甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成28年1月22日

(平成28年1月22日(金) 10:18~10:52  於:中央合同庁舎第8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 昨年、12月22日に閣議了解しました「平成28年度の経済見通しと経済財政運営の基本的態度」に関し、予算案等を踏まえ、政府支出に係る係数の追加等を行い、本日閣議決定を行いました。
 政府は、これまでのアベノミクスの成果の上に、「デフレ脱却・経済再生」と「財政健全化」を、双方共に更に前進をさせていく。
 平成28年度の我が国経済は、各種政策の推進等により、雇用・所得環境が引き続き改善し、経済の好循環が更に進展するとともに、交易条件が緩やかに改善する中で、堅調な民需に支えらえた景気回復が見込まれます。
 この結果、平成28年度の国内総生産の実質成長率は1.7%程度、名目成長率は3.1%程度と見込まれます。また、物価につきましては、原油価格低下の影響はあるものの、デフレ脱却に向け、更なる前進が見込まれます。
 また、「中長期の経済財政に関する試算」、いわゆる中長期試算であります、を閣議にて配付をいたしました。
 経済再生ケースでは、中長期的に実質2%程度、名目3%程度を上回る経済成長が実現することで、名目GDPは2020年度頃に600兆円を達成する姿となっております。
 また、国、地方の基礎的財政収支赤字の対GDP比は、2015年度に3.3%程度となり、2010年度に比べての半減目標の達成が見込まれます。2020年度は経済再生ケースで1.1%程度の赤字が残る姿となっております。
 2020年度の財政健全化目標の達成に向けて、「経済再生なくして財政健全化なし」との基本方針のもと、「経済・財政再生計画」に基づき、「デフレ脱却・経済再生」、「歳出改革」、「歳入改革」を3本柱として、「経済・財政一体改革」に取り組んでまいりたいと思います。
 さらに、安倍総理から各大臣に対しまして、平成27年度補正予算の迅速かつ着実な実施と進捗管理について、御指示がありました。
 財務大臣からは補正予算の適切な実施に関して、総務大臣からは地方公共団体への早期の事業執行の要請などに関して御発言がありました。
 私からは、成長力の強化や経済の好循環の加速・拡大を図るとともに、経済の下振れリスクに対応していく必要があり、そのためには補正予算を迅速かつ着実に実施することが重要であるため、関係閣僚におかれては進捗管理に遺漏なきようお願いをしたい旨、発言をいたした次第でございます。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)今日のマーケット、株式市場、急反発していますが、見方を変えれば非常に不安定で、急落のリスクもはらんでいるということかと思います。こうした不安定な市場動向をまずどう見ていらっしゃるかということ。それから実体経済にリスクが及ぶ可能性、懸念はないのか、その辺の認識をお聞かせいただけますでしょうか。
(答)まず、日本経済のファンダメンタルズ自身はしっかりしていると思います。この連日の乱高下は外的要因によるものであります。その外的要因がどう沈静化してくるかということ、そして日本経済、国内要素にとりましては、総理からの御指示もありますけれども、補正予算の迅速な実行ということが必要だと思います。
 ECBのドラギ総裁が金融政策の見直しの可能性に言及されています。それも好感して、株価上昇につながったのではないかと思っております。しっかり、国内的な政策を推進していくことが、まず日本がやるべきこと、それから今後、いろいろな国際的な取組を通じて、協調してそれぞれ対処していくというような話合いが出てくるのかと思います。
(問)週刊誌の金銭疑惑報道についてお伺いします。今日の閣議では、総理やほかの閣僚にこの問題について何かお話しをされたのかということと、それから閣議が終わった後、少し残られていたようなのですけれども、総理や官房長官と何かお話しをされていたのか、お願いします。
(答)閣議において、今回の週刊誌報道に関しての私の発言はありません。閣議の後、ダボスに向けて、国会承認がいただければということでありますが、まだそこがいただけておりませんので、その事情を官房長官にお話ししていたということです。
(問)今日、大臣が政府の四演説のうちの経済演説を行うと思うのですが、野党は退席するというようなことも示唆しております。国会が不正常な状況になりつつあるのですけれども、大臣はこの辺についてどうお考えになっておりますでしょうか。
