石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年6月30日

(平成27年6月30日(火) 9:02~9:20  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 まず、政府関係機関の移転についてでありますが、本日、持ち回りで行われます、まち・ひと・しごと創生本部におきまして、広島県の同意を付した上で、東広島市から提案のありました、東京都北区にあります独立行政法人酒類総合研究所東京事務所を、広島県東広島市にあります独立行政法人酒類総合研究所の本部内に移転することを決定する予定となっております。東京事務所は、東京都北区滝野川2-6-30というところにあり、職員数は7名、うち研究職は6名であります。何をやっておるかというと、酒類製造業者への醸造講習でして、経験の浅い酒類製造従業員、杜氏なんでしょうか、そういう方向けの講習を行ったり、あるいは広報誌の編集等を行っているということでございます。これを広島の本部の中に移転するということでございます。
 また、本日、IT総合戦略本部におきまして、「世界最先端IT国家創造宣言」の改定、これはその後の閣議において決定をしたものでありますが、及び、「地方創生IT利活用促進プラン」を決定したところであります。私からは、地方創生の深化、ローカル・アベノミクスの実現に向けては、情報通信技術の積極的な利活用が有効であると、本日決定する「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」と連携をして、変革意欲のある地方公共団体による持続可能で挑戦的な取組を支援し全国展開を進めていくと、そのような発言をいたしたところでございます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭の移転について、まずお伺いしたいんですけれども、まず、なぜこのタイミングで、まだ提案募集中だと思うんですけれども、このタイミングで移転決定がされたのかということについて、まずお伺いしたいんですが。
(答)東広島市から、早く移転をしてもらいたいということについて、かねてから強い御要望をいただいており、創生事務局におきまして、そういう要望があったので、直ちにヒアリングを開始したということでございます。
 今回移転の検討に当たりましては、地方創生の観点から、地域の発展にとっての必要性、あるいはその効果や、国の機関としての機能の確保・維持、移転による費用の肥大化の防止のための案を求めているものであります。本件は、これら全てを満たしているということでございまして、その認識において、関係者間で相違がなかったものでございます。
 したがいまして、今般の創生本部における基本方針の決定に合わせて決定するということにしたものでございまして、昨年の年末、12月27日に閣議決定をいたしました「まち・ひと・しごと総合戦略」におきましても、「可能なものについては、前倒しで実施する」ということが閣議決定に盛り込まれておるわけでございます。このような経緯でございまして、何ら問題のあるものではございません。
 既に平成7年に酒類総合研究所自体は東広島市に移転をしたものでございます。したがいまして、利害調整でありますとか、専門的な判断でありますとか、そういうものは必要としないということなんですが、この東京事務所というのも移転すべきではないかというのは平成7年の本部移転のときもあった議論ですし、その後は、平副大臣などが一生懸命やっていた行革においても、これも移転すべきじゃないかというような話がずっとあったものでございます。聞くところによれば、それはだめだとか、いろんなお話があったということですが、今回、このような全体の流れの中で、閣議決定にあるように、前倒しというものを可能なものについてやるということでございますから、何ら整合しないものではございません。
(問)もう1点あるんですが、まず第1号ということで、着実に進めていっている証拠でもあると思うんですが、一方では、政府機関の移転ということで、地方が期待している規模としては、職員数7名ということで、第1号なのであれなんですけれども、少し今後こういったことが続くと、政府機関の移転というかけ声とはちょっと裏腹に、こういったものしか来ないのかと地方も思ってしまうと思うんですが、今後はどのように、それは更に大きなものを考えていかれると。
(答)いや、それはそういうことでは全くなくて、今年の年初から、今、国の機関というのはこんなものがありますよということで、もちろん国会で御指摘をいただいて、いかがなものかというのは少し外してありますが、かなり早い時点から道府県等にお送りをし、そして、それを市町村と情報を共有しながら、各県等において検討が進んでいるというものでございます。
 今それらの検討を行っておられるわけで、いろんな知事さんが来られる度に私は申し上げておりますし、あるいは、知事さんがお集まりになった会合でも申し上げているところですが、これはどういうものなんでしょうねということについて御照会があれば、丁寧にお答えをするということにいたしております。これは、何となくうちに向いているよねと思っても、どういうものだかよく分からなくて、それをうちに移転してくださいと言って、あなた、何言っているんですか、みたいなことにならないように、きちんと情報の提供も行うというものでございます。
 提案が8月の末に出そろった時点で-どこが何ということは今の時点で申し上げませんが、かなり画期的なものもあるわけであって-出そろった時点で、これから政務も入って詰めてまいりますが、移転を実施するかしないかについては、当然、有識者、第三者というのも入れなければいけない。公平性・透明性のあるプロセスで検討が行われることが必要であります。そこで移転するにせよ、しないにせよ、なるほど、そうだよねということを納得していただかなければ意味がないわけで、おっしゃるように、竜頭蛇尾(りゅうとうだび)というのか、羊頭狗肉(ようとうくにく)というのか、そういうことになりかねないのであって、そこは早急にそのプロセスというものをきちんと決めて、政府として対応していきたいというわけでございます。
