石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年6月19日

(平成27年6月19日(金) 8:56~9:12  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 本日、閣議前の農林水産業・地域の活力創造本部におきましては、昨年6月に改訂されました農林水産業・地域の活力創造プランのフォローアップが行われ、林大臣より農地中間管理機構を軌道に乗せるための方策、農林水産物・食品の輸出促進策についての報告がございました。
 私からは、基幹産業である農林水産業の所得の向上は、地方にとって、また地方創生に不可欠でありますと。この取組を着実に進め、より実効あるものとするために、地域における様々な主体が協働・連携し、新たな「枠組み」「担い手」「圏域づくり」を推進することが必要だという旨、申し上げたところであります。
 その後、知的財産戦略本部会合がございまして、地方における知的財産活用の推進等を重点柱として盛り込んだ知的財産推進計画2015が策定されたものでありますが、私のほうから、関係省庁と連携をし、知的財産の積極的な活用に向けた環境整備に努めたいという旨を申し上げたところであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)この後、本日の参議院本会議で地方創生関連2法が可決・成立する見通しになっていますけれども、その受け止めをお願いできますでしょうか。
(答)スムーズに審議が進み、一昨日、委員会において多くの賛成を得て、可決をしていただいたものであります。審議が内容のあるものだったなというふうに思っておりますし、多くの賛成が得られたことは誠に有り難いことでございます。会期内に無事成立をするわけでありますが、残る法案の早期成立に今後努力をいたしたいと考えております。
(問)関連ですけれども、今回の2法が成立することの意義、地方創生にどういったメリットが期待できるか、特に大臣はどこを考えていらっしゃいますでしょうか。
(答)2法は、分権あるいは地域再生に関して、多くの内容を含むものであります。特に農地について、国との協議というものは残しながらも、都道府県に、あるいは基準を満たせばそのほかの自治体にも転用許可権限を移譲するというものでありまして、決して規制緩和ではないが、地域の実情に即したスピーディーな判断がなされる等々、この分権は大きな意味を持つものだと思っております。
 また、地域再生につきましては、例えば小さな拠点でありますとか、あるいは企業の本社機能の移転でありますとか、多くの内容を含んでいるものであります。法律ができましたというだけでは余り意味がなくて、この法律の趣旨というものをよく徹底をし、実効あらしめねばならないということだと思っております。法律を作ってそれでお終いということではならないのであって、その趣旨をよく御了知いただいて、実効あらしめたいというふうに思っております。
(問)今日の午後、京都市が文化庁の移転についての申入れをするかと思うんですけれども、京都市のこの文化庁移転ということについてどうお考えかということと、あと、政府関係機関の地方への移転についてどのように政府として取り組んでいきたいとお考えかを改めてお願いいたします。
(答)聞いてみなければ分からないことでありますし、京都府とも連携をして、説得力のある御提案が頂けたらいいなというふうに思っております。移転する意義とか、あるいはそれによって期待される効果とか、今、東京にあるもの以上の-以上というのは今の水準も含むわけですが-機能というものをより果たせるのだ、そのことについて自治体がいかなる負担を負うのかというようなことについて説明していただく。文化庁は京都というのは比較的すんなり分かりやすいお話でありますが、そうであるだけに、今申し上げたような、いろいろな説明というものを説得力あるものとしていただきたいなと思っております。
 京都のみならず、このお話は全国多くの自治体において検討中でありまして、私は一つか二つしか手が挙がらないとどうしようかというふうに思っておったので、実際にどれだけ挙がるかは締切りまで分かりませんが、それを受けてどのようにするのか。やはり有識者の方というものも含めて、審査という言い方は余り良くないかもしれないが、どう取り扱うかということをやっていかねばならんわけですが、そこにおいて、国民が納得するような透明なプロセスというものを作りたいと思っています。やはりそれこそ「できません、なぜならば」ということを考える場ではないのであって、それができるようにするにはどうしたらいいかということで、透明性を持って取り扱っていく仕組みを早急に構築したいと思っております。
(問)ちょっと話題変わるんですけれども、文部科学省が全国の国立大学に対して、組織改革を進める大学の運営交付金を重点配分する方針を示しまして、グローバル人材ですとか地方創生の担い手育成のために、いわゆる人文社会学系の組織改変を促しているんですけれども、その中で、逆に幅広い教養が身につかないという批判も寄せられています。大臣は国会の中でも度々、どこにでもミニ東大みたいなものを作ってもしようがないというようなことをおっしゃっていますけれども、この大学の組織改変を進めるに当たって、大臣の御所見がありましたらお願いします。
