石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年4月21日

(平成27年4月21日(火) 8:59~9:40  於:合同庁舎8号館1階S106会見室)

1.発言要旨


 おはようございます。
 閣議並びに閣僚懇談会、特に私どもの案件はございません。御報告することも特にございません。後ほど御質問があればお答えを申し上げます。
 今日は、かねてからお知らせをいたしておるとおりでございますが、本日から提供開始いたします「地域経済分析システム」、すなわち地方自治体の「地方版総合戦略」の立案を情報面、データ面から支援するというふうに申してまいりましたが、人材面、財政面とともに情報面、データ面から支援するわけであります「地域経済分析システム」でございます。これについての御説明を申し上げます。
 部屋が暗くなりますが、スクリーンで花火が打ち上がるんだそうでありまして、そこに「RESAS」と出ます。少々お待ちくださいませ。
 これがその「RESAS」の一番冒頭部分でございます。
 RESASと申しますのは、Regional Economy (and) Society Analyzing System、これの頭文字を取りまして「RESAS(リーサス)」というふうにこれから呼称したいと存じます。
 「RESAS」の最大の特徴は、地域の現状や課題、強みあるいは弱み、更には将来像といったものについて、官民のビッグデータをわかりやすく可視化、「見える化」するということで、様々な「気づき」というものを持っていただきたい、こういうような趣旨でございます。
 このシステムは、地方自治体の職員の方々のみならず企業間取引データに基づく産業マップ以外は、本日よりいつでも、誰でも、どこからでも自由にインターネット上で御覧をいただくことができます。既にそのような資料を配布いたしておりますので、どうぞお時間があればパソコンを操作してみていただきたいと思いますが、私どもが進めております地方創生で最も重要なことは、客観的なデータに基づく基本目標あるいはKPI(キー・パフォーマンス・インジケーター)を設定するとともに、毎年度、政策の効果をデータで検証した上で、更に政策を改善していくという、当初から申し上げておりますPDCAサイクルを確立するということであります。これが最も重要なわけであります。
 この「RESAS」は、このPDCAサイクルを確立するに当たりまして「切り札」ともなるべきものであります。今後の地方行政の在り方を抜本的に変えると、そういうような可能性を持っているものであります。
 以下、具体的に御説明を申し上げてまいります。
 まず第一に、現在の行政区域を超えた自治体間の政策連携を促すことにつながるということであります。
 産業政策、観光政策、過疎化対策等々、そのような政策を推進していく場合において、市町村という行政単位では、小さ過ぎるのではないか。あるいは都道府県という行政単位ですら小さ過ぎるというものもあるわけでございます。それぞれの自治体がどこと連携をするかということは、それぞれの産業ごとのサプライチエーンあるいは取引関係を見て判断をいただくということが正しいのでありまして、この「RESAS」を活用することによって、それが可能になるものであります。
 これは群馬県、埼玉県、栃木県、この3県の間におきます輸送用機械器具製造業、いわゆる自動車部品産業の企業間取引を見たものであります。例えば富士重工が群馬県太田市にございます。あるいはホンダも立地をしておるわけでありますが、そのような協力企業群が集積をしております。このようにあちらこちら、そのような取引というものが3県において行われているわけでございますが、自動車部品産業支援というものを行う場合に、これを個別に行うよりも、3県が連携してその支援を行ったほうが、より効果的であるというふうに考えております。そのような産業政策を推進するにおいて、各県がバラバラにやるのではなく、栃木県、群馬県、埼玉県、この3県の連携した支援策というものが、これを見ることによって、ああ、なるほど、そういうことであるなということにお気づきがいただけるということであります。これが第一点。
 第二に、今、行政区域を超えた、ということを申し上げましたが、次に、新たな成長の可能性を発見するということでございます。
