石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年9月29日

(平成27年9月29日(火) 10:26~10:42  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 私から1点申し上げます。お手元に資料はお配りをしておるのでありますが、明日30日、13時半より、この8号館の5階におきまして、「地域少子化対策検証プロジェクト」を開催いたします。
 我が国全体の出生率は非常に低い状況にございますが、実は、この出生率は地域によって大きくバラつきがございます。よく地方の講演等々でお配りする全国47都道府県の出生率-ご覧になっている方も多いと思いますが、青い棒グラフのものですが-これは県によってものすごくバラつきがあるものでございます。
 その出生率低下の要因と言われております晩婚化、晩産化の状況、あるいはその背景にあります働き方、これも資料でよくお配りをするものでありますが、通勤に1時間掛かるところと、通勤に20分ぐらいしか掛からないところというのは、この晩婚化、晩産化にも影響があるのではないかという仮説も成り立つわけであります。
 一方におきまして、これまでの少子化対策は、国全体としての政策が中心となっておりまして、地域性という視点は必ずしも十分ではなかったのではないかという認識を持っておるところでございます。
 このようなことから、6月末に閣議決定をいたしました「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」におきまして、地方の取組を主力とする地域アプローチの重要性を認識した施策の展開が求められるというふうにしたところであります。そのため、今般、「地域少子化対策検証プロジェクト」を立ち上げると、このような運びに相なりました。
 このプロジェクトにおきましては、出生率に関しますそれぞれの指標、これらに大きな影響を与える働き方に関する実態を地域別に分析をいたしました「地域少子化・働き方指標」について、また、少子化対策・働き方改革の地域事例や、これまでの地域における少子化対策の検証について御議論いただきたいと、このように考えておるところでございます。
 当然のことながら、有村大臣のところとは密接に連携をしていきたいと考えておりまして、私どもとしましては、この地域に根差したという観点に着目をし、当然、少子化担当とも密接な連携を深めながらやっていきたいというふうに考えておるものでございます。
 私からは以上であります。

