石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年7月7日

(平成27年7月7日(火) 9:02~9:16  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 お待たせいたしました。私のほうから2点申し上げたいと存じます。
 まず「RESAS」でございますが、「RESAS」を活用した分析事例の公募を行いたいと考えております。本年4月から提供を開始しておる地域経済分析システム「RESAS」でございますが、先日の「地方版総合戦略」の立案状況と同様に利用は進んでおりますが、その水準あるいはその深さについては、自治体間で差ができつつあるというふうに認識いたしておるところであります。
 自治体の皆様方からは、使い方は分かったのだが、具体的にこれをどう使い─使いというのは、分析をするとか政策立案までつなげるという意味でございますが─そういうことがまだよく分からないという御質問をいただいておるところでございます。
 このため、自治体の職員の皆様方の地域分析に関する経験、ノウハウの共有化を図りたいと考えておりまして、全国の自治体から地域の分析事例や、また、分析に基づきます政策立案事例を、来週7月13日から8月末まで公募することといたしました。御応募いただきました分析事例に対しましては、漏れることなくそれぞれの分野の専門家の方、あるいは創生本部事務局から講評、アドバイスをお返しするということにいたしておるところでございます。その上で「RESAS」上で8月末にオープンいたします自治体職員同士の情報交換サイト、「RESASCOMMUNITY」を8月末にオープンいたしますが、そこにおきまして共有するとともに、9月に開催予定の「RESASフォーラム」で紹介させていただきたいというふうに考えております。
 この「RESAS」を活用していただくということは、どんどん広めていきたいと思っておりますが、「これはいいね」というところと「何かよく分からないね」というところが分化してきておりますので、このようなことを企画しているものでございます。
 次に、「明治日本の産業革命遺産 製鉄・鉄鋼、造船、石炭産業」でございますが、かねてから日本政府が推薦していたものでありますが、先般のボンで開催されました世界遺産委員会におきまして、一昨日、現地時間5日の15時過ぎ、日本時間22時過ぎからでありますが、審議が行われ、登録されたということでございます。
 談話はもう既に配布しておるわけでございますが、本遺産の世界遺産価値が正しく評価されたことは喜ばしいことであります。政府といたしましては、今後、関係機関等と連携しながら、本遺産の世界遺産としての管理保全に万全を期すということに相なります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭まず「RESAS」についてお伺いしたいんですが、「RESAS」は、ネット上の反応等を見ていましても非常に使い勝手が良いという評判なんですけれども、今のように使用例を募集されるのも非常にいいと思うんですが、もっと民間から、例えば使っている方から活用事例を募集されたりですとか、このコミュニティーというのも自治体の職員が限定ということなんでしょうか。ちょっと私は分からないんですが、民間の知識をもう少し入れる事例があると良いのかなと思うんですけれども、大臣の御所見を。
(答)ありがとうございます。
 今、時期を検討しておるところでございますが、この秋には「RESAS」を活用して御自身がお住まいになる地域を、一般の方々に分析していただき、地方創生の観点からどのような政策を講ずべきかということを御提案いただく政策コンテスト-コンテストという名前がいいかどうかは要検討ですが-こういうものを行いたいと思っております。
 御指摘のとおりRESASというのは、今まで行政しか持っていなかった情報を広く一般国民の方に持っていただき、まさしく「産官学金労言」によって策定する「地方版総合戦略」に活用していただきたい、あるいはそれのみならず日ごろの議会における審議ですとか、県会議員、市会議員、町会議員の皆さん方も当然、町政報告会とか市政報告会をやっているわけで、まさしく納税者、主権者たる一般の方々がこれを活用していただくということが、日本の民主主義の姿を変えるというふうに思っております。したがいまして一般国民の皆様方に、このようなコンテスト的なものに参加していただくということについて、具体的に今検討を進めております。
(問)大臣、今日で議員になられて30周年目に突入されたかと思うんですが、これまでの御感想と、それから今後の一政治家としての政治課題といいますか、どういうふうにお考えなのかをお聞かせいただければと思います。
(答)ありがとうございます。
