甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年10月13日

(平成27年10月13日(火) 11:22~11:39  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私から報告があります。
 本日、閣議終了後に、日本経済再生本部を開催いたしまして、「未来投資に向けた官民対話」の設置を決定いたしました。
 アベノミクス第二ステージの新「三本の矢」の第1の矢は、御案内のとおり「強い経済」であります。このために必要なのは、生産性革命でありまして、設備、人材、イノベーションを含む、未来への投資の拡大であります。
 企業収益は過去最高でありまして、今こそ企業に大胆な投資を決断していただく時であります。
 「官民対話」では、設備、人材、技術への投資動向や、投資促進に向けた課題を産業界からお聞きしつつ、日本経済が歩んでいくべき道筋について官民で認識を共有していきたいと思います。
 その上で、民間投資の目指すべき方向性と、それを後押しするための官民の取組を明らかにするということによりまして、企業による積極果敢な投資判断のきっかけとしたいと考えております。
 政府といたしましても、未来投資を拡大する上で解決が必要な課題につきましては、聖域を設けず、総理出席の下でありますから、できるものは即断即決で方針を示したいと考えております。総理からは、今朝、関係大臣に対しまして、「未来投資の拡大に向けてそれぞれリーダーシップを発揮し、迅速な対応をお願いしたい」との発言がありました。これらも踏まえまして、必要なものは、産業競争力会議や規制改革会議など関係する場で検討してまいります。
 なお、第1回目の官民対話、これは近々開催する予定であります。メンバーにつきましては総理・関係大臣と産業界の代表の方々を中心に、各回のテーマに応じて適切な関係者が参加するという予定になっております。
 次に、産業競争力会議につきまして、このたび、イプシ・マーケティング研究所代表取締役社長の野原佐和子さんに、新たに有識者議員として御就任いただくことにいたしました。野原さんは、IT分野に造詣が深くて、未来への投資といったテーマにかなった人物であると期待いたしております。
 今後、所要の手続を踏まえまして、近日中に正式に議員として就任していただく予定であります。
 また、内閣総理大臣が指名する国務大臣につきましては、この産業競争力会議でありますけれども、加藤一億総活躍担当大臣に入っていただくことといたしました。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)まず官民対話についてですけれども、近々始まるということなのですが、最終的にはどのような形で取りまとめをされていくのかのスケジュール感を含めて、教えていただけますでしょうか。
(答)近々スタートいたします。インターバルは月1回ぐらいはやっていきたいと思います。来春あたりまでです。
 テーマ、第1回はとにかく好循環を回すためにイノベーション、設備、人材、この投資について話し合いたいと思います。そしてそのための環境整備は何が必要かということであります。
 書面による取りまとめは行うつもりはありません。都度都度、その場で判断できるものは総理判断で行っていく。それから競争力会議とか規制改革会議に下ろすものについては、その会議後、総理の指示で受け皿の機関に下ろして、期限を切って、回答を迫るということにしていきたいと思っております。
(問)もう1点、産業競争力会議の新しい有識者の方についてですけれども、東芝の佐々木副会長の御後任ということだと思うのですけれども、製造業の代表者から、このようにIT関係の有識者に移った意味合いというのは何かあるのでしょうか。
(答)未来投資の分野でも、IoT、ビッグデータ、AI等々、第4次産業革命に造詣の深い人に入っていただくのが適切かという思いもありまして、それから女性が1名しかいらっしゃらなかったので、この機会に有能な女性、経済人にもう一人入っていただきたいということで選びました。
(問)官民対話ですけれども、賃上げを求めていくというのは、人材への投資ということとイコールだと思うのでけれども、そうなりますと、今度は、政労使会議との関係はどうなるのか、今後の政労使会議の開催状況も含めて、少し整理していただけますか。
(答)人材投資は賃上げにつながっていく。それはそのとおりであります。でありますから、官民対話の中で、その議論も出てくると思います。政労使については、いつ再開するか、しないのか、その必要性も含めて、休止状態にしておきます。
(問)そうしますと、今回、見た感じには去年までの政労使会議から、労が外れて政と民の対話という形になっているようにも見えるのですけれども、その狙いというか、労が外れたことについては、いかがでしょうか。