(答)じくじたる思いがあります。まず、はっきり申し上げたいのは、私は法に反するような行為はいたしておりません。これははっきり申し上げたいと思います。その上で、ずっと申し上げてきていること、聞いていらっしゃる方も歯がゆく映ることはよく分かっております。ただ、2年半前の、私の記憶が間違っていないと自信はあるのですけれども、週刊文春さんの報道がテープで事細かく記述されています。そして、証人もいるのだというようなお話がされています。ですから、私の記憶と違う部分があります。これをしっかり客観的にできるだけ埋めていかなければなりません。
 私自身、何でそんなことで時間がかかるのだと、分かります、皆さんが思われるのは。ただ私は自分の発言が二転、三転することは避けたいと思っているのです。これは御理解いただけるかと思います。
 ですから、しっかり、できるだけ2年半前の記憶を思い起こし、そばにいた者、秘書もいました、そういうものも含めて、しっかりと当時の私の記憶を検証したいと思っているのです。
 私の記憶だけでこうでしたと、この部分が違ったではないかというようなことだけは避けたいと思っていまして、その場限りの発言で二転、三転することだけはしたくないと思っておりますから、誠実な気持ちで申し上げていますので、是非御理解をいただきたいと思います。
(問)もう一点、昨日も質問したのですけれども、なるべく早くとおっしゃるのですけれども、政治家というのは、せっかちな方が多くて、野党もかなり、いついつ説明するのかと思っているわけですが、いつごろまでにとお考えになっていらっしゃるのか教えてもらえますか。
(答)とにかく、少なくとも、私のことに関して、一週間以内には記憶の確認をして、お話ができるのではないかと思います。
 それまでは、文春さんがやたらと細かく、手取り足取りみたいな書き方をされるものですから、その記述と私の記憶が違うところが何点かあります。それをちゃんと責任を持って埋めたいと思っておりますので、これは別に引き延ばし作戦をしているということじゃないということは、是非理解をしていただきたいと思います。
(問)そうすると、全体の調査の結果というわけではないけれども、御記憶の部分でと。
(答)秘書の件は、正直言って私全く知らなかったのです。もう3年間ほとんど地元を留守にしました。それはそれで私の不徳なのですけれども、しかも所長に全部任せて、一切私はタッチをしておりませんから、一連の行動は全く知らないのです。
 ですから、それはきちんと専門家の人も交えて、正確に詳細に検証してくれということを申し上げています。
(問)そうすると途中経過を一週間ぐらいということですか。
(答)私に関してです。私に関しては一週間後に、この私の記憶で間違いないということはお話をしたいと思います。
(問)昨日、一回聞いていることではあるのですけれども、昨日、大臣の事務所の方から支持者の方の方に、今回の疑惑のかかっているお金について、返したというような説明が電話であったというような報道があったのですけれども、そういったことはあったかどうかというのは、大臣はお耳に入っていますでしょうか。
(答)どこかの社がそんな報道をしたというのは夜知りましたけれども、それは甘利事務所としての、誰がどう言ったか知りません。地元の秘書が後援者に言われて言ったのかどうか知りませんけれども、甘利事務所としての正式な発信ではありません。
(問)あったかなかったかはあれですけれども、仮にあったとしても正式なものではないという認識なのでしょうか。
(答)あったかないかというか、それは正にこれから本格的に検証するわけですから、これは全くうちからの正式な発信ではありません。
(問)今回の週刊誌報道に限らず、大臣室や事務所の中で、寄附でもいいのですけれども、50万円とかそういう大きな金額の寄附などを直接受け取ったことというのはあるのでしょうか。
(答)今回の件の云々以外ですか。
(問)はい、限らず。
(答)それはないです。
(問)では、全くないということか。
(答)お菓子とかはよく持ってこられますよね、訪問されるときに。それだけです。
(問)では、全く寄附も含めて大臣室の中で直接寄附を受け取ったりというようなことは通常ないということですね。
(答)通常おいでになる方は、私の記憶ですと、おいでになる方は、お菓子を持って大臣室で食べてくださいというような感じで来られる方はあります。
(問)週刊誌報道では、先方が何十時間もテープというか会話を録音しているなど、いろいろ録音をとってあるということなのですけれども、逆に大臣の方から、大臣室に来たお客さんの録音をすることとかというのはあるのでしょうか。