 ともすれば、これまで政策を立案する上において、「経験」あるいは「勘」あるいは「思い込み」というような、「KKO」と言いますが、こういうことにともすれば陥りがちなところがあったのではないか。これからこの「RESAS」を活用することによって、新たな成長の可能性、「伸びしろ」を見つけることができるのではないかということであります。
 これまで行政としては把握していなかったものの、しかしながら、実は地域経済を支えている「地域中核企業」というものをこの「RESAS」で検索をすることが可能であり、それを抽出することができるわけであります。このような地域中核企業に行政の側から出向いていき、いろいろな案件を承る、「御用聞き」をすることによって多くの課題あるいは悩みのようなものを解決するような政策に役立てることが一番地域の活性化につながるということでございます。企業を歩いてみるといっても、やたらめったら選挙の企業訪問ではございませんので、一体どこへ行けばいいのだろうかということを行政の担当者があらかじめ知っておくということも重要なことであります。そのようなことによりまして、中核企業を更に成長させることが可能であり、そのことによって、その協力企業群、そのような方々もともに成長するということが可能である。地域経済全体が「面」としての「稼ぐ力」を更に高めるということにつながるというふうに考えております。
 この地域中核企業の検索・抽出の機能につきましては、非常に秘匿性が高いわけでございまして、これは当然のことでありますが、事前に御登録をいただきました地方自治体職員の方々しか御覧をいただくことはできません。今日、お手元にお配りしております資料の10ページに、大体どのようなイメージになるかということを記してございますので、御覧いただきたいと思います。
 第三に、これも極めて重要なことでありますが、その地域の主権者たる住民の方々によります政策評価が可能となるということでございます。
 いろいろな政策に対して、その評価というものがなされなければいけません。こうした施策の経過をデータにお示しをすることによって、過去から未来まで追跡することが可能となります。全国47都道府県、約1,800の市区町村の中での順位でありますとか、そのようなものを国民の皆様、その地域地域の住民の方々が、御自宅のパソコンで見ることができるようになるわけでございまして、自治体経営の現状と課題を住民の方々にも可視化ということを可能にするものであります。
 これは考えてみれば当たり前の話で、企業がその1年間の企業活動を財務諸表を通じまして株主や、あるいは一般社会から評価をされる。それと同様に、自治体経営そのものについて、そのようなデータを通じて住民、納税者、そういう方々が把握をできる。住民による政策評価を可能とするということがこの「RESAS」の特徴の一つでございます。
 これは、福岡市の創業比率でございます。読みにくいかもしれませんが、2001年から2012年まで創業比率をグラフにしたものでございます。この一番上の青の部分が福岡市、黄色が福岡県、そしてグリーンが全国ということになるわけであります。
 福岡市は創業比率が高いということで知られておるわけでございますが、それでは、その福岡市は高い高いと言われますが、福岡県の中では第何位でしょうかということを見ますと、福岡市は県内では第7位、全国の中では第48位ということが出てまいるわけでございます。
 このような行政の取組と全国の中での位置付けが常に明らかになるということによりまして、地方行政というものも自ずと変わってくるのではないか。自治体の側といたしましても、効果がないような政策、「なんちゃって政策」と言っているんだそうでありますが、そのようなものは打てないということになります。常に住民の方々に施策の成果というものを見られることになるわけでありまして、定めたKPIは適正なものであるか。そして、そのような目標の達成にどのような進捗が見られるかということが住民の側に常に知らされることになるわけであります。それは行政と住民、行政と主権者の間に良い意味での緊張関係をもたらすということになるというふうに考えておるわけでございます。
 第四に、この自治体経営をデータで誰でも見られるということは、実は住民の方々の行政に対する参加を促すことになると考えております。
