙区だから。かなり間口を広げてですね、来る者は拒まずとしないと、当選しないのです、残念ながら。その中でぎりぎりどう選別していくかと。
 だから、問題ある人と写真がいっぱい出ますけれども、そんなのは誰も避けられません。パーティーで写真を撮ってくれと言われて、「どなたですか。ああ、あなたとは撮りませんよ」なんて絶対言えませんから。写真が出るのはけしからんというのは、防ぎようはないです。誰でも防ぎようはないです。よほど社会に知られている反社会の代表みたいな人だったら、あの人危ないってわかるでしょうけれども、避けられないです。
 ただ、やっぱり何というか、企業であれば、その企業がどういう会社かというのは徹底的に調べておくことが大事なのです。うちも実はそうさせているのです。甘山会のメンバーに入るときにはどういう企業かというので、選挙区内ならわかりますけれども、選挙区外だったら、そこの事務所、選挙区の代議士に問い合わせするとかやらせているのですけれども、これが甘かったのですね。代議士事務所への問い合わせではかったのですね。
 それで、だから最初のスクリーニングが間違っているのと、それから物すごく執拗な、うまいアプローチをします。最初は何もしないでたびたび寄って「ああ、近くまで来ましたから」と言って、それを何回も続けて、「お茶ぐらい飲みませんか」と言って、「飯を食いましょうよ」と言って、もう完全に信用してどんどん。だから桜を見る会にも「この人、熱心だから連れていっちゃいましょう、連れていきましょう」とかですね、やれ「勉強会でいろいろ将来の政治を勉強したいと言うから参加させてあげましょう」とか、どんどんそうなっていってしまうのですね。
 だから、これを完璧に防ぐというのは非常に難しいのですけれども、ただやっぱり、そうですね、飲みに誘われたり、これだけ頻繁というのは、週刊誌報道が報じているのが事実だとしたら、それは少し異常ですから、そこの時点で警戒心を働かせなければ、秘書の自覚としておかしいのですね。そういう総合的にいろいろチェックする事務所のシステムが必要なのではないかなと。だから、メンバーに登録する際にはちゃんとスクリーニングをするということと、それから事務所、つき合っている人間は相互チェックするということからですね。
(問)今おっしゃったように、今反省の弁なのですが、事務所が完璧に管理をできていれば今回のようなことは絶対に起こらないのでしょうか。
(答)ないと思います。完璧にというのは、相手がいかに上手にということと関わってくると思いますけれども、100%完璧にというのはなかなか言い切れませんけれども、基本的なことですね、業者と、秘書が食事に誘われたときには必ず届け出るとか、事務所にですね。そういうチェックをして、ああ、この秘書は頻繁にこれと行ってるなといったら少し要注意とか。そういうのがわかるようにしていくことしかないですね、やはり。
(問)わかりました。お調べになった部分と報道と違う部分の扱いなのですが、例えば法的な措置をとられたり、記事訂正を求めたりということは、今後されるお考えでしょうか。
(答)S社の方がいろいろ電話でおっしゃってきています。今日紹介したのはごくごく一部です。なぜこれだけ正確にてにおはまで言えるかということはお察しをいただきたいと思いますが。それを分析してどうするかですね。
(問)甘利大臣が言われた言葉がわからないことがあるので伺いたいと思うのですが、適切に処理してくれと伝えたと、これはどういう意味ですか。
(答)政治家が適切に処理をしてくれというのは、政治資金規正法にのっとって処理をしろということです。
(問)先ほど一番最初に聞いたときに、もらった菓子袋になんか重いものとのし袋が入ってたと。
(答)それは秘書から言われた。
(問)でも、置いて行ったわけですか。
(答)いいえ、手渡されて、置いたと記憶しています。
(問)そのときにのし袋確認しているのですよね。
(答)いいえ、していないです。
(問)してないのですか。
(答)はい。基本的に、もらったものをこうやって見るって余りされないと思うのですよ。
(問)では、そのときはのし袋があったことも確認しなかったわけですか。
(答)はい。もう記憶がないです。
(問)向こうの人はポケットに入れたと言っているのだけれども、甘利大臣は見もしなかった。
(答)でも、普通ですね、初めてのお客さんですよ。持って来られて、お客さんの前で開けてですね、こうやってしますか。
(問)では、2度目のときはどうでした。
(答)2度目のときは、袋と一緒に出されたような気がするのです。ただ、開けてないですから中が何かわかりませんけれども、ただそういう封筒ですから。それで、来られるときに快気祝いと大臣室訪問祝いに来られますと言われていましたから。
(問)でも、1回目で現金もらったわけですよね。だったら2回目来たときに現金が入っていると思わなかったのですか。
(答)いや、思わないではなくて、確認を、中を見て確認はしてないということです。だから多分そうだろうと思ったから、ちゃんと処理しておけと指示したのです。
(問)ちゃんと処理しておけということは、現金があるというそういう疑いがあるという認識があったということですね。
(答)お祝いに来られますと、快気祝い、私がんから克服して1月以内でしたから。お話も詳しくは覚えてないのですけれども、だんだん思い出してきたのは、がんから回復されてよかったですねとか、先生は、大臣は日本にとってはこれからどんどん働いてもらわなきゃならないからこれからもっともっと頑張ってくださいとかそういう話されましたから。
