甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年11月25日

(平成27年11月25日(水) 17:18~17:27  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 「月例経済報告等に関する関係閣僚会議」の概要を報告いたします。景気の現状についての総括判断でありますけれども、「このところ一部に弱さもみられるが、緩やかな回復基調が続いている」として、先月から据え置いております。
 需要面では、個人消費や設備投資の改善の遅れなどがみられるなかで、生産面でもそれに対応した弱さがみられる状況が続く一方で、企業収益は過去最高水準にあり、雇用・所得環境の改善傾向も続いており、緩やかな回復基調が続いているという景気の基調についての認識は変わっておりません。
 先行きにつきましては、雇用・所得環境の改善傾向が続くなかで、各種政策の効果もあって、緩やかな回復に向かうことが期待されます。ただし、アメリカの金融政策が正常化に向かうなか、中国を始めとするアジア新興国等の景気が下振れし、我が国の景気が下押しされるリスクがあります。
 政策の基本的態度につきましては、先月からの変更点といたしまして、未来投資に向けた官民対話が開催されていること、「総合的なTPP関連政策大綱」が決定されたこと、を踏まえた記述にしております。 以上です。

2.質疑応答

(問)今回も設備投資が月例はよくなかったと思うのですけれども、企業に促す上で、法人税減税、これは大臣も以前から先行減税もというお話がありましたけれども、昨日改めて官房長官が16年度から20%台を目指していいのではないかとありましたけれども、その辺、来年度からなのかどうかというところのお考えはどうでしょうか。
(答)設備投資が弱含んでいる、それで設備投資計画はかなりの数字が出ている。このギャップはいつ埋まるのかという思いでずっと来ました。官民対話では、総理から相当強い要請がなされてきております。次回に、これは異例なことではありますけれども、経済界側の決意がうかがえればと思っております。
 法人税減税、これは総理御自身からできるだけ前倒しできるようなスケジュールに言及されています。官房長官は具体的に来年度からということを言及されているわけでありますけれども、できるだけ速いペースでできるように、どこまで環境整備ができるか、政府内、閣内で考えているところであります。内部留保が拡大していく、そして投資が進まないというなかで、法人税減税だけというのはなかなか環境的には難しい。しっかり経営側も日本経済のために、そしてそれは自身の企業の繁栄のためにも思い切って判断し、政府が環境整備をしやすい、その環境をつくっていただきたいと思います。
(問)そのような企業の姿勢がみられれば、甘利大臣御自身としても来年からやってもいいのではないかというお考えでしょうか。
(答)財政再建の道筋の中で、どこまで可能か、今後、税収上振れの様相も少しみえてくると思いますが、そういったなかで、財政健全化の枠組みを外さない中でどこまでできるかという詰めになろうかと思います。
(問)先ほどの設備投資についてですけれども、大臣として、企業側が若干慎重である根本的な理由について、どう御覧になっているかということ。あと、何が契機として、官民対話を除いて、ピックアップするとみていらっしゃるのか。自動車メーカーなどからみれば、やはり新興国の減速というのはある種、フロンティアを喪失するという面もあると思うのですが、構造的にどう御覧になっているのかお願いします。
(答)まず、経営者から出てくる設備投資が国内で拡大していない理由は、おそらく市場としての将来性、これは人口減少というのが一番大きな懸念材料だと思います。少子化に対して、総理の新3本の矢では、少子化それから社会保障について、2の矢、3の矢についてかなり突っ込んで言及をしておりますから、新3本の矢で少子化に政府として真正面から向かい合っていくという決意と、それから対策が執り行われているわけであります。
 ただし、前から申し上げていますように、TPPということで日本から外に打って出ていく、その対象範囲が、関税がなく輸出できる経済エリアが一挙に拡大したわけであります。もちろんこれから実行されるのは1年、2年、スタートするのは先でありますけれども、それに対して備えるという意味もありますから、日本をグローバル・ハブと捉えているのは、日本から打って出る、あるいは日本に投資をするというための、外へ出る、それから内に投資を呼び込む、両方についてバリアがなくなっているということをしっかり認識する必要があるということと、グローバル・ハブというのは研究開発拠点としての魅力が日本には相当ある。医薬品・医療機器についてのグローバル拠点としての環境整備が整いつつある。アメリカ企業が本社を日本に移すということも、経営者としてはしっかり見据えていただいて、研究開発拠点としての魅力が非常に高まっている、それから、外へ打って出る拠点としてもハブになりつつある、そういう変化をしっかり見据えて国内投資判断をしてもらいたいと思います。

(以上)