石破内閣府特命担当大臣記者会見要旨 平成27年1月23日

(平成27年1月23日(金) 10:52~11:06  於:合同庁舎8号館1階S106号室)

1.発言要旨

 今週末、明日が京都において近畿ブロック、明後日が熊本において九州・沖縄ブロック、ということで、「地方創生フォーラム」を開催いたします。地方創生に向けました取組、これを丁寧にわかりやすく御説明いたします。来週から国会が始まるわけでございますが、この「地方創生フォーラム」を全国各地で展開をし、それが更に浸透するように努力をしてまいりたいと思っておるところであります。

 以上です。

2.質疑応答

(問)今の「地方創生フォーラム」に関連してなんですけれども、安倍首相も今年は地方創生元年と位置づける中で、地方創生担当大臣として、地方を回る中でどういったことを具体的に訴えていきたいとお考えでしょうか。
(答)今までの「日本列島改造論」とか「ふるさと創生」と何が違うんですかいというような御意見もあるわけですが、今までとは全く違う取組であります。企画立案、実行、点検、そしてまたその後の改善というような、そういう流れをきちんとつくってくださいということと、指標をちゃんと設定してくださいということと、全ての人が参加をしてくださいというお話。そしてまた、そういう地方の取組を中央政府として情報面、人的な面、そして財政的な面で支援をさせていただきますので。「地方人口ビジョン」を設定し、政府においても「総合戦略」というのを策定しましたが、それに対応した形で「地方版総合戦略」をつくってくださいとか、そういうことが知事さんや市町村長さんには大分御理解は進んだとは思うのですが、そこから先、それぞれの職員の方、「産官学金労言」の携わられる方々、住民の方お一人お一人までそういう話が浸透しているかというと、そこはまだまだだと思います。ですから、この地方創生の意義、そしてその取組の在り方等々を丁寧に御説明をするしかございません。
 私は、ブロック別の「地方創生フォーラム」というのは、そういうことではないかなというふうに思っておるわけでございまして、全国9ブロック予定をいたしておるところでございます。日程等々、既に御了知いただいていることかと存じますが、京都府、熊本県、高知県、秋田県、岡山県、石川県、栃木県、北海道、長野県ということで全国9か所で行うわけであります。これは蓋を開けてみないとわかりませんが、一般の方々に対しまして、こういうようなことをやるということはお伝えをしておるわけでございまして、明日の近畿ブロックあるいは明後日の九州・沖縄ブロック、もう既にそれぞれのキャパを上回る方々の応募をいただいているというふうに承知をいたしております。そこで聞いたよという方がそれぞれの地域にお帰りになり、またそれぞれのいろいろな職場等々においてこういうことだよということがなるべく正確に伝わるように努力をしたいなと思っております。
(問)週末の視察に関連してなんですが、大臣、同時に鹿児島県鹿屋市の「やねだん」も訪れて、実際御自分の目で見られると思います。こういった視察をどのようにフィードバックしていくかということが1点と、あと地方創生実施に当たり、成功事例だけではなく失敗事例からも学びたいというお話を再三されていましたが、この「やねだん」のように、特に成功している事例ばかりではなくて、失敗事例についてはどのように視察ですとか活かしていかれるお考えですか。
(答)この「やねだん」については、これは私が努力が足りない、あるいは不勉強だったんだと思いますが、この地方創生の職に就くまで知らなかったのですよね。この職に就いてからはいろいろな本を読んでいて、こんなところがあるのかということで非常に新鮮な驚きあるいは感動を持って、そのような記事に接したところであります。これは、いろいろなメディアに実は紹介をされておって、テレビの映像だけでも全部つなぎ合わせると何十分みたいなことでありますが、そこは補助金をもらったわけでもございません。そして、そこに何か特筆すべき景観とか、あるいは観光資源とかそういうものがあったというわけでもない。某テレビの表現を借りれば、何もないというところが、この集落自体は120世帯あるいは約300人の方がお住まいというふうに承知をいたしております。よくその成功事例と言われるときは、そのリーダーが立派だったんでしょうとか、何かいろいろな資源があったんでしょうとか、あるいは補助金を活用したんでしょうみたいなことを言われるんですけども、そういうものがないところでこの集落が再生をしているという現場は、これはやはり見たいというふうに思っております。
 私は「視察」という言葉は余り好きじゃないのですけど、行って、10分、20分お話を聞いておしまいというようなことが多いんですが、それで得られるものは、私の経験から言えばあまり多くなくて、柳谷集落の方々に御面倒もおかけをしますが、一晩泊まりということで。例えば東日本大震災の後、野党の政調会長でございましたが、あの直後の5月の連休に、体育館が避難所になっておりましたが、そこへ、これまた御無理をお願いして一晩泊まらせていただいて、避難しておられる方々と夜遅くあるいは朝早くお話をさせていただいて、やはりオフィシャルな意見交換の場では聞けない話が随分聞けたなという体験を持っておりますが、そういう形で実際どうなのかということを自分として拝見させていただき、今後の糧にしたいと思っております。