 今日は七夕様でありまして、もう昔々のことになりました昭和61年、1986年、中曽根内閣の解散総選挙、世に「死んだふり解散」と言われたものであります。衆参同時でございましたが、7月6日投票、7月7日開票ということで、私、当時29歳でしたが、初めて議席をいただいてから丸29年が経過して、本日から30年目ということになっておるわけでございます。もうそんなに経ったのかという感じと、随分昔のことだったなという両方の思いがありまして、自分の中でもあれやこれやいろいろな思いがございます。七夕会というのを作って、たしか47人自由民主党だけで当選したのでありますが、亡くなられた方、あるいはもう引退された方、いろいろな方がおられます。
 若いころというのは、ブログにも書いておいたのですが、どちらかというと執行部というか政府というか、これに異を唱えることが多かったように思います。例えば小選挙区制にしても、党議決定をしたことであり、何度も国政選挙で国民に問うてきたことなのであって、党で決めたことというものを覆すということは、国民に対する背信ではないかというようなことで、いろいろな活動もいたしました。そして自由民主党を離れたこともございました。あるいは自由民主党以外の党に籍を置いたこともありますが、公約として掲げたことが、例えば集団的自衛権の行使にしても、あるいは消費税の引上げにしても、それが己の考え方と違いますので、それを公約として当選することには何ら意味がないと思いましたので、当選10回のうち2回はそのようなことで無所属で出ております。
 その後、安全保障法制とか農政とか地方創生とか、いろいろなことを手がけさせていただいておりますが、政治に携わる者というのは国会議員であれ閣僚であれ、それになることが目的なのではないと、国会議員であることも閣僚であることも何かを成し遂げるための手段なのであって、そこを取り違えてはいけないということを、常に自らに言い聞かせ、それにたがうことがないかどうかというのを反省しておるところでございます。
 自分自身、あのときああすればよかったではないか、こうすればよかったではないかということが、ないわけではありません。ただ、どう考えてもそのときの自分にそれ以外の判断はなかったと思いますし、それが己の利益を考えてしたのではないということに、いろいろな御評価はありましょうけれども、自分自身としてそれだけは自分として納得しておることでございます。
 もう国会議員717人の中でも、上から数えて何番目みたいなことになりました。自分が体験してきたこと、反省すべきこと等々を、次の世代の方々に、仮にいいところがあるとすれば、いいところは、それを学んでいただけたらうれしいなと思いますし、このようなことはやはりやるべきではないというようなことを、もし伝えることができれば、それも一つの己が果たすべき役割かなというふうに思ったりしておるところであります。
 何にいたしましても、ここまでやらせていただいたというのは、地元の有権者の方々、あるいは支えていただいている皆様方、そしてもう今はおられない方も多いのですが、先輩の皆様方、同僚の方々、そういう方々のおかげであって、私のような者がよくこれだけ長くやらせていただいたと思いますし、そのことにお応えすることを少しでもやれたらいいなと思っております。
(問)今のお話に関連してなんですけれども、今年は自民党総裁選があります。出るか出られないかは別にして、政治は政治家になるのが目的じゃないと、なおかつ過去に大臣は、総理にならなければやれないことがあるんだと、この国ではということもおっしゃっていたことがありました。今一番もし御自身が総理総裁であったらば、何を一番したいと思われますか。
(答)難しい御質問ですね。今、政権の一員として地方創生という仕事をお預かりして、大勢の方々と一緒に努力をしておるところであります。そういう立場の人間が、もし総理であればというようなことを口の端に乗せると大変なことになるのでありまして、意欲とかそういうふうに書かれるに決まっておるわけでございますので、そのようなことはお答えすべきだと思っておりません。
 自分自身がライフワークとしてやってきたことがございます。そのことをもう一度きちんと分析・整理・反省・検証は、しておかなければならないだろうと思っております。国会議員であれ、はたまた閣僚であれ、そして内閣総理大臣であれ、それは己のものではございません。本当に何をすることが一番いいのかということは、常に反対の立場の方々がどのような御主張をなさっておられるのかということ、そしてそれに対して自分としてきちんと説明ができるのかということは、常に心がけておるところでございます。
 ですから御質問に直接お答えすることはいたしませんし、するべきでもありません。ただ、自分として本当にきちんとそういうことができるかどうかということは、どうも日ごろ最近やたらめったら忙しくて、そういうようなことをしておりませんので、自分としていつか時間を見て、そういうことをしていかねばならないなと思っております。

(以上)