石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年2月24日

(平成27年2月24日(火) 8:44~9:04  於:中央合同庁舎第8号館1階S106会見室)

1.発言要旨

 おはようございます。

 日本版CCRC構想有識者会議第1回の開催について申し上げます。

 昨年末に閣議決定をいたしました「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づき、明日2月25日(水)、日本版CCRC構想有識者会議の第1回会合を開催するものであります。

 PDCAとかKPIとかCCRCとか何か聞き慣れない名前がいっぱい出てきますが、CCRCというのは、御案内の方もいらっしゃると思いますが、コンティニュイング・ケア・リタイアメント・コミュニティ。直訳すれば、継続的なケアを行う退職者のコミュニティというようなことでありますが、米国においては、このCCRCというのがかなり昔から普及をしておるわけであります。

 我が国におきましても、移住を希望される、あるいは検討される都会の高齢の皆様方が相当程度いらっしゃるわけでありますが、我が国においては、このような高齢者の方々の御希望を受ける受け皿が十分ではないという認識を持っておるところであります。そのため、この会議におきましては、健康なときから移住をするということ、そして移住先の地域コミュニティの中で生きがいや役割を持って仕事あるいは社会活動あるいは生涯学習などに積極的に御参加いただくなど、地域の支え手・担い手としても活動をしていただくということであります。最終的に医療・介護が必要な状態になったとすれば、御自身が望まれるような医療や介護サービスを受けていただけるような体制が整備されている。そのようなコミュニティ、地域共同体という、これまた余りこなれない言葉ですが、コミュニティのあり方について有識者会議において御検討いただきたいと、このように考えておるところであります。

 このCCRCもこれから適切な日本語の名称を考えていきたいというふうに思っておりまして、アメリカのCCRCを一つのモデルとするものではありますが、それをそのまま直輸入するとかそういうことは考えておりません。あくまで我が国に合ったよりよいものというのを考えてまいりたいと思っております。

 このような取組を行うことにより、都会にお住まいの御高齢の皆様方の御希望の実現を通じ、地方への人の流れというものを促進したいと思っております。そして、むしろこちらのほうが大事なのかもしれませんが、高齢者の方々ができるだけ元気に現役で活躍していただける期間を延ばしたいということを思っておりまして、そのようなことに資するものにしたいと思っておるところであります。

 この会議は、増田寛也東京大学公共政策大学院客員教授を座長とし、11名の有識者の方々で構成をいたします。厚労省、国交省、文科省、経産省等の関係省庁とも連携しながら会議を運営するものであります。

 28年度の地方創生関係の主要施策の一つとしたい、このように考えておりまして、本年夏ごろまでにこの構想の中間報告が行えるよう議論を進めていただきたい、このように思っておるところでございます。開催要項等々、資料でお配りをいたしております。御高覧ください。