 失敗事例については、実は私は失敗事例でしてと言って申し出る方がいるとはなかなか考えにくいお話でございまして、成功事例はやはり成功事例ですよというのでいっぱい来るんですけど、多分その成功事例の後ろには、その何倍かの失敗事例があるのだろうと思っております。それをどうやって見るかというのは極めて難しいことなので、ここは私どもも努力はいたしますが、報道の方々というのは私たちよりも本当に津々浦々あちらこちらでいろいろな例を御存じなんだと思います。ですから、この例はどうですかと、それを非難するとかそういうお話じゃなくて、どうすればそれがよくなるのかということ。成功のシーズ(種)というのは実は失敗の中にあるわけですから、皆様方にもお力をいただいてと考えております。地元のメディア、地元紙あるいは地元のテレビ・ラジオに、このPDCAの中に入ってくださいとお願いをしているのは、どうしてうまくいかなかったんだろうねという例をきちんと今後の糧にさせていただくという意味もございまして、私どもとして成功事例のみならず、うまくいかなかった事例というものをきちんと見ていかなければいかんと思っておりますので、どうか皆様方、全国あちらこちらいろいろなネットワークをお持ちでいらっしゃいますので、これはどうなんだろうねみたいなことがあればお知らせをいただきたいと存じます。
(問)イスラム国と見られるグループによる日本人拘束ですけれども、犯人側が言っている交渉の期限というのが迫っておりますが、今日の閣議あるいは閣僚懇で総理のほうから何かそれについての御発言はありましたかということと、政府はこの後、期限が迫られる中でどのような対応が求められると大臣はお考えでしょうか。
(答)十分御存じの上でお尋ねかと思いますが、閣議あるいは閣僚懇での発言は御紹介をしない、官房長官からお話をするということに相なっておるわけでございます。
 これは私自身、そういう危機管理の衝にあるわけではございません。もちろん内閣の一員としてともに責任を負うわけでございますが。総理が常に申しておりますところの、テロには屈しないということは、それは大原則として押さえておかねばならないことだと思っております。
 これは自衛隊のイラク派遣のときもいろいろな例がございました。日本政府として、あのときにみんなの脳裏にあったのは、かつてのハイジャック犯に対して取った日本政府の対応がどうであったかということだろうと記憶をいたしておりますが、それはそのときの政府の判断ですから、いいとか悪いとかそういうことを私が申し上げているのではございません。そういうことが念頭にあって、テロには屈しないということと、国家主権の重要な要素でありますところの自国民の生命の保護というもの、この両方を満たしていかねばならないわけであって、さればこそ、その狭間にあって政府としては最大限の努力をしていく。どちらか一方であれば、それはそれで割り切ったお話なのかもしれませんが、この両方とも極めて大きな価値を持つ、当然のことでございますが、その両方を満足する、成就するということは、簡単なことではないということだと思っております。また国際社会に対する日本国の責任ということもあるわけでございまして、明確なのは、人命第一ということ、そしてまたテロには屈しないということ、この二つをどうやって両立せしめるかということを私どもの政府は問われているのだというふうに認識をいたしております。
(問)今回、通常国会ですね、所信表明がないということで、総理が1月の通常国会冒頭で、包括的にいろいろ国政について所信を述べるというのは意味のあることかなと思っているんですが、これについて、それが予定されていないということについて、大臣はどうお考えになりますか。
(答)これは政府としてそのように考えておるわけでございます。ただ、国会のことでございますので、野党の方々の御理解を得るという努力をしていかなければなりませんが、我が政権として、あるいは総理として、こういう方針で臨むのだと。ましてや、昨年の選挙を経た上でのことでございますから、この国会を通じまして政権の方針あるいは国民の御審判、判断を仰いだ上での政権の方針というものは、それはいつ、どうのこうのということではなくて、この国会の中においてきちんと国会、それはすなわち国民に対してということでございますから、政府の方針というものが明らかにされるということだと思っております。
 国会の御理解を得るべく政府として努力をしておるところであって、行わないということに対して、そのことのみをもって政権の姿勢ということを断ずるのは、それはまたいささか全体を俯瞰(ふかん)することにはならないのかもしれないなと思っております。政府として、いずれにしても国民主権、そしてそれを体現する国会との関係は重視してまいるということは言うまでもございません。

(以上)