 いつも「産官学金労言」と、こういうようなことを申し上げているわけでございまして、それは行政任せにするのではない。産業界の方あるいは学問に携わる方、メディアの方々、あるいは金融機関の方々、労働関係の方々等々参画をしてくださいと言っているのですが、その参画をする場合に、自治体経営のデータというものは住民の側から手に入れるということは難しかったと。行政の側から提供されたものを見ながらいろいろなことを言うということになるわけでございますが、こういうものを提供することによりまして、いろいろな統計データを知ることができるわけです。今までそれをやろうと思ったらば、経済産業省とか農林水産省とか国土交通省とか、いろいろなところのホームページからデータを自分で探して、自分で加工するということが必要だったわけであります。非常に煩瑣(はんさ)な手間でありまして、これは今まではそれぞれの都道府県庁の統計部門の方しかなし得なかったということでございますが、これがこれから住民の方々が御自宅で御覧いただけるようになるわけで、住民の方々の参加というものを容易にすると考えております。
 そんなものは「RESAS」に頼ることなく紙の資料でやればよいのではないか、そっちのほうが便利だし、簡単だしというお話もございますが、しかしながら、この「RESAS」の特徴は、データを入手することによって、それを見ながら自分でさらにこれを引き延ばすとどうなるだろうか、過去との比較はどうであろうか、ほかのデータと組み合わせるとどうなるであろうかというようなことができるようになるわけでありまして、住民の方々が自発的かつ積極的な参加をすることが可能になるというものだと思っておるわけでございます。
 この絵は、石川県の能登半島でございますが、この一番先端にございます珠洲市というのがございます。人口1万6,000人という小さな市なのでございますが、これの人口というものを見てまいりたいと思います。
 このように、人口というのはどんどん減っていくわけでございますが、2040年に向けて急激に人口が減るということが先ほどの折れ線グラフでございます。
 人口ピラミッドというもので見ると、2010年がこういう形になりますが、このまま推移をしますと、人口ピラミッドで90歳以上の方というのが今これだけなわけでございますが、それがこのままいくと、2040年に女性の場合にはこれだけ、つまりピラミッドの階層の中で一番多いということになる。これはかなり劇的な変化ということになります。そしてまた男性と女性の比率というものも、このような形で変わってくる。そして、若い世代の方々というものは、このように減ってくる。2010年から2040年まで、このように高齢者の方々の割合が高い人口構成になるわけでございます。
 こうやってカーソルを合わせていきますと、一体何人ですかねということが出てくるわけでありまして、2040年、今から25年後のこの珠洲市の人口は、5歳から9歳の男の子の場合には94人、女性の方々は89人と、カーソルを合わせるとここに数字が出てくるわけでございます。
 現在珠洲市には9つの小学校がございます。1学年1クラスでありまして、今の5歳から9歳のお子さんの数は約500名、1クラス平均約10名ということになるわけですが、2040年にこういう数字になるとすれば、2040年には1クラス4名、今10名なのが4名になっちゃうということになるわけでございます。これを市長さんでありますとか担当の方々が、住民とのいろいろな集会の際に、これをスクリーンで映し出すと、2040年にはこのままいくとこうなります。じゃあ、どうしましょうかということがお気づきをいただける。それによって初めて、どのようにして人口減少に対して、珠洲市なら珠洲市がどのような政策を打つべきかということに対していろいろな意見が出る、あるいは危機感を共有するということになるわけでございます。
 この「RESAS」を用いることによりまして様々なシミュレーションができることになります。つまり珠洲市だけで見るのではなくて、お隣の輪島市というものを加えるとどうなるでしょう。これは珠洲市に輪島市を加えたものでございますが、このように人口ピラミッドが変わってまいります。じゃあ、輪島市だけではなくてお隣の穴水町というものを加えたらどうなりますでしょうかということであります。今度、穴水町を加えるとこういうことになります。さらに、じゃあまた、その近くの能登町を加えるとどうなりますか。輪島市、珠洲市、穴水町、能登町というのを称して「奥能登」と言われるわけでございますが、この2市2町においてはどうなりますかということで人口を示すとこういうことになるわけでございます。これによって医療連携をどうするべきなのか、あるいはお医者さんの数、小学校の数というものをどのようにしていくべきかということを、それぞれの自治体を超えた形で政策を立案することが可能となるというふうに考えております。