 以上です。

2.質疑応答

(問)今のに関連してですけれども、これ実際に共同体をつくって、そこにどう人の流れをつくっていくかというのが課題になるかと思うんですけれども、これ、移住する高齢者に対して、例えば、補助を検討したりですとか、そういう何かインセンティブを与える仕組みというのは今の時点で大臣のお考えはいかがでしょうか。
(答)それをこれから検討したいと思っています。これもよく言われていることですが、これから何年ということを断定いたしませんが、東京の場合には医療・介護の提供体制というものに極めて不足を生ずるという事態が予想されます。逆に地方においては、高齢者の方々がこれ以上増えないという、人口構成上そのような地域が出てまいりますので、その高齢者の方々がどれだけおられて、どのような状況にあるのかということをきちんと把握をしなければいけない。いわゆるお金持ちだけがこのCCRCのいろいろなメリットに浴するというようなことがあってはならないことですが、今でも介護保険等々、そういうようなシステムは稼働しているのであって、どういうような方々にこれに参加をしていただけるか等々もよく見なければいけません。そこを見た上で、どのようなインセンティブを与えるべきなのか、今の制度との整合性をどのようにするのかということはかなり緻密な議論が必要だと思っております。これをスタートさせるに当たりまして、内部で幾つかの議論を行いましたが、まさしく今御指摘のように、インセンティブをどのようにするのかということは一番大きな論点だろうと思っています。どのような方々を対象とするのかということは、国民の健康、社会福祉等々と直接関係することでありますので、さればこそ有識者の方々に子細な議論をお願いしたいと思っております。
(問)地方創生の施策についての技術的な質問ですが、よろしくお願いします。「総合戦略」では、地場産木材を活用したCLTですとか、それから農産物の加工ですとか、地方の1次産品に付加価値をつけようという取組が盛り込まれていて、北海道の皆さんも期待をして、それに「地方版総合戦略」に生かそうという動きがあると思うんです。それで、ただ1点不安なところがあります。それは、地元農産物を尊重する政策というのは、通商協定の内外無差別ルールと共存できるのかという点です。例えば、春に政策として終わる木材の利用ポイント制度でも、地場産にそもそも限定していなくて、北米産もいいですよとなっています。それから、EUなどからWTOのパネルまではいっていないけれども、ルール上の問題だという指摘はあります。またTPP交渉では、投資する外国企業が政府を訴えるISD条項が盛られると見込まれています。そんなことから、地場産品を活用する政策というのが有効に機能するのか、ここら辺についてお願いします。
(答)この議論はずっと昔からある話で、特に木材とか農産品において、国際ルールと整合するようなやり方でなければいかんと。国が補助するのであれば問題だが、自治体の場合ならよいではないかとか、「抜け道」というような言葉を使うつもりは全くありませんが、国際協定との整合というものは常に留意しながらやっていかなければいけないことだと思っております。
 その場合に、価格面でのメリットというのもありますが、そのほかにもメリットというのはたくさんあるはずだと思っております。国産を使ったほうが価格のみならずほかのいろいろな面においてメリットがあるのだということを国際ルールとの整合をよく念頭に置きながらやっていかなければならないのは当然のことでございます。
 かつて農水大臣をやっておりましたときに、いろいろな国の農業制度あるいは農業政策も見たところでありますし、外国の農林大臣ともお話をしたことでありますが、例えば、スイスの卵というのは、フランス産の卵に比べて倍ぐらい高いのだと。だけども、スイスの方々はフランス産の卵ではなくスイスの卵を買うのだという話があって、スイスの農業大臣が来たときも随分議論はしたのですが、やはり国民の方々が、それを選ぼうとしていただける、そういうようなものを私どもとしてきちんと提示をしなければいけませんし、北海道なら北海道において、それを選ぶことの意義というようなものは、やはり国民意識というものがあろうかと思います。単に値段だけではなくて、それを使うことによって地域を守っていくのだというような、そういうような意識の醸成もまたあわせて必要だと思っております。
 いずれにいたしましても、国際ルールとの整合はよく点検をしながら遺漏のないよう取り組んでまいります。
(問)西川大臣の件ですけれども、自らの政党支部が国からの補助金を受け取っていた企業からの献金を受けていた問題で昨日辞任しました。大臣の受け止めをお願いいたします。
(答)このことについて、私自身として実際の事実関係というものを正確に承知しているわけではありません。ただ、私も同じ農業政策に携わる者として長いお付き合いでもあります。また、幹事長在任中に農政の改革あるいはTPP、特にTPP交渉において大変な御尽力をいただきました。農政をこれから先改革していく上において極めて有能な方であったというふうに私自身思っておるところであります。
 新聞でしか、あるいはテレビでしか存じ上げませんが、これ以上迷惑はかけられないというような西川大臣の御意向が非常に強かったということでありまして、そういうような御本人の御意向を総理としても受け止めざるを得なかったということだと思います。事実関係を私自身が正確に知る立場にはございませんので、そのことについては論評はいたしませんが、今後は党にあって政府と一体となって農政改革に更なるお力を発揮していただきたいと思っております。西川大臣の着任以来、昨日に至るまでのお働きには心から敬意を表するものであります。
