石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年9月11日

(平成27年9月11日(金) 8:46~9:10  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。RESASについて申し上げます。
 本日、本年6月から開発をしてまいりました第2期開発分の一部を先行的にリリースいたしました。今回の開発分は全て一般公開されるものであります。RESASによる地域の分析が更に幅広く、更に奥深いものになると確信を持って申し上げます。
 第2期開発分の次回のリリースは12月中旬を予定いたしております。内容は、医療・福祉・教育のほか、今回、農業をリリースするものでございますが、第一次産業では林業や水産業、地域のお金の流れ-地域経済循環と申しますが-それらを12月中旬に公開をしたいというふうに考えております。
 先日発表いたしました「地方創生☆政策アイデアコンテスト2015」でも、是非とも今回の新しい機能をフルに御活用いただきたいと考えております。
 今回の特徴は四つであります。すなわち、これまで自治体の方々のみの限定メニューでありました産業マップの中に、地域産業の稼ぐ力や雇用、賃金水準を分析する機能を新設し、一般の皆様方に見られるようにしたものであります。海外との輸出入や日本企業の海外展開状況を見える化することで、地域の産業政策の立案を支援したいと考えております。
 2番目に、現存する150万件の特許を地図上に展開をすることで、それぞれの地域にはどの分野の技術や特許が集積をしているのか、これを把握することができます。また、ある大学と共同出願している企業名も分かりますため、今後、地域における産学官連携や地域イノベーションサイクルの構築を促進したいと考えております。
 自分のまちにどんな特許があるのかというようなことは、本当に一生懸命資料を見ないと分からないというのが今まででございました。今度はそれを使うことによって、うちのまちにはこんな特許があるのだと、この大学でこんな研究をしていたのだと。では、こういうような産業をやってみようかということが今まで分かりませんでした。それを見える化することによって、更にイノベーションサイクルの構築が促進されるものと思っております。
 新たに農業マップを加えました。これが三つ目。今の市町村は1,718ですが、昭和25年当時は、旧市区町村は1万2,000ございました。その単位で稲作や果樹、養鶏、養豚といった16の農業部門の中で、どの部門がどれだけの稼ぎを出しているのかということを見える化するものであります。
 更に、稼げる農業というのは、一体どういうところへ出荷しているのだろうか、JA以外にどんなところに出荷をしているのだろうかというのが分かります。耕地面積がどれぐらいなのだろうかということを比較することによりまして、農業経営の高度化、稼げる農業の創出、これを支援してまいりたいと考えております。
 それぞれ農家の皆様方が、あそこは儲かっているらしい。では、どうやったら儲かるのだろうというふうに見たときに、こういうところへ出荷している、あるいは規模はどれぐらいのものが、どれぐらいのコストの削減につながるのかというような比較をすることは極めて重要であります。
 最後に4番目ですが、観光マップを入れております。自治体から御要望が多かったものでありますが、外国人のお客様の動きにフォーカスした機能というものを追加をいたしております。具体的には、どの国の方が、どのような目的で、いつ、どこの都道府県を訪問し、どこに宿泊しているのかと、一口にインバウンドと申しますが、どの国の人が、どんな目的で来ているのだろう。そして、そういう方々がどのようにお金を使っておられるのだろうかということをきちんと把握をしないままにインバウンドと言っても、これはなかなかきついところがございまして、どこにターゲットを絞ってそのような戦略を展開するのかということは極めて重要なことでございます。
 詳しくは来週火曜日15日開催します「RESASフォーラム2015」で、平副大臣のほうから詳細に説明を申し上げます。
 このフォーラムですが、おかげさまで、募集枠が500名ということでしたが、2週間程度で1,500名近い御応募をいただいております。ありがたいことでありますが、抽選から漏れてしまう方が1,000名ぐらいいらっしゃるわけであります。そういう方々につきましては、当日、ニコ動で同時中継をいたしますし、後日、動画をユーチューブにアップをいたしますので、大変申し訳ないですが、選に漏れた方々はそちらをご覧いただきたいと思います。