(答)絶対そんなことはないですし、お客様、特に大臣室に来たいとか、どんななのと来られる方は大変喜ばれて、はしゃいで、景色を見たり、記念写真を撮ったりして帰られますけれども、私の知る限り、最初に大臣室を見せてくれということで来られて、はしゃがれて、それを秘密裏に録音される方は聞いたことがありません。あの方々は、うちの秘書から、熱心な支持者で、是非大臣室というのに行ったことがないから見たいというような話が秘書から私にありまして、それで、そういう方はどうぞと、開かれている大臣室ですからと。それで、来られて、最初から秘密裏に録音をして、それ以降全て録音をとっているというのは何なのだろうと、あの報道が出て、一番最初からそういう仕掛けをしてこられるという方は何の目的があるのだろうということで、そこが極めて驚きました。私の後援をするのだという秘書からの触れ込みでありましたから、だから、何の目的なのだろうかと。最初から最後まで全て秘密裏に録音をしたり、秘密裏に写真を撮ったりということって何なのだろうという思いです。
(問)開かれた大臣室ということなのですが、結構大臣室にお客さんがそういった形で来ることが多い、結構人数は多いのですか。
(答)もう頻繁です。多い日は一日に何組も来られます。特にこの大臣になってからは、表敬訪問されるお客様が多いと思います。
(問)先ほど、大臣室や事務所で寄附を大臣が直接受け取ることはないとおっしゃっていまして、そのように週刊誌報道と大臣の御記憶との食い違いがあるということだったのですけれども、そうしますと、大臣の記憶としては、そういったものは一切受け取ったことはないのだけれどもということなのでしょうか。
(答)冒頭申し上げたように、私の記憶と報道が部分的に違うところがありますと、それを埋めていますから、あそこが違う、ここが違うということはちゃんと今検証しているところですから、今まで申し上げたこと以上のことは言うことができません、作業中ですから。それは理解をしてください。ちゃんと説明をいたしますから、逃げ隠れはしませんから、誠実にお答えをいたします。
(問)調査の最中にですが、調査の過程で、その建設会社側と何かコンタクトをとっているということはあるのでしょうか。
(答)少なくとも私は電話番号も何も知りませんから、連絡をとることは、私は基本的に誰とも連絡はとりません。とりませんというか、検証の打合せ以外で、先方に電話をかけるだとか、先方に何とかするということは全くありませんし、全く連絡先すら知りません。
(問)この取材を受けてからでも報道が出てからでも結構なのですが、この問題を指摘されている公設秘書の方々と大臣は直接お話しになったりしているのか、それを教えていただけますでしょうか。
(答)あんな報道をされた事実があったのかと非常に驚きましたから、そういう話はしました。ただ、そこもいろいろ報道されていることと本人の話が違うものでありますから、それは第三者も含めて、今後本格的にちゃんと検証していかなければならないと思います。
(問)大臣はたびたび、お任せになっていて知らなかったというような答弁、御発言をされていますが、基本的にそれほど信頼できる秘書の方々ということなのですか。
(答)はい、事務所長を任せておりましたから。この3年間は、地元秘書間のミーティングに一度も出ることができませんでした。国政に、安倍内閣、2次内閣ですから、1次内閣も私やっていましたから、1次内閣はあんな形になりましたから、2次内閣は全力投入で成功させたいと思っていましたから、それに全精力を注いでいました。
(問)こうした問題が出たことで、今おっしゃるように、大臣はこの間、国政に全力で投球されてきたと思うのですけれど、今ある種、経済も株価が難しい状況になっている中でこうした対応に追われてしまっていることについて、何か思われるところはありますか。
(答)とにかく、私どもの事務所に関することは、きちんと第三者を交えてできるだけ正確に情報を精査しなければならないと思っています。あわせて、経済が今大変なところですから、私は私で、もうそこは第三者を交えて調査させることにしっかり託して、私自身は自分自身のことと、それから国政の課題に専念したいと思っています。
(問)大臣は、昨日の参議院の決算委員会で、辞任の考えを否定されました。調査は改めてこれからということだと思うのですが、改めて現段階の御意向を聞かせてもらえますでしょうか。
(答)職務に専念をいたします。間違いなく職務に専念します。
(問)御進退について、総理に御相談はされましたか。
(答)ありません。
(問)特に何も総理からもお言葉は。
(答)総理からは、とにかくしっかり説明責任を果たして、乗り切って、職務に専念してくれということしか言われていません。
