甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年10月30日

(平成27年10月30日(金) 11:15~11:35  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 1件報告がございます。先週からマイナンバーの通知が始まっておりまして、11月までに順次国内の全住民に通知されます。
 これまでマイナンバーに関するコールセンターは、内閣府が設置しました制度全般のコールセンターと、通知カード・個人番号カードに特化したコールセンターがありました。
 どちらも通話料は有料でありましたが、先週の政府与党連絡会議におきまして、無料化の強い要望がありました。そこで、私から事務方に検討を指示しておりました。
 その結果、来週11月2日月曜日から、2つのコールセンターの番号を統一しました無料のフリーダイヤルを、新たに設置することにいたしました。番号は0120-95-0178です。
 このフリーダイヤルを多くの方に活用していただけるよう、政府といたしましても広く周知してまいりますが、報道機関の皆様におかれましても、新しいフリーダイヤルの番号を、国民の皆様にお伝えいただきますよう御協力をお願いいたします。
 詳細は内閣府番号制度担当室までお問い合わせください。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)今、発表のあったマイナンバーのコールセンターですけれども、今までの使っていた2つの番号も、つながって無料になるということでいいのですか。
(答)これは後で詳細を説明しますけれども、ややこしい手続がありまして、新しいのにかけていただくと1度でつながるのですが、既存の番号ですと、この番号は有料になります、このままつなぐか、それとも無料のほうでやられますかということの通知をいたします。もちろんその通知自身は料金がかかっていないのです。あとは従来の番号にかけますと、そのかけた方が選択をするということになります。そのままいいですという人は有料のまますぐつながる、無料の人は番号案内に従ってそちらにかけ直していただくということですから、最初からこの番号が周知されていれば2度がけすることはないのだと思います。
(問)TPP関連で農業分野の対策など盛り込んだ政策大綱、昨日の自民党の部会などで、20日までに自民党のまとめ、政府は25日までに取りまとめるといった発言等ありましたけれども、改めて今後の見通しとスケジュール感をお願いいたします。
(答)当初から申し上げていますとおり11月中に取りまとめたいと思っております。その間に政府与党とのすり合わせをしまして、意思疎通をしっかり図ったものを、政府案として取りまとめるつもりです。
(問)TPP関連ですが、一方で、協定文の全文公表に向けた作業と、また、アメリカの議会提出の手続等々のスケジュールとの兼ね合いがあると思うのですけれども、こういった作業等の進捗状況はいかがでしょうか。
(答)現在、ルール等において細部の詰めを行っております。その作業ができ次第、アメリカで言えば署名をするという意思を議会に通告する、それは署名の90日前までに行うということになりますから、90日後以降に署名がなされるということなのですが、いつ通知するかということについては、今、作業を急がせておりますので、早い時期には意思通知が議会になされるのではないかと思います。日本も、このテキスト全体の公表は全文整理が終わってからということに当然なりますけれども、概要の少し詳しいものについては、全文とは別に各国が適宜・適切に関係者に伝達していくものと思います。
(問)大綱ですけれども、これは中長期的な予算規模も含めて書き込むべきだというお考えでしょうか。それからこの大綱の性質ですけれども、これは閣議決定する類いのものでしょうか。
(答)大綱については、具体的にこれが幾ら、これが幾らということではなくて、全体ですから、関税の影響云々だけではなくて、ルールから何から、どういう攻めの効果があるかということを、いわば定性的に書いていくのではないかと思います。定量的にこの部分で幾ら、この部分で幾らということではないと思います。それを受けて、農産品については、農水を中心に影響評価が具体化されていくと思いますから、それに対してどのような予算措置が当面必要かということについては、具体化していくのではないかと思っております。それを受けて、補正でどのくらい当面対処するのかという話につながっていくのかと思います。
(問)閣議決定については。
(答)党は党の対策本部がまとめます。政府も総理が中心の対策本部がまとめます。そういう関係で、本部同士のまとめではないかと思います。
(問)消費者物価ですが、コアでマイナス0.1%、2か月連続下落であるということですけれども、物価が弱いという基調についてどう思われるかということと、それから今、日銀の政策決定会合が開かれておりますが、これで追加緩和をするのではないかという観測が市場では流れています。大臣としては、追加緩和をしてきっちり物価の目標を達成できるようにするべきだとお考えになっていらっしゃるか、今のところのお考えを教えてもらえますでしょうか。
(答)物価については総合が0.0%で、コアが今お話しありました、それからコアコアについては0.9%、内閣府で言えば1%を超えているのだと思います。生鮮品とエネルギー価格を除いた、つまり変動要因を除いたコアコアは確実に前期から上昇しております。ですから底流としては、物価は、目標に向かって歩んでいると思います。ただ、日銀が当初示した時期に間に合うか間に合わないかという話があります。ですからいろいろな想定があるのだと思いますが、それは正に今現在、日銀の政策決定会合で協議していただいております。この場から電話をかけるわけにもいきませんし、分かったところで発表はできませんから、政策決定会合が終わるまで、しばらくお待ちいただきたいと思います。各種判断をどうするかは、日銀が政策決定会合でお決めになると思います。
