石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年6月12日

(平成27年6月12日(金) 8:55~9:09  於:合同庁舎8号館1階S108会見室)

1.発言要旨


 あっという間に週末でありまして、明日土曜日、明後日日曜日、岡山県を訪問をさせていただくということであります。既に発表しておるかと思いますが、岡山県真庭市、ここは林野が8割を占めており、木材を有効活用した取り組みを進めておりまして、バイオマス発電所は発電規模が1万キロワットであります。一般家庭の2万2,000世帯分に該当するということで、真庭市全世帯の使用電力を賄える規模であるということであります。
 CLTでありますが、これも随分前から申し上げておるところで、林業再生の一つの切り札になるものではないかというふうに考えておるところでございますが、3月に3階建てのCLTによります市営住宅が完成をいたしております。本年度中にはCLTの新工場が建設をされるということでありまして、現在の約10倍の生産規模ということになるわけであります。
 そのほか真庭市では、まち並み保存でありますとか、ジビエでありますとか、御関心のある向きは藻谷浩介さんの『里山資本主義』という本を御覧いただけますといろんな記述がございますが、バイオマス、CLT、ジビエ、まちづくり等々、いろいろなものを視察させていただけるのではないかと考えております。
 また、岡山県美作市でございますが、いろいろな視察日程を組んでおりますが、特にポイントは、岡山県、兵庫県及び鳥取県、この3県の県境をまたがります6市町村から成ります三県境地域創生会議というものがございます。これを設立をし、産業振興や観光振興の分野で連携をしておるということでありまして、地域間連携ということをかねてから強調しておるわけでありますが、その状況というものを拝見させていただきたいというふうに考えておる次第であります。
 かなり盛りだくさんな視察でありますが、今後の地方創生に資するところ大であればいいなというふうに考えておるところでございます。
 以上です。

