甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年11月17日

(平成27年11月17日(火) 10:34~10:48  於:中央合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 ありません。

2.質疑応答

(問)1問目は、昨日、総理が内政懇で7-9月期のGDPのマイナス成長を受けまして、補正予算の編成を帰国後に指示する段取りになっているということを明らかにしました。今回の補正予算に景気対策として盛り込むべきものがあるとすれば、どういうものがありますでしょうか。
 もう一つは、その規模感として3兆円という報道があるのですけれども、昨年並みの3兆円台から更に少し上積みぐらいのイメージでよろしいのでしょうか。その辺のことを教えてください。
(答)補正予算に関してでありますが、補正予算は当然、総理から指示があるかと思います。やるべきことは、まず、一億総活躍の対策をしっかりまとめて具体化するということ。それから、TPPの対策です。昨日、党の農林部会で議論が行われたようでありますが、それをどう具体化をしていくかということ等があろうかと思います。
 一億総活躍やTPPの中に当然、それが景気刺激策につながっていくものはたくさんあります。一億総活躍の中でも、アベノミクスの恩恵が及んでいない低所得者に対して、どうその恩恵を届けていくか、そういうところが一億総活躍対策の中で議論になろうかと思います。
 規模につきましては、いろいろ巷間言われています。大事なことは、財政健全化の中間地点でありますから、それをしっかり達成することとの整合性の中で、どこまでの幅があるかということであろうかと思っております。
(問)総理が、同じ内政懇で昨日、1月4日に通常国会を開会するということを正式に明らかにしたのですけれども、国会法を改正して1月召集になってから一番早い召集日になるそうです。これの狙いは何なのかということと、一部には衆参同日選挙に向けて、参議院選挙の日程に柔軟性を持たせるために4日にしたのだという説明をする方もいらっしゃるのですが、その辺のところの関連で、どのように大臣は見ていらっしゃるのか、教えてもらえますか。
(答)衆参同日選挙ではないと思います。
 秋の臨時国会について、野党からの要求が多々ありましたが、外交日程が極めてタイトに組まれておりました。そこで物理的に開催することができませんでした。次期通常国会は参議院選もあり、後ろが切られているわけであります。できるだけ課題に応えていくために、前倒しで国会の召集をされると、その意思を総理が示されたのであろうと思います。
(問)TPPの対策は、今日、党の農林部会で決めて、それ以外のところは先週までにほぼ出そろっていると思うのですけれども、大臣は、これまでその党の議論、政府との調整状況をお聞きになっていて、その内容について、どのように受け止めていらっしゃいますでしょうか。
(答)大事なことは、農政でいえば、守りと攻めをしっかり行うということです。従来の対策はどちらかというと守りであって、攻めの部分が見えてこなかったと思います。今回は重要5品目を中心に、不安の解消ということで、政府の政策の予見性を高めたということだと思います。そして、これから来年の秋に向けて、農林水産業を成長産業として、地域を担っていくリーディング・インダストリーとして、攻めの農政に変えていくためのプランが練られていくと思います。
 でありますから、いわば当面の施策は、不安解消を中心にするのと、それから、この成長産業として育てていく、攻めていく部分について、今後じっくりとプランが練られていくという、2段構えであろうと思っております。
(問)政府としては、正式には来週、政策大綱としてまとめる予定になっていると思うのですけれども、党から出された提言に、更に何か政府として独自に加える政策があるのか。あるいは、更に政府としては絞り込む必要性を感じていらっしゃいますでしょうか。
(答)農林水産省と党の農林部会と、すり合わせをしながら策定してきているのが、今日にも取りまとめられる政策だと思います。TPP対策本部として、基本的にその協議を見ながら今日に至っておりますけれども、出来上がったものについて、いろいろ査定する点があるかどうかも含めて、しっかり見てみたいと思います。
(問)先ほど国会の衆参同日選挙について、衆参同日選挙はありませんとお答えになりましたけれども、確定事項のように聞こえたのですけれども、そこはどうなのでしょうか。
