石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年6月16日

(平成27年6月16日(火) 9:57~10:16  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 本日、閣議に先立ちまして、第4回国土強靱化推進本部が開催をされました。所管大臣は山谷大臣であります。私から、「国土強靱化と地方創生は、地域の豊かさを維持、向上させるという点で方向性に同じものがある。地方創生の取組は国土強靱化にも資する。こうした観点から、我が国の安全・安心を向上させるような地域の特色を生かした防災に資する取組を、東京一極集中の是正とあわせ、山谷大臣とも連携し、引き続き支援したい。」という旨発言したところであります。
 もう一点は、国家戦略特区シンポジウムを開催いたします。資料はお手元にあるとおりでございます。
 指定特区の首長、有識者の皆様方にお集まりをいただき、特区の成果やこれからの課題について考えるシンポジウムということであります。
 どうもこの特区というのはよくわからんねという話もあるわけでありまして、このシンポジウムを通じまして、地方創生への効果等を検証する。いずれは特区の規制緩和メニューが多くの地方公共団体等で、より有効に活用できるようにという横展開の意図も含んでおるものであります。
 以上です。

2.質疑応答

(問)地方創生の基本方針にも盛り込まれる予定の高齢者の地方移住の日本版CCRCについてお伺いします。日本創成会議がいろいろ試算を公表して以来、全国各地の首長から賛否両論いろいろ意見が出ています。懐疑的な、地方へ高齢者を押しつけるだけじゃないかという批判的な意見もありますが、大臣はそれに対してどのようにお考えになるのかというのと、あと、このCCRCを持続的に全国各地に根づかせるために、移住する高齢者及び運営事業者、受け入れる自治体には、それぞれ税制あるいは交付金、どのような支援が必要とお考えでしょうか。
(答)批判的な御意見というものもございますが、この問題に限らず何でもそうなんですけれど、創成会議が言っていることをきちんと読んだ上での御批判なのか、あるいは新聞報道を読んだだけの御批判なのか、そこがよく私にはわかりません。非常にこの言葉は良くないんだけれども、「姥捨て山」にするつもりかというような、やや感情的な御批判もあるようでございますが、そんなことを誰も言っていない。
 まず第一に、これから先の20年ないし30年で起こる、人類が経験したことのない規模とスピードで起こる、東京圏の急速な高齢化というものにどう対応するのだということを数字を示している。これに対してどう対応するかということを考えたのがあのレポートであります。
 第二に、地方への移住が強制的にできるはずもない。できれば地方で暮らしたいなと、そしてCCRCが眼目といたしますのは、要介護になる前から地方へ移住をする。そして、サービスの受け手ではなく、その地域におけるいろいろな活動の主体として生活を営む。そして、その地域において生涯学習の観点からも学び、そしてまた教えるということで、閉じたコミュニティではなく、開かれたコミュニティとして形成したいということを申し上げているわけで、希望のある方に対して、それを妨げている要因をいかにして除去し、希望がある方の思いに対してきちんとした選択肢を用意するということを申し上げているのであって、誰も強制的に地方に移住しましょうということを言っているわけではない。
 一方において、多くの自治体が前向きな取組を示しているわけであって、受け入れる側が持っている懸念を除去することも我々の仕事であるということを申し上げているわけです。
 では、どういうことがこれから先一緒になっていくかということを考えたときに、何しろ今までない制度、サ高住-サービス付き高齢者住宅-というものがございますが、それとは異なるものをイメージしておるわけでございます。
 まず、実際に法律が必要なのか、あるいは予算措置が必要なのか、税制優遇が必要なのかというのは、これから年末にかけて詰めてまいりますが、そういう希望をお持ちの方々がまず真っ先に思い浮かべるのは、その地域に行って、自分にはどういう暮らしがあるだろうか。まだ要介護ではないわけで、50代の方、60代の方、年金を受給しておられる方、しておられない方、いろいろな類型があるわけで、そういう方々に対して仕事はどうだろう、何の活動ができるのだろう、あるいはその地域における医療はどうなのだろう、介護はどうなのだろう、生活の利便性はどうなのだろうということがきちんとした情報として伝わるということが必要でございます。
 そして、行く側にとって考えてみたときに、繰り返しみたいなお話ですが、お金を作り、そしてまたお金を返しという形でマイホームというものを手に入れました。じゃ、そのマイホームはどうなるんだろうと。では、それが何かお金を生むような、そういうような手段になり得るとしたら、どういう仕組みが必要なんだろうというのが、やはり一番の御懸念事項だと思っております。ですから、夢物語みたいなことを言っているんじゃなくて、行く側の方、そして受け入れる側の方々が、どういう懸念をお持ちになるだろうかということを念頭に検討を進めるということです。法律をつくるかどうかはまだ決まっておりません。しかし、それも一つの選択肢だと思います。
 予算上、税制上、どのような支援ができるか、あるいは新型交付金なるものを今制度設計中でございますが、今ある補助金では、これはだめだろうね、あるいは、交付税措置では、時間的に難しいよねということを考えたときに、論説懇ではお配りをしておるはずですが、CCRC構想を具現化するに当たって新型交付金の活用、ということも御説明はしておるところでございます。
 そういうようなことを総合的に考えていきながら御希望というものを叶えるということです。急速に進む首都圏の高齢化、そして、これから先起こるでありましょう地方における医療、介護の余裕部分、若い方々がそのままいけば、高齢者の方々が急増する東京へ介護人材としてまた移動をするという問題を惹起(じゃっき)するわけで、それをいかにして回避するかということを考えておるものでございます。