 この抽選・募集のやり方については、より改善を期してまいりたいと考えております。
 第2次開発の詳細については、事務方のほうにお問い合わせをいただきたいと思います。
 自治体の方々につきましては、これも以前申し上げたのでありますが、自治体の職員の方々が情報交換、情報共有できるソーシャルネットワークサービスサイト、「RESAS COMMUNITY」を本日開設をいたします。ふだん行政区域の壁を超えて自治体の職員の方々同士が政策立案に関わる経験、ノウハウを共有することはまずないのでございますが、「RESAS COMMUNITY」というものを作ることによりまして、非常に離れたところの自治体の職員の方々同士が、こんなやり方があるよ、こうやって成果があったよというようなことが活発に意見交換することができるようになります。
 これもすごく良い成果がありましたが、先日お伝えいたしました、福岡県うきは市でのRESASワークショップの動画もこのサイトの中でご覧をいただけるというものでございます。
 皆様方におかれましては、是非とも来週15日のフォーラムにお越しをいただきたいと思っております。事務方のお話によれば、めちゃくちゃおもしろい話が聞けるということでありますので、是非是非おいでいただいて、こういうことをやっているのだということを実際にご覧をいただきたい。これは百聞は一見にしかずなのでありまして、これをご覧いただくことで、よく情報が足りないとかいろいろなお話がありますけれども、私どもとしてこういうものを積極的に公開をし、そしてまたこういうやり方があるのだ、ああいうやり方があるのだということに気付いていただくというのはとても大事なことだと思っております。
 私ども政府として、それぞれの自治体に対して、今もずっと開催しておりますが、例えば、コンシェルジュの方々と自治体との意見交換会というのをずっとやっております。知事さん、市町村長さん、あるいは議員さん、自治体の職員の皆様とコンシェルジュの方々が一堂に会して、単に酒を飲むという話ではなくて、2時間3時間きちんとした会議をして、その後-この間は愛媛県のコンシェルジュとの会合に参加しましたが-地元の特産品を持ち寄って意見交換をするというのはとても有意義な催しで、随分いろいろなところでやっていただいております。地方創生人材派遣制度もあちらこちらのところで、うちのまちのみならず周辺の市町村にも中央から派遣した人材がいろいろなノウハウを提供して、今回の総合戦略というのは地域間連携というのも大きなポイントでございますが、人材を派遣することによっていろいろな効果が現れております。あるいは、このRESASを使った情報提供、そして新型交付金につきましても、それぞれの自治体で割ればみたいなお話ではなくて、本当にこれは先駆性があるというようなもの、こういうものを伸ばしていきたいというようなところに、それは配分をするという、これは当然のことでございます。ですから、政府がやっていることが、今までの地域振興策と一体どこが違っているのかということは皆様方にもよくご覧をいただいてそれを報じていただければ幸甚に存じます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭のRESASですが、例えば今回追加された農業ですとか観光について、特に農業などは、これまで政府が出しているデータを、このように一元化されたと思うのですけれども、今までも自治体職員等は当然利用できたデータと思うのですが、こういったRESASに統合することで期待する効果というのがあれば教えていただきたいのが1点と、どんどんとこのRESASの機能が拡充されていくと思うのですけれども、それに伴って利用者、立案者がどれくらい増えているかですとか、そういったデータをとるのも大事かなと思うのですけれども、大臣のお考えについて。
(答)最初の点については、そのとおりです。私も農林の仕事は長いのですけれども、これは統計情報部というセクションにおいて農業センサスというものによって詳細なデータを持っているというのが我が国の農林水産行政の特徴でございます。ただ、これは分厚いもので、それを自分のまちを引いて、それぞれの項目を抽出してというのは、もちろんやろうと思えばできるし、やっているところもたくさんあるのですけれども、かなり複雑な作業でございます。私も、農業センサスどうなっているみたいなことをよく言って、そういう数字を基にして政策を作ってきたつもりですが、それがRESASのシステムを使うことによって、自分のまちはどうなのだろうということがビジュアルに分かるというのがとても大事なことだというふうに思っております。また、それは自分のまち、例えば鳥取県倉吉市は分かるのですけど、それを他のところと比べてみたらどうなのだろうというのは、またよそを全部引かなければいけないというようなことが起こるわけで、そういうような作業が非常に簡便になるというところも意義のあるところだと思っております。