(答)官民対話というのは、投資を進めていくということでありまして、投資をする側、それからそれを要請する側、環境整備をする側、その話し合い、ということで、スピード感を出す、そして直接関係する当事者の間で話し合いたいということでさせていただきました。
 政労使ということになりますと、労働側の考え方が、雇用形態の変化に対して反対するとか、反対論が大分いろいろ御主張の中にありまして、我々が進めるのは、日本経済の再生であります。再生が即ち雇用環境もよくしていく。これは事実そうなっているわけでありますし、政府が経営側に要請して、そして賃金が上がったと、これは事実であります。連合が要請して上がったというわけではないと思います。
 とにかく働き方についても、いろいろ提案をしておりますが、連合側には冷静に受け止めていただきたいと思います。
 基準法等々の中も、政府は雇用に対して良かれと思ってやっている。つまり給与を上げるためには、生産性を上げなければならない。ということは、生産性が上がる部署も作れば、そこに人も異動しなければならない。生産性の低いところにずっといて、それで賃上げだけせよというのは、これは難しい問題でありますから、時代の変化に経営側も、それから労働側も直面して考えていただきたいと思います。
 ここはスピード感が必要でありますから、投資、生産性革命、未来への備え、これからの競争力というのは、第4次の産業革命にどこが一番早く対処できるかという競争になると思います。
 つまりIoT、ビッグデータ、AI社会にどこの経済社会が一番早く対応できたか。これは、マイナンバーも含めてだと思います。言ってみれば節目の大競争が始まるわけです。第1次産業革命では蒸気機関にどれだけ前向きに取り組むかが競争の差になりました。第2次産業革命では電力社会にどういち早く取り組むのかが競争力の差になりました。第3次産業革命ではコンピューターや、あるいはネット社会に対してどう取り組むかが国の格差になりました。いよいよ第4次産業革命が始まるわけでありますから、それにどれだけ迅速に対応できるかで格差が生じます。
 だから、今こそ産業界は借金してでも投資しなければならない場面なのです。ところが日本は、原資が史上最高に拡大していながら、投資が進まないという不思議な現象が起きています。恐らくよその国は、借金しても投資するということに踏み切るのだと思います。
 できるのにやらなかったら遅れをとりますから、そういう意識喚起をしてもらうということ。そういう中で、消費を拡大するためには、人材能力を高めていって、生産性の高い部門で活躍できる人材を多く作っていく。あるいはそういうふうにチェンジしていくということです。そういう体制も早く作らなければいけない。
 スピード感を上げるために投資の必要性と投資環境の整備について、迅速に話し合いたいということで、官民対話をスタートさせました。
(問)臨時国会について伺います。民主党は憲法53条も引き合いに、臨時国会の開会を求めています。
 一方で政府自民党のほうは、臨時国会の見送りを検討しているようですけれども、TPP審議の関連も含めて大臣の御所見をお願いします。
(答)TPPはまだ署名されていませんから、国会に出せないのです。
 ですから、それを待たなければ、提出ができないという事情はあります。臨時国会は、もちろん必要性があれば、当然政府は開くということになりますけれども、何が喫緊の課題ですかということです。TPPといいますと、これはまだ出せない状態ですから、出せないのに開けというのは、なかなか難しいことだと思いますから、そういう案件がどう整うのかということを、国会担当の党側と政府とで協議して判断するのだと思います。
(問)軽減税率について、週末に菅官房長官が17年4月増税する場合には同時にという御発言されましたが、甘利大臣自身は、どうお考えか。また、マイナンバーカードを使った案というのが先月には浮上しておりましたが、今の段階ではこの案についてもどうお考えかお聞かせください。
(答)いろいろと議論をして、政府与党、公明党も含めて議論をして、マイナンバー活用案でないものがないのかという模索に入っているのだと思います。そういった中で幾つかの案が出ている。
 公明党との関係を見れば、こういう方式、軽減税率を導入していきますということは約束して、公約に書いてありますから、それを実行していくということを、官房長官は言われたのだと思います。
 政府として、国民に約束したことを真摯に推進していくという過程にあるのだと思います。
(問)今日の午前中の経済・財政一体改革推進委員会第2回が行われまして、中間整理案が示されたのですけれども、これについての内容の受け止めと、今後どうしていくかみたいなのをお願いします。
(答)まだ詳細に報告を受けていないものですから、これは各省と相当精力的に、言いにくいことも言いながら、詰めてきているはずであります。
 それは、政府として掲げていることでありまして、各省が真摯に財政効率を世界一いい国にしていくということで取り組んでいるわけでありますから、具体的に話が詰まってき次第、それを実施するために、内閣としての意思を示していただくことになろうかと思います。

(以上)