石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年6月2日

(平成27年6月2日(火) 8:58~9:20  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 かりゆしの日というようなことでこのような服装であること御了承賜りたいと存じます。
 既に御案内しておるところでありますが、本日17時半より都道府県会館におきまして、東京都、千葉県、神奈川県、埼玉県、「1都3県の地方創生に関する連絡会議」が開催をされるわけであります。私と副大臣が出席をいたします。
 この趣旨でありますが、1都3県におきます高齢化、少子化は深刻な問題であり、1都3県のみならず日本全体の将来像に大きな影響を与える、このように考えております。したがいまして、国としても地方創生を推進する立場で参加をいたすものであります。
 昨日の経済財政諮問会議におきましても、新型交付金の検討状況とあわせ、この1都3県の課題についても申し上げたところであります。
 次に、昨日の日本版CCRC構想の有識者会議におきまして、日本版CCRC構想の素案を取りまとめたところであります。
 昨日事務方からブリーフィングをしたとおりでありますが、今回の素案におきましては、基本コンセプトや具体像を示しておるところであります。この構想を推進する意向を持っている地方公共団体や事業主体が検討する際の御参考になるものだと思っております。今後、今年の夏ごろに中間報告の取りまとめを行うことになるわけでありますが、年内を目途に最終的な取りまとめがなされるように議論を進め、成案を得たいと考えております。これが実現をされますと、地方における人口減少問題の改善、地域の消費需要の喚起や雇用の維持・創出、多世代との共働を通じた地域の活性化などの効果を期待をいたしておるところであります。
 私からは以上です。

2.質疑応答

(問)日本版CCRCについてなんですけれども、昨日、素案がまとまって、幾つかの実現に向けた論点も例示されたかと思います。事業の進め方とか事業主体、かなり多様な論点を示されたかと思うんですけれども、具体化に向けて、大臣、一番の鍵になるとお思いのところはどういうところでしょうか。
(答)これは、利用してくださる方としてどのような方々を想定するかということが一番の論点だと思っております。アメリカのようにかなりシニアな―かなりという言い方が良いかどうかわからないが―やや富裕な方々というものを対象とするものではございません。国民の皆様方で、アクティブシニアの方々が大体どれぐらいの資産をお持ちなのだろうか、あるいはどれぐらいの年金を受給しておられるのだろうかということを考える必要がある。そして、東京圏に別に限りませんが、大都市圏にお住まいの方々は、では、今自分が持っているお家はどうなるんだろうとお考えになるだろうと思っております。ですから、こっちの理屈ではなくて、お客様の側に立って、どういうような形でこのCCRCが目指しますところの元気なうちから地方に行けるようにするのか。そして、単なる受け手ということではなくて、その地域においていろいろとポジティブな活動をする、コミュニティを作るということなのですが、それを実現する上において、どのような方をお客様として設定をするかということだと思っております。その方が都会にお持ちの資産というものをどのような形で活用して、このCCRCにつなげていくかということが論理的には次の展開になるわけです。まず、どのような方をお客様として設定するかということが一番の論点かと私自身は考えておるところでございます。
(問)日本版CCRCなんですけどもまだ基本コンセプトとか構想ということなので、若干クリアじゃない部分もあるんですけれども、何がCCRCで、何がCCRCじゃないかという判別というのは、これから国が助成なり補助なりをする際にもきっちり明確にしておかなければならないと思うんですけども、そこは国が認定なり承認なりするような、最終的にはそういうような形になるというふうにお考えでしょうか。
(答)まだ原案、素案なので、そこまでは確定をしておりません。そこも大事なポイントで、例えば賃貸なのか分譲なのかとか、国が支援をする際に、では、税制面で支援をするのか、あるいは補助金というような形なのか、支援を事業者に対して行うのか、個人に対して行うのか等々、どういう商品設計をするかで全くマーケットは変わってくるわけでございます。今回こういう素案を提示をして、いろいろな御意見が出てくるだろうと思います。実際にお使いになる国民の方々がこういうのだといいな、ああいうのだといいなというのが出てくる。事業者にしてみれば、ビジネスモデルとしてどういう形がいいのかというのが出てくる。