(問)関連ですけども、この問題によって野党側は国会の審議に応じられないということで民主党などは反発を強めていますけども、国会審議への影響及び野党の今のスタンスについてどうお考えでしょうか。
(答)そこはわかりません。国会のことは国会の現場において、与党として野党の方々が審議に応じていただけるように努力をされるものと承知をいたしております。
 野党の方々もいろいろな角度から御質問になるわけでありますけれども、法律というものがどういうものであるのか、昨日の審議を承っておっても、どうも違法性阻却等々についての御見解が少し、少なくとも私とは異なるところ等々、聞きながらそのような違和感を持った場面もございます。どちらがいいとか、どちらが悪いとかそういうことを言うわけではなくて、野党の方々もこの問題を国会において国民の皆様方の前に問題の本質を明らかにするに当たって、例えば大罪であるとかですね、そういう、何だろうな、耳目を引くようなお話ではなくて、ことは法律に関する問題でございますので、法律についてきちんと論理を組み立てられること。そしてまた当然、西川大臣個人に限った話ではありません。それは自分も自重自戒しなければならんことですが、答弁するに当たっては、この法律というものをきちんと自分の中で認識をし、これはどうなのだということを法律論としてきちんとこちらも答弁をする、お互いそういう姿勢が必要なのではないでしょうか。少なくとも昨日の議論を聞いていて、法的な組み立てとしてはどうなんだろうねというようなことがございました。これは質問される側も、答弁をいたす側もよく心せねばならないことだと思っております。
 ですから、この問題の本質が法律的にどうなんだいということなのですから、国民の皆様方に大罪だとか、疑惑だとか、そういう話ではなくて、どういうことなんだろうかということを論理的に組み立てていただく。私どもは、それに対して誠心誠意お答えする。与党も野党もそれは果たすべき責任なのだと思っております。批判めいたことを申し上げるつもりは全くなくて、こういうような問題が起こったときにどう取り上げるかということは追及する側もされる側も国民の皆様方にきちんと御理解いただけるように更なる努力は必要なのだろうなという印象は持っております。
(問)関連でお伺いします。西川大臣は明確に否定されていました。大臣がおっしゃるように、昨日の委員会でも強く明確に否定されていましたが、結果、辞任されました。第2次安倍改造内閣以降を見ていて、言葉は適切ではないですが、簡単に辞めるといいますか、少し辞任が早まっているような気がするんですけども、大臣から見て簡単に辞めているというふうに思われる現状はありますか。
(答)それは十分配慮なさっての御質問だと思いますが、簡単に辞めたと私は思っておりません。この報道が出て以来、西川大臣の中でものすごく苦悩もあり努力もされ、簡単に辞めたということではないと思っております。西川大臣として一生懸命説明をしなければいかんというふうにお思いでしたし、その努力もしてこられたと思います。そしてまた、報道でしか存じ上げませんが、総理の側から、まさしく、こんなことで辞めてもらっては困るという、そういうふうにおっしゃったとも報道には書いてありましたが、それでも西川大臣が強い意思があったということであります。やはり閣僚を拝命した以上は、ありとあらゆる努力をして、その職務を全うするように努めなければなりません。私はそれはされたんだと思いますし、この短い期間でも農協改革というもの、あるいは余り取り上げていただけないのですが、自給力というものをクリアに打ち出したというのは、これは私が副大臣のときからずっと言っておったことですが、なかなかきちんと正面に出ることはなかったのですけれど、そこは、期間は短かったかもしれないが、全力を挙げて仕事をされたと思います。そしてまた、そう簡単に辞めないということで努力もなさったと思っておりまして、仕事もしない前に何かあったらぱっと辞めちゃうというようなことではないと思っております。
(問)関連して、松島大臣、小渕大臣から始まって今回で政治と金の疑惑でお辞めになった閣僚が3人目、また再任を辞退された江渡大臣も含めると4人目ですけれども、この現状を率直にどう受け止められますでしょうか。
(答)それは決していいことではないと思います。これがいいことなはずがないということです。小渕大臣にしても松島大臣にしても、いろいろな御主張はあると思いますが、すべからく閣僚の任にある者というのは、それだけ責任も重いのだということを私も当然含めてよく自重自戒しなければいけないということに尽きるのだと思っております。
 これもきれいごとを言うようですが、国会議員であることも、あるいは大臣や副大臣や政務官であることも、自分の栄達名誉のためにあるわけではなくて、その仕事をすることによってどれだけ国家国民のために寄与できるかということでありますから、それが最優先であり、それぞれの職にあるということは、あくまで手段であって目的ではないのだということを当然私も含めてよく認識をしなければいかんということであります。ですから、批判をするのはけしからんのだとか何とかそういうことを言ってもいかんと思います。それは私ども批判の対象となる者がよくよく己を律していかねばならないということに尽きようかと存じます。

(以上)