甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年12月11日

(平成27年12月11日(金) 9:49~10:05  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私からは特にありません。

2.質疑応答

(問)軽減税率の議論が大詰めを迎えていまして、当初想定されたより大きな範囲になりそうだという形ですが、2020年度までにPB黒字化を目指すという財政健全化に向けた計画、これに対する影響をどのようにお考えなのかということと、財源が焦点になっていると思うのですが、このあたりについての大臣の御所感をお聞かせ願えればと思います。
(答)自公間で議論が続いてまいりました。生鮮食品から加工食品に拡大するということでは、一致しているようですが、その幅と財源をどうするかというのは、引き続き議論が続いていると承知いたしております。
 この財源をどうするのかということ、どこまでその財源が必要かということが確定していく中、あるいはその後に、財政再建プランをどう道筋をつけていくかというのは、その時点で再度検討するということになろうかと思います。
(問)財源が決まれば、プランの見直しということもあり得るということなのでしょうか。
(答)現状でも2020年度のPB黒字化にはまだ隙間があるわけです。そして、2018年度にその隙間を1%まで詰めていくという目標値が設定されました。それに向けて予算構造改革もやっているわけであります。来年度は、その初年度になります。それをどう定着させていく道筋ができるかということと、そしてそれ以外に、成長の果実がどう貢献してくれるか、あるいはそれでも欠落が出る部分はどうするかという議論は、消費税の軽減税率が確定して、財源がどれくらい必要かということとあわせて、プランを策定していくということになろうかと思います。
 その時点で、すべて2020年度までに決着をするということでは、なかなかないと思います。道筋は何とか探していきたいと思います。
(問)今、大臣がおっしゃられた財源のことにあわせてなのですけれども、確認ですが、18年度の1%という目標と20年度の黒字化という目標は、今回の軽減税率、財源がということがありますけれども、その目標は不変と考えてよろしいでしょうか。
(答)2015年度は必ず達成する。ただし過達成は必要がない。むしろ過達成分については、成長の果実を引き続き成長していく押し上げ要因にしていくということが方針であります。そういう中で、2020年度PB黒字化の目標は下ろしたわけではありません。
(問)先日来、原油価格がまた急落していますけれども、日本経済に与える影響ということをどのようにお考えになっているのか御所見を伺えますでしょうか。
(答)結論から言えば、原油価格の下落は消費国にはプラスに働き、産出国にはマイナスに働くということです。産出国経済が失速してしまうということは、間接的に世界経済への影響もあります。その生産・消費、両国のバランスをどうとれるかということだと思います。
 現状、際限なく油価が落ちていくということは、そのバランスを失することにもなろうかと思います。消費国について過大な負担とならない、産出国について経済が成り立つというところに向かって、現状調整中だと思います。
(問)軽減税率ですけれども、そもそも経済学者の間では軽減税率は非常に評判が悪くて、その最大の理由は、所得再分配どころか、むしろ金持ち優遇になるのではないか。絶対額ではお金持ちのほうが利益を受けるのではないか。給付、財政措置に比べれば、そういう側面があるのではないか。
 一方で、安倍政権の場合は、低所得者対策として今回、給付金を検討されていますが、そうするとかなり政策の矛盾が生じているのではないかという指摘もあるのですけれども、この辺についてお伺いできますでしょうか。
(答)軽減税率が生活必需品の範囲ということは、生活必需品の所得に占める支出割合は低所得者ほど高いわけであります。高額所得者は高額のものを購入する。生鮮、あるいは生鮮を超えたところについて、他の物品ほど価格差がないということであれば、低所得者対策としては、生活必需品について税負担が軽減されるということは、1つの低所得者対策として生きるのではないかと思います。