 どれだけの方がこれを見ていただいているかというのは、一回きちんとアクセス数等々も調べて、更なる普及に努めたいと思っております。
 ワークショップの動画につきましても、一体どれぐらいの方がアクセスしていただいているのか、そこがやはり私どもとして一生懸命宣伝もしているのですけれども、最後にお願いした、皆様方に15日に来ていただきたいというのは、やはりそういう新聞を見ることによって、あるいはテレビでそういう情報に接することによって、こんなことやっているのだと。自治体の職員の方々はもう気付いていらっしゃるのは当たり前の話ですが、新橋駅前の一般の市民の方々に、「RESASって知っていますか」と聞くと、まだまだ認知度はそんなに飛躍的に高いというふうなことを申し上げる状況にはないと思っておりまして、これはお願いですが、皆様方のお力もお借りをしたいということでございます。
(問)お話の話題が変わってしまって大変恐縮なのですけれども、新たに立ち上げられる派閥についてお聞かせください。先日の会見で、派閥にはプラス面とマイナス面があるというお話をされていたのですけれども、新しく立ち上げられる派閥では、マイナス面をどのような工夫で減らされていくのか、お考えをお聞かせください。
(答)マイナス面だけ取り上げてもつまらない話で、私の浅薄な知識で申し上げれば、昭和30年に自民党ができて以来60年になるわけです。新しい、本当に新しい、結党以来のいろいろな、いわゆる派閥の流れをくんでいない、ある意味、ベンチャーみたいなグループというのは、私の知る限りにおいては初めてなのだろうなと思っています。そうすると、全く新しいモデルというのを作っていきたいと思います。それはやはり政策というものをきちんと作るということであり、それが永田町に特化をしないで、それぞれの地域の方々、それは中小企業の現場であり、あるいは農山漁村の現場であり、町中のいわゆるシャッター通りと言われるところの現場であり、そういう現場に根差した政策を議論し作っていくということだと思います。
 現状について私が、今政府の中にいてあれこれ論評する立場にはございません。ですけれど、政策を作り上げていくということは、私も政調会長もやりましたし、政調に長くいた人間ですが、どうしても、今度の国会の法案どうしようか、来年度予算どうしようかという、本当に直近の課題というものを解決していかねばならないという、そういう重要な使命を政調は担っております。
 私が政調会長をしていたときに、かつて政権構想会議というのかな、伊吹先生の下でそういうことを作り上げてきた。もともと中曽根先生のお考えに沿ったものだと思いますが、この仕事をやっていて、例えば、200年先に人口が1,391万人ですかね正確に言えば、減ってしまうと、300年後には400万人台ぐらいになってしまうと、そこから次の時代の日本をどうしようかということをきちんと議論をする、そういうことを大事にしたいと思っております。
 ですから、他派閥のこと、あるいは弊害ということで私が感じてきたことで言えば、本当に政策、それも10年先、50年先、100年先の日本を語ろうよということ。そして、これは政調会長のときも幹事長のときも言ってきたことですし、今も言っていますが、例えば、人口政策あるいはエネルギー政策、安全保障政策、農林水産政策、これを言うと票が減る、これを言うと嫌われると言って、本来言わなければいけないのに言わないできたことというのがたくさんあるのではないのだろうかというのが、長く議員をやってきた私の反省です。
