石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年8月7日

(平成27年8月7日(金) 9:34~9:50  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 まず、政府関係機関の地方移転の今後の進め方についてです。「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」において、「必要に応じて有識者の意見を聞くなど、公平性・透明性のあるプロセスの下で検討を行う」とされているところであり、これを受け、副大臣、政務官、大臣補佐官及び関係する事務方からなる「政府関係機関移転検討チーム」を設置し、年末までに地方からの御提案に対する評価と対応方針案をまとめることとしました。
 そのような検討に役立てるために、「政府関係機関移転に関する有識者会議」を設置いたします。有識者会議はまち・ひと・しごと創生本部が地方からの御提案の評価―「評価」という言葉をあえて使います。ニュアンス的には別に上から目線のつもりはございません―評価を行うに際して移転に関する効果・必要性や、その機関の機能の確保・向上等の総合的観点から検討を行い、御意見をいただくということとしております。メンバーは配布をしている通りですが、地方創生の立場、あるいは専門的な観点から評価を頂ける方を選任させて頂きました。この他、地方からの御提案を頂いた後に、必要に応じて専門的見識を有する方々を専門委員として選任をすることとしております。
 今月中に検討チームとともに、有識者会議を開催し、今後の進め方や評価の在り方などの御意見を承ってまいります。その後、地方からの御提案が出そろった段階で、事務局において関係者からヒアリングを行い、論点を整理した上で、有識者会議の御意見を聞き、年内に検討チームにおいて地方の御提案に対する評価と対応方針案を取りまとめ、その後更に調整を重ねて、年度内に政府機関移転の基本方針を決定いたします。詳細については後ほど事務局から説明をさせます。
 第2は、RESAS(地域経済分析システム)を活用した政策立案ワークショップの開催についてです。RESASを運用しているわけですが、自治体職員の方々の御理解をより一層深めるために、産業・観光・人口分野の有識者を地方自治体に派遣をさせていただき、RESASを用いた分析や政策立案のアドバイスを行うワークショップを開催いたします。来週11日(火)に福岡県うきは市、これは人口約3万1,000人のまちですが、政策立案フォーラムを開催します。当日は、産業分野の有識者である東京大学の坂田一郎先生に御参加いただきます。このワークショップの様子は、動画を撮影して、後日、全国の自治体職員の方々に御覧をいただきたいというふうに考えております。
 このワークショップを通じて、RESASを活用した、有識者による分析や政策立案のノウハウが、全国の自治体職員の間で共有されるということを企図しており、これは一回きりで終わるものではございません。先ほど申し上げたように、今後、観光であるとか人口分野であるとか、有識者の方をアドバイザーとしてワークショップを開催する、それを動画に撮り、全国の自治体の方に御覧いただけるようにするということで、RESASの活用は極めて重要であり、このワークショップを極めて重視をしております。
 次に、新型交付金についてですが、先日8月4日(火)にまち・ひと・しごと創生本部において、地方創生深化のための新型交付金の創設等について決定したところです。これを受け、翌日8月5日(水)に地方六団体から、「新型交付金の創設について」という共同コメントが発出されたと承知しております。この地方六団体の共同コメントにおいては、「新型交付金については、事項要求ではなく当初予算として金額を明記の上、要求・要望するとの方針が示された点は、我々地方も評価をするものである」とされていると承知しており、私どもといたしましてこのような地方の御意見等も踏まえまして、これを使い勝手のよいものとなるよう、今後、検討を進めてまいるということでございます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)政府関係機関の移転の有識者会議の件ですけれども、6人ほど有識者の方の名前が挙がっていますが、これはどういった基準というかどういった観点でこの6人の方を選考なさったのでしょうか。
(答)皆様御見識のある方々でありますが、会議の設置の目的というものをよく踏まえ、地方創生や地域経済活性化、行政組織の機能評価、研究機関の研究能力の評価、研究成果の活用の評価、そのような点を議論していかなければなりません。そうした観点に通暁(つうぎょう)せられた方々にお願いしたということです。余り議論されないことですが、研究機関の場合には、立派な研究がなされ、それが活用されなければならないわけです。そのようなことはそうした分野によく見識をお持ちの方でないと評価ができません。そうした観点から、そのような方々も選任しているということです。行政組織の機能評価についてもそうであります。
 かねてから申し上げておりますように、透明性というものが極めて大事であり、一般の国民の皆様方が、なるほどこんな議論が展開をされているのか、そして出た結論が国民の方々に納得いただけるものでなければ駄目だと思っております。何だか分からないままに決まってしまったということは全然よくないのであり、これは中央政府のあり方、あるいは地方創生の今後というものを国民の皆様方に御判断いただく上において、極めて有意義なものだと考えております。
(問)関連でお伺いしますけれども、検討に資するように意見を聴取するということですが、この有識者会議の出した意見は最大限尊重されていくというお考えなのかどうかが一点と、あとこの6人なのですけれども、座長は増田寛也さんが務められるということですが、政府の地方創生の会議でCCRCにしても、有識者会議、創生会議にしても、この増田さんですとか、冨山さんですとか、いつも同じメンバーがそろっていると思うのですけれども、少しバリエーションを増やす意味で、例えば地方自治体、首長やそのОBを入れられるとか、坂根さん初め企業経営者を入れられるとか、そういったお考えというのはなかったのでしょうか。