また、受け入れる自治体側にしてみると、今4月時点で202の自治体から、こういうものに対して手が挙がっているのですけれど、その自治体の側にしてみると、まだアクティブなシニアの方々がやってくる、いいことだ、いいことだと。そこにまちができる、良いことだ、良いことだ。地方大学の応募者が段々定員割れみたいな状況も今起こっているわけで、地方大学も活用される、良いことだ、良いことだ、良いことだらけではないかと。こういう話になるわけですけれども、では、どういう地域にそれを作るんでしょうねと。今CCRCというと、ゆいま~る那須とかシェア金沢とかそういうところが出てくるわけですが、では、それを仮にまちなか、いわゆるシャッター通りみたいに言われているような、あるいはまちなか限界集落とかいろいろな言葉がありますが、そこへ持っていった場合に、では、そこをどのようにして再開発をするのか、そこに対して何か支援はあるのか等々、自治体の側としてもいろいろな御関心とか御懸念事項があるんだろうと思います。ですから、あえてこの段階で素案を発表いたしましたのは、いろいろな立場の方々から、いろいろな御意見を聴取して、これを中間取りまとめ、あるいは最終の文書にまとめていきたいということなので、今御指摘のようなことについてのいろいろな御意見をまた踏まえて、これから先議論を重ねて中間報告に至る、最終報告まで更にそれを詰めていくということでございます。
(問)昨日の経済財政諮問会議で出された新型交付金のイメージについてお伺いしたいんですけれども、昨日、具体例として日本版CCRCや日本版DMOですか、あと移住促進など具体例を出されましたが、いずれも縦割り事業を超えた取組支援というふうにおっしゃっていたかと思います。具体的なイメージとして、個別の地方自治体に配るのではなくて、まとめて配るイメージなのか、その辺もう少し具体的に伺えればと思うんですが。
(答)今御指摘のように、具体例としてCCRCであり、あるいはDMOであり、いろいろな形態があるんだろうと思っております。そのときに、既存の補助金ではなぜだめなのか、あるいは交付税ではなぜだめなのかということになって、例えばDMOを考えたときに、自治体が連携していかないとできないことだよねと。そうしないとこのような自治体ごとにKPIを設定してみても、なかなか達成は難しいよねということになりますと、この新型交付金なるものの配分の仕方を、それぞれの自治体ごとにお配りをするのか、それとも、まとめてお配りをするのか等々、そういう設計はいろいろな形があるんだろうねというふうに思っております。ですから、交付金ありきではなくて、このような使い方をしたほうが、より効果が表れるのではないかという点を重視して考えていきたいということで、何も自治体の形式的な枠にのみ拘泥するものではございません。
(問)先週末なんですけれども、和泉総理大臣補佐官が沖縄を視察されまして、ユニバーサルスタジオジャパンが沖縄進出を検討している候補地を視察されました。その際に、国営海洋博公園の規制改革も検討したいと述べて、国家戦略特区の活用も示唆されていますけれども、国としては、補佐官は実際に行かれているわけですが、戦略特区として指定されていく考えというのはおありですか。
(答)現在、国家戦略特区として、このユニバーサルスタジオジャパンが沖縄に出る、国営海洋博公園を活用するということを具体的に検討しているということはございません。和泉補佐官がこの視察を行いましたのは、USJが進出したいと思っている中の一つに、この国営海洋博公園が挙げられているわけでありまして、実際の状況を把握するために行ったというふうに聞いておるところでございます。そうしますと、一体何が問題なのかというと、都市公園法によりまして、公園区域内に設けられる建築物の面積ということについての規制がございます。公園区域内で設けられます建築物の建築面積は、敷地面積の2%が上限ということになっておるわけですが、政令で定める休養施設、運動施設、教養施設、災害応急対策施設の場合には政令で10%の上乗せが認められております。しかし、遊具でありますとかそのようなものについては上乗せの特例がありませんということが事実としてあるわけで、現在におきましても、この沖縄の公園は相当に物が建っておって、この政令の10%の上乗せのかなり上限に近づいていますということがあるわけです。事実としてはそこまでであります。そこから先どうするかは、今の時点で予断をもって言うことではなくて、沖縄のいろいろなお考えもあるでしょう。そもそも都市公園とは何ぞやという本来の趣旨もございますでしょう。そこはいろいろな角度から検討を加えて判断せられるべきものであって、今からUSJが出るとすれば、みたいなお話をすることはあまり適当ではないなと、こういう問題があるという点だけ御指摘をさせていただきます。
