石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年7月21日

(平成27年7月21日(火) 9:52~10:12  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 本日、都市再生特別措置法に基づきます政令の改正が閣議決定をされました。都市開発事業を通じまして国際競争力を高める特定都市再生緊急整備地域等につきまして、6地域の新規指定や地域拡大を行うということであります。施行日は7月24日であります。
 具体的には、池袋におきます国際ビジネス拠点の整備、相模原市や名古屋市におけるリニア新幹線駅整備を機としたまちづくりなど各々の都市の特性を発揮することを企図しているものであります。今後は、各地域において都市開発の更なる促進が予定されており、国としてもこのような取組を強力に支援してまいる所存であります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)週末にJCによる「地域再興政策コンテスト」がありまして、大臣、表彰に行かれたと思うんですけれども、こういった各地のJCの取組をどう生かすのかということが1点と、逆に、個々の事例を-良い事例もあったと思うんですけれども、横展開しようとすると、どうしても全国画一的になるのではないかと思うんですけれども、むしろ事業を作るに至った過程を横展開すべきかなと感じたんですが、大臣、どのようにお考えでしょうか。
(答)それはそのとおりです。即ち1月に京都会議というのがあって、あの席において平副大臣のほうから、コンテストをやったらどうだというお話が事前にあり、JCの諸君がそれを受けた形でサマーコンファレンスまでにそれぞれのJCでつくろうじゃないかということになり、半年という短い期間で実施となりました。全部のJCから政策の提言が出てきたわけではない。それは、やる気がないとかそういう話ではなくて、やはり実際やってみると難しいねと、あるいは行政との連携ってこんなに難しかったんだねということを若い経営者の方々が体験するのもすごく良いことだったと思います。
 大賞になった留萌にしても、あるいは天理にしても、そのほか残った1次審査通過の30あまりの政策提言にしても、もちろん民間経済人ですから、政策提言が本業ではない。詰めるべき点もたくさんあるし、みんな日本の政策として望ましければ、そういう人が首長になれば良いということもあるんでしょう。それぞれ仕事を持ちながらも、その経済人としての視点を持ってああいうことにチャレンジするということにとても意味があって、これが運動論として、やはりそういうふうにしてあるべきだということで広がる。JCのみならずほかにも青年団体はたくさんあります。そういう方々にこのプロセスというものが共有されていくといいなというふうに思います。
 また、あそこに出てきたものの中には、例えば、シングルマザーの方が最も住みやすいまちづくりなどというものがあり、全国の市町村の中でもそういうことに取り組んでいるところがあります。画一的になるというふうに評価するか、それとも、いい事例というのは積極的に取り入れていくべきだというか、それは物の見方は表裏幾らでもあるのであって、要は、考えないままに、これいいよねといって無批判に取り込むことをしてはいけないということなのであって、いい事例であれば、うちのまちでもやれないだろうか。うちのまちの状況に鑑みて、これはどうだろうかというディスカッションが行われる。そこに私は大きな意義があると考えております。
(問)ちょっと地方創生からずれてしまって恐縮なんですが、週末にFNNで世論調査を行いまして、毎度ちょっと恐縮です、支持率についてなんですけれども、新国立競技場白紙表明とかがあった中で、不支持が10ポイント上がって、依然不支持が支持を上回っている状況なんですけれども、それを政府の一員としてどう考えられるか、まずお聞かせください。
(答)支持率は高いにこしたことはない。しかし、御局で昨日、総理が出てお話をしておられたけれども、たとえ不人気な政策であったとしても、やるべきことはやらねばならないというのは私ども自由民主党としての矜持だと思っております。しかし、同様に、不人気だから支持率が低くてもいいんだということではなくて、これも総理がおっしゃっていましたが、理解していただけるように努力をしなければいけない。不人気なんだからこれでいいんだと、不人気な政策だけどやらなきゃいけないのが我が党の矜持だということで終わらせるのではなくて、これをどうやって支持率上昇につなげるかは、それはそれぞれの担当大臣がそれぞれの分野を持っているわけであります。私でいえば地方創生でしょうし、あるいは農林水産もあるでしょう、厚生労働もあるでしょう、文部科学もあるでしょう。それぞれの所掌において、この内閣はいいねというふうに思っていただける方をどれだけ正確な御理解に基づいて増やしていくかということであります。単に人気取りみたいことを言って支持率を上げるということは、それはそれで空虚なものであって、政治の本来の仕事ではない。