2.質疑応答

(問)冒頭の発言にもありましたが、地域間連携についてお伺いしたいんですけれども、単独市町村だけではなくて、なるべく地域間で進めてもらいたいというのはかねてからおっしゃっていることだと思うんですが、新型交付金などで、今度、上乗せ分残っていますし、来年度以降もそうなんですが、こういった複数自治体にまたがる地域間連携に対する交付金を優先的に交付するですとか、そういうお考えというのはあるんでしょうか。
(答)優先的にということを断定的には申し上げませんが、例えばDMO-デスティネーション・マネジメント・オーガニゼーション-というものを考えたときに、この地域間連携というのは非常に有効だと考えております。国会の審議でも、県境をまたがった取り組みがあり得るのかというような御質問が何度かあったというふうに記憶をいたしておりまして、そのときにこれは非常に重要なポイントだということを申し上げました。
 地域間連携をすればそれでいいというものではありませんが、地域間連携をすることで、それぞれの単独の自治体だけではなし得ないものがたくさんあると。産業もそうですし、観光もそうだと思っております。そこにおいて、RESAS等々を活用して、地域間連携とは具体的にこういうことなのだというようなストーリーが作られる。これは新型交付金の一つの重要な要素でもございますので、先駆的に取り組むということは非常に有意義なことだというふうに思っております。これは見てみなければわからないということで、さればこそ視察してみましょうということに相なるわけでございます。
(問)明治日本の産業革命遺産についてお尋ねしますけれども、日本と韓国の協議の中で、韓国側の強制徴用の歴史を反映させるようにというようなことで、妥協案を求めてきたというような報道もされておりますけれども、交渉についての現状と今後、7月に向けての政府の取り組み方針についてお願いします。
(答)6月9日に事務レベルの会合が開かれたということは既に報道にあるとおりでございます。そこで韓国から新しい提案がなされたということもまた私どものほうで発表しておるところでございますが、その内容について詳細を申し上げることは差し控えたいと思っております。この世界遺産というものにきちんと登録をされるということは、我が政府として、これから先も努力をしていかなければなりません。修正案の提示につきまして、その内容につきましては、韓国政府との関係上、言及は差し控えたいと思っておるところでございます。お互い相手のある話でございますので、向こうの主張の真意が那辺にありやということはよく考えていかねばならない。
 我が国がかねてから主張しておりますことは、年代を区切って私どもとしては出しておるわけであって、その後に起こりましたいわゆる徴用工の問題というのは、時期を異にするものであるということでございます。ただ、この文化遺産なるものがその後どのような経緯をたどっていったか、今日もなお稼働中のものが多いわけでございまして、我が国の登録に向けた主張というものは、毫も変わるものではございません。その後、私どもとして、今日に至るまでの経緯、つまり1910年以降にどうなったかということについて、どう取り扱うかは、韓国から言われたからどうのこうのということではなくて、我が国としてどのように考えるかという、我が国の主体的な判断ということになるだろうと思っております。
 私どもとして、この歴史というものに常に謙虚に向き合うということは、一般論として必要なことでございますが、事この問題に関しましては、今の私からこうあるべしということを申し上げるだけの立場にはございません。
(問)今のに関連するんですけれども、ということは、韓国側からの提案というのは、政府として検討に値するというようなことなんでしょうか。
(答)ですから、先ほど申し上げたように、相手の立場もございますので、これはどのような提案があったかということには、言及はしないものでございます。ただ、当然、向こうからこのような提案がありましたということであれば、それを検討した結果として判断を下すことになりますが、向こうが提案したことについて一顧だにしないとか、そういうことにはならないでしょう。私たちとして、先ほど申し上げましたとおり、1910年ということできちんと区切ったものでございまして、そういう形で申請もしてきたものでございます。そのことについての判断を求めているということでございますから、我々の主張にいささかも変わりはない、毫も変わりはないと申し上げたのは、そういう意味でございます。
 だから、この後、これが展示が行われるとするならば、それをどう取り扱うかは、我が国が主権独立国家として、どの国から言われたからどうのこうのというお話ではない。我が国として主体的にどのように判断をするかということは、政府として当然考えるべきことではないでしょうか。私どもの主張というもの、あるいはその正当性というものについて、いささかも変更を加えるものではないということでございます。
(問)RESASに関連してお伺いしたいことがあります。このRESASは、地域の産業とか人口とか観光について、分かりやすく分析できるシステムですが、一方で、総務省のほうでも地域の産業・雇用創造チャートというのを出していて、これを見ると、雇用力の高い産業とか稼ぐ力とかが分かるようなシステムにはなっているんですが、このRESASとの何か連携とか、両方合わせてより分析していったりとか、そういったことも今後考えられるかと思いますけれども、その点について大臣のお考えを聞かせていただけますか。
(答)これは一にかかってユーザーフレンドリーでなければいけないということでございます。RESASシステムの運用に関しましては、かなり詳細な御説明をしておりますし、各地において説明会も催しておるものでございます。今度、総務省がこんなことができましたよと、またこの説明会をやりますというようなことになると、自治体にしてみれば、それは有り難いことではあるが、一体的に運用してくれんかねということも当然ございましょう。
 ですから、これは内閣府がどうのとか総務省がどうのとかいうお話ではなくて、ユーザーフレンドリー、使用者の利便性というものを考えたときに、それが一体として運用がなされるという点をよく重視しながら連携を図っていくということです。申し上げましたように、自治体の担当者が、それは有り難いんだけど、こちらを引いて、あちらを引いてとか、また説明会に、この日はこちら、あの日はあちらというような煩瑣(はんさ)なことはなるべく避けるような運用をしていかねばならないので、そこは総務省ともよくお話をしてやっていきたいというふうに考えております。
(問)所管外なんですが、安保法制に関してなんですけれども、現在、議論を続けていますが、本日、山崎拓氏や古賀誠氏ら元自民党幹事長メンバーを含む5人が、日本記者クラブで安保関連法制について反対の記者会見をされるということです。自民党元幹事長経験者らがこういった安保法制に反対だという声を挙げる現状について、大臣はどのようにお考えでしょうか。
(答)我が党は言論を封殺するような、そういう党ではございません。昔もそうでしたし、私が政策責任者あるいは党の責任者をしていたときも、いろんな御主張がございました。それぞれの方がそれぞれのお考えに基づいて意見を述べられるということは、望ましいことであります。ましてや、今名前を挙げられました党の大先輩の皆様方は、直接今までの議論に関与されてきたわけではございませんので、御発言というものはまだ行われていないわけですから、お伺いしてみないと分からないことでございますが、議論に参加をいただいてないだけに、何か御理解が私どもが考えておりますことと乖離があったりするのかもしれません。
 いずれにいたしましても、この安全保障法制というものは、党内の議論を経て、政調会の決定を経て、そしてまた総務会の決定を経て党議決定となっているものでございます。現在、有権者の方々から選ばれて責任を負う立場におる我々が主体的に判断をするものでございますが、大先輩の方々のいろんな御懸念、お考えというものは真摯に承って、より広範な理解を求める糧としたいと考えております。

(以上)