 それは、やはり嫌われても、受けが悪くても言わなければいけないことというのが国家のためにあるのではないだろうか。政治の果たすべき責任というのはそういうことではないだろうかと私は思います。ですから、それはどこがどうのということを申し上げることは一切いたしませんし、そんな立場にもありません。ですが、私は一番最初に議員になる前に渡辺美智雄先生から言われた、「政治の仕事というのは、勇気と真心を持って真実を語ることだ」ということを、履歴を重ねるたびにつくづく思うのです。何という難しいことを言われたのだと。それは真実を見つけるのは決して容易ではない。それは大変なことです。エネルギー政策でも人口政策でも安全保障政策でもそうです。見つけた真実というのは受けが悪いことがあります。ですけれど、それを勇気を持って語らねばならないし、そしてまた、勇気を持って真実を語っても、何をひとりよがり言っているのだということを言われてしまえば、それは納得、共感を得るものではありません。納得していただき、共感を得るのは、それは真心なのだと思います。そういうものを持つ、そういうグループでありたいなというふうに思っておりまして、弊害を除去するとか何とかそんなことを言ってみても、それは何が弊害なのだというふうになります。そうではなくて、本当に渡辺先生に私が30数年前に言われたこと、真実を見つけるのは大変なことだぞ、大変な努力が要るのだ。それを語るには大変な勇気が要るのだ。分かってもらうためには、真心がなければ分かってもらえないのだということをみんなで共有できる、そういう集団だと良いなというふうに思っております。
(問)関連しまして、政策を重視するような派閥にしていきたいというお考えだと思うのですけれども、新たに政策集団を作るということは、現状の安倍政権の政策が不十分であるということなのか、それとも、今のお話ですと、やはりもうちょっと中長期のスパンを見据えて考えていくということなので、その安倍政権がやっているような政策も含めてそういったものもより進化させていくというお考えなのか、その点をお聞かせください。
(答)御存じの上でお聞きになるのだと思いますが、私は政権の一員です。安倍政権が遂行している政策について、内閣は連帯して国会に責任を負うのです。国会というのは国民の代表であります。そうすると、政策を批判するというようなことは自己否定になりますので、そのようなことは考えたことはありません。そこは日本国憲法上、内閣は連帯して国会に責任を負う、当たり前のお話でございます。
 しかしながら、政策というのは時代に沿って変わっていかなければなりません。これはどこの講演でも申し上げていることですが、例えば、日本の農林水産業が大変なポテンシャルを持ちながら、なぜ、それが最大限に生かされてこなかったのかということを考えたときに、政策が時代に合わなくなった部分があるということだと思います。それは、農林水産大臣もやった私の責任が大であります。
 あるいは、これは3.11ではなくて東海村の事故が起こったときに、原発を推進してこられた梶山静六先生が、安全神話というものにどっぷり浸かってこなかったかという、そういうようなお考えをお述べになりました。でも、私は正直言って、そのときに梶山先生の訴えに、本当に虚心坦懐(きょしんたんかい)に耳を傾けたかといえば、それは本当に強い反省を私自身持っております。時代に合った政策というものは必要だし、ある意味で、時代を先取りした政策というのは必要なものだと思っています。安倍政権として、そういうものを今執行して一生懸命やってきているのであり、それを更に「しんか」させる-深いと書いてもいいですし、進めると書いてもいいですけれども-そういうことも私は必要だと思っていて、長い間、自民党の政治家をやってきて、あるいは政府の中にいて、自分の中で反省すべき点が多々あります。それを改め、次の時代に生かすということは、政治家として当然果たすべき責任だと私は思います。
(問)関連して台風18号で、昨日、派閥の準備会合をなされたかと思うのですけれども、台風18号で茨城県・栃木県などに大きい被害が出ている中でそういった会合を開くのはいかがなものかというような声も出ているようですが、そういったところに関して、大臣の受け止めがありましたら一言お願いします。
(答)それはつかさつかさで、防災当局であり、自衛隊であり、警察であり、消防であり、つかさつかさにおいて全力で対応しておられるものです。それはその現場の方々が何ら支障なく任務に邁進するということが極めて重要なことだと思います。私はそういう方々の御努力というものに敬意を表し、そして、一人でも被害が少ないようにというふうに祈るのは当然のことであります。それを結びつけて御議論になるというのは、それはその方々のお考えでしょう。私は日本の防災担当者は、それぞれのつかさつかさで全力を尽くしている、そのことに支障がないようにということは当然のことであって、「そういう会合をやることが支障のあることだ。なぜならば」と、そういうことをおっしゃるのであれば、それはそれで御意見として承るべきことだと思います。

(以上)