 これもよく言う話ですが、かつて渡辺美智雄さんが、「政治の仕事とは、勇気と真心を持って真実を語ることだ」というふうに言っていた。真実というのは不人気なことが多いかもしれない。しかし、それを語る勇気を持たねばならない。しかし、真実を語るだけではだめで、それを理解してもらえる、渡辺美智雄先生流に言えば、真心を持たねばならないということなのであって、私自身は、この渡辺先生の言葉を自分でなかなかできないなと思いながら、常に自分の中で反芻をしているところであります。
(問)あともう一問伺いたいんですけれども、世論調査で合区について、各都道府県から参議院議員を出すことが優先すべきだというのが5割程度いるんですけれども、これを受けて参院選挙制度改革を今後どういうふうに進めていくべきだとお考えでしょうか。
(答)今日の12時から初めてこのテーマで党で選挙制度調査会が開催されるということであります。我が党の決定はそのような、まず現場の部会であり調査会であるというのを開き、それを政審・総務に上げ、党決定されるというスタイルをとっているわけで、これに則った形で議論は進められなければいけない。これはルールですから、結果がどうあれそういうものでございます。そういう手続をきちんと踏まなければ、党の意思決定として瑕疵のあるものだと言わざるを得ない。ですから、そういうようなステップが踏まれるのは当然のことだと思います。
 その上で、各県から1人ずつ出るべきだという御意見が、もちろんサンプル数にもよりますし、地域的な偏在性はなく世論調査をかけておられると思いますが、そういうお声が多いということが一方においてある。しかし、他方、三権分立というものは、司法に立法や行政が介入しない。お互いにそういうふうにして緊張関係を持ちながら、それぞれ国民審査であるとか解散権の行使であるとか内閣不信任案であるとか、そういうふうな仕組みでバランスをとっているのが三権分立の仕組みでございます。
 そのことを念頭に置いて考えた場合に、やはり司法というものの判断は、法の下の平等ということをどう考えるかということでなされる。それに対して立法府があれやこれや言うことは、三権分立というのは立憲主義の一部なものですから、そのことを言い出すと立憲主義そのものが揺らぐと私自身は思っております。
 私自身は随分前から、参議院は参議院として、もう一方の院としてふさわしい選び方、そしてまたふさわしい所掌ということには取り組まねばならないというのは政治改革のときから申し上げてきたことでございます。そんなこと言ったって憲法改正なんてと、衆参両院の3分の2の発議、国民投票の過半数、そんなことはできるわけないよと言ったらば、では、憲法に書いてある規定は一体何なんだ。それは絶対できないから、チャレンジもしないというのであれば、それは何もできないということに等しいわけですね。少なくともこれだけ強い支持をいただいている我が党として、そういう国民のお声を踏まえて、どのように議論をこれから進めていくかということは、国家の将来のためにも、民主主義のより良い機能のためにも我が党が果たすべき責任であると思っております。
(問)地方分権改革に関する提案募集の中に、関西広域連合のほうから、広域の行政組織に対しても総合戦略の交付金の交付対象とすることを求める提案があがっていました。全国でもこういった広域的に総合戦略を考える動きはあるようなんですけれども、この交付金の対象と、こういったものをするべきかどうかという点、お考えを教えてください。
(答)法的にどうかということは、政府部内において内閣法制局ともよく協議をしながらやっていかなければなりません。広域連合がそういうような新型交付金の交付対象にならないというようなことは断言はできません。そして、関西広域連合の御主張というものも、それがどういう意味合いを持つのであるのか、何に対して新型交付金をどのように使うのかということをよく吟味しながら、法的な整合性ともあわせてそういう御要望がある以上対応はしていかなければならないと思っております。今この時点で、「はい、交付金の対象とします」というふうに断言はできませんので、もう少し詳細な制度設計の中でこの問題を取り扱ってまいりたいと考えております。
(問)合区の話に戻るんですが、先週の金曜日に、大臣を初め徳島県、高知県、鳥取県、島根県の衆議院議員の方々が、谷垣幹事長と選対委員長に対して、党内でしっかり正規の手続をとること、その上で出られなくなってしまう県には配慮するようにと申入れを行われていたと思うんですけれども、しかしながら、自民党内の参議院の執行部が、来年夏の参議院選挙では、拘束名簿式の導入を見送った上で、かつ、今日の総務会で党内手続を終了させるとの報道もあるんですけれども、そういったことの流れについて大臣はどのように受け止めていらっしゃるかお願いいたします。