(答)ないと思います。
(問)昨日のGDPでも設備投資の弱さが出ましたけれども、次の官民対話も近いと思うのですが、具体的な政府の環境整備策として、賃上げ、投資、どんなことを考えていらっしゃるか、教えてください。
(答)恐らく、このQEも含めて、いわゆる景気対策が必要なのかというご質問だと思います。景気対策は必要だと思います。
 やるべきは、過去最大値で積み上がった内部留保が350兆円あります。それから、設備等に変わっている部分を引いた現預金等が210兆円あります。この210兆円を賃金の引上げや投資に向けていく、これが最大の景気対策だと思います。
 政府はそれを推進するための環境整備をお手伝いしていきたいと思います。
(問)それに対する、その政府としても、正に環境整備をやっていくと思うのですけれど、その辺はどうですか。
(答)これは、正に官民対話で、法人税をできるだけ早期に目標に達成させる、あるいは規制緩和で、投資分野についてこういう対応をしてほしいなど、そういう話合いがあると思います。そういう環境整備は、我々も精力的にやっていきたいと思います。
 そして、民間経済を動かすということが一番大事でありますから、設備に変わっている部分、あるいはM&Aで株式に変わっている部分を引いても、現預金等で210兆円、これは過去最大値に積み上がっているわけであります。最大値に積み上がっていながら、設備投資が7-9月期でマイナスであるというのは、かなり違和感を覚えます。それを賃金の改善や投資に最大回していく、これが現在とり得る最大の景気対策であると思っております。
(問)農林部会の話が先ほど出ましたが、小泉新農林部会長について、これまでの手腕というのをどのようにお感じでしょうか。
(答)農林部会も、随分変わりつつあると思います。GATTウルグアイ・ラウンドの対策を反省して、どう効果的に予算を行使していくか。つまり、損失補塡的な発想ではなくて、力強く強化をしていくためのツールとして、何を提供していくかという発想に変わっていくと思います。
 その変わり目で、正にそういう発想に富んでいる小泉進次郎農林部会長が誕生したというのは、時代の節目であると期待しています。
(問)今、変わりつつある、損失補塡的な発想ではなくとおっしゃった、TPPの対策ですけれども、昨日出た、こういう方向でいきましょうという紙を見ておりますと、やはり攻めというよりも守りの部分を重視せざるを得なかったのかなという印象を持ちました。それはやはり、牛肉や豚肉、米農家の損失を補塡していくという色彩が極めて濃いと思ったからです。
 実際、農家の方にお話を聞いても、やはりどんな対策を求めるかというと、補助金が欲しい、損失を補塡してほしいと、それはやはり、どんなに頑張っていらっしゃる農家の方でもそのようにおっしゃる方も多いのも現実だと思います。
 そこを踏まえて、ばらまきと言われないための、在り方というのを、どのようにあるべきかということについてお聞かせ下さい。
(答)まず、GATTウルグアイ・ラウンド対策で指摘されたのは、およそ農業生産と関係のないような施設が次々と誕生した。そして、その施設をつくった後、運用していくのにコストがかかるということであって、何のための農業強化政策かということが随分指摘されました。でありますから、今回そうした農業強化策と無関係なばらまき政策はやらない、これはもう決まっているわけであります。
 次に、第1弾として取り組んだのは、まず不安の解消をしていくということです。ということは、予見性を高めていくということです。この部分について、いつまで政策が続くのか分からないと。それを法制化するとか、当面やっていける負担割合をきちんと確保するなど、まず不安を解消するところが第1弾です。そして、これから、農業後継者の方々が、農業を産業として、成長産業として取り組んでいく。ですから、随分いろいろ変わっていかなければならないと思います。農業の産業化、農家の企業化、企業家としての農業経営という発想に変わっていかなければならない。そこには企業家であるならばとるべき政策、どういう市場を狙って、どういうものを売り込んでいくか、そのためにどういう品種改良をしていくかという、マーケティングやブランディング、あるいは、それをなすためのIT化など、企業経営者として自身の農業をどう捉えていくかという発想が必要であると思いますし、それは後継世代にはそういう意欲は十分あると思います。そういう方向に向けて、攻めの農政をこれからしっかり組み立てていくという、2段構えになっていると思います。

(以上)