(問)所管外で恐縮なんですけれども、参議院の選挙制度改革についてなんですが、与野党の協議会は事実上打切りという形になりまして、これから政党間同士で協議するということになったんですけども、仮に今、合区という話も出ておりますが、鳥取県、島根県、もしくは高知県、徳島県が合区になった場合に、地元からは地方創生と言われつつも、議員の数を減らしていいものかという反発も少なからず声が聞こえてきます。大臣としての所感をお聞かせいただければと思います。
(答)大臣として所感は申し上げにくいので、一衆院議員としてでよろしいですか。 先般、倉吉市とか鳥取県で街頭演説を我が党主催で行いましたときも、舞立参議院議員から縷々(るる)そういうお話が出たところでございます。これはあくまで個人的な私見なのですが、日本国憲法において、国会議員は国民全体の代表者である。これはよく小学校でも中学校でも習うお話ですが、そこに衆参の別はないわけで、また、選挙の方法等については法律でこれを定めるというふうになっているわけです。そうしたときに、衆議院に1対2が求められる。参議院は1対5はだめだが、1対4なら良いのかとか、いろいろなお話になってくるわけで、私は、これは幹事長のときから申し上げていることですが、やはりきちんと憲法において参議院の持っている役割、それは私自身は地方の議員が減るということが、なぜいかんのかといえば、やはり地域代表としての位置付けが明確になされねばならぬ。そうすると、合衆国のように、どんなに大きな州でも、どんなに小さな州でも上院議員が同じ配分が割り当てられているということと、ユナイテッド・ステイツである合衆国と日本国との間の国の成り立ちの違いがあるわけで、そこをどう説明しますかということも含めて、私はやはりきちんと憲法上に参議院の役割というものを記すべきだということをかねてから申し上げてまいりましたし、それは今も変わりません。ただ、もう来年選挙があるわけで、そこにおいてどのような形をとるのかというのは、やはりこれは憲法というものも念頭に置きながら真摯に議論をして結論を出さなきゃいかんということであります。
 参議院は参議院で、例えば衆議院のように、議長の下にあのような会議を設けて、そこで出たものを尊重しましょうねという形になっておりませんので、院の独立という観点からも、あまり我々党の執行部としてもあれこれ言うことをしてまいりませんでしたが、もう選挙まで1年を切っているわけで、これから先の日程表というか工程表も示した上で、議会というものがこの憲法の問題を等閑視しているわけではありませんという姿勢をきちんと示していく。違憲判決なんかが出ると、今までの参議院が決めたことというのは全部ひっくり返るわけですから、そういうことにはなるわけがないだろうねということは、現象としては確かにそうかもしれないが、我々としてどういうようにこの憲法との問題に整合をとるのかということが参議院において論ぜられることが一番望ましく、それがまた司法に対する我々としての真摯な姿勢の発信にもなると思っております。
(問)昨日、町村前衆議院議長がお亡くなりになりまして、大臣の御所見をお伺いできればと思います。
(答)いろいろな御縁がありまして、当選期数は私が1期下なのですけれども、私が防衛庁長官を務めた後だったと思いますが、例のインテリジェンスについての自民党内のプロジェクトチーム、これは町村さんが座長で、私がその下で取りまとめのようなことをやっておりました。ですから、インテリジェンスに関することは、何も昨日今日始まった話じゃなくて、11年も前からこの仕事を町村さんと一緒にやってきたなということでございます。
 そこにおいて、かなり侃侃諤諤(かんかんがくがく)の議論をいたしました。それはインテリジェンス機関というものを仮につくった場合に、誰がそれを統制するのだろうかということが議論の中心で、やはりインテリジェンス機関なるものが行政の中に設けられる以上は、立法府がそれを取り扱うべきだろうと。しかしながら、立法府における秘密保持の在り方とは何なのだとか、随分とロジカルな議論をした記憶がございます。また、福田内閣で町村先生が外務大臣から官房長官に転ぜられ、高村先生が防衛大臣から外務大臣に転ぜられ、あのときに新しく任命された閣僚は、文科大臣の渡海さんと防衛大臣の私だけだったと思いますが、そこにおいて、テロ特措法が期限切れを迎えますので、これは何としても国民の御理解を得ねばならんということで、まだ寒い時期だったと思いますが、渋谷とか新宿とかの街頭で町村官房長官、そして高村外務大臣、私で街頭演説をしたというのは非常に記憶に残っております。なかなか時の官房長官が街頭に立つということはないのですが、町村さんは街頭に立って訴えていただいたということは非常に記憶に残っております。
 常に理詰めでやられる方でございましたので、意見が合わないこともございました。しかしながら、きちんとした政策論を展開され、そして、時には街頭に出てそれを訴えるという、そういうような情熱をお持ちの方であったと思っております。

(以上)