(答)それは、先ほどの御質問にお答えしたとおりです。このような問題は-このような問題に限らず-我が党は全てにおいて党則によって定められた手続を踏まなければ、党の決定にならないということでございます。この問題について衆議院議員も含めて議論するというのは、たしか今日が初めてのはずですね。答えがどうのこうのということを言っているわけじゃない。手続をきちんとしなければいけなくて、今日、選挙制度調査会をやる。総務会もセットする。一応議論はした形にするということで、自民党本部はそれで収まるのかもしれません。ですけれども、我が党は地方の支持によって今日があるという、そのことを忘れてはいけないのではないだろうか。
 我が党が野にあったときに、本当に我が党を支えてくれたのは地域地域の党員の方々が我が党を信じて活動してくださって、それで我が党は政権を奪還することができたのではないだろうか。ですから、それがたとえ鳥取県、島根県、高知県、徳島県は、人口が少ないのだから、議席少ないのだし、もう時間もないのだしということでそういうような決定をするとするならば、そういう県の納得はどうでしょうか。衆議院で0増5減のときには、ものすごく丁寧な手続を踏みました。細田幹事長代行がものすごく苦労をされた。かなり早い時点で私あるいは細田代行あるいは河村選対委員長のもとに、それぞれの議員さんを呼び、そして、それぞれの県の執行部を呼び、こういうことでやろうと思うということで了承をいただき、そして、決定に至るまでもいろいろな調整を図りながら、ものすごく長い時間等、丁寧な手続を経て衆議院はやってまいりました。
 今回の参議院について、いろいろな事情があることは分かります。それは私も執行部をやっていたので、それぞれの立場でものすごく苦労があることも分かります。だけども忘れてはならないのは、それぞれの地域の自由民主党が厳しいときに支えてくれた党員のことを忘れてしまうと、それはやがて自由民主党が今日あるをまた崩すような、そういう事態だけは私ども国家に責任を持つ政党の一員としてしてはならないのではないかと思います。
(問)関連でお伺いしますけれども、地方の声を忘れてはいけないということですけれども、合区対象4県の各県連からは、今回の合区に猛反対する声が出ています。大臣、今日の調査会では、大臣、鳥取県という立場ではあると思うんですけれども、どのような立場でお考えを伝えられるのか。特に、合区に反対されるということで、代わりにこれという案があるのか、また、党議拘束等を外すように主張されるのか、大臣のお考えについてお聞かせください。
(答)私は、例えば脳死の問題でありますとか、それぞれの倫理観、生命観に関わるようなこと、あるいは民主主義の基本、ルールに関するようなことに限って党議拘束を外すべきだということには一定の理解は持っておるつもりでございます。しかし、党議拘束を外して、自分は反対したんだよ。選挙区の皆さん、分かってくださいねということだけでいいかというと、それはそうではないような気がいたします。やはり私ども鳥取県、島根県とか高知県、徳島県の利益だけ考えて言っているわけではなくて、今回それで仮にしのぐことがあったとしても、やがて次はまた今度はどことどことどこ、どことどことどこみたいな形にならないか。もちろん地方の人口減少を反転させるということは、これまた私のミッションなので、そういうことが止まるようにしていかなければいけないけれども、それが1年や2年で、3年、4年で出来れば誰も苦労しない。そう考えてくると、やはり同時に、私は若いころから思うのですが、やはり法の下の平等というものは重視されるべきである。1人が2票以上持ってはいけない。
 地方の発展というものは、分権をすることによって、もちろん財政措置をどうするかということもありますけれども、地方の決定によって地方が発展すべきという地方分権論と選挙制度論というのは対のものだと思ってきています。それが進捗を十分見ないままに、担当大臣がこんなことを言うのもあれなんですが、まだ十分そういうことになっていないと思うのです。そういう中で議員の定数だけ減るということになると、それが多くの人が懸念するように地方の衰退を招くものになるのではないだろうか。
 憲法改正というのは随分前から言っていることで、鳥取県、島根県の利益ということではなくて、せっかく2つの院があるんだから、それは違う選び方でなければいけないでしょう。そして、果たす役割も違うものでなければ、二院制の妙味というのは発揮できないでしょうという、これも大学で習うような話ですよね。時間がかかるとかできっこないとかそういうことを言っていったら、何のために我々は発議権者なのかということになってしまうと思うんです。
 特に私も長い自民党の歴史を見ていて、日本国自体もそうですけど、こういうことになったんだ、やむを得ないという、仕方がないじゃないかという雰囲気が醸成されて、何となく議論が空気に流されていくということは、私は今の時代を生きる者として、それは決してそうであってはならないということを誰かが言わないと、やはり歴史というのはきちんと学ぶべきためにあるものだと思っております。

(以上)