 福祉的な給付金を前倒しで、額を限定して行うということが検討されております。これはアベノミクスに裨益していると実感しておられない方々に対して、アベノミクスの成果、果実の一部を分配するという政策のもとに行われていることでありまして、低所得者に対するアベノミクスの裨益、そしてそれが社会保障の安定感と合わせて、消費の拡大、つまり安心が消費を支える、消費が成長を支え、安心の原資を更に拡大するということの好循環につながっていくという判断でやっております。
(問)今回一体改革ということでやってきたことは、これは理屈を言うと、歳入を増やして、その増やした分の歳入の範囲で、社会保障を充実するという歳入歳出一体だということが基本だったと思いますけれども、今回軽減税率で減収になるということは、社会保障を拡充できないといいますか、拡充する部分を縮小するというのが筋ではないかと考える方もいらっしゃるのですが、この辺についてはどうお考えになりますか。
(答)パイが決まっている中で、社会保障の充実に回す分、あるいは軽減税率に回す分、そのパイの中だけでの配分とすると、そういう議論が起きるのだと思います。
 でありますから、構造改革によって、消費税以外の予算の生産性を上げるという点で捻出する部分。あるいは、アベノミクスによる成長の上振れをどう使うかという議論がもう一つあろうかと思います。成長の上振れを一時的な財源と見るのか、あるいはそれを前提に予算を組まれていくとすると、それはある種、恒久的な部分もあるのではないかという解釈をするか。成長の果実を全面的に財政再建に振り向けるのか、あるいはその果実を社会に実装して、実際に装着して各種政策を支えるのかという点を、しっかり議論しなければならないと思っております。
 安倍内閣の基本政策は、「成長なくして再建なし」ということでありますから、再建の部分とそれから成長を引き続き支えていく部分をどう配分するかという議論を、来年度以降はしなければならないと思います。
(問)一体改革の3党合意というのは画期的なことだと麻生大臣もおっしゃっていますし、いろいろな方がおっしゃっています。これは与野党が負担の分配を分かち合って、そこでそれを政局にしないのだということが基本だったと思うのですけれども、どうも今回見ていると、官邸と与党の政局になっていて、政局にしないという一体改革の理念も失われているのではないかというように見えるのですけれども、この辺はどのように見ていらっしゃいますか。
(答)公明党の低所得者対策がまだ不十分であるという危機感をどう認識するかの温度差かと思います。官邸はその危機感をかなり濃厚に共有している。党は、官邸と比べれば若干の温度差がある。それが今回の決着の遅れにつながっているのかと思いますが、私自身はこの問題は財政再建の道筋をつくる担当大臣として間接的な関与でありますから、直接的にどういう枠組みと幅にするかということについては、決着は見守りたいと思っています。
(問)先ほどの原油の関連で、補足でお願いいたします。原油安によって、物価指数、コアCPIなどには下押し要因になると思うのですが、これの春闘、賃金への影響をどう御覧になっているかお願いいたします。
(答)原油価格が下落して、その下落が定着していきますと、翌年はそれがベースになりますので、物価への影響は剥落するわけでありますけれども、引き続き下落していきますと、その分が物価の足を引っ張る要因になります。でありますから、CPIの物価安定目標に影響を与えてきます。そこの部分は、日銀の物価安定目標の想定外要因ということで、カウントしていかなければならないと思っています。
 原油価格が下落を続ける中では、その部分はさっ引いて、物価目標の達成度合いを評価するということが正確ではないかと思います。
(問)TPPですが、大臣は政府の影響試算について、12月中に発表すると今までおっしゃっておりましたが、12月も中旬に差しかかるというところですけれども、その作成作業の進捗状況と発表時期の目途についてお伺いしたいのですが、補正や当初予算の編成作業も進行する中で、来週中、若しくはその次の週になるのか、そこら辺はいかがでしょうか。
(答)年内には、発表ができるようにしたいと思います。年内にはいろいろなイベントがあります。大晦日もあれば、クリスマスもあります。大晦日プレゼントというのはないですけれども、クリスマスプレゼントというのがありますから、いろいろお待ちをいただければと思います。

(以上)