(問)ではきっとお金があるとわかったわけですね。
(答)いやいや、そう出されたからですね。
(問)割と無防備にもらっているのですけれども、甘利大臣はそうやって事務所に来て袋を置いていく人はしょっちゅう現金を置いて行くのですか。
(答)そんなことはないです。ないけれども、来られる趣旨は大臣室の訪問、それが訪問した後すぐがんになっちゃったのですけれども、訪問のお礼と、そしてがんと闘って生還されたからその快気祝いということで来られますよと事前に聞いてましたから。
(問)でも、最初に現金を持ってきて、次も来て、それで後で調べたら3期連続赤字の変な企業だったと。そんな人から無防備にお金をもらうことはよくあるのですか。今回だけが特別ですか。
(答)そうではなくて、まあ特別です。
(問)特別ですか。
(答)熱心な、最初熱心な支援者で、千葉に、会員になってくれる人みんなやりますからということを、どんどん増やしますからということをおっしゃっていたのです、来られたときに。これからどんどん応援していきますからと。そういうお話だったです。
(問)政治家が適切に処理しろというのは政治資金報告書に基づいてやれということだからと、今おっしゃいましたけれども、そうやって、適切に処理しなさいという物をもらって、適切に処理しなさいということは、よくあるのですか。
(答)それは、政治献金で、基本的に、企業献金をする、企業献金をしてくださる方、企業の後援会ですが、個人とか、甘山会というのは、個人とか企業の献金を毎月会費として払っていただいたりとか、パーティー券を買っていただいたりする会ですから。普通の、票を集めて何とかするという会ではなくて、経済的に応援するという人が集まる会ですから。
(問)そういう人は、よくお金をくれるのですか。
(答)それは、会費をくださったり、それは会社の経営状態にもよるでしょうけれども、そういう応援する人の会ですから。
(問)返しなさいという選択はなかったのですか。適切に処理しなさい、もいいですよ。だけれども、その前に、最初のときに、50万円入ったわけでしょう。だったら、次に持ってきて、お金がありますよと言ったら、そんなの返しなさいということは考えなかったのですか。
(答)それはだって、会社に余裕がある方が持ってこられるのでしょうけれども。そのときに、持ってこられるたびに、何期連続赤字だとかなんか、一々調べないです。
(問)だけれども、最初50万円で、次だって、幾らという報告、あったのでしょう。お金が入っていました、幾らというわけでしょう。
(答)いやいや、そこの金額の報告は私にはないです。
(問)金額も言わないで、お金でした。では、適切に処理しなさいという言い方があったのですか。
(答)政治家は、お金がきたら、自分で出して、こんなことやったりとか、そういうことやりません。基本的に、受けるのも、秘書が受けておいてくれとか、そうやって、我々は極力、触りたくないのです。
(問)ですから、秘書が50万円ありましたと言ったら、返しなさいという選択がなかったのですか。
(答)返しなさいというのは、どういう基準で返すのですか。
(問)それはあなたが決めることです。だからあなたの中に、返すという基準はなかったのかということを聞いているのです。
(答)それは、おかしな会社とわかっていれば、返しなさいと言います。
(問)では、おかしな会社ではないと思ったのですか。先ほど、3期連続赤字の会社で、これはとてもじゃないけれども。
(答)それは、後で調べてわかった。
(問)そのときには、全然知らなかったわけですか。
(答)そうです。この事件が起きて、それで初めてわかったわけです。
(問)それはちょっと、不用心ではありませんか。
(答)では、聞いてください。各後援会の人に。何期連続、赤字か、ずっと事業報告みたいなことをやられるのか、どうぞ聞いてください。
(問)秘書の人が無防備だったと、盛んにさっき、おっしゃって、こんな秘書でなければ、もっと。
(答)無防備だというのは、しょっちゅう、いろいろなところに連れていかれて、ずるずる入っていくというのが無防備ということです。
(問)甘利大臣自身、無防備だったと思いませんか。
(答)それは、私の不徳です。地元の事務所に対して、だから自分の不徳と言っているのです。自分の、この3年間、私は国政、国務に命懸けでやりました。それは、お認めいただけると思います。その間、地元の事務所のミーティングに3年間一度も出ることができませんでした。大臣職に邁進をしておりまして、任せっきりというか、事務所は事務所のスタッフに任せて放りっきりと言った方がいいかもしれません。そこは、もっとしっかり、目を光らせてくれる秘書をばんと据えておかなければいけないということだったと思います。
(問)TPPの交渉を見て、甘利大臣の活躍はよく存じ上げています。アメリカとも信頼関係を築いて、いろいろ交渉していると思うのですが、その政治家が、こういうことでつまずいて、こうやって辞任する。そういうことといのは、ご自身どういうふうに、単に不徳の問題ではなく、日本全体とか、政治家としてどういうふうにお考えになりますか、最後にその一言よろしくお願いします。
(答)もう忸怩たる思いです。
(問)今、TPPの話が出ましたが、改めましてTPPの署名式までもう少しというタイミングでの辞任になりましたが、これまでのTPP交渉等を振り返って、どういったお気持ちでこの記者会見に臨まれたのでしょうか。お聞かせください。
(答)正直いえば、署名式は出たかったですね。

(以上)