甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年12月25日

(平成27年12月25日(金) 10:42~10:56  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 ありません。

2.質疑応答

(問)本日、家計調査、消費者物価指数が発表されまして、家計調査では3か月連続のマイナスとなりました。個人消費の弱さが裏づけられたかに思われるのですが、このあたりの大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
 あわせて、消費者物価指数、生鮮食品を除く指数で5か月ぶりのプラスになりました。物価の基調というのに変化が出てきているとお考えでしょうか。このあたりの御所見もお伺いしたいと思います。
(答)家計調査が弱含みであります。実は、それ以外の部分、消費を後押しする何要素かありますけれども、実質賃金は4か月連続プラスになっています。
 雇用環境はよりタイトになってきている。有効求人倍率は1.25。どういう現象が起きているかというと、より高い賃金を求めて一部自発的に離職して、次を探すという現象が起きているわけです。現場では、募集しても人が来ないという状況が続いているわけです。賃金が上がりながら、消費が伸びないということ。消費を分析すれば、暖冬の影響で季節ものが売れないということがあります。そういう幾つかの要素が重なってこうなっておりますが、消費を上押しする条件は整いつつあると思います。
 ですから、引き続き賃上げに、いろいろ言われながら政府が介入していくという作業は必要だと思います。
 あわせて、社会保険の保険料を一部下げるということになりますから、その分については手取りが増えるということになります。好景気を反映して、できるだけ負担をなくして所得を増やす。それから、アベノミクスの効果が届いてない人に対しても支援していくという姿勢になっております。
 何よりも、この循環が自動循環として将来にわたって続いていくのが平時の姿であるということを、国民・消費者の皆さんに実感していただくということが大事であります。そうすれば、実質賃金は増えて、消費が増えるというサイクルに乗ってくるのではないかと思います。
 物価につきましては、基本的に油価の影響が非常に大きいと思います。昨年の今ごろは、原油価格は60ドルぐらいでした。今38ドルです。一昨年は100ドルでした。ですから、油価がどの辺で安定状態になるかということが、消費者物価指数が2%に向かって進んでいくかの重要な要素になってくると思います。
 生鮮や原油価格を除いたコアコア指数は、内閣府と総務省で若干の数値の違いがありますが1%近傍になっておりますから、ここは比較的順調に、目標よりは少し先に行きますけれども、CPI2%に向かって進みつつある途中だと思います。
(問)明日12月26日は、政権交代をして、安倍首相が再び登板されてからちょうど3年にあたりまして、ある意味アベノミクス3年とも言えると思うのですけれども、この3年の総括と言いますか、評価をお願いします。今日の指標でも3年前と比べると雇用などはよくなっていると思いますし、株価、為替もよくなっていると思いますが、一方で物価がまだゼロ近傍である。いろいろな要素があると思うのですが、それを含めた評価と、それを踏まえて、今後どうしていけばいいか、そのあたりをよろしくお願いいたします。
(答)アベノミクスで言いますと、これはいきなり魔法のように、政権が誕生したら半年、1年で全部が変わるというものではありません。
 それくらい、デフレというのはこびりついたものであるだけに、これをはがすのに努力が必要であるということで、手順を追ってやってきました。
 金融環境をよくし、需給ギャップを縮めるための機動的な、ばらまきではない財政出動を行い、そして成長戦略で民需に火をつけていくという手順であります。
 事業環境をよくするという政府の努力で、これは投資に対する減税、法人税自体を下げていく、あるいは規制緩和を大胆に行っていくという、投資環境を整える、あるいは将来予見性を明確にしていくという方針を示して、事業環境がよくなって、業績が過去最高になった。次は賃金と下請け代金と競争力強化のための更なる投資ということです。