 第五に、これは当然のことでございますが、地方議会と行政との関係が変わってくると思っております。
 今、統一地方選挙の後半戦でございますが、地方議会に議席を得られた方々が、この「RESAS」を活用することによって、思い込みとか感情論とかそういう形ではなくて、このような客観的なデータに基づきまして将来についての議論あるいは現状の政策についての議論ができる、例えて申し上げれば、「人口流出の実態はどうなっているのか、若者の雇用の場をどう作るのか、あるいはほかの自治体と組んで就職マッチング事業をやってはどうか」というような具体的な提案をすることが可能となります。これによりまして、より地に足のついた建設的な議論が繰り広げられるというふうに考えておりまして、地方創生の真骨頂とも言うべきものとなるというふうに期待をいたしておるところでございます。
 これは先ほど申し上げました輪島市の20代の女性の方々ですね。この20代の女性の方々が、さあ、どこへ行ったんでしょうねということを表す円グラフでございます。昨年は、この輪島市から43人の20代の女性の方々が転出をしているわけでございます。そういう人たちは一体どこへ行ったんでしょうかということを見てみますと、43名のうち9名の方々は金沢市に行っている。金沢市で止まっていると言ってもよろしいかもしれません。輪島市として、あるいは石川県として、東京にこれ以上、あるいは名古屋にこれ以上若者が転出しないためには、この輪島市と金沢市が組んで、輪島市の若者向けの就職マッチングイベントを開催する。つまり、いつも言っていますように、人・金・ものがどこから入り、どこへ出ていくのか、それはどのような人であり、どのようなものであり、どのような金であるのかということを明らかにしていきませんといろいろな政策が打てないわけであります。このデータは当然県も持っているわけでありまして、石川県と金沢市あるいは輪島市の連携ということを更に円滑にするためにも活用できるというふうに考えておるものでございます。
 あと詳細はお手元に配っているものを御覧になりながらパソコンをいじってみていただきたいと思いますが、この「RESAS」は決して魔法の杖ではございません。これによって、では、どうしたらいいですかと聞くと、はい、こうですというようなものを「RESAS」が出してくれるということではございません。これはある意味で、大体の傾向というものを把握をするという、言ってみれば、「人間ドック」のようなものでございまして、これから先、各自治体においてどこに課題があるか、あるいはどこに「伸びしろ」の可能性があるかということをつかむ、「気づき」を持っていただくためのシステムという位置付けをいたしておるわけでございます。
 私どもとしては、この自治体経営におきまして、あるいはそこに参画します主権者の方々に対しまして、その「気づき」というものを促していきますために、これまでなかった取組にこれから先も積極的に挑んでまいりたいと考えております。
 具体的には産業分野、観光分野、人口分野の専門家を地方に派遣をする。この「RESAS」を活用しながら、どのような形で「地方版総合戦略」を立案していけばいいのかというようなワークショップを開催したいと考えております。これが本当に活用されるためには、そのようなワークショップというものを積極的に開催することが必要でございまして、そこで得られます知見や経験を出席者だけで共有するということは余りに「もったいない」ので、そのワークショップでこれを活用しながら、どのような議論が行われていたか、そしてどのような政策が立案されていくかというようなことを動画で撮影をして、全ての自治体の方々に御覧をいただけるようにしたいというふうに考えておるところでございます。
 このようなビッグデータに基づきます政策立案やPDCAサイクルのワーク、あるいは「地方版総合戦略」のベストプラクティス、「最適解」を全国で共有することによりまして、我が国の地方自治体全体の政策立案機能の更なる向上、そして、目指すべきは地方創生であり、そしてまた地方の人口減少に歯止めをかけるということであり、東京一極集中に歯止めをかける。これをお題目みたいに、幾ら言ってもそうなるわけではございませんので、これもかねてから申し上げていることでございますが、それぞれの課題はそれぞれの自治体でないとわかりません。日本はどうなるかというものは、それぞれの自治体の政策の総和であるという面も多々ございます。また、私どももそういうような状況を見ながら国の政策というものを適宜適切に立案をするということも当然課題として課せられることでございます。