2.質疑応答

(問)冒頭の「地域少子化対策検証プロジェクト」のうち、各指標を作成するというのがあると思うのですけれども、これについてお伺いしたいのですが、現在、都道府県別に出生率のデータがありますし、各種データがあると思いますけれども、例えばこれ、小さな自治体ごとに出生率ですとか女性の結婚の平均年齢とかを出すと、議論は難しいと思うのですけれども、かえって女性にプレッシャーを与える可能性もあると思うのですけれども、そういったところへの配慮というのは何かあるのでしょうか。
(答)これは御指摘のとおり、都道府県別だけではなくて、市町村別の膨大なデータというものがあるわけでございます。それも当然、自治体に見ていただいてお考えをいただきたいと思います。
 この働き方改革というのは、プレッシャーを与えるつもりは全くなくて、男性の働き方をいかに変えていくのかという議論がなされなければいけないのであって、これも講演でよく申し上げることですが、第2子、第3子が誕生するのは、男性の家事に費やす時間とかなりの相関を持っているということでございます。もちろん別のデータによれば、女性の方全てが職場に行って働きたいと思っておられるかというと、必ずしもそうではない。退職される女性の方の動機というものが、やはり子育てというもの、そういうものに時間を費やしたいからというお答えも多いわけで、女性が職場に行って働きなさいというような、一つの価値観を提示をしてプレッシャーを与えるというようなことでは全くない。むしろ、ここにおいてはワークライフバランスみたいなものが考えられねばならないのですが、国全体という茫漠たるものを示しても、何となく実感と乖離したものがございます。そうであれば、例えば北海道何々市とか、鳥取県何々町とか、そういうところでやってみると、実感と乖離が小さくなってくるのではないだろうか。そこにおいて、本当に男女ともに地域全体でそういうことを考えてみるということは今まであまりチャレンジがされなかったことなので、そこは誤解を招かないように私どもとして丁寧に御説明をし御理解を得たいと思っております。
(問)基本方針のほうに、プロジェクトに関して、趣旨に賛同する地方公共団体の参加を得てというふうにあるのですけれども、今回、地方公共団体の参加というのは、これどういった形を想定されているのでしょうかということと、あと、地方の少子化対策の事例を、勘と経験ではなくて、客観的な形で洗い出していくための手法というのはどういったことを考えていらっしゃるのかという点をお聞かせください。
(答)地方公共団体で、これから先の人口の目標というものを出していただくということは、地方版総合戦略と並行してお願いをしておるところでございます。そこにおいて、アンビシャスな数字を出してくるというところも、それはもちろんあるわけで、だけども、それは、これぐらいあったらいいなということではなくて、自然減というものをどのように考えるか、そして、その社会減というものをどのように考えるか。そこにおいては、きちんとした精密なデータに基づいてそういうものを出していただくわけでございます。
 今回のこの数字というのは、6月に元データが出ておりますので、それを分析してお示しするためにこれぐらいの時間が掛かった。つまり、6月に発表された人口動態統計月報年計という、これは概数でございますが、これを踏まえ、その他の数字も勘案しつつ、地域少子化・働き方指標としてどのようなものが考えられるかということを検討し御議論いただくというものでございます。
 ですから、それぞれの自治体においても、この数字を見ながら、また新しい考えというものが出てくるというふうに思っております。一遍に全部揃ってそういうことができれば一番良いのですけれども、とにかく数字がまとまったものからお示しをして、それぞれの地域において、これは「産官学金労言」といつもまたくどいほど言っておりますのは、そこにおいて役所だけが考えても、それは作文になってしまう危険性がございます。そこにおられる住民の方々が我が事として考えていろいろな提言を自治体にしていただくということで、これは賛同するというのか、やはりそうだよねという意識は多くの自治体に持っていただきたいし、それがなければ、人口のこれから先の目指すべき姿というものが出てこないのだというふうに考えております。これをお示しした後に、それぞれの自治体がどのようにお考えになるか、また、どのようにリクエストが出てくるかということは私どもとしても真摯に対応してまいりたいと思っております。
(問)このプロジェクトに関連なのですけれども、このプロジェクト自体は、地域ごとの指標の作成ですとか、これまでの現状の分析ということに重きが置かれると思うのですけれども、この指標自体が、出来上がったものを活用して、もう少し広い枠組みでも全体の少子化の検討が必要だとは思うのですが、先ほど、有村大臣との密接な連携という話もありましたけれども、この指標の取りまとめの時期ですとか、その後の少子化対策の検討というのはどういったスケジュール感をお持ちなのでしょうか。
(答)スケジュール感といたしましては、年内を目途として少子化対策・働き方改革の地域事例というものを取りまとめていきたいと思っております。年度末までには少子化対策に関します検証結果の報告ができるように、このプロジェクトにおいて議論を深めていただきたいと思っております。これをお示しするに当たりまして、私どもで、一体これをどう考えたらいいのだろうかというような議論は行いました。そうすると、どうしてこうなるのだというようなのが幾つかございまして、定性的に言えばこうなのだろうと、やはり若い世代、20代、30代の方々の所得を増やし、かつ安定した雇用というものが一番大事ではないのかというふうに言えるわけです。
 ですが、それぞれの数字を見てみると、20代、30代の方々の結婚、あるいは出生率とは必ずしも相関にないというようなのが出てくることがあって、一体これは何なのだということがございます。そうすると、その地域においては、必ずしもその20代、30代の方の所得、安定した雇用というものが絶対的な条件ではないというふうになってくると、これは一体何なのだという話になってまいります。ですから、私としてやはりこれから先の日本を考えるに当たって、20代、30代の方々の所得、資産、働き方の改善が必要だというふうには思っているのですが、それぞれの地域においてそう思ってもらわないとどうにもならないわけで、そこのところをどう考えるかは、それぞれの地域でないと分からないことがございます。やはりそこにおいて実感としてこれをどう考えるのだというような議論がやはりまず必要なのだろうと。もちろん例外的なものもありますが、やはり若い方の所得、雇用が安定しているところが出生率が高いというところもございますので、国として政策を展開する上において、やはり地域地域の実感にフィットしたものにしたいという観点もございましてこういうようなプロジェクトを進めているというものでございます。ですから、これ、少子化担当と地方創生担当と、別にこれはうちの所掌だからといって縦割り的に張り合っていても仕方がなくて、やはり同じ目標を持って連携していくということにつきましては、有村大臣の御理解も、また、事務方の理解もいただいていると思っております。是非とも役所の理屈ではなくて、国民の実感というものに沿うような形で政策は展開しなければならないと改めて思っているところでございます。

(以上)