石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年7月17日

(平成27年7月17日(金) 9:43~10:00  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 明後日7月19日日曜日、日本青年会議所、JCが主催をし、私ども内閣府も後援をさせていただいておる「地域再興政策コンテスト」の表彰式がパシフィコ横浜にて行われます。私もこれに出席をし、グランプリを受賞された方に内閣府特命担当大臣大賞をお贈りさせていただくということになっております。
 これは、地方公共団体とともに「地方版総合戦略」の策定、及びその施策の推進の中核となる「産官学金労言」の一翼を担う存在であります青年会議所の皆様から、青年経済人としての独自の視点に立った政策の御提言をいただくものであります。具体的にこういうようなことが動き始めたというのは誠に良いことだと思っておりまして、全国各地のJCから応募があったというふうに承知をいたしておるところであります。平副大臣に大変御尽力をいただいたものであります。
 全部で136件の応募がございました。6月に一次審査及び二次審査が行われ、数件の政策が最終候補になったというふうに承知をしておるものでございます。明日土曜日に開催されます「地域再興政策コンテスト」最終審査会において公開プレゼンテーションが行われ、その後、審査が行われ、グランプリが1件、準グランプリが3件というふうに決定されると聞いておりますが、どのようなものが出てくるか、私は今存じません。
 実際にこういう取組が行われているということは、私ども大変にありがたいことだと思っております。具体にこのようなことが出てきておりますので、皆様方も、どうぞ御関心のある向きはおいでいただきたいと考えておる次第であります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)所管外で恐縮なんですが、昨日、安保法案が衆議院を通過しました。大臣も先日会見で、世論調査の数字を引き合いに、国民の理解は進んでいないだろうと。一方、安倍総理も同様に、国民の理解は進んでいないという状況を、委員会で感想を述べられましたけれども、理解は進んでいるかどうかなかなか分からない状況で衆議院を通過したことに対して、また改めて大臣の御所見をお願いいたします。
(答)審議時間という観点からすれば、極めて長い時間が費やされたということは、これまた明白な事実でございます。
 これはかねてから申し上げていることでございますが、安全保障というものについて、我が国において体系立った教育というものは全く行われていない。小学校、中学校、高等学校はもとより大学におきましても、ほかの国では一般通常にある「安全保障学」というものもないわけであります。そういうような中においてこのような法制が出てまいりますと、これがまたイラク派遣とか、あるいはインド洋に補給艦隊を派遣しましたテロ対策特措法とか、そういう具体のことではなくて、かなり広範にわたった―もちろん具体例はあるわけですが―ものでありますだけに、なかなか御理解いただく素地そのものがないということは事実でございます。
 ただ、そのようなことを言っても仕方がないので、これから先、これもかねてから申し上げていることでございますが、この問題は我が党において本当に、私自身が主体的に関わってからももう十数年になります。本当に何十回という勉強会も重ねてまいりました。法案を出しております政府、そして、それを支える与党として、それぞれの選挙区でどれだけ御理解をいただけるのかということだと思っております。総理が、担当大臣がということではなくて、それぞれが自分の選挙区で一生懸命分かっていただく努力、その懸命さっていうんでしょうか、そういうものによって段々と伝わってくると思っております。
 世論調査の数字は数字として、そのような認識を持ちながら、これから参議院において審議が始まるわけですから、私たちとして、どれだけ国民の方々に分かりやすい説明ができるかということなのではないでしょうか。これが抽象的なものであるだけに、分かりやすさを増進していくために、どういうような説明の仕方ができるのか等々、これは政府においても、与党においても、参議院の審議に臨むに当たって更に努力をしていくべきだというふうに思っております。
 こういうような法制が必要なのかという問いを立てた場合に、こういう法制が必要だと思うという国民の方々は多数ということもございます。つまり、こういう法制が金輪際要らないんだということではなくて、このような法制が必要だと思っておられる方は、要らないと御回答になる方よりも多数を占めているわけでございますから、そういう方々が理解したと、理解していただけること、そういうような方々に対してまず訴えるということが重要です。
 そして、必要でないと思われる方、それぞれいろんなお考えも中にはございます。そういう方々に御理解いただけるような努力というものは、人任せではなく、政府・与党としてやっていくべきだというふうに私自身は思っております。
(問)所管外で恐縮なんですが、新国立競技場の建設の件で、弊社の世論調査、先週末の時点なんですが、80%以上が見直すべきという声になっております。このような声について、どのようにお感じでしょうか。
(答)これもまさしく所管外なので、所管の大臣からお答えすべきものでございます。これも、8割の方々がそういう考えをお持ちであるということを政府としてどのように判断するのか。所管において、国民の御意見、御疑念というものを真摯に受け止める。そして、いかなる対応をとるにせよ、国民の方々の御理解が進むような形でなければ、政府・与党に対する信頼というのが揺らぐだろう。どういう形の結論にするか、私が申し上げることではございません。どちらになるにしても、真摯な説明責任というものは必要だということだと思います。