(問)物価を優先すれば、物価の目標を達成することを優先するのであれば、追加緩和するということは、一つの合理的な選択になると思うのですが、一方で副作用もかなりあって、そこのところでかなり政策的なジレンマに陥っているように思うのですけれども、大臣はどちらの方がより優先されるべき課題なのか、特に賃上げなどそういったことを考えれば、物価が賃上げをしていない段階で物価が上がるということは余り望ましくはないような気もするのですが、その辺どうお考えになっていますか。
(答)目標年を据え置くか延ばすか、対策をするかしないか、連立方程式だと思います。いろいろなケースがあると思いますが、それらを総合的に勘案して、政策委員会で想定される幾つものケースの中から一つを選択されるのだと思います。私がここで、これがいいということをコメントすることは適切ではないと思いますので、もうしばらくお待ちをいただきたいと思います。
(問)昨日、1億総活躍に向けて国民会議の第1回目が開かれました。来月中には緊急対策をまとめることになっていると思うのですけれども、これは新しい3本の矢の2本目、3本目についての対策が中心になるのか。また、甘利大臣が担当されている第1本目の矢、この対策についてもそこに盛り込まれる見通しになるのか、今の見通しをお願いします。
(答)強い経済をつくるということは、先般の3本の矢のブラッシュアップであります。それを受けて、希望する出生率を達成できる環境をつくる、あるいは介護離職をなくしていく等々、個々人に対してアベノミクスの成果をお届けしていくということになります。全体像を見ますと、第1の部分は私が中心にやっていくということになります。それから、個々に成果を届ける部分は加藤大臣が中心にやります。あるいは石破大臣がサポートすることになるかもしれません。その間にいろいろ、その2つをつなげる働き方の改革であるとか、ワークライフバランス云々、あるいは最新の問題など、そこはそれぞれ私が関係閣僚と加藤大臣とよく連携をしながら取り組んでいくということになろうかと思います。全体像が、方向性が見えるようなものになるのではないかと思います。
(問)TPPの政策大綱について、先ほどの発言の確認ですが、内容は定性的な表現になるというお話だったと思うのですけれども、イメージとしては予算規模や具体的な政策という詳細の記載には至らないですけれども、今後、編成作業が本格化する28年度当初予算も含めて、政策で目指すべき方向性を示すような内容になるということでしょうか。
(答)定性的に政策効果、TPP効果を示していきます。具体的な予算措置は、特に農産品分野を中心になされているものだと思います。ここはここで農林水産省がしっかり検討していって、具体的な詰めをしていくのだと思います。党の対策本部の中の農林水産部会がありますから、そこと農林水産省、政府がよく連携をとって、具体的な効果について検討していくものと思います。そこは総合的に出される定性的なものではなくて、より具体化をしていくものだと思います。
 ただし、従来と違いますのは、前向きな政策、従来が後ろ向きとまでは言いませんけれども、損失補填あるいは農業と無関係な地域振興の公共事業みたいな対策になっていますけれども、今回はそういう方向ではなくて、攻めの農業にどう資するかということが中心になっていくのではないかと思います。
(問)効果を示すということですと、政府が示される影響試算、それのことを指しているのでしょうか。政策大綱でも影響、効果を出すということですけれども、12月までにまとめるといっていた政府の影響試算との関連というのは。
(答)全体的なルール部分についての定性的な方向性について、これがすぐ予算に具体化するということはないと思います。時間軸で言えば、農産品の具体的品目についての検討がなされていますけれども、それについて攻めを中心に、あるいは不安解消の手当てというのも当然あると思いますけれども、それに加えて中心になるものは攻めとして、それが具体的な予算化につながっていくのではないかと思います。
 というのは、関税が下がるというのはまだ先の話です。下がっていくのを見越して、これをしますという部分があるとしたら、それは強化していく政策でしかありませんから。
(問)消費者物価と並んで家計調査も今日発表されたのですけれども、おととし2月以来、基調判断を下方修正するなどマイナスになったということで、これについての御所見と、家計が弱くなっているということで、その面の対策の必要性等、どのようにお考えになっているのかお聞かせください。
(答)家計消費は前月、前々月と2か月続けてプラスになっておりました。今回はマイナスになっています。先の家計消費支出の上昇がかなり大きい部分がありましたので、平均すると支出は若干伸びていく方向になっているのだと期待いたしております。
 大事なことは、やはり企業収益を、経済を拡大していく消費や投資にどうつなげていくかということ、これに企業経営者が踏み込んでいくという決断が大事であります。
 今日の地方創生の会議でも、財務大臣から労働分配率がかなり下がってきている。これは日本経済にとって重大な問題ではないかという問題提起もありました。それはおっしゃるとおりだと思います。内部留保が、しかも現預金が拡大しつつある中で投資は思うほど進んでいない。賃金改善も、改善はかなりしていますけれども、まだまだ余力があるということでありますから、ここでそういう踏み込んだ行動をすることが、企業収益を上げる次の手につながっていくという認識をしっかり持たないといけない。デフレマインドの脱却が必須だと思います。

(以上)