 このシステムは、更に今後バージョンアップをしてまいるものでございまして、これで最終形でお終いというものではございません。このシステムを本日から運用してまいりますが、これから適宜更に充実を図ってまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
 長時間、御清聴ありがとうございました。

2.質疑応答

(問)今の大臣のお話で、過去に遡れる、未来も見られるというお話でしたけれども、データは過去に遡るのは何年ぐらいまでのデータがあり、それから今後のデータの更新はどのぐらいの頻度でおやりになっていくのかというところ、教えてください。
(答)データの更新はそれぞれのデータがそろいました段階で適宜行いたいと思っております。全部一遍に更新をするか、それとも重要なデータは新しいものが来た順に更新していくかということは、システム上の問題でございますので、できるだけ政策立案者が新しいデータに基づいて政策立案ができるということは心がけながらやってまいりたいと思っております。
 過去、どこまで戻れるかということでございますが、例えば雇用につきましては5年前まで遡ることが可能でございます。また、人口につきましては1980年まで遡ることが可能だというふうに報告を受けておるところでございます。
(問)民間のほうはどれぐらいでしょう。民間のほうのデータ、帝国データバンクとか、Agoopとか。
(答)5年間です。
(問)5年間。過去5年間。
(答)さようでございます。
(問)先ほどの御説明の中で、このシステムが地方行政の在り方を抜本的に変える可能性を持っているというお話がありましたけれども、このシステムですけれども、見た目的に非常に、割とわかりやすいので一定の操作に慣れる必要はあると思いますけれども、自治体の職員の人だけじゃなくて一般の住民の人でもこのシステムを使って独自にこの地域の課題を分析したりとか、場合によっては文句なのかもしれませんが、自治体に対して意見を言ったりとか、そういった活用もできるのかなと思いますけれども、そうすると地方創生という点からしますと、新しいこの住民にとってのツールとして何か活用していけるのかなという気がしますが、その辺の意義について改めてお話しいただけますでしょうか。
(答)先ほど申し上げましたように、今朝から全ての方々に、一部を除きましてデータが公表されているものでございます。そういたしますと、皆様方にお配りしている解説書というんでしょうか、マニュアルというんでしょうか、これに基づいて操作いただければどなたでもダウンロードできる、印刷が可能ということになっておるわけでございます。それを行うことによって、今まで住民の側というのは、それぞれの市役所でありますとか町役場でありますとか、そういうところから提供された情報しか知り得なかったと。あるいはいろんな省庁のデータというものを昼夜兼行(ちゅうやけんこう)というか大変な努力というか、その上で抽出してきて、それをつなぎ合わせて加工してみたいな、膨大な作業が必要であったわけですが、それが比較的簡単にどなたでも入手できるようになりました。ということによって、いろんな行政の側がいろんな説明をいたします。そういうときに、じゃ、このデータから見ると、その説明というのはどうなんでしょうねということが言える。あるいは、更にこんなことも可能じゃないですかねということが言えるようになるということだと思います。
 あるいはそれぞれの議会の議員さんがこれを活用することによって今のような、その説明はどうでしょうかねということや、あるいはもっとこんなことができるんじゃないですかね、ということが言えるようになる。ということは、いわゆる納税者、主権者の権利というものの行使をより容易にして、地方自治というものを更に充実させることになるのではないかということで申し上げておるところでございます。
(問)今の質問にも関連して、まず1点なんですが、非常に操作性も良くて、誰でも使い勝手がいい仕組みだと思うんですが、これまさに小中学校の授業でも十分に利用できるような内容だと思うんですが、そういった関係閣僚に対して大臣から利用を呼びかけるようなことはあるのかというのが1点と、あと「地方版総合戦略」を作るに当たって、企業のデータ、非常に分析できると思うんですが、データを扱えるのは地方公共団体の職員ということだと思うんですけれども、「産官学金労言」で総合戦略つくるに当たって、地方の金融機関ですとか、学識者も十分に利用したいデータだと思うんですけれども、そのあたりについてはどのようにお考えでしょうか。