(答)今回、文科省が方針を明らかにしているという報道は承知をしておるところであります。現在、文科省におきまして、入学定員超過是正のため、私学助成を不交付とする、入学定員充足率の基準を厳格化する、新たな学部の設置等を不認可とする、入学定員充足率の基準を厳格化するという方向で調整をしているとのこと。このこと自体は当たり前といえば当たり前の話であって、定員というのはきちんと守られるべきものだということであります。もちろん、大学に受かった後、行くとか行かないとかいろんなことがあって、そこは技術的に難しいことはございましょうけれども、やはり厳格に運用するという当然のことが行われるわけであります。このような方向性は、やはり東京に学生さんが集中するという傾向がございますので、地方創生の観点からも、大都市圏への人口流入を緩和するということになる、逆に言えば、地方からの流出を緩和するということになるわけです。
 また、教育の内容をどう考えるか、あるいは内容が薄くなるのではないかとか、いろんなお話がありますが、やはり大学においていかなる教養を身につけるかというのはかなり大事なことであって、1年で、受かった、良かった良かったと。2年でちょっとお勉強して、3年からは就職にいそしんで、卒論を書いちゃったらおしまいというような、そういうことではないと思っております。やはり大学教育の場において、学生さんが目的意識を持って勉強していただくというのがとても大事なことで、偉そうなことが言える立場でもないのですが、高等学校のときから、自分は一体、何を学ぶのだという、そういうような意識を持って勉強していただきたいなと思いますし、自分の大学時代を振り返ってみると、もっと勉強しておけば良かったなと思うことがたくさんございますし、4年って短かったなという思いがございます。
 ですから、地域地域において、やはりその地域独特の教育というものもやっていただきたいと思いますし、幅広い教養を身につけるとともに、大学を卒業して就職しましたと。そこからまた社会の教育をし直さなければいけないというようなお話を企業の方から聞いたこともありますが、相なるべくはそういうことを避けて、大学で学んで実社会に出る。大学の学問というものが実社会において役立つような教育もあるべきかなと、もっと充実させるべきかなと。これは感想でございます。
(問)ビッグデータのRESAS(リーサス)の開始から今月で2カ月になりますけれども、民間への普及というのがなかなか難しいかなというような感じがするんですが、せっかく誰でもインターネットで見られるというところが良いところだと思うんですが、今後、民間への普及というのはどのようにお考えかお聞かせください。
(答)やはりまだ2カ月ですが、自治体の関係の方あるいは議会関係の方の中に、「これって面白いね」という方が随分と出てきた感じを持っております。大臣室には当然のことながらいろんな自治体の方、議会の方が毎日大勢お越しになるわけですが、どうですかと聞いて、いや、「あれはいいですよね」という方が目に見えて増えてきたという実感を持っております。
 もう6月も半ばを過ぎるわけで、やはり「地方版総合戦略」作りというものが今、佳境に入りつつあると思っております。中には10月とか11月ということをおっしゃる方もあるので、もう少し急ぎませんかということは申し上げているのですけれど。そこにおいて、産官学金労言という話があって、産業界の方が議論される場合に、やはりそういうものを活用するということが民間に広がっていく一つのきっかけになるのかなというふうに思いますし、議会関係の方に特にお願いしているのは、6月、定例会があるわけですが、そこでRESASを使った質問というのが出るといいねということで、お願いもしておるところでございます。それから、市議会の団体で、「いや、これ使って市政報告会をやるとすごく面白いですよ」という方もおられて、そういうことがだんだん民間に広がっていくのではないか。これから先、RESAS(リーサス)というのはまだ発展途上のシステムでございますから、更に大勢の方が関心を寄せ、活用できるような開発をしてまいりたいと思っております。
(問)関連してなんですけれども、「地方版総合戦略」で素案という形などでそろそろ出始めていると思うんですけれども、大臣が御覧になっていて、気合の入っているところとそうでないところというのがどうしても出てきてしまうかとは思うんですけれども、大臣、どういったポイントに着目して「地方版総合戦略」を御覧になっていますでしょうか。
(答)一つは、「地方版総合戦略」の作成に当たって、先ほど申し上げましたような産業界であり、学問に携わる方であり、金融に携わる方であり、そういう方々がどれだけ参加をされたかという作成過程には、私は大きな意味があると思っております。これは作る段階のお話ですね。その上で出てきた「地方版総合戦略」で、KPIというものがなぜこの数字を設定をしたのか、なぜこれをKPIとして取り上げたのかということ、そして、それがストーリーとして、総花的・羅列的ではなくて、ここの市を、ここの町を、ここの村をこうするんだよと、だからこのKPIを設定したんだよと、そのためにはこういうことをやるのだよと、これをやる上においてきちんとPDCAを機能させるのだよというような、これはもう何度もお願いをしていることでございますが、それを本当にきちんと受け止めて作っていただいているところと、それって何の話でしたっけみたいな、今までの第何次何々市総合計画みたいなものを少しリメイクしたような感じで出してくるところとは違ってくるんだろうと思います。
 そこにおいて、例えば官民の連携でありますとか、自治体を超えた協働でありますとか、そういう要素が別に絶対マストだとは言いませんが、そういう要素が入っておって、国がなぜこんなことをお願いをしているのかという問題意識を受け止めてやっていただいているかどうかというのは、別に上から目線で申し上げているわけではなく、国と地方との共同作業という意味からいえば、重要なことではないかと思います。

(以上)