(問)またちょっと安保に戻って恐縮なんですが、先ほど、大臣、理解の素地がないというところとか、あと、安保法案が専門的で難しいというところも理解がなかなか進まない要因にあると思いますけれども、この審議の中で、例えば憲法学者批判ですとか、一連の若手勉強会問題ですとか、それからまた、なるべく有権者に説明をと言いながら、党が、党員がメディアへの取材を答えることをちょっと規制したりですとか、いろいろありました。大臣も会見で以前おっしゃっていましたが、「自民党、感じ悪いよね」というような空気が広がることへの懸念も示していらっしゃいましたけれども、幹事長経験者として、そしてまた今、政府与党の一員として、こうした安保法案の、一連の審議の中で、自民党の姿勢というものについてはどのように御覧になっていたか、お聞かせいただけますでしょうか。
(答)それは冒頭の御質問にお答えしたことで尽きておろうかと思います。我が党として、どれだけ一人一人の有権者の審判を受けて、国政に責任を負う国会議員が、それぞれの選挙区で、あるいは比例の方の場合には、参議院ですと支持団体ということになりましょうか、あるいは、衆議院で復活当選ではないブロックの当選の方はそのブロックということになりましょうか、その方々に対して、自らの言葉で訴えるということだと思っております。
 テレビに出るのがどうのこうのということもございますが、やはり国会議員の基本というのは、昔、竹下登総理が「もし聞く人なくば我辻に立ちて志を述べん」ということをおっしゃいました。やはりそういうような姿勢というものが人々の共感を呼ぶのであり、人任せにしている限りは、そういうことにはならないのだと思っております。
 小選挙区制というものの一番大きな意味というのは、一つの政党から1人ということでございます。それぞれ295小選挙区でそれぞれが有権者から選ばれて、国政の代表者として出ているわけですから、期数の若い議員の方々は、自分もかつて若いころそうでしたけれども、週末ごとに5人、10人、そういうような小集会を開いているはずです。開かなければおかしいです。
 あるいは、街頭演説というものを日常活動にしておられる方々も大勢いると、幹事長時代に承知をいたしております。そこで、先ほど竹下元総理がおっしゃったような、そういう気持ちをみんなが持つということに尽きるのだと思っていて、誰が悪いの、彼が悪いのと、そういうことを言ってはいけないと私自身は思っております。
(問)安保の、大臣が今までおっしゃってきた考えのある中で、まだ会期が長くある中で、採決を強行するような形で衆院を通過していったと。できるだけ時間をかけて理解を深めていくという中で、国会の運営のことは党の方、国会の方の話だということもあるでしょうが、今回の採決の形については、安倍内閣の一員としてどのようにお考えでしょうか。
(答)まさしくおっしゃるように、政府の側がそれについて言及すべきことではございません。それを言及するのはルールに反すると思っております。
 委員会においては、私の長年の友人であり、信頼する浜田さんがそのような決断をされたと。そしてまた、理事会においてそのような決定がなされたということでございます。本会議においては、大島議長がそのような判断をされたということでありますから、それはもう、それについて私どもがあれこれ申し上げる筋合いではございません。そういう方々の御判断というものは、それは当然尊重してしかるべきものと思っております。
 これから参議院において、まさしく熟議の参議院で議論がされるということでございます。あと何年という議論はあるでしょうけれども、任期が6年間保証されている。そこにおいて更に参議院らしい深い審議がなされることということで、日本国における国会の意味合いというのは、そういうふうに位置付けられているということでございます。
(問)今回の採決と衆院通過の形は内閣支持率にどう影響するかという部分については、大臣はどうお考えでしょうか。
(答)それは、私は予想屋でもなければ占い屋でもないので、そのようなことは分かりません。
(問)ちょっと質問が行ったり来たりで恐縮なんですが、新国立競技場のほうに戻るんですけれども。昨日、無派閥連絡会でも山本有二会長が、ゼロベースで見直すべきだというようなこともおっしゃっていまして、与党内からも今の値段は高過ぎるんじゃないかというような指摘も出ていますけれども、国の財政が厳しい状況の中で2,500億のお金をかけて国立競技場を改修すること自体に、大臣はどのようなお考えをお持ちでしょうか。
(答)報道を知る限りにおいては、そういうような国民の御意見が強いということは事実だと思います。
 ただ、私どもとして、一体何にどれぐらいのお金がかかるのか、2,500億は高いというふうに言われるし、一般の感覚からすればそうでしょう。国の財政状況、あるいは一つ一つ、何億どころか何千万、何百万、何十万という予算というものを渇望しておられる方々が全国におられることもまた事実でございます。
 一方におきまして、この2,500億の中身って一体何なんだろうかと。斬新な設計、そしてまた、それを支える構造等々というものがどういうものであり、それに一体幾らのお金がかかり、そもそもオリンピックを開催するということにおいて、そういうようなお金がどのような意味合いを持つのかというのは、それに携わった方でなければ分からないものでございます。
 ですから先ほど、どちらの結論になるにしても、国民の方々に理解いただけるような、ああ、そうなんだねと思っていただけるような、そういう説明責任は税金を使う者として当然有しておることであって、どっちにすべきだということを申し上げるだけの、私自身、専門的な知見を持っておりませんので、どっちにすべきだ、とにかく高過ぎるんだというようなことだけを申し上げるのは無責任かと存じます。何にどれだけのお金がかかるかということ、私自身、詳細に存じておるわけではございません。
 ですから、もうこれだけかかるんだ、必要だとおっしゃる方は、分かっていただくような努力をすべきでしょうし、もっと安くできるはずだというのであれば、このオリンピック開催に当たり、本当にきちんと必要とされているものを満たすのだということを言わねばならないのであって、こういうことは、どちらの結論にせよ、国民の皆様方に御理解をいただく努力をしなければいかんということだと思います。

(以上)