(答)この運用自体はこうやって記者会見をいたしておりますので、全ての閣僚の方々に御了知いただけるというものだと思っておりますが、これから閣僚懇談会等々通じまして、こういうものを運用していますということを御了知くださいということは検討したいと思います。厚生労働省なり、あるいは国土交通省なり農林水産省なり、いろんな政策を打っておるわけでございますが、そちらがこういうような形で、もちろん全てのデータがそろっているわけではございません。開発というのも第1次開発が終わってこれから更にバージョンアップしていくわけですが、そういうものが住民の方々に提供されるようになりましたよということは申し上げたほうがよろしいかと思います。どういうような形でやるかはちょっと今後、早急に検討いたしたいと思います。
 それから、データの活用についてでございますが、これ、ごく一部のデータを除きまして、全ての方々に御覧をいただけるというものでございます。奥歯に物の挟まった「ごく一部のデータ」とかいうことを言っておるわけでございますが、それはいわゆる企業の情報ということがございます。それはこういうデータを集めるに当たりましては、私ども政府とそういうような組織との間でいろいろな形の取り決めをいたしましてやっているものでございまして、データを全て公開するということになりますと、そこのビジネスというものに当然影響を与えることとなるわけでございます。特に金融機関におきましては、私自身も金融機関におりましたけれども、それなりの対価というものを支払って情報を入手するわけでございまして、金融機関におかれましてはそういうような行動というものを、これから先もとるということが今の日本のビジネスの上からいえば至当ではないかというふうに考えております。
(問)今回発表されただけでもかなりのこのメニューがあると思うんですけれども、今後バージョンアップさせてメニューを充実させていくとおっしゃいましたけれども、どのあたりを強化していくお考えでしょうか。
(答)これは、これから先、更に第一次産業、農業、漁業、林業等々につきましては、これはセンサスがございますので、これを精緻に解析をして、これに載せるということはやっていかねばならないと思っております。あるいは医療・福祉。それから、なかなかデータを正確に把握をするという作業に困難性を伴いますが、やっていかねばならないと思っておりますのは、外国人の観光客の方々の消費動向、あるいは教育、あるいは地域経済循環、地域のお金の流れというようなもの、そういうものはつけ加えていかねばならないというふうに考えております。
 とにかく今日までほとんど不眠不休で担当者はやってまいりましたが、来月、5月にも第2次開発に着手をするということを予定しているわけでございまして、今申し上げました農林水産、医療・福祉、外国人観光客の消費動向、あるいは地域のお金の流れである地域経済循環、教育等々のマップをこれから追加をして開発をしたいというふうに考えております。
 先ほどの質問にも関連しますが、この第2期開発というのは完成したものから加えるということを考えております。目安といたしましては、本年8月末に第1次リリース、12月末に第2次リリースということを今のところ考えておるところでございます。
(問)関連ですけれども、教育というのはどういったものが加えられるんですか。
(答)教育というのは、例えば、県内でどれだけ、県外でどれだけ進学しているかの状況、ある地域の大学にどの地域から学生が行っているだろうか。あるいはどの地域からその地域に学生さんが入ってきているだろうか等々、そのようなものを考えておるところでございます。
 更にいろんな、こういうものがあったらいいな、こういうものがあったら便利だねということで、政府として把握できるものと、それは民間ではそういう調査はあるけれども、政府としてはオーソライズしたものではないというようなもので、いろいろとこれから分かれてこようかと思いますが、ユーザーのニーズというものをよく聞き取りながら、私どもしてそのようなメニューを追加をしてまいりたいというふうに考えております。