(問)関連でお伺いしたいんですが、今のお話についてなんですけども、内閣官房の有識者会議が、昨日なんですが、2025年に全国の医療機関で必要となる入院ベッド数の推計値を発表したんですけども、都市部では増やす一方、地方では減らしていくということで、およそ20万ほどの病床数を削減していくべきじゃないかという意見を出しているんですが、大臣は今の御見解では、都市部から地方へという流れと少し逆行するんじゃないかなと思うんですけれども、この地方部で減らす、人口が減るので減らすということだと思うんですが、むしろ地方では減らさずに維持するというのが今の政策と一致するんじゃないかなと思うんですけども。
(答)それは入院から在宅へというものをどれだけ推進するかということと整合させて考えなければいけないものだと思っております。今の社会的入院というものをどのように考えるか、そしてまた、人生の後半部分において、急性期病院の在り方、あるいはそこにおける入院の在り方をどう考えるべきなのだろうか。基本的な流れは、入院から在宅へということだと思います。そしてまた、人生の後半期を元気な形で人間としての尊厳がきちんと守られた形で在宅においてそういうような時期を過ごすということを考えたときに、単に入院ベッド数だけで問題を語るということは、やや十分ではないのではないかと思っております。
 ですから、そこは都市部、地方ということに限らず、やや日本は世界の中でユニークというかな、その入院の形態が異なっております。ベッド数にしても、人口当たりによりますが、諸外国に比べて少ないとは私は思っておりません。ベッド数が多いことのみをもって医療が充実しているということではない。それがその地域における人間としての生き方というものに最もふさわしいような制度をこれから先設計していかなければならないのであって、ベッド数の削減ということが直ちにそういうような、我々が作っております政策との矛盾を引き起こすとは考えておりません。
(問)昨日、衆議院の憲法審査会の地方公聴会が開かれたんですが、公募で選ばれた参考人6人のうち、高知県知事を除く5人が、やはり安保関連法制は違憲だという意見を述べられたんですけども、先日の学者に引き続き、こういう一般から選ばれた市民を含めて、衆院の審査会の中で違憲だという意見が大勢になっているんですけども、大臣、こういったことについてどのようにお考えになられますか。
(答)それは、事実は事実として受け止めなければならないと思っています。事が憲法に関することでございますので、学者の方、一般の方が違憲という見解を表明されたということは、重く受け止める必要があると思っております。私ども政府として、この法律がなぜ憲法の許容範囲内なのかということを繰り返し繰り返し、ああ、そうなんだと思っていただけるような努力をしなければならないのであって、わからない人はどうせわからないと言っていたならば、それは理解が広がらないと思っております。
 国会の会期の延長も一部の新聞に報ぜられております。そのことについて私は言及する立場にありませんが、国民の皆様方の、ああ、そうなのかということが数字になって上がっていくという努力はしなければなりません。それが下がるということは、やはり私どもとして、更なる努力が必要だということを示すものでございますので、ここは我が党所属の議員たちが、それぞれの選挙区に帰って一生懸命説明をする。たとえ野次られようがどなられようが、街頭に出てやる。どのように話せば御理解いただけるかというのは、それはやはりそういうようなことを繰り返していかなければなりません。どうせわからないのだからというような姿勢は我が政府としてとるものではなく、これから先も更なる努力を重ねていくということだと考えております。
(問)先週の厚生労働委員会で、渡辺委員長が入室する際に、野党議員に妨害をされて負傷するということが起きました。それに伴って、弊社の週末の番組で、民主党の長妻さんが、聞き方によっては暴力を正当化するような御発言をその際されているんですけれども、こうした国会の在り方、暴力というかそういう事態が起きてしまったことをどのようにお考えになるかということと、渡辺委員長が、携帯が無くなったということで被害届を提出する、したというような報道もあるんですが、こうした事態、今の国会でどのようにご覧になっていますでしょうか。
(答)乱闘国会というのは、私ども若いころよく見ました。私たちも当選1回のときは、その乱闘要員と言っては何だが、党の指揮、統制の下やったこともあります。物理的な力の行使というものは、やはり言論の府である国会においては、いかなる理由があれ正当化されるものではない。どっちが与党であれ、どっちが野党であれ、言論の府である国会において、物理的な力の行使というものが正当化されるということは、いかなることがあっても許されることではないのであって、私は御社の番組を見ていませんが、仮に民主党の責任ある地位にある方が、そういうことを正当化されるということであれば、それは、その発言は極めて不適切であるというふうに考えておるところでございます。
 携帯がなくなったかどうかというのは、何でなくなったのが出てこないのか私にはよくわかりません。
(問)(記者)出てきたらしいんです。自販機の底に。誰かがやった、そこに置いたとしか考えられないと。
(答)ああ、そうですか。それはどうなんだろうな。誰かがそれをやったとすれば、何らかの構成要件に該当するような気がしないではないですがね。人の物を持っていって、どこかへ隠しちゃってというのは、何に該当するんだったっけかな。いずれにしても、国民の側から見れば、何をやっているんだろうねということになるわけですよ。そんなことやってもらいたくて誰も投票したわけではない。私も野党というのをやったことありますが、少なくとも自民党が野党のときにそんなことはしなかったと思いますね。そういうような物理的な力の行使により審議を妨げるというようなことは、私どもが野党のときはやらなかったように記憶をしております。やはり国民に対して、何やっているんだろうねというふうな思いをいささかも持たせることがあってはならんというのは、全国会議員が心せねばならないことだと思います。

(以上)