(問)確認ですけれども、途中経過も含めて調査結果の公表というのは、どういった形での公表を今の段階で考えていらっしゃるのでしょうか。
(答)私自身のことについて、私の記憶と報道との違いを埋めていく、そして私自身の一連のことについては、できるだけ早く、可能ならば1週間以内にしたいと思います。ただ、それ以外は、報道だけ見ていますと膨大な話ですので、これは専門家、第三者を交えてしっかり検証してもらうよう指示は出しています。
(問)改めて、どういった場でというか、記者会見を改めて開くというか、どういった場ででしょうか。
(答)そちらの、秘書がいろいろとった行動についても含めてでも、それは会見をします。
(問)一応確認ですが、1週間というのは、御自身の問題に関して1週間以内ということで。
(答)自分のことに関してです。私は、法に反するようなことはしていないという自信はあります。ただ、それをきちんと記憶をたどって、週刊誌報道との違いを埋めてちゃんと説明できるようにしなければならないと思っていますから。
(問)秘書の問題に関してはもっと先ということですか。
(答)いえ、これは、別に私には秘書の行動に対して接触が全くないし、指示も全くしていないです。ですから、一連のいろいろなやりとりについて全く分からないのです。これはどのくらいかかるのかも、実際に専門家、弁護士さんになりますけれども、その方たちが全部調べてもらわなければならないですから、これは私では、いついつまでということは全く言えないです。できるだけ急いでもらいたいと思います。
(問)専門家が入っているのは、御自身の問題については、特にそちらは入っていないという認識でいいですか。
(答)はい、私の問題については、私が、立ち会っていた、そこにいた秘書や事務所関係者と、それから、その場に関係した関係者とできるだけ確認をしながら、一つ一つ自分の記憶を確認していっています。
(問)基本的に、御自身の問題については御自身でまとめて、そこで1週間ぐらいをめどに公表するということですね。
(答)はい。ですから、自分の記憶を、2年半前のことですから、しっかり呼び起こさなければならないというところもあります。自分としては、こういうことであったという記憶はあって、それと新聞報道が部分的に違うところがあって、いや、そうではないはずだと思っているのですけれども、録音もあります、証人もいます、何もありますとおっしゃっていますから、本当にそうなのだろうかということで、それは二転三転するようなことだけはしたくないのです。だから、こうやって記憶していましたという、この部分がこう違うのではないか云々みたいなことにしたくないので、正確に記憶をたどりたい。これは、そんなの無視してやれと言われても、それは無責任だと思いませんか。
(問)そうすると、御自身の問題については、確認ですけど、改めて、周りから聞き取りをして、御自身である程度。
(答)はい。自分はこうだったというのと、その確認を。
(問)ある程度の確信をとったところで、御自身で公表するということですね。
(答)はい。文春さんが一字一句全部録っていて、証人もあってとあれだけおっしゃるのですから、それはちゃんと呼び起こさないといけないのではないでしょうか。
(問)大臣から今、御自身は法に触れるようなことは一切ないという明確なお答えをいただいたわけなのですけれども、秘書の方々から、大臣が面会してお話を聞いたときに、秘書の方々も同様に、大臣に対しては、金額の多寡や内容はさておき、法に触れるようなことはしていないというような、そのようなお答えがあったのか、その辺はいかがでしょうか。
(答)一連のことですか。
(問)はい。例えば、報道によると、秘書の方が寄附を受け取って、それを、文春としては、きちんと収支報告書に記載していない部分があるのではないかというような指摘があるわけなのですけれども、そういうことについても秘書の方は大臣に対して否定されているのか、それともその辺は少し明確な答えが大臣に対して秘書の方からなかったのか。
(答)明確な答えがないので、しっかり調査をかけています。
(問)大臣としても、そうすると、秘書の行為に関しては、少し法律ということを物差しにすると疑義が、大臣としても生じているということでしょうか。
(答)いえ、この時点で余り人のことも軽々なことが言えませんので、そこは弁護士さんを含めてきちんと聴取するよう、もう指示をしてあります。
(問)株式市場は非常に乱高下を繰り返しておりますが、昨日などは、この週刊誌報道も懸念材料として、日本への不安というふうに、材料視されているのですけれども、その点について御所見をいただければお願いいたします。
(答)その不安が私自身に関してであれば、一刻も早く払拭できるように努力します。

(以上)