石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年9月18日

(平成27年9月18日(金) 9:29~9:44  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 先週の国家戦略特区諮問会議での議論を受けて、本日の閣議におきまして国家戦略特区基本方針を一部変更いたしました。
 今回の変更は、平成27年度税制改正で新設・拡充した課税の特例措置を追加するものであります。起業・創業促進のためのエンジェル税制の要件緩和、研究開発に係る設備投資減税の対象事業の追加、インターナショナルスクールの整備支援のための建物貸付けに係る設備投資減税の要件緩和であります。
 各特区におきましては、拡充した税制特例を積極的に活用していただきたいと存じますし、その周知にも努めてまいりたいと、かように思っておるところでございます。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)まず冒頭、特区ですけれども、年内にも第3次の特区追加指定をするというお話があります。先週のRESASのフォーラムでも小泉政務官から一部そのような話があったのですけれども、大臣、今のスケジュールと、どのような趣旨で追加していくお考えか、お願いいたします。
(答)特区でございますから、これはそれぞれの地域において、これを活用したいと、積極的に手が挙がるということが望ましいのだと思っております。これは特区でいくか、規制緩和でいくか、それぞれ手法によって違いはありますが、それぞれの地域で冒頭申し述べたようなことをやっていただきたいのですけれども、「そもそも特区って何ですか」みたいな、そういうのが私はないとは思わないので、フォーラムを開催をして、こういうことをやってみませんか、ああいうことをやってみませんかと、それぞれの地域においてお困りのこと、あるいは、これができたらいいなというようなことがどんどん発議されるということがとても重要なことだと思います。
 ですから、私どもとして、この特区の御活用を更にお願いしたいと思いますが、そこにおいて必要なことは、特区制度とは何であり、何だかすごく難しいことではなくて、それぞれの地域の発意があれば、私どもとして、こういうふうにしたらいかがですか、ああいうふうにしたらいかがですかというようなことを言っていきたいと思います。先ほどの会見冒頭発言の中で、周知に努めたいと言ったのはそういう意味でありまして、私どもとして、活用しないほうが悪いのだというような不親切なことは言ってはいけないと思います。
(問)地方創生と違って恐縮なのですけれども、安全保障関連法案が国会で山場を迎えておりまして、与党側は今日にも成立させたいとしております。昨日は参議院の特別委員会で採決される際に大きな混乱がありましたが、あの混乱を大臣はどのように見られたのでしょうか。
(答)もちろん現場にいたわけではなくて、執務をしながらテレビでその状況を見ておったということであります。
 これは法案自体、政府として国会に対してお願いをしておるものでございまして、これから本会議、それまでいろいろなことがあるのでしょうけれども、本会議において議決がなされる。私どもとしては、とにかくこの法案というものを、国会において時間的には相当の時間をかけて御審議を賜ったというふうに認識をしております。これが本会議において採決されるまで、その状況についてあれこれ政府の立場で申し述べるのは適切なことだとは思いません。政府として国会にお願いしております以上は、国会において議決がなされる、そしてそれが共感を得るような形でということを願います。
 ですから、いずれにいたしましても、本会議を控えて現場が非常に努力をしておる状況において、政府の立場でこれを申し述べることは適切を欠くと思います。
(問)安保法案ですけれども、政府の立場でというお立場はわかるのですけれども、衆院の安保特別委員会の採決後には、浜田委員長は、もっと丁寧にすべきだという批判もあったと、法律を10本束ねるのはいかがなものかと苦言を呈しましたし、今回、鴻池委員長も、採決後にどうしても不備な答弁が見られた気がすると、今後謙虚にもう一度耳を傾けてもらいたいと、2人の委員長がこのような発言をされていますけれども、大臣、改めて、この委員会の審議において2人の委員長の発言を含めてどう思われますでしょうか。
(答)それは、浜田委員長であり、鴻池委員長であり、私も長く御厚誼をいただいてきた、人として尊敬すべきベテランの政治家であります。その委員長の方々が御発言されたことというのは、それは重みを持つものだと思っておりまして、そのことを真摯に受けとめて、政府として更によりよきを目指して努力をしなければならないということだと思います。
(問)もう一件安保関連なのですけれども、今回、民意というものを考える上では、選挙結果も民意ですし世論調査も民意だと思うのですが、一方で、連日雨の中、国会周辺で安保賛成派も含めて、反対派も大きな抗議集会をしていますけれども、大臣、こういった声を上げている行動や活動について、率直にどのように思われますでしょうか。
(答)それは民主主義の在り方として、法治国家におけるルールにのっとっていろいろな意見が表明されるということは、それは健全な民主主義の証左でもあるというふうに考えております。そこにおいてそういう行動がなされているということを、やはりこれも先ほどの委員長の御発言と同時に、私どもとしてそういう状況があるということをよく認識をしながら、この法案の成立に向けて努力をするということだと思っております。