 これは一部動き出しました。まだ道半ばであります。賃上げは三巡に入るわけでありますから、これは政府がおせっかいを焼いても、自然循環になるまでは手を差し伸べたいと思っています。
 法人税は4、5年でというのを一挙に官邸と相談を事前にしまして、2年で一挙に20%台に引き下げを実現したわけであります。
 経済界も本来あり得ないような賃上げへの呼びかけをし、経団連の方針である経労委報告にもそれが反映されているということが続いているわけであります。
 でありますから、凍りついた経済を強力に解かして、巡航速度に持っていくという作業は進みつつあると思います。アベノミクスが届いていない方に届けるという政策も新たに打ち出しました。
 好循環に新たな好循環が入る、「分配と成長の好循環」というキーワードも入ってきたわけであります。まだ道半ばでありますけれども、確実に、その道程は正しい想定軌道に乗って動いていると思います。
 それから、安倍内閣全体のこの3年間の評価であります。私が痛切に感じるのは、やはりまず三つほど要素があると思います。一つ目は、トップリーダーが何をしたいかという明確な理念とその政策目標を掲げることです。二つ目は、それを全閣僚が共有して取り組んでいくことです。そして、三つ目は、そうした強固な体制が安定的に続くことです。この3要素が政治の目的であります国民生活の安定と向上には必須であるということを痛感した3年間でありました。
 どんないいことを言っても、どんなすばらしい内閣でも、1年ごとに交代してしまっては、その趣旨、思いが官僚機構全体に行き渡っていかないということです。官僚機構全体が、どうせ短期だからということで斜に構えて指示を受けるということになってしまうということです。しかし、長期だと本気に取り組んでいかなければならない。安倍内閣は目標を掲げ、工程表を示して、大事なことは期限ごとに定期的に進捗報告をさせるということを行っています。これが効いているのだと思います。長く続いている政権で、毎年毎年、あるいは半年ごとに効果がどこまで行っているか、進んでいる原因、進んでいない原因提示せよということですから、これは相当一生懸命やらないといけないということで、これが効いてきているのではないかと思っております。
 ただ、20年間のつけを払って、プラスに持っていくというのは、やはり2年や3年ではできないという思いがいたします。
 構造改革に、本格的に各大臣は取り組んでおりますから、安倍内閣が将来退陣した後でも、自動的に日本経済は世界一イノベイティブな国として、自動運転、車だけではなくて、日本国もある程度手を離しても自動運転で飛んでいくようにできればと思っています。
(問)今の質問とも関連するのですけれども、この3年間の安倍政権を拝見していますと、かなり官邸主導型というのが強く、色濃く出ていると思います。これはメリットもあると同時に、自民党側からは不満も漏れていて、聞こえてくる部分もあるのですけれども、官邸と政党の現状についてはどのように見ていらっしゃいますでしょうか。
(答)政策を立案し、そしてそれをしっかり推進していくというためには、やはり政権、内閣は強固で一枚岩でないと、なかなかできません。閣内で不協和音が出るようだと、推進力に関わる。そういう意味で総理が、内閣を強力にしたいという思いを持って、第二次安倍内閣をつくられたというのは、正に正解だと思います。
 ただ、議院内閣制ですから、与党と内閣との関係もしっかりしていかなければなりません。そのために、総理があっと驚く人事をされたのは、総裁経験者をナンバー2の幹事長に据えられたということです。私もこの人事を聞いたときに、「ああ、そういう手があったのか」と思いました。誰も、まさか総裁経験者を幹事長に、という案を持っていると思った人はほとんどいなかったわけです。今、谷垣幹事長は、官邸と党との意思疎通を図るために、毎週総理とお話をされています。これはとても大事なことだと思います。
 幹事長は、今まで以上に忌憚なく総裁と意見交換をされて、自分の意見もおっしゃって、そこで総理の思い描いている、向かうべき方向、それが本当に正しく理解をされて推進していくように意思疎通を図っていくことは、これからはもっと重要になってくると思います。谷垣幹事長には、遠慮をせずに、総裁によかれと思うことをどんどん言っていただいて、そして、総理・総裁の思いを共有してもらいたいと思います。

(以上)