(答)まず第1点の話でございます。そういうふうにはあえて書いてはいませんが、気をつけて申し上げたつもりなのですけれども、最後は政治決定ということになってまいります。政府全体で検討するわけですが、この会議においては、副大臣、政務官、大臣補佐官が入り、検討チームを作るわけです。そこにおいて、色々な政策的な視点も踏まえた色々な議論が行われるわけですが、やはりそういう有識者会議がこういうことだとおっしゃっていることを、政治的に変えるということは余り望ましいことだと思っておりません。同時に、やはりこれは政治が責任を負うべきものですので、政務を入れているわけです。最終的には政府全体で決めるということになるわけでして、有識者の方々の御意見というものを最大限考慮するということだと思っております。
 なお、増田先生は元岩手県知事でもあり、地方行政の経験者であることは言うまでもございません。そこで現職の方々を入れるということになると、どういう方を入れるのか、あるいはその当該県から御要望が出ていたときにどうするのか等々の問題が出てまいります。これは先ほど申し上げたことですが、必要に応じて専門的見識を有する方を専門委員として選任することとしており、今お名前が出されました、例えば坂根相談役でありますとか、そういう方々の御意見ももちろん聞きたいというふうに考えております。
 人選について、増田先生であるとか冨山先生であるとか、いつも出てくる方々だということかと思います。そこは私も考えないではなかったですし、また増田先生にしても冨山先生にしても極めてお忙しい方で、そういうことはお願いして大丈夫かというようなこともお尋ねも当然したところです。やはり今までの事の経緯というものをよく御存知の方、そして今まで随分長いお付き合いですし、色々な濃密な議論もしてきましたが、極めて公平性・客観性のある御判断というものをしていただいた方々ですので、偏るということにはよく配慮しながらやっていきたいと思いますし、専門委員の方々にお願いすることによって、より幅広い見地から、このようにして決まるのだということが国民の皆様方に御納得いただけるように運営をしてまいります。
(問)ちょっと話が変わるのですけれども、戦後70年の総理談話に関する報告書が昨日発表されまして、これを御覧になられて石破大臣、どのような御感想をお持ちになったのか教えていただけますでしょうか。
(答)これは私も今朝新聞で拝見し、8時前、7時半だったかな、登庁した段階で全文を読んだものでございます。これは正しく精読をする必要があると思っており、1回2回読んだだけで評価を申し上げるということは私自身差し控えたいと思っております。けれども、全体的にバランスのとれた記述であるというふうに承知をいたしているところでございまして、自分自身、深く納得するところも多々ございました。ただ今後、よく精読をいたしまして、今後どのような取扱いになるか、それは報告書を受けて総理がそれを御覧になって、仮に閣議決定ということであれば、閣僚皆がその責任において、そのことについての態度というのか、形式的にはそういうことに相なります。ですから、私自身はこれを見て、政府全体としてどう判断するかはこれから先全く分かりません。ただ、あれを読んでどう思うかという御質問でございますので、私自身、納得できる部分、共感できる部分が多々あったということを申し上げておきます。
(問)関連でお伺いしますけれども、精読しないうちには評価できないと、おっしゃるとおりかと思うのですが、一部共感できる部分もあったということですけれども、例えば大陸への侵略ですとか、軍部の責任についての言及もありましたけれども、大臣はどのようにお感じになられましたでしょうか。
(答)そこは、ですから精読しないと分からないということですが、この報告書と離れて申し上げれば、やはり大陸に対する進出というものは、中曽根元総理が今日も某紙で言及しておられましたけれども、これは侵略というものと評価をされるということ、そしてまた軍部というものをなぜ統制し切れなかったのかということでございます。そこにおいては、戦前はそういう言葉はなかったのですが、文民統制の在り方とは何なのかということが問われているのだと思っております。
(問)関連ですけれども、この談話は閣議決定する方向で調整が進められていますが、閣僚の一人として談話に期待することというか、どういう談話を総理に出していただきたいというふうに考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)それは余り言及すべきことだと思いません。総理が御判断になることであります。それが一国の判断であるという点、そしてまた、この70年という一つの節目において、私ですら敗戦後12年たって産まれております。もちろんまだ小さなころ、日本は戦争に負けたのだよということを毎日そういうふうに教わって育った。そして日々の暮らしの中にいろんな、もはや戦後ではないと言われていた時代ではありますけれども、戦争のいろんな影というものがあちらこちらで見られた、そういう世代でございます。恐らく、我々がその最後の世代だと思っておりまして、やはり東海道新幹線が走り、東京オリンピックが開催されたのは、私自身振り返ってみてあそこが一つの境目だったかなという気がいたしますが、本当に戦争を全く、私自身体験も何もしていないのですが、そういう戦争の傷跡というもの、日本が戦争に負けたのだよと教わって育った世代の後の世代の方々に対して、どういうメッセージを発するのかという意味合い、そして我が国が国際社会に対してどういうメッセージを発するのかということ、そういうものを全て勘案して総理が賢明な御判断をされるというふうに考えております。

(以上)