甘利内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年10月9日

(平成27年10月9日(金) 11:09~11:28  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨

 私から2点報告がございます。
 まず、TPP関連であります。総理からの指示に基づきまして、先ほどの閣議において、全ての閣僚がメンバーとなる「TPP総合対策本部」の設置が決定されまして、その後「TPP協定交渉の大筋合意を踏まえた総合的な政策対応に関する基本方針」を決定いたしました。
 基本方針の別紙にあります農林水産業につきましては、農林水産業・地域の活力創造本部が引き続いて開催をされまして、議論が行われました。
 TPPを真に我が国の経済再生や地方創生に直結させるものとするために、今般決定されました基本方針に基づきまして、TPP総合対策本部の下に、経済財政諮問会議や農林水産業・地域の活力創造本部などと連携をいたしまして、「総合的なTPP関連政策大綱」を政府一体となって検討してまいります。
 次に、マイナンバーに関してであります。10月5日にマイナンバー法が施行されまして、今月20日ごろから概ね11月中に、順次、国内の全住民にマイナンバーが通知されます。
 そこで、これを機に、マイナンバー制度のPRの一環といたしまして、PRキャラクター「マイナちゃん」をデザインしましたピンバッジを作成し、今朝の閣僚懇談会で、私から各閣僚に対しまして、このピンバッジを御着用いただき、制度のPRに御協力いただくようお願いをしたところであります。
 また、マイナンバーの通知に先立ちまして、10月12日月曜日から、テレビCMを放送いたします。今回のCMでは、上戸彩さんに加えまして、子供や若者などに幅広く人気がある宮川大輔さんに出演いただきました。滑らないことを期待しております。
 昨日、宮川さんの表敬を受けましたが、マイナンバー制度に関するご自身の理解もまだ十分ではなかったけれども、このCMに出ることで大切さが分かってきましたというお話を聞かせていただきました。
 このCMでは、マイナンバーがまだよく分からないという方々のいわば代表である宮川さんに登場していただくことで、マイナンバーは「自分だけの大切な番号なので、大切に保管しなくては」ということが伝わればというふうに考えております。
 マイナンバー制度は全ての国民・事業者に関連する制度でありまして、通知カードのお届けや来年1月からの利用開始に向けまして、周知・広報を更に充実させ、丁寧に行っていく必要があります。
 報道機関の皆様におかれましても、マイナンバーが通知されることや、個人番号カードは便利で、かつ大切な、言ってみればクレジットカードのようなカードであることなどについて、引き続き取り上げていただき、国民の皆様にお伝えくださいますよう、御協力をお願いいたします。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)TPP対策本部の件ですけれども、今日設置ということですが、これはいつまでにこの対策の大綱をつくるのかという、そのスケジュール感を教えてください。
(答)予算上のこともありますが、できるだけ迅速に策定をしていきたいと思います。TPPの大筋合意を受けて、どういう影響、効果があるのか。これは単に関税の問題だけではなくて、ルールの整備、自由化についてもしっかり精査をしていきたいと思っております。
 その上で、TPP対策本部におきまして、総理から、基本方針3つが示されました。グローバル・バリューチェーンをしっかり活用して、大企業のみならず中小、中堅の成長にも資すること。それから、TPPを通じて、いわゆる生産性を引き上げていく。イノベーティブな企業であり、国にしていくということ。それから、国民の不安の払拭であります。
 これらに対しまして、影響、効果を精査して、政策を策定し、その上に予算が編成されていくということになろうかと思います。
(問)予算のお話がありましたけれども、現段階で想定されている規模感というのはあるのでしょうか。
(答)まだ、この時点で規模感は分かりません。そのやるべきことを精査して、そして初めて予算の必要性が出てくるわけでありますから、つかみ金でばらまくわけではありませんので。しかも、今すぐ相当な額がいきなり必要ということではなくて、まだTPPが発効までに時間があります。各国の署名手続、議会手続を経て発効していくわけであります。しかも、発効した場合に、いきなりその日から効果があるという部分は、全てではありません。もちろん、即完全撤廃という部分もありますから、プラス効果は当然あるのでしょうけれども、ステージングと時間をかけて対応することなど、それから、強化策についても、しっかり強化をしていく効果というのは徐々に出てくるということもあると思いますから、このある程度の年月にわたって対応をしっかり組んでいくという必要があるのだと思います。
(問)関連しまして、そうすると時期は、予算編成の時期がある程度見えてくる時期の前ということになりますと、やはり10月、11月中には大綱ができるというイメージなのでしょうか。
(答)できるだけ早急に行いたいと思います。これは政府だけではなくて、党にも対策の検討体制ができ上がります。現状のTPP対策委員会と、それから政務調査会が、全般にわたって、農業関係だけではなくて、工業製品、あるいは知財の問題等々もありますから、広範な体制にわたる受皿を、検討体制対策本部をつくるのだと思います。
 そこで、政府の対策本部と連携をしながら、対策の具体的な、どういう部分にどういう対策が必要かということを詰めていきたいと思います。
 できるだけ迅速に、まだ党の方も立ち上がっていませんので、立ち上がって、そして、直近の予算で何が必要なのか。全体が、全てが明確になるというのは少し時間がかかると思いますけれども、とりあえず何をしていくかということは、早急に精査したいと思います。