(問)安保法制のことで2点お尋ねしたいのですけれども、まだ可決成立はしていないのですが、これまでの一連の流れを見て、来年夏には参院選が控えているのですけれども、参院選への影響はどのようになるのかというのが1点と、もう一点、今後、憲法9条の取扱いについてというのが一つの焦点になってくると思いますが、その憲法9条について、大臣、どのようにその安保法制との関わりでお考えでいらっしゃるか、お聞かせいただければと思います。
(答)今、今日最大の山場というものを迎えている現場において、それぞれの方がそれぞれの目標達成に向けて、我々とすれば政府の立場として、法案が成立をするように最大限の努力を最後まで誠心誠意尽くしていくということだと思っております。政府の立場としてこれ以上申し述べることはございません。
 後段の御質問につきましては、これは議事録を全部読んだわけではないので軽々な発言は控えなければなりません。やはり我が党は、昭和30年になぜ保守合同によって結党されたのかということを考えれば、サンフランシスコ講和条約の発効、そして、我が国がそれまで停止をされていたというか、回復していなかった主権の回復によって独立国家になったのだと。独立国家になった以上は、独立国家でないときに作られた、もちろん大日本帝国憲法の改正手続にのっとって瑕疵(かし)なく改正が行われたというふうに私は認識をいたしております。ですから、私は現行憲法無効論に立つものではございません。その上で、独立国家としてスタートした日本国が独立国家にふさわしい憲法を持つべきだということで自由民主党が結党された。そして先人が多くの努力をしてきたという事実がございます。
 そこにおいて、それはどういうことなのか、もう爾来(じらい)60年もたっておって、それはどういうことなのかということが認識の状況が当時とは異なっている状況があるのではないかと私は思っております。これは、政治的な立場とかイデオロギーとか、そういうものと私は無関係のものだと思っておりまして、国家が独立をしているという前提があって、初めていろいろな主義主張についての議論が行われ、それを国民が判断するということでございます。
 日本人が享受をしておりますいろいろな権利、あるいは、それと一体のものかもしれませんが自由というもの、それは思想・信条の自由でしょう、あるいは言論の自由でしょう、信教の自由でしょう、結社の自由でしょう。そして基本的人権ということで表現をされる場合もございます。それを守ってくれるのは、それは日本国。どんな政府であれ日本国以外にあり得ない。国民の基本的な人権、自由、権利、それを守る国家というものが外敵から脅かされた場合に、主権を持っていなかったときは、それは自分たちとしてそれを守るという手段を持ちません。だけれども、独立をしたからには、その主権たるもの、あるいは国民が享受すべき権利、自由をいかにして誰が守るのかという条文があってしかるべきではないだろうかということだと私は思っております。それが自由民主党で今まで議論をしてきたことであります。
 ですから、国家の独立とか言うとすぐ、それはいつか来た道ではないか、軍靴の音が聞こえるではないかというような御批判、そういうことがございますが、私自身、自由民主党の中で長く憲法について議論をしてまいりました。それは畢竟、国民の享受すべき自由や権利を守る主体である国家というものをどう考えるかというお話だと思います。
 もちろん憲法改正は、そのことだけに限るものではございません。例えば、合区のときに議論がございました参議院の在り方。日本国憲法上、衆議院も参議院も選挙された議員で組織をするとしか記述がございません。では、それをどうするのだというお話もございますでしょう。他にもいろいろな論点がございます。ですから、憲法改正というのは、それは何のために、それはいかなる国民の利益を体現するものであるのかという御説明をきちんとしていくことが、私は大事なのだというふうに思っております。
 私が自由民主党に籍を置いておりますのは、自由民主党が憲法改正を目指す政党であると。それは政府の立場のときは言い方は少し変わります。そして、私どもを含めまして各公務員の憲法擁護義務ということがあることもよく承知をいたしております。
 かつて我々山陰の大先輩である竹下登総理とお話をしておりましたときに「石破な、改正条項まで含めて憲法なんだよな」というふうにおっしゃったこと、私は強烈に記憶をしておるところでございます。いずれにいたしましても、現行憲法の意味、そして立法者の意図、そういうものを憲法改正ということを口の端に乗せます限りは、現行憲法のその条文がいかなる立法者の意図によって制定されたものなのか、そして、制憲議会においていかなる議論が行われたのか、それが仮に裁判に係る案件であるとすれば、今までの下級審の判決、あるいは最高裁の判例においてどのようにそれが判示をされたものであるのか等々、いかなる立場であれ、議論をしますときはファクトについて共通認識を持たないと議論になりません。ファクトについて認識が違っていて議論をしても、それは決して生産性を上げることにはならないと思っております。私どもとして、それは当然心がけていかねばならないことであって、憲法改正のスケジュール感とか、あるいは何をどうするかということは政府の立場として申し上げるべきことだとは思いません。

(以上)