(問)普段企業を取材していて、データを分析して、現場がいろんな、こういうデータが出ましたって持っていっても、社長ですとか役員が全然そのデータを信用しなかったり実行に移さないというようなケースが非常に多いと。今回のケースなんですけれども、このデータを見ても首長さんですとか、CIO的な方とか、ニューヨークでいえばCDOみたいな、チーフデジタルオフィサーみたいな方がいらっしゃって、そういった方に行動を促すような政策をどんどん打っていかれるのかどうか、そのあたりのお考え、方針お聞きしたいと思います。
(答)そういう、「勘」と「経験」と「思い込み」みたいなことで、「黙って俺についてこい」みたいな、そういう方もいないとは限らない。それは企業の経営者でも自治体の経営者でも、良いとか悪いとかいう問題ではなくて、そういう方がおられるということは事実だと思っております。
 こういうものが稼働することによって、多くの議員さん、あるいは多くの自治体の有権者の方々、有権者のみならず学生さんでもいいのですけれども、それらの方々の間でこれはどうなんでしょうね、あれはどうなんでしょうねという、議論の機会が非常に増えると思っております。やはり民主主義でございますので、どういう方が自治体の経営者にふさわしいのかを選ぶのは住民の方々でございます。納税者の方々、住民の方々がこれを活用することによって、今の自治体の経営者の方々にいろんなことを質し、自治体の経営者の方々はそれによって新たな気づきを起こし政策を展開していくというやり方もあるでしょう。私が「RESAS」に基づいて我が自治体の将来を考えた結果こうなのだと言って選挙に出られる方もあるのかもしれません。私も長く選挙やってきていますが、やはりきちんとした情報、データに基づいて、それぞれの地域をどうするか、あるいは自分はどのようにしようとしているかということを「勘」と「経験」と「思い込み」ではなくて、きちんとした理論、数字に基づいたプレゼンをしていくということはこれから先極めて肝要なことですし、それを見ながら主権者の方々が適切な判断を下すということが民主主義だと思います。
(問)「RESAS」を使うこと、使わないことによるインセンティブとか罰則みたいな、そういうものはないですか。
(答)当然罰則はございません。ございませんが、これが稼働しましたよということは、例えば全国知事会、全国市長会、あるいは全国町村会、あるいはそれぞれの対応する議会の方々には当然お話はいたしております。ですからこれからいろいろとそういう首長の方々がお集まりになる、議員の方々が集まる機会がございますので、そこにおいて私どもからこういう御説明を丁寧にするということはやっていかねばなりません。これを使わなかったからといって罰則を加えるようなことは当然ございません。
(問)自治体連携のお話はいっぱいあったんですが、一般企業間の連携、こういった地域経済のインパクトについてはどのように期待されていますでしょうか。
(答)これも申し上げましたように、行政の担当者がこれを見ることによってどのような政策を展開すべきであろうかと。そのときに行政の担当者が例えば某県某市でも、行政の担当者がそこにある企業をどれだけ知っているのと。あるいはどれだけそこと面識があり、その企業は何を考えているのかということは意外と知らないというものだと思っております。これを見ることによって、こういうことを知りたい、こういうことにおいて行政として対応すべき企業というのはどこなんだろうかということを知ることによって、行政の側からの働きかけが可能になるということだと思っております。
 もちろん、企業の方々が行政の方々にいろんなことを要望なさるということは当然企業の行動としてあることでございますが、やはり行政の側からいわゆる「御用聞き」みたいなものをして歩き、地域の産業に適切な政策をすることは必要だと思います。
 企業間においては、これは金融機関というものがあって、企業間をどう取り持っていくかというのは第一義的には金融機関の仕事であり、さればこそ、信用照会のようなことが金融機関には認められておるわけでございます。それとは行政は違う対応をすることになりますが、行政が「我が市のこういう企業と外の市のこういう企業が連携したらいいのではないか」というようなことを気づくことによって、更に企業の利便性を向上させるということはこれによって相当可能になると考えております。

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(以上)