(問)対策の中身と規模感の話なのですが、まず中身ですけれども、GATTウルグアイ・ラウンドのときには、温泉施設をつくったりなど、そういう話がちらほら過去の記事を見ると出ていまして、かなり批判を当時浴びていました。中身について、どのような方針で臨まれるかということと、それから規模感も、GATTのときは6兆円ぐらいというのが、ある意味それは政治的な意味もあるのでしょうが、大き目に出ているのかもしれませんけれども、額が出ていました。これは一つのメルクマールになるのかどうか、その辺のところを教えてもらえますか。
(答)まず、金額はですね、6兆円というのは、農林水産省全体でこういうふうにやっていくということで、真水で言うとはるかに規模は小さいはずであります。そして、しかしながら、それでも兆単位の規模だったと思います。それが、今御指摘のようないろいろ批判がありました。農業対策と、こういうものはどう関係があるのなどです。単に上物をつくっただけで、あとは困っただけではないかなど、いろいろ御批判をいただきました。これをしっかり検証したいと思います。
 どちらかというと、性格的にはウルグアイ・ラウンドは守りをどうしていくかということだったのですけれども、TPPは、農業というのは成長産業なのだという視点を持つわけです。成長産業が本当に成長産業になっていくために、ブランディング戦略や地域の強みの強化策、あるいは障害物をどう取り外していくか、後継者に対して意欲を持てるような後押し政策は何かなど、どちらかというと攻めをしっかり考えながら取り組んでいくという点が、少し違うのかなと思っております。
 ただ、私の一存で決めるわけではありませんので、政府、与党の対策本部等で、専門家の方々、直接今回のTPPの影響を受ける方々の意見をしっかり伺いながら、効率よい予算を編成していくことになるのだと思います。
(問)少々細かいことですけれども、大臣が今おっしゃっている予算の編成というのは、来年度予算の編成ということで、幾ら、足元というか、緊急的な対応が必要といっても、補正予算という形では、大臣は今考えているわけではないのでしょうか。
(答)まだこの段階で、どういう形をとるかというのは断定できません。緊急性、あるいは長期的視野など、いろんな視点があろうかと思います。ただ、私から申し上げたいのは、その何をすべきか、何が効果があるのか。今日総理から指示がありました3点に向けてですね、そのための政策効果を最大限出す、コストパフォーマンスの一番いい政策と予算を組んでいくということになるのだと思います。
(問)足元の景気についてですが、昨日発表された機械受注と景気ウォッチャーが、機械受注が3か月連続で悪化、景気ウォッチャーも2か月連続で50を下回るという状況で、政府は、景気の足元の現状をどう見ていらっしゃるか。特に、緩やかな回復基調が続いているという認識に変わりがないのか。一部に鈍い動きが見られるというのにも変わりがないのかどうかも含めて、教えていただけますでしょうか。
(答)全体の回復基調は変わりがないと思います。ただ、構成する要件が、一部弱いところが続いているということは事実であります。この、いい方向に向かいつつあるのだけれども、それをしっかり見通せるような、構成要件をどうつくっていくかということが課題です。
 日銀の短観では、設備投資の今年度予測は上方修正されました。3ポイント近く上方修正されたと思います。ですから、企業は、設備投資計画はしっかり持っているけれども、それが計画倒れにならないように、しっかり背中を押していきたいと思います。
 意思はあり、プランはあるけれど、実行ができないということでは、その緩やかな回復基調ということに陰りをさしてしまうものでありますから、そのためにも今月中にも行われるであろう官民対話をキックオフの機会にしたいと思います。
(問)TPPに話戻りまして、昨日、農林水産分野の市場アクセスの交渉結果が追加で公表されまして、農林水産物の約半数が関税撤廃になるということになりました。国会決議、これは重要品目の聖域確保ということがありましたけれども、そこに書いていないからといって関税撤廃していいもの、というものでもないと思うのですけれども、改めて決議との整合性も含めて、この農林水産分野の、物の関税が約半数が撤廃されるという交渉結果についてのお考えをお願いします。
(答)もともとTPPは、高い野心レベルということを掲げてあります。それを受けとめた上でないと、入る資格はないわけであります。その上で、どうしてもそれぞれの国が抱えているセンシティビティーを、交渉の中で、結果として勝ち取っていくということであります。そのメルクマールとなるのが農林水産委員会の決議で、この品目については再生産可能となるように、関税がみんななくなってしまうということがないようにという決議でありました。
 過去の通商の歴史、米国のかかわる歴史の中で、今回の交渉ほど、関税撤廃をしない例外品目をとれた例というのは、検証いただければお分かりいただけますが、ないはずであります。これは、全てをテーブルの上に上げた上で、交渉の結果、日本がしっかりと主張して認められたものと思っております。
(問)この基本方針に関連してですけれども、対策は予算編成過程において検討するものとありますが、どういう形をとるかはまだ断定できないということですけれども、これは補正予算での対応も含めて、これから総合的に検討すると考えていいのでしょうか。
(答)どの時期にどういうことから始めれば一番適切かというのは、議論の中で出てくると思います。その中で最適な配分ということが、時間的なことを含めて、それが決まってくるのだと思います。
 現時点で、そのいろいろな可能性を制約するということは、私からはいたしません。議論の中で構成が決まっていくと思います。

(以上)