(問)28日に菅官房長官が講演で、企業版のふるさと納税制度を創設することを検討しているというようなお話をされました。大臣としては、地方創生の観点から、この制度について、どんな御意見を持っていらっしゃるか。また、その意義について、どう考えていらっしゃるかを教えていただければと思います。
(答)菅長官が、今のふるさと納税というものの発案者としてのお立場から、更にこの企業版のものができないかというような思いで発言をされたということで、発言当日、私も御連絡をいただき、報道の前に当然知っておったものでございますが、昨日、古谷官房副長官補から、私どもまち・ひと・しごと創生本部事務局並びに総務省自治税務局、財務省主税局に対して、この菅長官の発言を踏まえて検討を開始するようにという指示があったわけでございます。
 税制度を所管しております両省とともに、事務方において、これがどういうものなのか検討を始めておりますが、ふるさと納税制度の企業版と言ってしまえば簡単なんだけれども、かなり仕組みが異なったものになるだろうと思っております。変な話、返礼品が企業に来るかというと、なかなか考えにくいお話なのであってですね、そうすると、インセンティブになるものは一体何なんでしょうねということも含めて検討しなければならないものであります。
 また、当然、税でございますから、与党税調がどのように考えるかということも、これから先、展開としては当然予想されるわけですが、まず、どんなものなんだということをよく検討するところから始めなければいけないということでございます。
 今のところ申し上げられるのがそこまでであります。
(問)政府機関の移転の件で、話が戻って恐縮なんですけれども、今回の移転で期待される効果というものを改めて教えていただきたいのと、あと、移転の時期等の目途は、今固まっておるのであれば、教えていただければと思います。
(答)酒類総合研究所東京事務所については、可能な限り早く移転をしたいというふうに考えておるものでございます。何月何日ということは、分かり次第またお知らせをしたいと思っております。
 効果というのは、実際には何でこれが一緒に移転しなかったのということのほうが問題であって、まだ経験の浅い技術者の方々に研修を行う、あるいは広報を行うというのは、当時の方に聞いてみれば、いやいや、頑強なる反対があったのだみたいなことでありますが、考えてみれば当たり前のことでしょうというお話であります。それが広島に移ることによって、大体広島って酒の本場でありますから、そこに北海道から九州、沖縄も一部日本酒を造っていたかな、すみません、知識が定かではないが、そこからいろいろな技術者の方がお集まりになる。そこで、広島という地において、そういうようないろんなスキルというものを高めていき、また、そこにおいて、私はどんな広報誌が出ているか知らないんだけれども、全国でお酒を造る人たちに対して、より効果的な広報活動が行われる。酒の本場が広島だけだとは思わないが、やはり広島というところから、それを核として、いろんな情報が発信をされ、いろんな技術が向上していくということは、日本全体にとっても、東広島市並びに広島県にとっても、有意義なことだと思っております。
(問)ちょっと地方創生の関連なんですけれども、大臣、最近、いろいろなところで、危機感の共有がまだまだ足りないというようなことをおっしゃっています。今回、基本方針もまとまり、節目を迎えますけれども、政府が求めている危機感というものを、実際にどうやって地方の人たちに認識してもらうかという、何か新たな取組とかありましたら、教えていただければと思うんですけれども。
(答)これは、オオカミ少年みたいなことを言っても仕方がないのであって、何で大変なんだろうねっていうことをよく認識していただかなければいけないと思うんです。
 自分の町や村がこのままいくと消えてなくなるよねと。20代、30代の女性の方々の残っておられる率というのか、おられなくなる率というのか、それは人口減少とたしか相関係数が0.99であって、極めて高いものでございます。そうすると、若い女性がいなくなるとどんどん町がなくなるよねということです。
 いいじゃないの、なくなってもという話かもしれないが、この日本国全体を考えたときに、食料にしても、エネルギーにしても、構図として、そういうものを作っていくというのが地方であって、そしてそれを、あえて言えば消費をするというのが東京なわけですよね。食料は作れるわけでもない。もちろん作っているところもありますが、エネルギーが作れるわけではないと。そして、出生率は全国で最も低いということですから、結局、地方が消滅していくということは、東京に対するそういう供給力も失うということになるわけで、それって、やがて国自体がなくなっていくことじゃないんでしょうかと。
 コンピューターにかけると、このままいけば西暦3000年の日本人は1,000人になってしまいますってなるんですよね。国家というのは領土と国民と統治機構によって成り立っているわけで、そうすると、国民がいなくなったら国がなくなるっていうのは当たり前の話なんですよね。
 ただ、その危機感が希薄であったのはなぜなのかといえば、高齢化というもので、そのこと自体は極めて喜ぶべきことであるけれども、一見人口が減らないように見えましたと。しかし、人間は不老不死ではないのであって、人口ピラミッドというものをきちんと見れば、やがて急速にその地域の人口が減少する。少子高齢化という一つのセットフレーズで言うから事の本質が分からなくなるので、少子化と高齢化というのは別の現象であるということですよね。急速に人口が減り始めるということの危機感と、それが何が悪いんだという話がある。いや、そうじゃないでしょうと。国そのものがこのままいけば消滅をするのです。私たちが、平和であり、自由であり、あらゆる権利が享受できる、この日本国というものをやはり次の世代につなげていきたいという思いを持つとするならば、自分たちが生きている間にそうはならんだろうということではないでしょうと。今の時代を生きる我々が次の時代に何の責任を持つべきかという危機感の共有であり、ある意味で責任感の共有とでも言うべきものなのかもしれません。
 これは、じゃあ、我がまちがこうなりますよっていうことと、日本全体でいえばこういうことになりますよっていうことを、我々がどれだけリアリティーを持って語れるかということは、これはなかなか、官僚機構においてはそういう話は難しいので、我々政治に携わる者が、それぞれの地域でそういう発言をしていかなければならないのではないかと私は思います。

(以上)