石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年1月30日

(平成27年1月30日(金) 8:26~8:34  於:官邸3階エントランスホール)

1.発言要旨

 先程、地方分権改革推進本部第7回会合を開きました。冒頭、総理の御発言は、皆様お聞き及びのとおりであります。

 本日は、「平成26年の地方からの提案等に関する対応方針」を決定し、閣議において、この対応方針の決定を見たところであります。重点事項については8割以上、重点事項以外を含めた新規事項では6割以上について、地方からの提案に実現・対応することができました。

 もちろん、数だけではないのでありますが、全般的に大きな成果があったというふうに考えておりますし、地方から特に強い要望のございました農地転用に係ります権限移譲について、総量確保のための仕組みを充実、整備し、農地転用許可の権限移譲を行うことにしたところであります。これは平成13年に現行制度となって以来、初の見直しということになるわけで、画期的なことであると理解をしておるところであります。今後は、今国会に第5次地方分権一括法案提出ということになるわけであります。

 以上。

2.質疑応答

(問)地方からの提案で6割の案件が今日、閣議決定されたということですけれども、その受け止めをまず一言、お願いできますでしょうか。
(答)数が多ければいいというものでもないが、昨年11月、閣僚懇談会において、その時点では、なお達成状況が必ずしもはかばかしくなかったので、各閣僚に対して更なる検討をお願いしたということで、こういう数字になったというふうに思っております。
 現行制度で対応可能と、そういう切って捨てたようなことを言わないで、なぜ対応可能なのか、どうすればいいのかということまで丁寧に説明するようにということをやったものであり、おおむね各地方の方々には御納得いただいているというふうに思っております。
(問)また、長年の懸案であった農地転用についても、地方からの発意でこのように権限移譲が行われることになりましたが、その点はどう評価されるのか。また、農相と協議の上ということもあると思いますので、どういった課題が今後残るでしょうか。
(答)自給力、自給率について、国として責任を持っている。だとすれば、その基本的な要素たる農地の確保について、国が全く関与しないでいいということにはならない。そしてまた、それぞれの地域において責任を持って確保していただくというものの、総和が、どうやって国が確保すべきと考えている農地面積と符合するかということについて、いろんな仕組みを設けたものであります。これは地方の実情に即した権限を移譲するということであって、間違っても農地転用の基準がルーズになるとか、そういうことを意味するものではございません。
(問)大臣、地方分権ですけれども、数が大事ではないというお話ですが、当初は非常に低率にとどまっていた状況が、6割まで行ったということですけれども、各省の抵抗がやはりあったと、それを政治主導で打破したというような思いもおありでしょうか。
(答)抵抗というか、やはり省庁のカルチャーみたいなものがあって、官僚組織のカルチャーといったほうがいいかもしれないが、まず「だめ」と、なぜならばということを考えるということが、文化になっているような気がしますね。だから、何でだめなんだと。それを認めることによって、一体どういうような弊害が予想されるんだと。こういうような弊害が予想されますと。では、これに対してはこうなのではないかというようなやりとりが、政治主導もそうだけれど、内閣府とそれぞれの省庁との間で相当あったのです。
 こういう状況です、ああいう状況ですという報告をつぶさに受け、政務官あるいは副大臣、いよいよとなれば大臣という形で、政治と内閣府とが一体となって各省庁と折衝したということです。
 終わってみれば、何でこんなことができなかったのかというような話ですけれど、連綿として続いてきたいろいろな中央が持っている権限というものを移譲するということに対する拒絶感、理屈と言うよりも、まず「だめ」というのがあったような気が、振り返ってみていたします。
(問)大臣、農地に関しては相当協議が難航しましたけれども、分権と農地の確保ということを、結果、両立できた、成果が得られたというふうな認識でしょうか。
(答)それは、やってみなければ分かりません。法定受託事務として都道府県に移譲すると。しかし大臣というか、国との協議は入るというのがまずある。そして市町村に移譲する場合でも、全て移譲するというよりは、そういう体制が整ったところに対して移譲するということであります。その時に、農地転用というのは本当に限界事例みたいなものがいっぱいあって、誰が見てもこれは転用してはだめだよね、誰が見てもできるよねというのは簡単なのだけど、この場合はどうなんだろうという限界事例がたくさんあって、そういうものについての事例集みたいなものを、どれだけ実際に分権するまでに精緻なものを作り、そしてまた各市町村の担当者がそれを理解するかという、今度は運用の問題になってくるんだろうと思っております。
 ですから、今回権限移譲がなされた、めでたし、めでたしということではなくて、今度はその運用の体制を整備することを急がないと、分権してみたけれど、ということになりかねないので、そこはよく注意しなければいかないと思います。
(問)今回決まった分権の方針について、地方創生を進める観点からは、今回の決定というのはどういった意義があるものとお考えでしょうか。
(答)それぞれの地域において土地をどのように有効に活用するかということにおいて、意味のあることだと思っています。規制を緩和するものではない。優良農地の総量はきちんと確保する。やっちゃいけないものをやっていいことになるわけではないということです。
 ただ、今まで協議にすごく時間がかかっていましたと。そうしているうちに、その土地で何かやりたいと思っていた人が、もういいや、そんなに時間がかかるんだったらということで止めちゃいましたと。そういうことがないようにするということで、地方においていろんな計画を実施するにおいて、時間的なスピーディーさというかリズムさというか、そういうものが確保されるということは間違いなくあると思います。

(以上)