甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年11月6日

(平成27年11月6日(金) 10:54~11:01  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私からはありません。

2.質疑応答

(問)オバマ政権がTPPの協定に署名するということを通告しまして、アメリカの署名を、恐らく来年2月ぐらいになると思われます。これについての御所見と、それから、かなりいろいろな立場から反対の意見が米議会では根強いようですが、この辺の状況分析をどう見られているのか、教えてください。
(答)議会に対して署名意図通知がなされると、90日ルールを考えると、2月の初めくらいになります。これは、各国が手続を進めていく上で一番手続上難しいのがアメリカでありますから、それが順調に進んでいくということはいいことだと思っております。
 議会の中ではいろいろと、各国、アメリカのみならず日本も含めて、いろいろな話があります。しかし、最終的にTPPに参加する方がいいのか、参加しない方がいいのかという比較をした場合に、間違いなくTPP参加の方が全ての国にとってメリットがあるわけであります。メリットが少ないから、この部分のメリットが少なかったから、よそより少なかったから参加しないということでやりますと、そこの少ないメリットも取れないし、ほかの大きなメリットも失うということになります。関税のみならずルールの分野でもそうでありますから、冷静に総合的に考えれば、そうしたそれぞれの注文は、最終的には収斂していくと思います。
(問)昨日の官民対話で、経済界に賃上げの要請がありましたけれども、次回返答ということになっています。これは、それまでに政府として、何か環境整備を示していくのか。あるいは、やはりまた次は当日ということになるのでしょうか。
(答)次回に経営側から何らかの回答があり、それに対して政府側から返答がありますが、その間に、どういう動きになるのかは、水面下で確認していくという作業はあろうかと思います。
(問)TPPに関しては、昨日発表された文書の中で、アメリカやカナダ、5か国と協定発効後7年後に関税についての見直しを行うという規定を盛り込まれていますし、そのほかルール分野でも、政府調達や国有企業改革などでも見直しの規定が含まれています。こういったことに一部で不安の声もあるわけですけれども、大臣はこれをどのような規定と捉えていらっしゃいますでしょうか。
(答)TPPに限って再協議を行うということではないです。近くでいえば日豪のEPAでも、協定発効後5年目などに見直しの話合いを行うというのは一般的なルールであります。TPPに特定のルールではないということであります。それぞれが関心の深いところについて、このTPPを施行してきて、その施行結果を見つつ、ここはもっとこうした方がいいのではないのか、あるいは、こっちはこうした方がいいのではないかという問題意識を持ったら話合いができるということでありますから、一方が一方的に相手に通知をするということではありません。ですから、それはこの種の協定に伴うごく一般的な取組事項であるということを御理解いただきたいと思います。
(問)これによって、日本が一方的に不利な立場に追い込まれるということは想定されますか。
(答)いえ、ありません。
(問)官民対話、設備投資に関連してお伺いしたいのですけれども、かねて大臣おっしゃっているように、過去最高の企業収益が生かされていないというお話があって、特に内部留保が生かされていないという指摘もありますけれども、民主党の鳩山政権時代には内部留保に課税するという案も検討に上がったことがありました。この考えについて、大臣はどういうお考えをお持ちでしょうか。また、政府内でそういった考えというのは一部上がっているのでしょうか。
(答)個人的に申し上げますと、問題が幾つかある仕組みだと思います。
 まず、内部留保に課税するということは、課税後の利益に再課税をするという二重課税の問題があります。
 さらに、2点目は効果の問題があると思います。他国でこの種の課税をやった例はありますけれども、それは配当を増やすためのプレッシャーをかけたということでありまして、設備投資を増やすためのプレッシャーではないし、そうはならないわけです。
 つまり、税引きの利益から配当をして、その残りが内部留保ですから、そうしますと、その残りに二重課税をするということは、それくらいだったら配当を増やすということに回るわけであります。ですから、設備投資を加速するプレッシャーにはなっていないということでありますから、その二つの意味で問題がある仕組みだと思います。

(以上)